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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2460件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1100 5点 青列車は13回停る- ボアロー&ナルスジャック 2010/08/29 15:43
知る限りボア&ナル唯一の邦訳短編集だと思います。
タイトルの青列車は特に内容とは関連なく、停車駅がある13の町を背景にしたミステリ短編集で、各話は独立しています。
ミステリ趣向の強いトリッキーな「奇術」「十一号船室」のような作品もありますが、軽妙なオチが読ませどころでしょう。
ただ、訳文がいまいちなので、本来の良さが充分伝わってこないような感じを受けました。

No.1099 6点 ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件- ホルへ・ルイス・ボルヘス 2010/08/29 15:27
珍しいアルゼンチン産のミステリ連作短編集。
チェスタトン風の探偵小説だとか、独房の囚人による安楽椅子探偵ものという事前情報で手を出しましたが、難解で修辞の多い文章と不条理な解決は相当読む者を選ぶ作風です。ブラウン神父というよりポジオリ教授シリーズに似たテイストだと思います。最終話の「タイ・アンの長期にわたる探索」の鮮やかなラストが印象的でした。
殊能将之のシリーズ探偵・石動戯作のネーミングはイシドロ・パロディのもじりのようですね。

No.1098 6点 殺人交叉点- フレッド・カサック 2010/08/29 12:31
この種の叙述トリックは今では珍しくもないが、50年前の作品ということで貴重な逸品といえるのではないでしょうか。これを読んだ頃は、まだ”叙述トリック”という言葉自体なかったですからね。
再読時には、フランス語の文法上、原書ではあの叙述はどう処理されているのかとか、物語と別のところに興味がいきました。
併録の「連鎖反応」も、いかにもフランス・ミステリという趣で、最近復刊されたシニアックの某作を彷彿させる皮肉が効いた作品でした。

No.1097 5点 ロジャー・マーガトロイドのしわざ- ギルバート・アデア 2010/08/29 12:09
最近の海外ミステリで叙述トリックものといえば本書でしょうか。
トリックは「アクロイド殺し」とは似て非なるもので面白いが、この種のアイデアは国内ミステリの方が先行している感じで、既読感ありまくりでした。
パスティーシュまたはパロデイの趣向があまり感じられなかったのも残念。

No.1096 3点 誘拐犯の不思議- 二階堂黎人 2010/08/28 15:17
水乃サトル・大学生編シリーズ。
叙述トリックの二大潮流は、人物(の特性)の誤認と視点の誤認だと思いますが、本書は誘拐事件に絡むアリバイ・トリックものということで、××の誤認を狙っています。残念ながら、トリックには新味がなく、策を弄しすぎたトリックのためのトリックという感じで面白味に欠けました。
ホームレスの死体を利用している所は、前作「智天使」に続いて、まだアノ作品を意識しているのかな。

No.1095 7点 厭魅の如き憑くもの - 三津田信三 2010/08/28 14:33
民俗ホラーに本格ミステリを融合させた怪奇作家・刀城言耶シリーズの第1作。
横溝正史というより藤本泉風の古い因習が支配する閉鎖集団という雰囲気は嗜好のテイストですが、読みずらい文章(徒に凝った固有名詞を含め)と解りずらい作品舞台の地理状況で、途中まではリーダビリティが高くなかったが、終盤以降は急転しました。
多重解決の果てに出現した真相は、叙述トリックがあざやかに「神の視点」を変転させ、読者にホラーと本格ミステリ両面で驚きを与えるという離れ業をやっています。

No.1094 6点 どんどん橋、落ちた- 綾辻行人 2010/08/28 14:00
叙述トリック満載のフーダニット短編集ということで、必然的に全編メタ・ミステリになっています。そういう類いの作品集だと割り切って読めば、そこそこ楽しめる。
「どんどん橋」と「ぼうぼう森」は2編で1セット、誤認の手法が同じなだけに却って騙される。
「フェラーリは見ていた」の叙述トリックも基本は前2作に同じですが、一番つまらないと思った。
「伊園家の崩壊」のブラックなパロデイは編中唯一小説として楽しめた。
「意外な犯人」は海外作品や後発の三津田、米澤作品など多くの類似作があるので、読んだ順番によって感想が変わるのでは?

No.1093 6点 消失!- 中西智明 2010/08/28 12:10
あるものを誤認させるバカミス系の超絶的な叙述トリックのみ取り上げられることが多い作品ですが、そのワン・アイデアだけでなく、ミッシングリンクものの様相から「×匹×役」トリックに繋がったり、意外な犯人像などが設定されていて、結構読みどころの多いミステリでした。

No.1092 6点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2010/08/28 12:00
疑似”雪の山荘”もので劇団員による殺人劇というプロットは、作者の別作品から派生したような内容ですが、本書は著者には珍しい××を誤認させる叙述ミステリでした。
ある隠蔽が、作品中の登場人物に対すると同様に、そのトリックにより読者に対しても同じ効果をあげているというユニークな構図になっていて面白いと思いました。

No.1091 5点 ロートレック荘事件- 筒井康隆 2010/08/28 11:44
叙述の技巧で××を誤認させて、結果的に「×人×役」トリックになっています。このタイプの誤認トリックとしては、わりと先駆的なものだと思います。
トリックを隠蔽するために叙述がぎこちなくなっていて読みずらいし、何かあるなと思いましたが、真相には至りませんでした。
解決部の種明かしは、自慢げで少々鼻につく感じがします。

No.1090 6点 イニシエーションラブ- 乾くるみ 2010/08/27 18:05
若者のありふれた恋愛小説が2部構成で綴られ、最後まで読むと巧妙な仕掛けが飛び出すという小説でした。
1つ目の欺瞞は、B面途中でなんとなく分かりましたが、もう1種類の叙述トリックの方は気が付きませんでした。たくさんの伏線というかヒントは、アラフォー世代ぐらいの方はより身近に感じられることでしょう。

No.1089 7点 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 2010/08/27 17:55
猟奇的連続殺人鬼・蒲生稔を主人公にしたサイコサスペンス、と思わせて、本書も叙述に仕掛けを凝らした騙し絵ミステリでした。
犯人の名前が最初から明らかにされており、最終的にも蒲生稔が真犯人として物語が閉じるわけですが、それでも意外な犯人を設定したミステリになっている構図はなかなかユニークですごいと思いました。

No.1088 7点 ハサミ男- 殊能将之 2010/08/27 17:42
この作品も、叙述の工夫によって読者を誤誘導させるタイプのミステリでした。非常に典型的な叙述ミステリですが、前知識なく読んでいたので、まんまと騙されました。
再読すると作者の巧妙な書きぶりがよく分かります。文章も手慣れた感じで、スラスラと読める点が好印象でした。

No.1087 6点 星降り山荘の殺人- 倉知淳 2010/08/27 17:42
なかなか巧妙な欺瞞が施された”雪の山荘”ものの本格ミステリでした。
都筑道夫の「七十七羽の烏」に倣った各章冒頭の説明文自体がミスディレクションになって、探偵役登場の章でまんまと騙されました。しかし、ほぼメインのアイデア一本のミステリでしたので、終盤までのベタでストレートな展開は少々だれる感じもありました。

No.1086 5点 R.P.G.- 宮部みゆき 2010/08/27 17:41
宮部みゆき、まさかの新本格参入!?
まあ、既読感のある仕掛けに加えて、この記述方法はどうなんだろうという部分もありましたが、作者がこのタイプのミステリを書いたというだけで意外性充分。

No.1085 7点 聖女の救済- 東野圭吾 2010/08/26 18:56
毒物混入トリック一本に絞った倒叙形式のハウダニット・ミステリですが、正直これだと短編ネタだと思いました。
しかし、さすがと思ったのは、その非現実的でありえないトリックを、ありえるかもと思わせる作者のストーリーテリングの巧さ。
また、本書でも探偵役から出た「虚数解」という思わせぶりな言葉は、本格ミステリ読みを惹きつける。ツボを押さえた小説創りのうまさはやはり一級品ですね。

No.1084 4点 智天使の不思議- 二階堂黎人 2010/08/26 18:20
百のサークルに所属する大学生・水乃サトルを探偵役に据えた倒叙形式の本格ミステリ。
当シリーズは、1980年代後半を時代背景にしていますが、今回のメインの事件は、1953年(昭和28年)のもので既に時効が成立している殺人事件のアリバイ崩しに一生懸命勤しみます。
これは、紅白歌合戦の豆知識だけで思いついたようなアリバイ・ネタでした。

No.1083 6点 ペガサスと一角獣薬局- 柄刀一 2010/08/26 18:02
南美希風シリーズの本格ミステリ連作短編集。
いずれも、幻想的で奇想天外な謎を冒頭に提示し、最後はロジカルに解明するというパターンで、とくに力技系の「龍の淵」など島荘の作品と言われても違和感がないほどテイストがそっくりです。
収録作のなかでは、「光る棺の中の白骨」が物語の雰囲気創りと強固な不可能性で一番出来がいいと思った。

No.1082 6点 後悔と真実の色- 貫井徳郎 2010/08/26 17:45
連続殺人鬼”指蒐集家”を追う刑事群像を描いた警察小説風ながら本格ミステリ。
主人公格の西條を始め刑事たちの造形を、重層的に多視点で描いていて、ミッシングリンクものの本格ミステリ趣向がかすんでしまう程ですが、真相を知れば全て意味があったことが分かる。
しかし、探偵役の西條に対する後半の扱いは、いかにも「慟哭」の作者という感じでした。

No.1081 7点 文福茶釜- 黒川博行 2010/08/26 17:30
古美術・骨董品の贋作を巡る騙し合いを扱った連作ミステリ。
このような題材だと北森鴻の一連のシリーズが頭に浮かびますが、本書の著者も負けていない得意の分野。
プロ対プロの騙し合いが、関西弁も相まってリアルに描かれています。コンゲーム小説と同等の趣があり、どちらが最終的に騙される側かというスリルも味わえる。

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