皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 短編集(分類不能) ] ナポレオン狂 |
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阿刀田高 | 出版月: 1979年04月 | 平均: 5.78点 | 書評数: 9件 |
講談社 1979年04月 |
講談社 1982年07月 |
No.9 | 6点 | ◇・・ | 2024/01/30 19:50 |
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「来訪者」は、出産の時に病院で世話になった雑役のおばさんが、退院後もしばしば家にやってきて赤ん坊に異常な愛着を示すという話で、一見ありふれた話ながら、背筋が寒くなるようなスリルとサスペンスがある。
表題作の「ナポレオン狂」は、ナポレオンの遺品収集に執念を燃やす男に、自分はナポレオンの生まれ変わりだと信じ込んでいる男を紹介したところ、男たちはそのまま消息を絶ってしまったという話で、いかにもこの作家らしい奇妙な味が楽しめる。 |
No.8 | 6点 | 名探偵ジャパン | 2020/02/27 09:00 |
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表題作はある人物が出てきた時点でオチが読めてしまいますが、これは様々な作品に触れた現在の目で見るためなのかもしれません。何せ40年前の短編集ですから。それを考えれば、収録作品どれも読んでいて古びた感じがほとんどしないというのが凄いですね。
個人的ベストは「来訪者」です。主人公の二人、どちらに肩入れしてよいのか迷いながら読み進めていって、最後にあのオチ。素晴らしかったです。 |
No.7 | 6点 | メルカトル | 2015/05/26 22:14 |
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直木賞受賞作『ナポレオン狂』日本推理作家協会賞受賞作『訪問者』収録の短編集。
いずれもブラックなオチが持ち味の、キレのある短編で、ボリュームもちょうどいい感じに収まっている。中にはやや意味不明の、オチのないのも含まれているが、大方好印象。 さすがに文章も慣れたもので、30年以上過ぎた今でも色褪せない輝きを保っている。と同時に古臭さを感じさせない辺りは見事と言って良いだろう。 どこにでもいそうな主人公のごく当たり前の日常の中に、じわじわと或は突如として異常が出現し、彼らの精神の中に侵食していく物語が多い。派手さはないものの、再読に耐えうる逸品が散見される。ほかの作品集も読んでみたくなるような気にさせられる良作である。 |
No.6 | 8点 | itokin | 2013/12/21 20:02 |
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阿刀田さんの作品は、初めてですが、予想を上回りました。直木賞と推理作家協会賞の2作品を収納した短編集だが、日常普通の生活から狂気の世界に引きずり込まれていく様を無駄のない緻密な計算された文章と竿後の数行で読者をぎょっと言わせる技量は流石だと思いました。特に受賞した「ナポレオン狂」「来訪者」「狂暴なライオン」「白い歯」は、往年のヒッチコックの映画のようにキレがあった。 |
No.5 | 5点 | 臣 | 2012/09/19 14:13 |
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著名な表題作ですら記憶がありません。収録作品のすべてに憶えがないので、おそらく初読だったのでしょう。
表題作では2人目の人物、村瀬の登場でオチが容易に読めてしまいました。初心者のころなら、もちろん想像もつかなかったとは思いますが、いろいろ読んできた今となれば、その経験から簡単にラストの予想がついてしまいます。おそらく、星新一のブラック・ジョーク系のショート・ショートの1つが頭にこびりついていたからなのでしょう。 今までに読んできた、著者のこの種の作品群のうち、2年前に読んだ「夢判断」と、ずっと前に読んだ恐怖系短編集(タイトルすら記憶にない)とは比較的印象に残っていますが、その他は憶えていません。本書もすぐに忘れ去るような位置付けの作品集となってしまうのでしょう。 そうはいっても、阿刀田氏の奇妙な味系のアイデアにはいつも感心します。 良質な息抜き本を提供してくれて、本当にたすかります。 |
No.4 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2012/04/29 18:56 |
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(再読)別サイトで4000冊以上のミステリー書評をしている方が「切れ味について、短編ミステリはナイフ、阿刀田短編はカミソリ」と評しています。全く同感です。本作は直木賞。うち「来訪者」は日本推理作家協会賞受賞。歴代の同協会理事長には著者をはじめ、松本清張氏や東野圭吾氏が就任していますので、『才能』は認められているのでしょう・・・。著者は”人間性を描いたものが「純文学」娯楽物は「大衆文学」、前者の対象が「芥川賞」後者は「直木賞」、そのような区別は避けるべき”との旨発言しています。・・・そのようなことはさておき、長編ミステリーの合間には、手ごろな読み物と思います。 |
No.3 | 6点 | kanamori | 2010/08/01 16:22 |
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いわゆる”奇妙な味”テイストの短めの短編が13作収録されています。
R・ダール風のミステリは、短編だけでは喰っていけない出版事情もあり、日本の作家ではあまり書く人がいなかったので、この作家は当時結構読みました。 基本的にショート・ストーリーなので、意外な真相というよりブラックなオチが持ち味で、飽きるのも早かった。 |
No.2 | 4点 | yoshi | 2010/07/15 00:25 |
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直木賞を獲り、その直木賞をはじめ、現在いろんな文学賞の選考委員をつとめている作者の代表作だが、正直この人自身に全く才能を感じない。どうしてあんなに文壇に幅をきかせていられるのか、それが一番のミステリーである。 |
No.1 | 4点 | 江守森江 | 2010/07/14 18:18 |
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ひねた作品ばかり(鮮やかよりモヤモヤ)でもう一つスッキリしない。
表題作は面白かったが評判ほどではない。 ほとほと直木賞とは相性が悪い気がする。 本日、テレ東でドラマが再放送された推理作家協会賞・短編賞受賞作「来訪者」なんかスッキリしない作品の極みかもしれない。 残念ながら嗜好から外れた作品集だった。 |