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[ 本格 ]
ウサギ料理は殺しの味
P・シニアック 出版月: 1985年05月 平均: 6.14点 書評数: 7件

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中央公論社
1985年05月

東京創元社
2009年12月

No.7 6点 2023/03/15 21:48
ミステリの論理って、普通は桶屋がもうかったという既に起こった事実を前提とし、その原因を追究していったら意外にも風が吹いたからだったといったもので、偶然そうなることも確かにあり得ないことではないと納得できるのです。しかし本作では、それが毎週繰り返されることで、逆方向の風が吹けば(必ず)…というバカ論理になっているのです。で、連続殺人の決着が一応ついた後でのあることを「止める方法」模索展開が、さらに輪をかけたバカさ加減で、HORNETさんの評に書かれているとおり。特別会合で何週間もの討議の末提案された対策方法など、普通誰でも即座に思いつきます。
こんなプロットが危うく成立して、しかもおもしろいのは、登場人物たちが非現実的な変な奴らばかりだからで、これをリアルな設定でやったら、目も当てられません。
なお、原題の意味は「蒼白い女たち」で、邦題に比べると魅力に欠けます。

No.6 8点 HORNET 2022/11/06 21:10
 いやいやいやこれは…非常に面白かった!(笑ってしまうという要素も含めて)。
 バカミスの部類に入ってしまうような、ある意味荒唐無稽な組み立てのミステリではあり、評価は分かれるだろう。私は、この着想がまず面白いと思うほう。内容についての予備知識を持つことなく読んでいたので、まさかこういう方向にいくとは…と、最後に近づくほど興趣がのってきた。
 そりゃあ、現実的に考えれば、止める方法なんていくらでもあるだろうに…笑

 ミステリとは別に、食に関する描写もなかなか。一昔前の海外ミステリって、読んでると食欲やアルコール欲を刺激されるものが結構あるなぁ。

No.5 5点 ボナンザ 2022/03/21 19:02
個人的には行ったことのないフランスだからこそ、この作品の雰囲気に浸れたような気がする。

No.4 5点 ◇・・ 2020/08/09 14:31
風が吹けば桶屋が儲かるという日本のことわざを地で行くように、ひたすら成り行きの数珠繋ぎによって構成された奇怪な事件の顛末を描いた作品。
人智を超越した偶然の連鎖が華麗なアラベスク模様のように、ひとつの秩序に収斂されてゆく摩訶不思議さを、全て見通す神の視点で堪能することが出来る。

No.3 3点 蟷螂の斧 2016/06/20 13:20
裏表紙より~『レストランのメニューにウサギ料理が載ると若い女が殺される!女占い師と彼女にほどこしを受けるホームレス、ウサギ料理が好きな男、金ではなく高級商店の新入荷品で上客を取る娼婦。絡み合う人間関係。ある日、「ウサギ料理をメニューに載せるな」という脅迫状がレストランに届く。この町に何が起きているのか?とてつもないブラック・ユーモアが横溢する仏ミステリの傑作。』~

フランスミステリーの一番人気とのことで手に取るも、まったく相性が合わなかった。トホホ・・・。まず、フランス人の名前が覚えきれない、そして前半はかなり退屈。6件も事件は起きているのですが、単に殺されたということだけで調査の記述もなく、ただ町の人物の行動を紹介する、その繰り返しです。まあこの辺が伏線らしきものになっているのですが・・・。怪作と褒めるような評もありますが、どちらかと言えば「バカミス」の類になるのか?。

No.2 7点 nukkam 2009/01/28 15:19
(ネタバレなしです) フランスのピエール・シニアック(1928-2002)は3種類の結末を用意して読者に選ばせる作品があるなど相当のアイデアマンのようですが、1981年発表の本書もかなり奇抜な作品です。ジャンル的には本格派推理小説ですが、読者が犯人当てに挑戦するには手掛かりが不十分に思われます。しかしそんな弱点が気にならないほどの凄い論理の積み重ねは圧倒的で、さらに事件解決後の後日談がこれまた強力なインパクトがあります。ちなみに中公文庫版の巻末解説は結構ネタバレしているので事前に読まないことを勧めます。

No.1 9点 こう 2008/11/05 22:22
 フランスミステリですがほとんどバカミスといえる内容でした。
 閉鎖された田舎町で毎週木曜日あるレストランで狩人風ウサギ料理がメニューに載ると必ず若い女性が殺される、というストーリーですが読者の推理の余地はなく途中で犯人も自然に見つかります。そこから何でウサギ料理が出されると殺人が起こるか、の説明が凄いです。一見ロジカルですが内容はあることわざがぴったりの説明で笑わせてくれます。
 しかもその後更なる展開があり推理のカタルシスはないですが掘り出し物でした。


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P・シニアック
2010年03月
リュジュ・アンフェルマンとラ・クロデュック
1985年05月
ウサギ料理は殺しの味
平均:6.14 / 書評数:7