皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.521 | 6点 | パーフェクト・ブルー- 宮部みゆき | 2016/10/24 19:51 |
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宮部氏の本は結構読んではいるような気がしていたのですが、初めての長編小説がこれとは知りませんでした。
今読んでみるとなるほどちょっと古い時代であることがわかる。8mmフィルムが出てきたりすると懐かしいですね。 物語は犬が主人公である必要があまりないようにも思うのですが、初めての長編で犬を主人公としたところは大胆不敵(ふるい)。お話もお笑いのように始まり、比較的地味っぽく続き、最後はど派手という新人らしい野望にあふれた展開ですが、はっきり言って最後はちょっと無理があるでしょう。途中で出てくる謎の美女もなんだかはっきりしないまま終わってしまい、消化不良のところも多い。 でもこの後の活躍を期待できるようなはつらつとしたお話でもあり、栴檀は双葉よりかんばしいといったところでしょうか。 |
No.520 | 5点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2016/10/19 21:24 |
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クリスティーはどの作品も水準が高く楽しめると思っていますが、この作品はあまり好みではありません。ちょっと無理がありすぎると思うのです。
ABC順に予告殺人がポアロのところに届き、すべて実行されてしまう。名探偵も赤っ恥といったところですが、ポアロは全然めげずに最終的には真犯人をみつけだす。 読んでいる途中では犯人らしき挿話がちょろっと入るのですが、これが犯人なら推理小説として成り立たないなあと若干心配になる。主な登場人物でない人物が犯人で、話の本筋とは違うところで急に見つかってでは、推理小説としてはいかんでしょう。 当然ながらクリスティーはそんなに甘くはないのですが。 それでも話としてはやはり無理があると思うのです。結構書評が高いようですが、私はあまり楽しめませんでした。 |
No.519 | 7点 | 夢幻花- 東野圭吾 | 2016/10/16 11:30 |
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この小説は推理小説として謎の殺人事件、不可解な人物の登場、一見つながりのないように見えるお話、ちょっとしたラブストーリー、最終的に矛盾がない解決と爽やかな読後感がある、など名作となりうる要素はきちんと入っている。さらに作者の巧みな筆さばきですらすらと読んでしまえる。
素晴らしい作品とも思えるのだが、その割に感動はやや少ない。作者の物語の語り口が巧みすぎてもいけないのだろうか。いかにもお話がうまくできているが、すらすらと書かれたような感じ(そんなことはないのかもしれないが)がして、ちょっと重みが少ないのでしょうか。 近年の作者は相変わらず多作でしかも一定の水準を保っているのは立派だと思いますが、少しじっくりと書いたものが読みたいというのは読者のわがままかな。 |
No.518 | 7点 | メソポタミヤの殺人- アガサ・クリスティー | 2016/10/11 20:18 |
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ずいぶん前に読んだことがあったのですが、内容はすっかり忘れてまた面白く読めました。
最初読んだときはメソポタミア文明に興味があったのでそこが舞台の小説と期待したのでしたが、案外メソポタミアの雰囲気は少ない(クリスティーの話は場所が変わっても旅情ミステリーのように旅が主題ではない)。 ポアロは本来尋問を繰り返すことにより犯人を見つけるといった志向が強い探偵ですが、ことにこの作品ではほとんど実際の調査は重要ではなく、かなりアームチェアーデテクチブ風です。 密室殺人のトリックはちょっと強引で成功率が低そうな感じです。 以下ちょっとネタバレ 犯人はめちゃくちゃに以外で、これが成り立つ可能性は低そうだなあ。女性は男と違って体の特徴をあまり覚えていないの?。夫婦でなければわからない癖が絶対あるからそれを忘れることなんて信じられないけど。 でも全体としては面白く読めましたよ。 |
No.517 | 5点 | 僧正殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2016/10/10 21:12 |
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40年ほど前にグリーン家を読んですぐ後にこの作品を読み、その後ヴァンダインを読まなくなった。
なぜそうなったのか忘れておりもう一回読んでみることとしました。勿論内容などはすっかり忘れていて、実に新鮮な気分で読んだのです。 マザーグースの見立て殺人。天文学のような学問をやっていると人間など単なるものとしか思えなくなる?そんなことなら天文学者はとんでもないやつばかり?とても承諾しかねる人物が登場して、しかもファイロヴァンスはそれを面白がっている。 推理小説としてのお話としては多分につまらない薀蓄(今となっては古臭い薀蓄となったものもあるが)でごまかしているところもあるが、まあ良いでしょう。ただ私にとってはこんないやな人物が登場する話は、不愉快だなあ。 若い頃もうヴァンダインは読みたくなくなったのが再認識されました。 |
No.516 | 6点 | 死との約束- アガサ・クリスティー | 2016/09/26 19:54 |
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このお話は初めから殺されそうな人は分かっているのになかなか殺人事件が起きない。ちょっとイライラ気味となるが、ようやく待望の?事件が起きる。
犯人は誰であっても成り立ちそう。実際この小説をアレンジして良いといったら誰でも犯人にできそうです。 さらにおしまいになってポアロが次々と何人もの容疑者に対して犯人らしいといった推理をする。さいごは全く意外な犯人で。またしてもやられました。 小粒な話で映画化がヒットしなかったのはある意味当然でしょう。小説のほうがはるかにあっている話でした。 初めのイライラした話が長いため、私の評価としては少し低めです。 |
No.515 | 8点 | ナミヤ雑貨店の奇蹟- 東野圭吾 | 2016/09/20 19:39 |
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東野氏はやはりとても才能のある物書きさんなのっすが、最近相変わらずの多作でそれなりに売れる作品を書いてはいるのですが、何となくちょっと冷たくて薄味な感じが否めないと思っていました。
なんせ小説を書くテクニックがあるので、どんな話を書いても一応面白く読めてしまうのです。これはこれですごいと思いますが、初期の作品のような情熱や優しさが少なくなっていると感じていました。読めば面白いが初期の作品のような情熱が不足していると思ってしまうのです。 この作品も何となく買ってしまったのですが、これは近年になく面白い。 氏の優しさが伝わってくるようです。一気読みしてしまいました。 |
No.514 | 7点 | スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー | 2016/09/19 20:57 |
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クリスティーのそしてポアロの最初の作品。
初めからこんなに濃い内容の話を書けるなんてさすがクリスティー。どんな作家でも処女作は初々しい反面どこかに完成度が低いところがあるのですが(それもまた楽しいのですが)、クリスティーは初めから熟達した作家に負けない作品を書いていたのだ。すごいねえ。 |
No.513 | 6点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2016/09/19 20:47 |
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クリスティーの作品の中でもとりわけ有名なものと思いますが、ずっと敬遠していました。それというものなにで知ったのか忘れましたが、犯人を知ってしまっていたからです。それでも結構読めましたが、やはり知らない方が数倍びっくりすることでしょう。さらに多分を立てるかも。
当時ヴァンダインもこんなのありかといっていたそうですが、そりゃそうだ。 忘れっぽい私でもさすがにこんな犯人は忘れることができませんでした。 推理小説は、ことにこの小説のように犯人がわからない、とても意外な犯人だったといったところが楽しみなのに、犯人を知っていては興味半減です。 クリスティーの作品は映画化やテレビ化されることが多いので時々みてしまうのです。それなりに面白く見るのですが、本を読む前に見るのはやめよう。オリエント急行は映画が面白かったが、これもあまりにすごい結末なので忘れられません。そのため本は未読のまま。 |
No.512 | 8点 | グリーン家殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2016/09/13 21:22 |
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この作品を始めて読んだのは40年以上前のことです。当時グリーン家は異常な人物ばかりが出てきてアメリカ人というのはこんなにゆがんだやつばかりなのだろうかと、アメリカに対する幻想が打ち砕かれてしまった(我々の世代ではアメリカは素晴らしいと教え込まれていたのです)。さらに探偵のファイロヴァンスも本筋に入る前にやたらに長い余談を話し続けたり、変な人物のおかしな話を面白がって聞いていたり、相当に変なやつといった印象でした。
今回再読しようと古い本を探し出したらあまりに汚いのできっと新訳が出ているに違いないと新たに購入したところ、なんと40年前と全く同じ。古い本は活字も小さく老眼になり始めているものにとってはせめて最近の本のように活字だけでも大きくならないものかと思っていたのですが、なんと92版という骨董品的新品本でした。 推理小説ファンとなって久しい現在の感想としては40年前よりはるかに面白かった。つぎつぎと事件が起こり、登場人物がどんどん殺されてしまい最後には犯人の資格があるのは2人ぐらいとなってしまうのですが、でもやっぱり真相は分からない。犯人はさすがに見当はつくのですがね。 こういった古典的小説を読んでみると現在大量に発行されるものはだいぶん薄味であることがよく分かります。 しばらくいろんな古典的小説を読みなおしてみようかな。 |
No.511 | 8点 | 黄色い部屋の謎- ガストン・ルルー | 2016/09/05 21:24 |
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40年ほど前にこの小説を読んだのですが、この時はまだミステリーにさほどはまっていたわけではなく、ただすごい密室のお話として記憶に残っていました。当時はルールタビーユの傍若無人で礼儀知らずのくせに、やたら自尊心が高いキャラクターにちょっとついていけない感じを抱いたものです。
今から読むと本格物の探偵の変なキャラクターに慣れたせいか、まあフランス人にありがちな感じぐらいにしか思えない。人間経験の差によってずい分感じ方も変わるものだと実感しています。 黄色い部屋の密室の謎だけの小説のような感じと記憶していましたが、今回読み返してみると廊下で犯人が消え失せてしまった方がさらに不思議に感じました。こんなにあからさまな犯人の消失が本当にありうるのかと、ハラハラして読んでいました。この話はすっかり忘れていたのです。 登場人物が少ないので犯人は限られる。読んでいくと誰も犯人らしくない。被害者の女性はなぜか犯人がわかっているのにあかそうとしないし、誤認逮捕された婚約者も有罪死刑となりそうなのにやっぱり犯人の名前をあかさない。非常に変な感じを抱きますが、最後にはまあ納得する結論が提示されます。めでたしめでたし。 今回読んだ新訳では昔読んだ訳よりはるかに読みやすく、多くな方が評されているような読みにくさはほとんど感じませんでした。 名作にふさわしい内容と思います。ただ本格物としては「黒衣夫人の香り」などこの小説では意味をなさないところが散見されて、ちょっと中途半端な印象を受けのがマイナスです。 なお黒衣夫人の香りは次作として書かれているが、このサイトで不評のようです。私も40年ほど前に気になったので読んだのですが、全くダメだったことのみ覚えています。勿論今回再読するつもりはありません。 |
No.510 | 5点 | 毒草師 七夕の雨闇- 高田崇史 | 2016/08/14 16:54 |
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パンドラの鳥籠が結構面白かったので、次作の本作品を続けて読みました。
御名形史紋は相変わらずの博学で関係なさそうなことの薀蓄を長々と述べて、警察をうんざりさせ、最終的に事件を解決します。 このお話の中にはQEDシリーズのナナちゃんやタタルと思われる人物が垣間見え、QEDの愛読者には興味があるところです。七夕がこんなに悪いお祭りであるとはもちろん知りませんでした。その点は興味深いのですが、話の進め方はQEDとほとんど同じ。こんなことなら人の話をさえぎって独眼的な話を長々と述べる感じの悪い御名形などを探偵とせず、普通のQEDのタタル君とナナちゃんを登場させたら良かったのに。大体ナナちゃんの苗字は「たなばた」だったはずですから。 とにかくこのお話は探偵の御名形が際立って感じ悪いので、ちょっと評価は低くなりました。 |
No.509 | 6点 | 毒草師 パンドラの鳥籠- 高田崇史 | 2016/08/14 16:41 |
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毒草師シリーズはQEDの番外編として書かれたもののようだが、ご本家がおしまいとなった現在はこちらが続くこととなった。
今回は浦島太郎伝説に関する薀蓄がたっぷり入ったお話。 ちょっとこのシリーズから離れていたので、御名形史紋の独断的推理を読むのは久しぶりです。 このシリーズは、推理の内容より現在常識となっている歴史が実は捻じ曲げられていることを、御名形が相変わらずの博学で語るところが最も興味深いところ。 昔から乙姫様はなんで浦島にあんな物騒なお土産を渡したのだろうと思っていたのですが、このお話で何となく分かったような気がしました。 |
No.508 | 7点 | マギンティ夫人は死んだ- アガサ・クリスティー | 2016/08/11 08:02 |
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被害者はどこにでもいる平凡な中年女性、どんなに探しても動機が見つからない。犯人と目された人物ははすでに裁判でほとんど有罪になっており、しかも犯人とされた人物そのものが、自分の無罪をとりわけて訴えようとしない。
こんな状況なのに実際に担当した警察官からほかの犯人がいそうだとの依頼がポアロされる。 ほとんど無理そうな設定の中から鮮やかな推理のもとに意外な犯人が名探偵によって暴かれる。 うーん本格推理の教科書のようなお話ではありませんか。とてもよくできたお話と思います。本格物が好きならぜひどうぞ。 その割に評価が特別良くないかというと、このお話は現代の日本ではちょっと成り立ちにくいということと、「何とか婦人」がたくさん出てきて、名前を覚えるのが苦手な私にとって誰が誰なのかが分かりにくく、話の筋がはっきりつかめないところがあったところです。 |
No.507 | 7点 | ポアロのクリスマス- アガサ・クリスティー | 2016/07/31 07:36 |
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この作品で犯人をあらかじめ指摘するのはすごく難しいでしょう。後から考えるとちゃんと伏線も張ってあるのですが、若干後出しじゃんけん風でもあります。
もちろん私にも犯人は全然当てられませんでした。ポアロの推理にびっくり仰天。まあクリスティーの作品で犯人がわかったことなんかないけどね。 本格推理小説としてはとてもよくできたものと思います。 殺された人物はとても嫌なやつで、その子供たちも個性的であまり感じがよくないと思われる人が多い。こういったシチュエーションでのお話は、一般にいやな感じと展開となり嫌味な小説となりがちであろうかと思うのですが、そこはクリスティーで、全然嫌な感じはなくするりとお話に入っていけます。 遅まきながらこのところクリスティを読み始めています。だんだん古き良きイギリスになじんできました。まだまだ彼女の作品で未読のものがあるのが楽しみです。 |
No.506 | 4点 | 神の時空 五色不動の猛火- 高田崇史 | 2016/07/18 07:50 |
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このシリーズはSFと歴史推理が組み合わせて、作者独特の歴史観が読み取れるというところが魅力となっており、今回もそれはまあ認められるのですが、いつもどうりのお話ではありませんでした。
以下ネタバレ気味。 ただしこのお話はネタバレしても読むのにあまり影響はないと思います。 このシリーズは、すべてが高村皇が怨霊を解離すことをたくらんで部下に神社仏閣を破壊させる。そしてその理由がわからず辻曲家が翻弄されるが、幽霊の火地晋に特有の歴史を教えてもらって辛くも企てを阻止するといった内容であるので、当然これもそうだと思っていたら見事に背負い投げを食らわせられました。良い意味での背負い投げではなく手抜きの背負い投げのように感じました。 歴史推理もいまいちで、なんだかなくてもよい話のように思われます。 こういった話を大量に作るのは難しいと思いますが、ひょっとしてマンネリを避けるための策だったのでしょうか。だとしたらあまりうまくいっていないと思います。 高田さん大変でしょうが頑張ってください。 私も息子も(なんと息子もこの本が発売されたらすぐ買っていました)あなたのファンなのですから。次を期待します。 |
No.505 | 6点 | 愛国殺人- アガサ・クリスティー | 2016/07/16 22:00 |
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初めはやや退屈でしたが、中盤になり俄然面白くなった。最後にポアロの推理が来るのですが、内容はかなりこみ入っており分かりやすいとはいいがたい。つるつると読んでしまったが、本当は事件の真相がしっかりわかりませんでした。きちんとすじを通して読んでいかないとわからない気がします。
昔は表にしてでも理解しようと頑張ったのですが、年のせいかこの頃はまあこれでなんだかよく分からないが解決したということでしょうといったかんじです。犯人が指摘されたらああそうですか、きっと正しい推理なんでしょうねえとすることとしています。 でもまあ面白かったです。 |
No.504 | 7点 | ウッドストック行最終バス- コリン・デクスター | 2016/07/10 10:31 |
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モース警部の推理が二転三転して物語の途中で分かりにくいところがあるが、それでも読み通していく面白さがありました。ことに女性が魅力的。容貌や外観などがあまり述べられていないのに、モース警部が好きになったスウは素敵です。
最後に見事な推理の勝利となり、事件は解決するのですが、私には完全に納得しにくいところがありました。 このお話は現代の科学捜査を全く無視していると巻末を書いた新保氏が指摘していますが、全くそのとうり。指紋や血液型程度の科学捜査も全くありません。こういった設定がことに変に思えないほど、物語が巧みにつづられているともいえましょうが、もしこういった設定とするなら完全なアームチェアーデテクティブが探偵役のほうがよかったかも。 |
No.503 | 8点 | 杉の柩- アガサ・クリスティー | 2016/06/28 08:07 |
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この作品は他の評でも言われているようになかなか素晴らしいと思います。どこを探してもこの人物以外に犯人は考えられないといった状況から、ポアロが一人ずつインタビューを行いながら謎を解いていくといった設定はまことに興味深いものでした。
ポアロ自身ももうだめかと思ったような発言を繰り返しつつ、次第に真相に迫っていく。面白いねえ。 以下ネタバレ気味 ちょっと問題なのは後出しじゃんけん風の真相の知られ方であることと、この殺人方法が日本では絶対無理、多分当時のイギリスでも無理だったでしょうと思えることです。こんな危ない方法を選ばなくてもよかったでしょ。失敗したら自分も危ないのですから。いくらでもほかの方法でやれるチャンスがあったと思うのです。 |
No.502 | 4点 | だましゑ歌麿- 高橋克彦 | 2016/06/22 21:43 |
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高橋克彦氏の浮世絵のお話と思って期待して読みました。
残念ながら歌麿の謎のようなお話ではなく、江戸時代松平定信寛政の改革のお話でした。こんながちがちの改革したのではさぞ面白くなかったといった内容が、物語の中からよく伝わってきました。それはまあ良かったのですが、肝心のお話が結構込み入っており(推理小説ではありがちではあります)興味よく読ませるというよりめんどうくさい感じとなってしまったのは、まことに残念です。 江戸時代を舞台とした一応は推理小説としてよい内容なのですが、推理より時代劇小説といった感じはぬぐいえず、凡長であったといった感はぬぐえません。 氏の初期の小説はとても面白かったのですが、あんな小説はもう期待できないのでしょうか。 |