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makomakoさん
平均点: 6.17点 書評数: 876件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.536 6点 悪いうさぎ- 若竹七海 2017/01/29 15:33
 この作品はミステリーマニアならかなり高く評価されそうです。ストーリーが奇抜で規模も大きく、推理もサスペンスもあり、最後のどんでん返しなどもなかなかのものです。
 じゃあどうして私はこの程度の評価なのでというと、女の登場人物に対する体つきや容貌など外見的な描写が少なく、セクシーでかわいい女の子がほとんどいない(本当は若い女性が多く登場するのできっと外見がよい女の子が出てきているなずなのですが、葉村を含めて)。人物は話の駒としての扱いが強いのです。私は人の名前を覚えるのが苦手なので、どの子がどうだったかがしばしばわからなくなりました。セクシャルな面は女性にとってどうでもよいのでしょうが、男の読者にとってはかなり重要なポイントと思います(私だけか?)
 多分この辺りが一般の書評がやや低めで、ミステリー好きには受けるところなのかもしれません。

No.535 5点 依頼人は死んだ- 若竹七海 2017/01/18 21:32
 さよならの手口が面白かったので、葉村晶シリーズを読んでみようと思い何冊か購入しました。本作品が葉村晶の原点。連作となっていますが、初めのほうはなんだかいやな感じの登場人物が多く出てくるし、葉村もあまり感じよくないし、であまり感心しませんでした。
 女性しか書けない世界であることは間違いなく、女ってこんな風なんだというところは随所にみられ興味深いのですが、女から見ると女は随分感じの悪いのが多いようで、女性に対するあこがれが爺になっても消えない私にとってかなりショッキングです。
 葉村はもっといい女のようにも思うのですが。
 肝心のお話のほうは推理モノやちょっと幻想風のものなどがあり、でこぼこな感じでした。
 全体としてはすごくよくはなかったが、悪いということもないといった感じです。

No.534 7点 追憶の夜想曲- 中山七里 2017/01/15 21:23
 このサイトでの評価がかなり高い作品ですが、私はこの程度の評価です。どうしても主人公の御子柴に違和感があるのです。
 まあ小説の中ですからどういった背景にしてもよいといえばよいのですが、あまりにもショッキング。私にとってはひどすぎます。勿論作者はそれを狙って書いてはいるのでしょうが。
 小説の内容としてはよくできたものとは思いますが、私のように犯人がほとんど分かったためしがないものでも、見当はつきました。なんせ御子柴が弁護を買って出たのですから当然被告が犯人ではない。すると登場人物が少ないため自動的に誰がやったが推測できてしまうのです。
 さらに物語が御子柴個人の歴史と重なってくるのですが、このことに関してはほとんど述べられずなんだか後出しじゃんけんのようにも感じられました。まあそれを無理なくまとめているのは作者の力量と思いますが。
 

No.533 6点 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 2017/01/08 14:55
 はじめのうちはちょっと引いてしまいそうな内容です。これが楽しい人もいるようですが、私は感覚的にあいません。
 途中から二転三転して最後にはまあ何とかそれなりに良かったような気にもなりますが、ちょっと現実感が乏しいような気もします。
 もともと興味本位で殺人を起こす人物がこんな風になるのかなあ。
 それとこのサイトの書評にもありましたが、御子柴の死体遺棄はどうなるのでしょうかねえ。

No.532 7点 祈りの幕が下りる時- 東野圭吾 2017/01/04 18:41
 面白いというより相当に悲しい物語でした。東野氏はこれ程多作なのによくもこんなストーリーをかけるものだと改めて感心しました。
 一見無関係な話が最後にはきちんと決着してくるところは見事なものです。ただとても暗い話で、やりきれないなあ。
 加賀警部補もだんだん偏屈で暗くなってきている。はじめは相当好きなキャラクターだったけど、こういった話を見せつけられるとちょっとつらい。
 最後の決着がどうなったかははっきり書いていないけど、推理小説としては完結しているのでしょう。

No.531 6点 さよならの手口- 若竹七海 2016/12/30 14:03
 なかなかの力作だと思います。いろんなアイデアを盛り込んでのハードボイルドであり推理小説でもあり。これを書くのは大変だったのでは。
 女性でなければ絶対書けない女たちの描写がまた興味深い。男にとっては女は永遠の謎があるのですが、女同士だと謎でも何でもない。結構素敵な葉村晶やその周囲の女性たちなのですが、女から見ると男に全然もてる要素がないように描かれてしまっている。女は女に厳しいねえ。
 そういった内容ならもっと評価が上がってもよいのですが、いろいろなアイデアむしろがごちゃごちゃした感じになってしまっているからではないでしょうか。
 作るのに大変な作品が必ず素晴らしいというわけにいかない。良い要素が詰まっているのにちょっと残念です。

No.530 8点 カーテン ポアロ最後の事件- アガサ・クリスティー 2016/12/23 12:13
 ポアロ最後のお話です。自分が犯人たりえない方法で殺人を繰り返す殺人者。まさに究極の殺人者といえるかもしれません。それに対するポアロはもう命がつきかけてでも頭はさえています。
 作者も歳をとり、若い頃のような感性がつきかけているようで、登場人物がちょっとこらえ性がない。でもまあそこそこには収まっているところはさすがクリスティー。
 最終場面ではついにポアロが死んでしまう。
 私はポアロがそれほど好きではないように思っていましたが、こうしてお別れとなると実に心残りです。
 あとあとまで心に残るお話でした。

No.529 6点 オシリスの眼- R・オースティン・フリーマン 2016/12/16 21:43
 はじめに不可解なエジプト学者の失踪が語られる。いかにもといった感じでここにトリックがあると推理小説ファンならすぐに気づくところですが、これが意外と難敵でした。
 登場人物が少ないので読みやすく犯人の推察もできるのですが、真相を見抜くのは難しいと思います。
 作者が医者であるので、解剖学的なお話は比較的正しく書かれています。確かに普通の人間がバラバラ事件を起こすとしたらこのような切断は絶対しないでしょう。
 私は古代エジプトが好きなので、エジプトに関するお話もすんなりと理解できましたが、この方面の知識がないとちょっとわかりにくいかも。
 実に大胆なトリックというべきですが、現実に可能か否かは何とも言えませんね。
 でもこんなことを考え付いたことに敬意を表します。

No.528 6点 珈琲店タレーランの事件簿5- 岡崎琢磨 2016/12/07 21:55
 このシリーズは読みやすいのですが、内容はあまり濃いものではありません。今回はアオヤマ君の過去に絡んだお話。眞子という素敵な女性が登場します。源氏物語が好きで何かと源氏物語に人生がかぶってしまう女性、素敵ですね。でも話は結構暗い。何とかよさそうな結末になっていくのですが、最後がくどいなあ。もう少しすっきりと終わりたかった。そうすればさらに読後感がよくなるのですが。
 それにしても美星さんはめちゃめちゃによく当たる推理屋ですね。ちょっと無理があるぐらい些細なことから真相を見抜いてしまう。こんな人といっちょにいたら疲れるだろうな。

No.527 5点 鳩のなかの猫- アガサ・クリスティー 2016/12/04 08:35
 クリスティーにしてはこの作品はあまり出来がよろしくないと思います。本格物としてはこのサイトの書評でも述べられているように無理があります。ポアロが登場するのも半分以上話が済んだ後、しかも彼が話を聞いたらたちどころに解決してしまう。犯人のわかった理由は後付けで出てくるといったアンフェアさ。
 確かにこれでは誰が犯人でも成り立ってしまうでしょう。しかも彼女の長編の中でも長いほうのお話なので、途中で退屈してしまう。
 なんだか無理やり書き上げた作品のような気もします。
 大作家でもこういった駄作?があるのですね。

No.526 6点 書斎の死体- アガサ・クリスティー 2016/11/25 21:23
 小説の序文に筆者自身が書いているように、オーソドックスな書斎にその住人には全く面識のない奇抜な若い女性の死体が発見されるという、現実には到底無理な設定の事件のお話です。
 ミスマープルによって真相が明らかにされるとまあ納得できるものではあります。
 クリスティーの作品だけあって真相はそう簡単には見抜けません。こんな真相であるなんて私は思いもよらなかった。ただしこのトリック?はあくまでも古き良き時代のお話であって、現代なら絶対無理でしょうね。現代の推理小説作家さんは大変だなあ。

No.525 5点 死者のあやまち- アガサ・クリスティー 2016/11/23 17:33
 お金持ちの屋敷で余興に殺人ゲームを企画したら、殺される役の女の子が本当に死んでいたという、サービス精神にあふれた作品といえましょう。
 登場人物の推理作家アリアドニオリヴァーはクリスティーの分身のようなところがありなかなか興味深いのですが、このお話はクリスティーとしてはあまり出来が良いとは言えないと思います。
 例によって最後にポアロにより真相が明らかにされますがあまりにも作りすぎで、これほど複雑なことをしなくてもいくらでもやりようがあろうかと思うのです。

No.524 6点 麒麟の翼- 東野圭吾 2016/11/16 21:47
作者は話の始め方がとても上手な作家と思っていますが、このお話はそれほどでもない。初めのほうは加害者とされている人物や彼を愛する女性の悲惨な状態、そして被害者の家族がいじめにあったりしてちょっとやりきれない。
 次第に加賀の地道な捜査から、意外な結末が浮かび上がってくる。最後には何となくよかったといった終わり方なのだが、あまりすっきりしないのです。
 この結末ではとても重く取り返しのつかないことが残ったままで、全然すっきりとはしない。まあそこが物語の重さともいえるのですが。
 それにしても被害者が突然刺されたときに、瀕死の重傷を負いながら急に思いついて必死に歩いて日本橋まで行くというのがちょっと無理がある気もします。

No.523 5点 象は忘れない- アガサ・クリスティー 2016/11/11 19:42
 最近クリスティーの作品をよく読むようになりましたが、これは本当に最晩年の作品で、やはり年寄りが書いたの作品といった感じは拭い去れませんでした。
 悪くはないのです。
 作家がファンからあまりに称賛されると気恥ずかしくていやだといったところは、多分作者自身の感慨からのものであろうと思います。クリスティーは謙虚な人だったようですから。
 高齢になっても筆力が衰えないことをある意味証明したような作品ではありますが、うまくまとめてはいるが若いパワーがないなあとしみじみ感じるところもあります。
 私だけかもしれませんが、ことに前半ではセリフのうけとりの場面が長く続き、誰がしゃべっているのかよくわからなくなるところが多くありました。ひょっとしたら翻訳のせいかもしれませんが、これが重なってくるとかなり読みにくい。原文はどうなのかな。

No.522 6点 新参者- 東野圭吾 2016/10/30 15:23
 加賀恭一郎は東野氏の作品の中でも好きなキャラクターです。今回も彼らしいというか、彼らし過ぎる展開でした。
 物語の初めは淡々とした感じで、でも作者の巧みな導入でとても面白く読めます。 一章ごとが連作風となっていて、いずれもそれなりの解決を見る。なかなか人情もあって興味深い。どうしてこれが全体の話となるのか心配になるのだが、そこは東野氏で実に巧みに最終結末へと導かれる。
 なるほどね。よくできたお話。でも加賀がこんななんでもないことばかりやっていたのが、全部ストライクというのもできすぎな感じ。勿論そうでないと話としてまとまりがつかないのでありますが。
 ということで一つずつの話はかなり良いのですが、全体としてみるとなんだかこじんまりとまとまってしまった感じがして、私としてはやや評価が低くなりました。

No.521 6点 パーフェクト・ブルー- 宮部みゆき 2016/10/24 19:51
 宮部氏の本は結構読んではいるような気がしていたのですが、初めての長編小説がこれとは知りませんでした。
 今読んでみるとなるほどちょっと古い時代であることがわかる。8mmフィルムが出てきたりすると懐かしいですね。
 物語は犬が主人公である必要があまりないようにも思うのですが、初めての長編で犬を主人公としたところは大胆不敵(ふるい)。お話もお笑いのように始まり、比較的地味っぽく続き、最後はど派手という新人らしい野望にあふれた展開ですが、はっきり言って最後はちょっと無理があるでしょう。途中で出てくる謎の美女もなんだかはっきりしないまま終わってしまい、消化不良のところも多い。
 でもこの後の活躍を期待できるようなはつらつとしたお話でもあり、栴檀は双葉よりかんばしいといったところでしょうか。

No.520 5点 ABC殺人事件- アガサ・クリスティー 2016/10/19 21:24
 クリスティーはどの作品も水準が高く楽しめると思っていますが、この作品はあまり好みではありません。ちょっと無理がありすぎると思うのです。
 ABC順に予告殺人がポアロのところに届き、すべて実行されてしまう。名探偵も赤っ恥といったところですが、ポアロは全然めげずに最終的には真犯人をみつけだす。
 読んでいる途中では犯人らしき挿話がちょろっと入るのですが、これが犯人なら推理小説として成り立たないなあと若干心配になる。主な登場人物でない人物が犯人で、話の本筋とは違うところで急に見つかってでは、推理小説としてはいかんでしょう。
 当然ながらクリスティーはそんなに甘くはないのですが。
 それでも話としてはやはり無理があると思うのです。結構書評が高いようですが、私はあまり楽しめませんでした。

No.519 7点 夢幻花- 東野圭吾 2016/10/16 11:30
 この小説は推理小説として謎の殺人事件、不可解な人物の登場、一見つながりのないように見えるお話、ちょっとしたラブストーリー、最終的に矛盾がない解決と爽やかな読後感がある、など名作となりうる要素はきちんと入っている。さらに作者の巧みな筆さばきですらすらと読んでしまえる。
 素晴らしい作品とも思えるのだが、その割に感動はやや少ない。作者の物語の語り口が巧みすぎてもいけないのだろうか。いかにもお話がうまくできているが、すらすらと書かれたような感じ(そんなことはないのかもしれないが)がして、ちょっと重みが少ないのでしょうか。
 近年の作者は相変わらず多作でしかも一定の水準を保っているのは立派だと思いますが、少しじっくりと書いたものが読みたいというのは読者のわがままかな。

No.518 7点 メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー 2016/10/11 20:18
 ずいぶん前に読んだことがあったのですが、内容はすっかり忘れてまた面白く読めました。
 最初読んだときはメソポタミア文明に興味があったのでそこが舞台の小説と期待したのでしたが、案外メソポタミアの雰囲気は少ない(クリスティーの話は場所が変わっても旅情ミステリーのように旅が主題ではない)。
 ポアロは本来尋問を繰り返すことにより犯人を見つけるといった志向が強い探偵ですが、ことにこの作品ではほとんど実際の調査は重要ではなく、かなりアームチェアーデテクチブ風です。
 密室殺人のトリックはちょっと強引で成功率が低そうな感じです。

以下ちょっとネタバレ
 犯人はめちゃくちゃに以外で、これが成り立つ可能性は低そうだなあ。女性は男と違って体の特徴をあまり覚えていないの?。夫婦でなければわからない癖が絶対あるからそれを忘れることなんて信じられないけど。

 でも全体としては面白く読めましたよ。

No.517 5点 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン 2016/10/10 21:12
 40年ほど前にグリーン家を読んですぐ後にこの作品を読み、その後ヴァンダインを読まなくなった。
 なぜそうなったのか忘れておりもう一回読んでみることとしました。勿論内容などはすっかり忘れていて、実に新鮮な気分で読んだのです。
 マザーグースの見立て殺人。天文学のような学問をやっていると人間など単なるものとしか思えなくなる?そんなことなら天文学者はとんでもないやつばかり?とても承諾しかねる人物が登場して、しかもファイロヴァンスはそれを面白がっている。
推理小説としてのお話としては多分につまらない薀蓄(今となっては古臭い薀蓄となったものもあるが)でごまかしているところもあるが、まあ良いでしょう。ただ私にとってはこんないやな人物が登場する話は、不愉快だなあ。
 若い頃もうヴァンダインは読みたくなくなったのが再認識されました。

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
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