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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.960 6点 メリー・ウィドウの航海- ニコラス・ブレイク 2010/08/07 20:59
ギリシャ周遊の観光船上の殺人を扱った私立探偵ストレンジウェルズものの後期の作品。
容疑の船客たちが、いわくありげで過去に何らかのつながりがあるという設定で、最後は関係者全員を集めての謎解きというまさに正統クラシック・パズラーそのものでした。
金持ちの未亡人など登場人物たちの造形が面白く、何気ない描写が伏線になっていて、まずまずの佳作という印象です。

No.959 6点 死の殻- ニコラス・ブレイク 2010/08/07 20:43
私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ登場のシリーズ第2作。
往年の名飛行士への脅迫・殺人事件を扱っていて、テーマは復讐です。足跡のない殺人のトリックは陳腐ですが、もともとトリック主体のミステリではなく、プロット自体の仕掛け(構図の逆転)がキモで、登場人物の性格描写がしっかりしているため、真相にも説得力があるように思いました。

No.958 7点 心ひき裂かれて- リチャード・ニーリィ 2010/08/07 20:24
小泉喜美子のエッセイで、ニーリィのミステリはフーダニットでも、ハウダニットでも、ホワイダニットでもない。謎そのものが謎だ、という趣旨の分析があったが、まさに同感。
精神不安定で暴行魔に襲われた主人公の妻を巡る心理サスペンスを、連続して発生する暴行事件を絡めて描いていますが、訳文の悪さもあり中盤まではちょっとリーダビリティに欠ける。しかしながら、隠されていた謎が判明する終盤のサプライズは相当のもので、作者の最良作だと思います。

No.957 6点 殺人症候群- リチャード・ニーリィ 2010/08/07 16:17
連続殺人もののサイコ・サスペンス、と思わせて、叙述の仕掛けで驚かすタイプのミステリ。
最近は類似趣向のミステリがいくつか出ているので、サプライズの程度は読書経験によって異なるでしょうが、少ない登場人物のシンプルなプロットながら、大きな驚きを与えてくれる逸品でしょう。

No.956 7点 ロウフィールド館の惨劇- ルース・レンデル 2010/08/07 15:29
異常心理もののサスペンスの傑作。
サスペンス小説は、いったいどういった結末が待っているのかの興味で物語を引っ張っていくのが通常だと思うが、本書は冒頭でいきなり結末を明かしたうえで、物語が展開していく。
文盲という他人に知られたくない秘密をかかえた家政婦ユーニスの心の闇と崩壊の過程を描くだけで、ここまでのサスペンスをものにする作者はやはりスゴイとしか言いようがない。

No.955 6点 まっ白な嘘- フレドリック・ブラウン 2010/08/07 15:08
「東西ミステリーベスト100」海外編の135位は、短編の名手によるヴァラエティに富んだミステリ作品集。
だいぶ以前に読んだので、ほとんど内容を忘れてしまっていますが、最後の「うしろを見るな」だけは鮮明に覚えています。まあ、オチは見え易いけれど、新本格以降の読者でもうけるんじゃあないかな。

No.954 8点 二人の妻をもつ男- パトリック・クェンティン 2010/08/07 14:37
最後のどんでん返しによって著者の最高傑作とされるサスペンス・ミステリ。
サスペンス路線に変更後も、本格ミステリ時代のシリーズ探偵・ダルース夫婦を主役にすることに固執してきた作者ですが、本書はノンシリーズにすることでプロットの幅が広がり、緊迫感にあふれたミステリになっています。
実際、ダルースものは妻アイリスの不在(「女郎ぐも」「悪魔パズル」)をプロット上の必要性で演出したり、「わが子は殺人者」では、わざわざダルースの近親者を主人公にしていますが、本書で100%ホイーラーの作風との感がします。
人物造形と心理描写の綾で読者をミスリードするディヴァインにも通じるところがある名作だと思います。

No.953 4点 陸橋殺人事件- ロナルド・A・ノックス 2010/08/07 13:52
ゴルフ仲間の4人が、プレー中に発見した「顔のない死体」と暗号のようなメモを基に推理合戦を展開する。
探偵役が筋違いの解答を提示していくプロットはアンチ・ミステリを志向しているバークリーの諸作を彷彿とさせますが、ダミーの解答であってもある程度説得力や面白味がないとダメでしょう。
提示された証拠が意味がないものであったり、真相がヒネリのない尻すぼみで終っておりイマイチの内容です。

11番目の戒律 探偵小説の真相は、ある程度ひねりのあるものでなければならない。

No.952 7点 ブラウン神父の知恵- G・K・チェスタトン 2010/08/06 23:08
「東西ミステリーベスト100」海外編の118位は、ブラウン神父シリーズの第2短編集。
世評的には、法廷ミステリ趣向と意外性のある「通路の人影」とか、ファンタスティック風味で意外な犯罪が暴かれる「ペンドラゴン一族の滅亡」が傑作といわれているようですが、個人的にはバカミス的な密室からの人間消失「グラス氏の失踪」がツボでしたね。この作品は翻訳も気が効いています、原文はどうなっているんだろうか。

No.951 6点 切り裂かれたミンクコート事件- ジェームズ・アンダースン 2010/08/06 21:24
疑似古典本格ミステリ、”オールダリー荘”シリーズの第2弾。
前回の事件でパーテイに懲りた荘園主の伯爵ですが、映画撮影に協力し、結果的に荘園に色々な思惑の人々が集まってくるという前回同様のシチュエーションになってしまうのが笑える。
アリバイ偽装のトリックはちょっと拍子抜けの感がありますが、ダミー探偵役を設定して物語を翻弄させながら、今回もヴォリュームのある解決編で楽しませてくれてます。

No.950 7点 血染めのエッグ・コージイ事件- ジェームズ・アンダースン 2010/08/06 21:09
黄金時代の探偵小説を再現してくれた”オールダリー荘”シリーズの第1弾。
伯爵の荘園屋敷のパーテイに集まった色々の思惑を秘めた招待客のなかで発生する殺人事件。いかにもクラシック・ミステリの常道の設定で、スパイや強盗が絡む複雑な事件を、ユーモアを交えた明るめの雰囲気で描いています。
バカミス風の豪快トリックも面白いが、延々と続くすごい分量の解決編には感嘆。作者の本格ミステリに対する愛情がにじみ出ている逸品です。

No.949 4点 ぶち猫 コックリル警部の事件簿- クリスチアナ・ブランド 2010/08/06 20:49
ミステリ短編集。
戯曲のシナリオ、ショート・ショート、エッセイなど、バラエテイに富むと言えば聞こえいいが、拾遺集の感は否めない作品集でした。

No.948 7点 緑は危険- クリスチアナ・ブランド 2010/08/05 21:19
戦時下の野戦病院を舞台にした本格ミステリ。
派手なトリックはありませんが、限られた容疑者の中から犯人を当てる端正なフーダニットでした。
代表作の「ジョゼベルの死」などと比べて、アクの強いところがないので、ブランドの入門書に最適だと思います。

No.947 6点 帽子から飛び出した死- クレイトン・ロースン 2010/08/05 21:05
奇術師グレート・マーリニが探偵を務めるシリーズ第1弾。
密室のトリックは、魔術的な殺人現場の雰囲気創りに寄与していますが、真相は意外と平凡だと思いました。著者の短編のほうがはるかにキレがあります。
むしろフーダニットが本書のキモで、さりげない伏線の張り具合が絶妙です。

No.946 7点 超音速漂流- ネルソン・デミル&トマス・ブロック 2010/08/05 20:43
「東西ミステリーベスト100」海外編の111位は、この航空パニック小説の傑作。
ミサイルの誤射で亜宇宙をさまようことになった航空機の必至のサバイバル・サスペンスで、脳障害を起こし襲ってくる乗客たち、事故を隠蔽しようとする軍部など、次々と主人公を襲う難題が並みのパニック小説にない捻ったプロットで楽しめた。
初読は20年以上前ですが、復刊本を見て驚いた。真の作者はネルソン・デミルだったとは。

No.945 8点 パンドラ抹殺文書- マイケル・バー=ゾウハー 2010/08/05 20:22
国際謀略サスペンスの傑作。
ル・カレなどの重厚でシリアスなエスピオナージュではありませんが、読者の予想を裏切る鮮やかなどんでん返しが作者の持ち味で、本書のサプライズ・エンディングはその最たるものだと思います。
まるで、良質の本格ミステリを読んでいっぱい食らわされた感覚だ。

No.944 6点 フレンチ警視最初の事件- F・W・クロフツ 2010/08/05 18:29
だいぶ後期の作品で、斬新なアリバイ・トリックなどを期待して読むとがっかりするかもしれませんが、その分ストーリー・テリングの巧さで充分楽しめた。
倒叙形式とは若干意味合いが違うが、前半は小悪党の詐欺行為常習の青年を主人公にして、横領教唆や大富豪の娘への接近などのクライム・サスペンス風。ところが殺人事件が発生後のプロットが従来と異なり、今回フレンチは最後に青年の無実を証明する側にまわるというユニークさ。プロットの妙味で読ませるまずまずの作品だと思います。

No.943 8点 ジャンピング・ジェニイ- アントニイ・バークリー 2010/08/05 17:52
迷探偵シェリンガム・シリーズのサイコー・ケッサク。
ある意味「アンチ・名探偵」テーマを極めています。探偵役が証拠を偽造したり、関係者に偽証を強いたりして、事件を解決しないように持って行ってますから。
スラップスティック・コメデイ風味が強く出過ぎていて、正統派の本格ミステリを求める読者には、失望を与えかねないプロットではありますが、最後のオチまでバークリーらしさが出ている代表作の一つと言えると思います。

No.942 6点 死人はスキーをしない- パトリシア・モイーズ 2010/08/05 17:52
スコットランド・ヤード犯罪捜査課ティベット警部シリーズの第1作。
シリーズの特徴は、ティベット夫婦がヨーロッパの風光明媚な観光地で殺人事件に遭遇というパターンが多用されている所。だいたい同時期にデビューしたディヴァインなんかと比べると、モイーズはコージー風で華やかさがあるので一般受けするでしょう。
しかし、本作がそうですが、読者を騙してやろうという本格マインドが希薄な感じもします。

No.941 5点 「そして誰もいなくなった」殺人事件- ジャックマール&セネカル 2010/08/05 17:52
パリの劇場を舞台にした本格ミステリ。「11人目の小さなインディアン」の改題文庫化作品。
クリスティの名作に準じて、俳優たちが一人また一人と殺されていくサスペンスかと思ったら、開演前の楽屋にまとめて10人の死体の登場という豪快さは、さすがフランス・ミステリ。
正統派の本格編の様相はありますが、仕掛けはフェアとは言い難く、正直なところB級感が漂っていました。

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