皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
HORNETさん |
|
---|---|
平均点: 6.32点 | 書評数: 1121件 |
No.81 | 7点 | 緑の調査ファイル- 今野敏 | 2011/01/11 01:45 |
---|---|---|---|
オーケストラのヴァイオリン盗難事件の捜査にあたり,翠の超人的な聴覚が活躍します。ヴァイオリニストや指揮者の辛島もいいキャラクターを演じており,楽しめました。 |
No.80 | 5点 | 黄の調査ファイル- 今野敏 | 2011/01/11 01:44 |
---|---|---|---|
ある宗教団体で起きた集団自殺の謎を,僧籍をもつ山吹が解いていきます。禅宗僧の山吹が中心となる話とあって,心理的な要素が強く,ミステリとしては真相解明の流れがイマイチでした。 |
No.79 | 7点 | 赤の調査ファイル- 今野敏 | 2011/01/11 01:41 |
---|---|---|---|
医療事故の原因解明にかかわって,赤城の過去も明らかになっていきます。赤城自身の最後のセリフが読んでいてうれしい。 |
No.78 | 7点 | 青の調査ファイル- 今野敏 | 2011/01/11 01:39 |
---|---|---|---|
文書担当であり,プロファイリングを得意とする絶世の美少年,青山を主人公とした話。心霊番組収録中に起きた自己を殺人と見抜き,理論的に犯人を解明していく中心となり活躍します。才能がありながらいつもやる気なさげで,かといって嫌味な感じがせず,5人の中でも好きなキャラクターの一人です。 |
No.77 | 8点 | ST警視庁科学特捜班- 今野敏 | 2011/01/10 20:48 |
---|---|---|---|
今や警察小説の御三家の一人とも言える作者ですが,本シリーズはそうした警察テイストとエンタメ小説としての要素がうまく融合した作品といえるでしょう。特殊能力をもつ5人と,その扱いにとまどう一応キャリア・百合根チーフを主役とした物語。ミステリの要素もきちんとあります。5人の能力は非現実的(?)でありながら,謎についてはきちんと現実的に解決されていくので,ミステリファンとしても楽しめます。
ミステリファンでなくても,たいていの人が「面白い」と思える,読みやすく楽しい作品です。 |
No.76 | 4点 | 疑心- 今野敏 | 2011/01/10 20:34 |
---|---|---|---|
ここまでの皆さんの書評を読ませていただき,「だろうなぁ」です。原理原則を貫く揺るぎない竜崎の生き方,これこそが本シリーズの人気を支えている要素だっただけに,恋慕の情に揺れる竜崎には「人間らしさが見られてよかった」の是,「こんな竜崎は見たくなかった」の非にまっぷたつに分かれるでしょう。
私は後者です。こんな竜崎は見たくなかった。ミステリに関して全く触れない書評ですみません。 |
No.75 | 8点 | 果断- 今野敏 | 2011/01/10 20:25 |
---|---|---|---|
「竜崎氏のキャラクターだけ」と言われれば確かにその通りかもしれません。しかし逆に言えば,それだけで読めてしまう魅力が竜崎にはあるということ。キャリアでありながら原理原則を貫くその姿勢,「わざとらしいほど」そのギャップにとまどい感じ入る周りの人間とその描写,読んでいて思わずにんまりしてしまう文章です。
ミステリ要素は入れ込まんとして入れ込んだ感があるので,それでこれならば十分満足。今野敏および隠蔽操作シリーズにはまった作品です。 |
No.74 | 6点 | 死者が飲む水- 島田荘司 | 2011/01/10 20:23 |
---|---|---|---|
一介の刑事・牛越が,トランクで贈られてきたバラバラ死体殺人事件の謎に挑む。ご丁寧に,捜査が空回りしている段階も全て描かれていて,退屈といえば退屈でしたが,現実味があるといえばそうともいえます。またそれにより,牛越刑事の愚直さが描かれていると考えれば,物語として無駄な部分とは感じませんでした。 |
No.73 | 9点 | 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 | 2011/01/10 20:17 |
---|---|---|---|
<ネタバレの要素あり>
トリックとしてはすごいというかバカバカしいというか・・・ですが,この発想がすごいと私は思います。タイトルが秀逸という他の方の意見にも同感です。ところで,本当にこのトリックは現実的にうまくいくのでしょうか・・・? ただ,トリックの仕掛けの部分は,読んでいるときから「何か匂うな」とは思っていました。 何かのイベントで,この屋敷の模型が披露されたそうで。是非見てみたかったです。 |
No.72 | 7点 | Pの密室- 島田荘司 | 2011/01/10 20:12 |
---|---|---|---|
御手洗潔を知っているか,知っていないかで評価が分かれる作品だと思います。ということは,言い換えれば純粋にミステリ要素での評価はそれほど・・・ということでしょうか。私は島田荘司および御手洗潔が好きですので,その幼少期の話というだけで面白く読めました。こんな園児がいたら怖いですけど。
コナンみたいでした。・・・ところで「Pの密室」のPは何なのでしょうか。「ピタゴラス」? |
No.71 | 7点 | ビター・ブラッド- 雫井脩介 | 2011/01/10 20:08 |
---|---|---|---|
「裏のシャドーマン」なる組織内部の裏切り者探し。二代に渡って刑事をしている警官親子の子が主人公。親父に反発を感じながらも,やはり血は争えない,という感じ。そう思うとうまいタイトルですね。 |
No.70 | 7点 | 「ABC」殺人事件- アンソロジー(出版社編) | 2011/01/10 20:04 |
---|---|---|---|
「『Y』の悲劇」と同じようなコンセプトで作られた短編集だと思われますが,出来としては随分こちらのほうがよい気がしました。個人的には恩田陸の「あなたと夜と音楽と」と,法月綸太郎の「ABCD包囲網」がよかったです。 |
No.69 | 5点 | 「Y」の悲劇- アンソロジー(出版社編) | 2011/01/10 20:02 |
---|---|---|---|
本格を自称する作家たちの競作ですので,メンバー的には豪華。しかし,企画により依頼された作品だと思われるので,各作品は「おつまみ」的な出来栄え。著者たちもそれほど評価を気にせず好きなことをやっている感じがするので,そういう意味で楽しんで読めます。 |
No.68 | 7点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2011/01/10 19:56 |
---|---|---|---|
他の方が書いてみえるように,表題作がやはりよいですね。純粋に論理を突き詰めて推理を進めるのが本格感があって。「あるYの悲劇」は,法月綸太郎,二階堂黎人らと競作したアンソロジーからの引用。これはこれでちょっとした読書タイムにはあり。
※ちなみに,「モロッコ水晶の謎」に収められている「ABCキラー」も,「『ABC』殺人事件」という競作アンソロジーに収録されています。 |
No.67 | 4点 | 鬼の跫音- 道尾秀介 | 2011/01/10 19:19 |
---|---|---|---|
ものの3時間で全編読めてしまいました。どんでん返し目的の軽い作品集という感じ。この人の作品は,やはり長編のほうがよいというまさむねさんの意見に賛成です。 |
No.66 | 4点 | 少女- 湊かなえ | 2011/01/10 19:17 |
---|---|---|---|
ほとんどの人が「告白」作者の次の作品として,そうした期待をもって読んでいるので必然的に必要以上に評価が下がってしまうと思います。私もその一人です。なんの先入観もなく読めばそれなりに面白い小説だとは思いますが・・・。ただそういう見方で読んでも,ちょっと都合のいい偶然が重なりすぎている感はありました。 |
No.65 | 7点 | 告白- 湊かなえ | 2011/01/10 19:09 |
---|---|---|---|
ホームルームで,担任が自分の子どもを殺した犯人の生徒を名指しするという,その前代未聞の設定からして読む気がそそられました。その担任が,決して感情的にならず淡々と語る様子が,異常さを引き立たせます。もともと第一章だけで「聖職者」という話で,その後はあとから加筆されたらしく,確かに章が進むにつれてちょっと強引な展開が目立ったようにも感じましたが,最初の勢いで読めてしまいました。 |
No.64 | 4点 | ナイン・テイラーズ- ドロシー・L・セイヤーズ | 2011/01/10 19:03 |
---|---|---|---|
名作と称され,著者の作品中最も有名。ですが,正-直に言って,なぜこれがそれほど賞賛されるのか分かりませんでした(自分の理解力の欠如かもしれませんが)。この長さ,このゆったりした展開で,ひっぱりにひっぱった謎の解答があれというのは・・・ひょっとしてその意外性が評価の高い理由なのでしょうか?とりあえずなんか悔しいので,氏のほかの作品も読んでみたいと思います。 |
No.63 | 7点 | 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2011/01/10 18:53 |
---|---|---|---|
物理的に,科学的に一人の犯人を決定するという理詰めを求めるとすると,心理的な要素の強い本作品はイマイチ。だが、心理が物理より重要というファイロ・ヴァンスのスタイルが一貫されているともいえるし、「ベンスン」「グリーン」よりも理があると感じる。フーダニットよりもホワイダニットの要素が強い。ディーヴァーのリンカーンライムに極みを見るような,科学を駆使したロジックが受け入れられる現代の中で,こうした古典的な探偵小説は「いいなあ」と感じさせるものがある。決してそういう感傷によって温情評価をするのではなく,ミステリ好きなら必ず引き込まれるであろう舞台設定,雰囲気がこの作品にはある。ヴァン・ダイン作品の中で高評価を得るのもうなずける。 |
No.62 | 7点 | グリーン家殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2011/01/10 18:21 |
---|---|---|---|
「二十則」に代表されるように,純粋な謎解きを信条としていたヴァン・ダインだけあって,不要な伏線も少なく推理主体の,ミステリファンにとってはうれしい作品でした。バウチャーの批判などもあり,賛否両論のある作者ですが,私は少なくとも「推理」小説ファンの欲を現在になっても満たしてくれる作風は好きです。何よりも,作者自身が,(作家になった経緯を聞くにいたっても)ミステリのこの上ない愛好家なのだな,と感じます。
本作品については,「手がかりになるいかなる言動も見過ごすまい」と思って読んだので,ファイロ・バンスのペダンティックな物言いを読み続けるのに結構疲れてしまいました。最後にあんなふうに事件のあらましを整理してくれるくだりがあると分かっていれば,適当に読み流したのに・・・。そこが,評価がイマイチ挙がらない原因です。 まぁしかし,こんな探偵もまた,現代には登場しにくいキャラだと思うと,改めて本格黄金期のよさに浸ってしまいますね。 |