皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
HORNETさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 1121件 |
No.921 | 7点 | ミステリー・オーバードーズ- 白井智之 | 2022/07/11 19:46 |
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奇才(鬼才)・白井智之の短編集。
著者お得意のグロ全開。「グルメ探偵が逃げた:「げろがげり、げりがげろ」「隣の部屋の女」「ちびまんとジャンボ」「ディテクティブ・オーバードーズ」の5編。2作目なんて、タイトルだけで著者の作品だとわかりそう(笑) 完全にそれぞれに書かれた作品と思われ、それぞれに色があって面白い。グロな上に特殊設定が敷かれる作品が多いが、推理・謎解きはいたってロジカル。そこがよい。 そんな中で「隣の部屋の女」」は普通にサスペンス的なミステリに仕上がっていて、質もよい。オールラウンダーだなぁ…と改めて作者の才に感心。 ラストの「ディテクティブ・オーバードーズ」は込み入りすぎでちょっとさじを投げたが、それ以外はいろんな味が楽しめる、良質の短編集。 |
No.920 | 7点 | 断罪のネバーモア- 市川憂人 | 2022/07/11 19:33 |
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度重なる不祥事から警察組織が「民営化」された。ブラックIT企業で心を病み、民営化警察に転職した藪内唯歩は新米刑事として茨城県警刑事課で仲城流次をパートナーとし殺人事件の捜査にあたる。
「足手まとい、お荷物」を自覚する唯歩だが、持ち前の真面目さと感性で、 凶悪事件を解決に導く。ところが、解決したと思われるそれぞれの事件の裏に、警察組織のきな臭い暗部が見え隠れする――。 連作短編の形でまとめられているそれぞれの事件での唯歩の気づきからの推理はロジカルで、普通の本格短編として楽しめる。そのうえ、作品全体を通しての仕掛けが施されており(最近よくある手法であはあるが)、よく考えられており楽しませてくれた。 唯歩を取り巻く刑事課の面々との関係性でも心地よいラストが用意されており、読後感もよい。 「漣&マリアシリーズ」でおなじみの筆者、毛色の違う他作でもその才を十分に発揮されている。 |
No.919 | 7点 | 償いの流儀- 神護かずみ | 2022/07/11 19:20 |
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最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつかず空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。
奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る……。(Amazon紹介文引用) 工作員ばりの手腕を持つ西沢奈美と敵との、高度なやりあいが見もの。黒幕ははっきり言って完全に予想通りだったが、活劇として非常に魅力的なので不満はない。 前作を読んでずいぶん時間がたっていたから、シリーズという認識がなかったが、おぼろげな記憶でいうなら前作よりも良い気がする。 |
No.918 | 3点 | 犯人は、あなたです- 新堂冬樹 | 2022/06/26 22:37 |
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軽妙・コミカルな筆致で、楽しく読めるのだが、思わせぶりなタイトルのわりに何がしたかったのか結局よくわからないままだった。
ネット上で流布され、一般に認識が広まったことがそのまま真実になる、ということが言いたいのか?そういう意味のタイトルなのか? もしそうだとしたら、それほどの問題提起でもないし、殺人事件はあるもののミステリとしての要素は皆無だったので、評価は低くなってしまう。 |
No.917 | 7点 | 俺ではない炎上- 浅倉秋成 | 2022/06/25 22:08 |
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ある男のTwitterに、殺害現場がupされた。有名人でもない男の投稿にはじめは反応が鈍かったが「これ、ガチじゃない?」というリツイートとともに次第に広まり大炎上に。ところがツイートの主とされている男・山縣泰介はTwitterすらやっておらず、何がなんだがわからない。しかし写真をさらされ、殺人犯と認識され、追われる身に。いったい誰が、どのようにしてこんなことを―?
現代的なツールを素材として、ミステリを巧妙に組み立てている。完全な冤罪でありながら、このことを通して自身の生き方を省みる泰介の姿や、どこか見下していた取引先会社の社員に救われるくだりなど、挿話的に描かれている泰介の人間ドラマも複線として非常に効果的。 仕掛けの方法は昨今よく見るやり方だが、呼称のトリックや叙述の技術の合わせ技で精巧に作りこまれており、感嘆した。ただラストまで読み進めても、その仕掛けの全容を正しく理解するのには多少の時間を要した… |
No.916 | 4点 | 禁じられた遊び- 清水カルマ | 2022/06/19 17:35 |
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伊原直人は、妻の美雪と息子の春翔と共に幸せな生活を送っていた。しかし、念願のマイホームを購入した矢先、美雪が交通事故に遭い、死亡してしまう。絶望する直人に対し、春翔は「ママを生き返らせる」と美雪の死体の指を庭に埋め、毎日熱心に祈りを捧げる。同じころ、フリーのビデオ記者、倉沢比呂子のまわりで奇怪な出来事が起こり始める…。第4回本のサナギ賞大賞作品。
(「BOOK」データベースより) 嫉妬に狂った女の怨念を、母を慕う幼い息子が無邪気に呼び覚ます、というストーリー。 ジャパニーズホラーらしい展開。よくいえば安定の一話、厳しく見れば「ありがち」なホラー。 読む分にはそれなりに楽しめるが、特筆して推すまでにはいかないぐらい。 |
No.915 | 8点 | 死体の汁を啜れ- 白井智之 | 2022/06/19 17:25 |
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スマッシュヒットを飛ばしながらも、知り合い作家に騙されて借金を負うことになったミステリ作家・青森山太郎は、死ぬことにした。ところが、自殺に向かう途中でやくざに拾われ、巻き込まれていた事件を解決したことにより気に入られ、「死んだら殺す」(笑)と脅され囲われる身になってしまう。小さな港町でありながら殺人事件の発生率が群を抜いている牟黒市で、青山、やくざ、そしてなぜか女子高生まで絡まって、前代未聞の死体から始まる殺人事件の謎解き劇が始まる!
残虐で猟奇的な殺人を、陰鬱な雰囲気なしにコミカルに描く作者の作風が存分に生かされた一作。クソ笑えて超面白い。一見イロモノのように感じられる作者の作品だが、ミステリとしての謎解きはきっちりロジカル(一応)なのがまたよいところ。まぁバカミス的な着地もあるが、そういう体だとわかって読めば十分謎解きも楽しめる。 面白かった! |
No.914 | 6点 | チェインドッグ- 櫛木理宇 | 2022/06/19 17:04 |
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Fラン大学に通う大学生・筧井雅也の毎日は鬱屈していた。同級生たちは刹那的な快楽にしか目を向けないバカばかり。そんな雅也のもとに、稀代の連続殺人鬼・榛村大和から一通の手紙が届いた。大和は雅也が幼いころ、近所でパン屋をしていた男。世間を震撼させる連続殺人事件を起こして逮捕された彼からの手紙は「最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」との依頼だった。幼いころよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査に乗り出す雅也を待ち受けていた、残酷な真実とは。
連続殺人鬼の、「最後の一件だけは僕じゃない」という訴え。魅力的な設定である。それが真実であるという受け止めで、「では、その一件の真犯人は?」という思いで読み進めていくのだが― いろんな意味で読者の予想を裏切り、そういう意味では上手いのだが、上に書いたような流れで正道でいったほうがある意味すっきり楽しめたかもしれない。腕の立つストーリーテラーだと思うが。 |
No.913 | 2点 | 塩の湿地に消えゆく前に- ケイトリン・マレン | 2022/06/05 20:16 |
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猟奇的で思わせぶりな冒頭から期待したのだが…
とにかく合わなかった。読みづらい。分かりにくい(というか、分からない)。それっぽい感じの描写がうるさいうえに、もったいぶった描き方で何がどう進行しているのかとても分かりづらい。 読み始めた以上、読了しないと…という思いのみでページを繰り続けたが、正直苦痛だった。 真相もよく分からない。結局、誰が犯人だったのか、明記されていないから分からない。 合わなかった。 |
No.912 | 5点 | 少女葬- 櫛木理宇 | 2022/06/05 20:06 |
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バス、トイレ共同、敷金礼金なし、保証人不要、性別および年齢制限なしのシェアハウス。毒親からの精神的虐待に堪えかねた16歳の少女・綾希が家出して逃げ込んだその場所は、生活に困窮した者たちの巣窟だった。物を盗られるのは当たり前の、不潔で悪臭漂う場所。そこで彼女は、同じ家出少女の眞実に出会う。唯一心を許せる存在だった眞実だが、まっとうに身を立ててここを抜け出そうとする綾希に対し、危ない世界に憧れ、深みに嵌っていく眞実。些細なきっかけから別離していき、やがて二人はそれぞれの道へ――。
現代の格差社会の暗部を描き出したような作品。ハッピーエンドとは言えないが、「意外な展開」という名のもとに最悪な終わりではなく、物語の流れ上自然な結末でまぁよかった。そのせいで意外性はないのだが。 |
No.911 | 6点 | 人間の顔は食べづらい- 白井智之 | 2022/05/22 18:02 |
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まずこのぶっとんだ設定が作者ならではなのだが、その中で本格推理を堅持するのがこの作者の良いところ。
正直、作中の「河内ゐのり」がどっちがどっちだったのか、最終的にはほとんど分からなくなってるけど…(笑) 解説で道尾秀介が書いているように、各キャラクターが憎めないのも本作品の良いところ。 特殊な作風ではあるが、ある種の才を感じる作者である。 |
No.910 | 7点 | 白鳥とコウモリ- 東野圭吾 | 2022/05/22 17:45 |
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竹桟橋近くの路上の車内で、弁護士の刺殺体が発見された。警視庁捜査一課の五代努は、わずかな手がかりから関係人物を突き止める。それは、愛知県に住む倉木達郎という初老の男だった。やがて倉木は全ての犯行を認め、捜査は終結する。だが、事件の被害者や関係者らが、その真相には「納得がいかない」という。五代自身も疑念を持ったまま、独自で捜査を進めていくうちに、一件落着したかのように見えた事件の本当の姿が明らかになっていく―
500ページを超える作品でありながら、80ページもいかないうちに「すべて私がやりました」という自白を迎える時点で、それが真相でないことはどの読者にも明らか。では真相は何なのか?という関心を持続し続けるだけの筆力が作者にはあり、少しずつ解きほぐされていく関係者の過去と、その端緒となる手がかりの提示は絶妙。 行き着いた先の真相は、正直特段目新しい感じはなかったが、わずかな手がかりやヒントを見逃さずに「気付き」を重ねて真相に迫っていく過程はなかなかに読み応えがあり、楽しめた。 |
No.909 | 8点 | 白日- 月村了衛 | 2022/05/22 17:29 |
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千日出版の教育部門で課長を務める秋吉孝輔は、さまざまな事情で学校に通えなくなった不登校の子に向けた学校「黄道学園」を立ち上げるプロジェクトの中核を担っていた。しかしそんな秋吉に、事業を率いる梶原局長の中3の息子が、謎の転落死を遂げたという衝撃の情報が。プロジェクトは一時中止になり、事故ではなく自殺という噂が社内では急速に広まる。秋吉は部下の前島と調査を開始するが、以前から社長派と専務派が対立する社内。会社の上層部は秋吉に隠蔽を働きかける。少年の死という状況のもと、彼らが気にするのは自社の利益追求と保身だった。
局長の息子の死の真相を追う、という点で十分にミステリなのだが、それ以上に自らの職にプライドを持つ、働き人の矜持と葛藤というヒューマンドラマとしての魅力が勝つ。社内の派閥抗争の中で暗躍する人事課の男、部下の突き上げに苦しみながらも自らの職業倫理と誇りを貫こうとする主人公、さまざまな要素が絡み合って読み応えのあるストーリーに仕上がっている。結末も非常に気持ちの良い具合で、ストーリーテラーとしての作者の技量に魅せられる一冊。 |
No.908 | 6点 | 大義- 今野敏 | 2022/05/08 21:33 |
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横浜みなとみらい署・暴対係係長の諸橋夏男、通称「ハマの用心棒」のシリーズ短編集。
今回は、班員である巡査部長の倉持忠や、巡査長の八雲立夫、監察官の笹本康平らを主人公にした、スピンオフ的な短編集となっていて面白かった。(1話目の「タマ取り」はダジャレネタみたいで失笑だったが。) シリーズを読んでいなくても、今野氏はいつも初読の読者を見据えた描き方をしているのでまったく問題なく楽しめる。むしろ本シリーズの入り口にもなり得る一冊だと思う。 改行の多い作風ということもあって、2時間程度で読了できる。といっても、十分に楽しめる内容。 |
No.907 | 4点 | 人面島- 中山七里 | 2022/05/08 21:13 |
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相続鑑定士の三津木六兵の肩に寄生する人面瘡は、毒舌ながら頭脳明晰で有能な探偵。六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としている。
そんな六兵がある日派遣されたのは、長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行うという名目で派遣された六兵だったが、ありがちな話、鴇川家には相続の利権をめぐる複雑な事情が。そんななか、相続人の一人である、行平の息子・匠太郎が何者かに殺害される。時代から取り残された閉鎖的な孤島の村で、横溝正史ばりの陰惨な連続殺人事件が幕を開ける――。 う――ん…なぜだろう…中山氏の作品では自分としては珍しく、入り込んで読み進めることができなかった…。相続を取り巻く家族関係の確執が紋切型に感じたのか、秘密の鍾乳洞とか抜け道とかいう設定が陳腐に感じたのか…自分でもイマイチわからない。限られた登場人物の中で、真犯人も割と予想通りなうえ、不可能犯罪と思われた第一の殺人のトリックもふたを開けて見ればトリックというほどでもない。 登場人物が豊かな語彙で論理的かつ軽妙にやりとりする、氏の作品の特徴は、現代的な舞台の方がしっくりするのかもしれない。 |
No.906 | 7点 | 探花- 今野敏 | 2022/05/04 21:55 |
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横須賀・ヴェルニー公園で刺殺体が発見された。目撃者によると、刃物を持った白人男性が現場近くにいたのを見たという。米軍がらみの案件か?と神奈川県警が眉を寄せる中、県警警務部長に竜崎の同期のキャリア・八島圭介という男が赴任する。八島は同庁入庁の中でトップの成績、ハンモック・ナンバーが一番の男だという。その八島が、米軍との交渉には竜崎が出向くべき、と主張する。八島の目論見は何なのか?
本の宣伝文句には、「竜崎のライバル出現か?」と謳われているが、結果としてはライバルになんかなり得ない俗物だった。本作品はむしろ、現場たたき上げでキャリアへの反感を持つ板橋刑事課長と竜崎署長の、表層には表れない信頼関係の方が見もの。信頼を寄せながらもぶっきらぼうな態度を崩さない板橋課長、そんなことは何も気にしない竜崎署長、これが名コンビ。 事件の裏を暴いていく過程以上に、信念の男・竜崎と、「キャリアは頭でっかち」という先入観を持っている所轄の署員とが次第に距離を縮めていく様が本シリーズの真骨頂だと思う。 今回もそれを、十分に楽しめた。 |
No.905 | 6点 | 能面検事の奮迅- 中山七里 | 2022/05/04 21:33 |
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大阪地検のエース検事・不破俊太郎。組織に渦巻くパワーゲームや人脈、上席への忖度などに全く関心を見せず、無表情で流儀を貫く。そんな不破が今回あたることになったのは、小学校を作ろうとする学校法人への、国有地の不当な安価売却。しかも捜査に入ったとたん、特捜部の文書改ざん疑惑が発覚する―
森友学園事件をモチーフにしたのは明らかだが、ミステリとしての仕掛けは全く別物。信頼できる検事の文書改ざん疑惑、「何かあるはず」と読者を惹きつける手際はさすがで、その裏に隠れた真相もよく仕組まれていて面白い。 それにしてもシリーズを読んでいると、事務官・惣領美晴の、俗物的・大衆的な正義感と、いつまでも学習しない不破とのやりとりにだんだんイライラしてくる。「思わず口にしてしまう」「不破に一蹴される」「自己嫌悪に陥る」というくだりを何回も何回も繰り返していて、いい加減煩わしい。 今回は岬次席検事も登場し、「中山七里ワールド」の一端も楽しめる。多作で、シリーズの多い作家だが、是非本シリーズも精力的に続けて欲しい。 |
No.904 | 3点 | 変な家- 雨穴 | 2022/05/04 21:16 |
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家の間取りから隠れた謎を暴き出す…という冒頭はかなり興味深かったのだが、次第に呪いやら掟やらでありがちなB級ホラーに帰結してしまった印象。
出典はインターネット連載?なのかな? 2時間もかからず読めてしまう。 どんどんぶっとんだ話になって行くに従い、人物関係も伯父叔母やらいとこやらで複雑になっていき、その両面で興趣は右肩下がりだった。 |
No.903 | 5点 | 6月31日の同窓会- 真梨幸子 | 2022/05/04 21:08 |
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地元ではブランドとされる私立高校・蘭聖学園。そこには、「6月31日の同窓会案内状」が届いた女子には「お仕置き」が為されるという怪伝説があった。卒業してずいぶん経つ、89期生に次々と届く招待状。蘭聖学園OBであり、現在は弁護士を務める松川凛子のもとには、その恐怖におののく89期生たちが次々に訪れる。が、その後続けてそれらのOBが怪死していく。いったい、招待状は誰が送っているのか、怪伝説は本当なのか―
ここ最近(?)の真梨氏の作品によくあるのだが、とにかく登場する女子が多いうえに関係が複雑(あるいは、伏線として前半分かりにくく描写しているためそう感じるのか)で、誰が誰でどの子だったのか、こんがらがってくる。リーダビリティが高く、読むスピードが速くなるためなおさら、短時間にいろんな女子が入れ代わり立ち代わり登場してくる感じになってしまう。 分かりやすいし、ある意味典型的な真梨幸子らしい作品ではあると思う。 |
No.902 | 5点 | 残酷依存症- 櫛木理宇 | 2022/05/04 20:55 |
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大学生・乾渉太は、ツレの航平、匠とともに宅飲みの最中、買い物帰りに何者かに襲われた。気が付けば宅飲みをしていた隠れ家の浴室で、両足の親指と小指を切断されて監禁状態。何が起こったのかさっぱり分からないながらも、こんな目に遭う原因には心あたりがないこともない…
「殺人依存症」から続けて読んだが、相変わらず遠慮のない残酷描写。冒頭の渉太は当初被害者でありながら、次第にその悪行と人間性が暴かれ、ろくでもない大学生であることが分かってくる。が、冒頭の描写からだいたい予測できる雰囲気ではあった。 何年か前の「スーパーフリー事件」を題材として得られた着想により描かれた作品で、一般的に受けやすいとも言え、良くも悪くも素人目線といえる。サクサク読めてストレスはないのだが、特筆すべき秀逸さもないかな。 「殺人依存症」よりはこっちのほうがよかった。 |