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ミステリー三昧さん
平均点: 6.21点 書評数: 112件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.29 5点 天空の蜂- 東野圭吾 2009/10/28 13:13
<講談社文庫>リアルタイム型社会派クライムサスペンスです。
テーマに対する興味がなければこの作品は面白くないでしょう。興味を持たない限り、この作品に込められたメッセージに胸を打たれることはない。その部分で大きく評価を下げた。きっと私は放射能被害とは無縁のまま「沈黙の群衆」の一員としてこれからも生きていくだろう。
そもそも緊迫感が感じられない。特に最初の200ページは「原子力発電所のメカニズム」や「次世代ヘリの特徴」に重点が置かれ専門知識を多用させることもあり萎える。「飛ばし読み」したためイマイチ犯罪の奇抜さを把握できなかったことが原因かもしれない。魅力的な登場人物もいないため、どこに楽しみを見いだせばいいのか分からず、そのまま読み終わってしまった。
たぶん「社会派小説」は向いてないな。。。でも勉強になりました。

No.28 7点 パラレルワールド・ラブストーリー- 東野圭吾 2009/10/18 09:31
<講談社文庫>ミステリアスな恋愛模様を描いたヒューマン・ラブストーリーです。
冒頭が好きですね。電車の窓越しで抱く淡い恋心がどう進展していくのかが気になり、のっけから東野ワールドに引き込まれました。「青春の恋愛」を思わせる序章に反して、一章からは実にシリアスな大人の恋愛模様が描かれていて、想像した以上に重い内容ではありました。
この作品は「友情を取るか?愛情を取るか?」という難題に真剣に向き合った力作だと思います。二つの愛の形とその間で揺らぐ女性の葛藤を描きつつも、ミステリーとしての体裁は崩さずにいくつもの違和感を抱かせながらラストまで読者を引っ張ってくれます。
違和感の原因は薄々感じ取れましたが、それから派生する「なぜ記憶の〇〇が行われたのか?」という最終的な問いかけはわかりませんでした。その答えは驚愕の真実としてラストに提示されるわけですが、私的には高評価です。まさにパラレルワールドでしたが伏線も上手く回収していますし、意外性という面でも成功していました。
結末でも「ある疑問」が解消されるわけですが、そのまま2周目したくなるぐらい強烈な余韻を残してくれました。
余談ですが、『同級生』『変身』『分身』『むかし僕が死んだ家』『パラレルワールド・ラブストーリー』。この5作品を個人的に「東野"私"五部作」と呼ぶことにします(解説に便乗してみました)。

No.27 5点 虹を操る少年- 東野圭吾 2009/10/11 14:49
<講談社文庫>特殊な力を持つ少年のお話です。
ラストは消化不良でしたね。私的には300ぺージ手前でクライマックスは迎えていたので、その後の展開は蛇足でした。なので主人公が「ダーウィンの進化論」を交えて生き様を語る場面が瞬間最高視聴率(?)となりました。
東野作品の中では幾分リアルから遠ざかり、幻想的な世界観に足を向けたという意味では、新鮮味があります。若い世代から支持が得られそうなジュブナイル的作品なので、大人が読むと反感を買いそうな展開ではありました。
まぁ、これで「SF(ファンタジー)」という新しいジャンルを築き上げたわけで、東野ワールドに厚みをもたらすと思うとこの先が期待できます。この作品は傑作を生み出すための一つの過程(試作品)に過ぎない。よって軽く受け流すべき作品なのでオススメできない。

No.26 7点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2009/09/22 13:02
<講談社文庫>失われた記憶を探求する物語です。
現在と過去を繋ぐ「糸探し」系のストーリーは東野作品の定番であり、全般的に謎が明確で登場人物も少なく読みやすさで群を抜いてます。私が覚えている中では『宿命』『分身』『変身』がそれに該当します。今回は舞台も限られているので、長編を読むというより、短編を読んでる気分で読書を進めることができました。ただ上記の作品に比べ、読後感が悪かったです。
真相は「推理」するモノではなく「感じる」モノではあったが、少しミステリ的に弱さを感じました。たまに扱われる手法が今回はラストの重要なキーになっているのですが、その部分にもう少し配慮があればと思いました。特に〇○○〇〇ー〇の件はいらなかったです。その一点で「怪しいぞ」と察する読者も多いはず。
あと「タイトル」に惑わされた感がありました。沙也加の「失われた記憶」探しであるはずが、たびたびスポットが祐介という「少年」に当たるので「これはもしかすると・・・」みたいに色々と想像してしまい、変なミスリードに陥ってしまった。「タイトル」はもっと意味深なものであり、考えさせられた。また、真相は意外性を突いたモノなので、特に「冒険小説」好きが読まれると楽めるかもしれません。そして「解説」がまたもや東野圭吾の人柄を知る上で参考になった。

No.25 5点 浪花少年探偵団2- 東野圭吾 2009/09/14 16:08
<講談社文庫>しのぶセンセシリーズの2作目(連作短編)です。
前作より楽しく読めました。たまには軽くてノリの良いコージーミステリーも読むべきですね。東野作品はシリアスで重厚な物語が大半を占めるので、それらとのギャップを感じながら読め、結果的に楽しい読書となりました。
私的ベストは『しのぶセンセは暴走族』。事件に「う〇こ」を絡ませるあたりで希少価値の高さを感じました。おふざけ振りでいえば全タイトルで群を抜いてます。
田中鉄平の「レモンシュカッシュ」の話も笑えました。
また、巻末の解説は東野圭吾氏の作風を知る上で読む価値がありました。

No.24 7点 分身- 東野圭吾 2009/08/22 13:12
<集英社文庫>東野圭吾の代表作(長編/1993)です。
「殺人事件があってトリックは?犯人は?」の意外性を突いた推理物とはかけ離れた医療サスペンス型ミステリーです。ただ「謎で楽しませる」という最低条件は楽にクリアしています。それは「鞠子と双葉の出生の秘密」の一点だけですが、それだけでも読者を惹き付ける力を持っています。現在と過去を繋ぐ糸の探求過程は読んでて飽きませんし、最先端医療という題材も興味深かったです。でも結局、最後で読者の心を揺さぶるのは人間ドラマです。主人公にとっては重すぎるシナリオでしたが、それを感じさせずに〇〇〇を使っての爽やかな幕切れを演じてくれました。そのさりげない道具の使い方が巧いですね。
余談ですが、東野作品に「美人で気の強い」女性が度々登場する理由が分かったかもしれません。多分探偵と呼べる人物を登場させないことが大きいのでは。この物語では鞠子・双葉が(素人)探偵役を務めることになりますが、当然「美人」であった方が男女問わず情報が掴めやすいという考えがあります。そして恋愛感情むき出しで男に振り回されやすい女性だと物語進行の妨げになるので、多少男を見下すぐらいの「気の強さ」は不可欠であり、結末を受け止めるのに十分な器を持たせるという意味でも「大人びた」主人公を登場させるのは必然的な考えです。例えば島田荘司では「レオナ」、有栖川有栖では「麻里亜」が美人で気の強い女性と呼べます。

No.23 7点 同級生- 東野圭吾 2009/08/11 01:30
<講談社文庫>初期作品以来の学園青春ミステリー(長編/1993)です。
思春期ならではの心の葛藤・悩み・苦しみがあるために感情移入が困難でした。同作家の『放課後』『魔球』などでも言えることですが、たまに登場人物の行動が非常に突発的・衝動的であるために物語がどのように転ぶのか予測しにくくなっている場合があります。本作では、特に主人公の行動が理解しがたかったです。その行動が多くの人間を巻き込み、結果的に多くの人間が犠牲を払ったように思えます。悲劇のヒーローぶっていますが彼は事件の被害者でもあり、加害者でもありました。
推理小説としては水準レベルですが、機械トリックはなかなかのもの。トリックを示唆する伏線もしっかり張ってあって、東野作品の中ではレベルの高いトリック演出でした。東野圭吾らしくないというか、読んでて戸惑いました。ただ学園青春ミステリーということで猟奇性が薄い分、多少トリックに軽さを感じたのも確かです。私的には東野圭吾の「学園青春+推理」小説のベスト作品なので、もっと読まれてほしい作品です。

No.22 5点 美しき凶器- 東野圭吾 2009/08/04 02:21
<光文社文庫>ノンシリーズ(長編/1992)です。
4人の男女が「美しき凶器」に次々と殺されていくお話です。ジャンルはスリラー&アクション的な感じで謎らしい謎は一切なく、サラッと読める作品でした。
「美しき凶器」とは身長190センチガッツリ体育会系の大女のことを指し、悪者でありながら主役でもあります。ターゲット捜索中、チャライ男たちに絡まれたり、進行方向を間違えたりとグダグダ感が拭えない復讐劇が延々続きます。ただ警察の無能ぶりが半端ないので「最悪のパターンで終わり?」かと思いきや、さすがにタダでは終わりません。どんでん返しではありませんが、気の強い女達の悪あがきが物語を予期せぬ展開へ・・・。
余談ですが、東野圭吾の作品で登場する女性は「美人で気が強い」という設定がやたら多い気がします。なぜでしょうか?「可愛い」と思える女性がほとんど登場しません。

No.21 4点 怪しい人びと- 東野圭吾 2009/07/26 09:54
<光文社文庫>ノンシリーズ(短編/1994)です。
記憶にも残らない作品ばかりが集まった駄作品集。東野圭吾の短篇集を読むなら他を読むことをオススメします。
『寝ていた女』が個人的にベストでしたね。『灯台にて』が次点。どちらも奇妙な雰囲気に惹きつけられました。だけど記憶に残りません。

No.20 6点 天使の耳- 東野圭吾 2009/07/11 14:08
<講談社文庫>交通事故をテーマとした作品集(短編/1991)です。
テーマ範囲は狭いですが堅苦しさは感じさせず、どの作品も印象深いです。「犯人は誰?」「トリックは?」などの意外性ではありませんが、どの作品もラストに急展開があり、ブラックな結末の意外性を演出していました。
同作家の短編『犯人のいない殺人の夜』と雰囲気が似ているので気に入ったならば、それも読むことを強くオススメします。

No.19 8点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2009/07/08 15:05
(ネタばれ気味)
<講談社文庫>変則的クローズドサークル物(長編/1992)です。
読む以前から「現実or作り物」の答えはなんとなく察していて「くどいなぁ」と思いながら読んでいたのですが、想定範囲外の真実が用意されていたことに驚きました。「現実or作り物」の答えをなんとなく悟らせながらも、一筋縄ではいかない複雑なプロットで物語を構築していた点は称賛に値します。完成度は『仮面山荘殺人事件』より高く、前回のようにギャグで終わっていません。また、オーソドックスな本格的クローズドサークル物とはあえて距離を置きつつ、独自の構想力で本格物を作り上げようとする姿勢は今作でも徹底されていて、作者の執念が感じられました。最終的には捻りの利いた結末が待ち受けているわけですが、今回は読者に十分予測できるように伏線をキッチリ張っていて、論理性に満ちた解答がなされていました。

No.18 4点 回廊亭の殺人- 東野圭吾 2009/07/06 10:58
<光文社文庫>「悲劇の女」をテーマに描いた物語(長編/1991)です。
毎回アグレッシブに多分野に渡って挑戦してくれるのは嬉しいことですが、今回は憶病な東野圭吾氏の顔が浮かびました。結末部分の演出に関してですが、同作家の短篇集で同じプロットの作品を読んだことがありまして、そちらの方がラストの締まりは良かったです。また、この作品ではダイイングメッセージも扱われていますが、それも魅力に欠けていました。短篇でサラッと使う分には良いですが、それだけで犯人を特定するには無理があります。本格色は出てる方ですが、褒めるべき点が見つからなかったです。




(ネタばれです)
ラストは考えもしないサプライズが用意されていました。しかし、驚愕することはなく「だから何?」って感じでした。途中で気付いたわけではないのですが、その人にスポットを当てるのは「逃げ」ですね。そもそも出番少ないし、私的には「空気」な存在でした。

No.17 7点 変身- 東野圭吾 2009/06/28 10:06
<講談社文庫>東野圭吾の代表作(長編/1991)です。
人間の奥底に潜む闇が精神を蝕んでいき、殺戮に至るまでの過程が繊細に描かれていて、猟奇性に満ち「人間が何より一番怖い」と思わさる描写の連続がゾクゾク感を増幅させていました。ただ、ラストは消化不良に終わっている感じが否めません。少しインパクトに欠けていたかもしれません。恋愛要素を加えていた点で救われた心地があり、またそれが消化不良の原因でもあります。最悪のパターンで終わったとしても私は全然かまいません。小説だから。
ちなみに映画化もされていて、そちらも楽しめます。特に玉木宏がドSに変貌していく姿は必見です。ヒロイン役は蒼井優が演じてます。

No.16 8点 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 2009/06/25 12:52
<講談社文庫>変則的クローズドサークル物(長編/1990)です。
ラストは大きく期待を裏切られました(良い意味で)。これはアンフェア。読者によっては怒りで床に叩きつけられたり、燃やされたり、ぶん投げられたりするタイプの作品です。しかし、どんでん返し部分でいえば、今までで一番成功した作品でした。このようなプロットの作品がどれだけ存在するかは不明ですが、最初に読んだのが東野圭吾で良かったです。それにしても〇〇さんは愛されていますね。『仮面山荘殺人事件』というタイトルもシャレてます。
同作家の『ある閉ざされた雪の山荘で』もクローズドサークルを扱った作品なのでぜひ読み比べてほしい。彼の本格に対する考え方がわかります。

No.15 5点 宿命- 東野圭吾 2009/06/19 23:41
<講談社文庫>東野圭吾の代表作(長編/1990)です。
勇作と晃彦の二人をめぐる「宿命」の真相は正直「ありがちでは?」と感じました。ラスト10ページは期待値を下回るドンデン返しで、最後まで胸の鼓動を高鳴らせるような展開は皆無でした。結末は読者の感性次第ってことですね。ただ二人の間で揺れ動く美佐子の心の葛藤は上手く描けていました。「勇作よ、抱いてしまえ」と何度思ったことか・・・
当然、登場人物と一緒に推理しながら結末を辿るというものではなく、あくまで人間ドラマに重点を置いた作品でした。だったら単なる物語を膨らませるだけのオマケとして殺人事件を取り入れるのはやめてほしいですね。私はどうしても殺人事件の犯人やトリックに期待する性分なのでこのような作品には抵抗があります。

No.14 7点 犯人のいない殺人の夜- 東野圭吾 2009/06/17 16:01
<光文社文庫>ノンシリーズ(短編/1990)です。
『浪速少年探偵団』や『殺人現場は雲に上』などの短編集に比べれば、どのタイトルも印象深い。光文社出版の東野作品は駄作が多くてオススメできないのですが、この作品だけは別格です。東野作品を読み始めるきっかけには相応しく、軽くて丁度良いです。
毎回のように捻りある結末を用意してくる東野圭吾らしいスタイルの作品を何篇も味わえるという意味では長編を読むよりも効率よく東野圭吾の良さを実感できるはずです。あまり本格色はないですが、その分気構えすることなくすんなり溶け込めて素直に楽しめました。

No.13 4点 殺人現場は雲の上- 東野圭吾 2009/06/02 14:09
<光文社文庫>ユーモア推理小説(連作短編/1989)です。
登場人物のキャラにユーモアがあるだけで(特に「ビー子」)珍事件の数々は憶測だけの推理で解決といったパターンが多く、さらにバカらしくアホらしいトリックもなく無難な感じの仕上がりで、ミステリとしてどこにユーモアがあったのかよくわかりません。これは東野圭吾の作品としてオススメできないです。

No.12 5点 ブルータスの心臓−完全犯罪殺人リレー- 東野圭吾 2009/05/30 11:34
<光文社文庫>タイトルの通り完全犯罪を扱った作品(長編/1989)です。
といってもその計画は最初の段階で何者かの手によって破たんしてしまうので、「その裏側に潜む真相は何か?」がメインになります。冒頭の怪現象が後に明かさせる真相の重要な鍵となっているところが『鳥人計画』と似ていました。
永末拓也の視点による描写はスリリングで楽しかったです。ただ警察の調査に関してですが、彼らが追っている真相は読者が既に知り得ている内容の為、読んでいて退屈でした。倒叙ミステリだから仕方ないですがせめてロジックで追及してほしい。警察による科学調査中心の運任せな真相追及はつまらないです。そこがメインではないのはわかりますが・・・
最後の真相にしても論理性は皆無でしたね。意外性も特になかったです。

No.11 6点 依頼人の娘- 東野圭吾 2009/05/26 16:48
<祥伝社文庫>初期の本格ミステリ(連作短編/1990)
本格度が意外に高く、特に私的ベストの『偽装の夜』は多くの伏線を提示しながらの論理的な解明を意識した作品で読みごたえがありました。その分「これは期待できるぞ」と次の話からハードルを上げてしまった感がありました。読み進めていくうちに気づいてしまった。伏線が徐々に雑になっていると・・・

No.10 5点 卒業−雪月花殺人ゲーム- 東野圭吾 2009/05/25 14:24
<講談社文庫>加賀恭一郎シリーズ1作目(長編/1986)です。
カードを使ったトリックは完全に理解できていなかった気がします。その前にルールすら把握できていなかったし・・・
この作品でも密室トリックが使われていましたが、納得できませんでした。それにしても友達の中に犯人がいるという状況はリアルに恐ろしい。

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