海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

makomakoさん
平均点: 6.17点 書評数: 898件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.558 5点 樫乃木美大の奇妙な住人 長原あざみ、最初の事件- 柳瀬みちる 2017/07/09 07:32
 軽いお話ですね。まあ悪くはないですが。
 いかにも女性が書いた女性からの視点にあふれた感覚で、現代の大学生が使う言葉ならこんな感じなのでしょうが、表現が年寄りには何とも違和感があります。遠い青春時代を少し思い出させてくれたのかもしれないという事としましょう。
 読んでいけばこんな表現もあまり気にならなくなり、サラサラと読めます。
 キャラクター小説大賞受賞と帯に書いてありますが、私にはそんなに際立ったキャラクターとも思えない。
 暇つぶしに読むなら適当かも知れません。

No.557 8点 ユダの窓- カーター・ディクスン 2017/07/02 10:38
 はじめの設定に驚かされました。
 こんな密室、解くのは無理でしょう。
 登場人物も少なく読みやすい。かなりの迫力があり、基本的には一発トリックの小説なのにここまで読者を引っ張り続けるのは、作者の力量なのでしょう。
 精緻な検証とまあ納得のいく結論でしたので、すごいなと思います。
 ただ精緻に傾くあまり、いろいろな考察が入り乱れてごちゃごちゃと長たらしいのは否めません。もう少しすっきりとさせた方が私にはよいのです。
 あくまでも細部までこだわって作り上げた美学なのでしょう。
でもとてもすごい作品であることには変わりありません。

No.556 5点 どこかでベートーヴェン- 中山七里 2017/06/25 18:24
 名探偵でピアノの天才。岬の少年時代のお話。
 ドビュッシー、ラフマニノフ、ショパンときて今回はがちがちの本命のベートーベンです。小説内には月光、悲愴の曲が流れるシーンがかなり長く、この曲が好きで読んでいて曲が浮かんでこないと、意味が分からない描写が結構長く続くので、退屈になってしまうかもしれません。
 私はクラシックが好きなのでさほどでもなかったですが、それでもちょっと描写が長すぎたように感じました。
 それにしてもここに出てくる高校生たちは感心しないなあ。とても陰湿でいやな感じです。これが評価があまりできなかった原因の一つです。
 さらに推理小説としては意外性もあるにはあるのですが、同じ様な天災が2回起こってそれで推理がなり立つというシチュエーションは大分無理がありそうです。
 作者は非常にエネルギッシュに作品を書いておられ、素晴らしい才能とお見受けしますが、作品によって私にはどうも合わないところがあるようです。

No.555 6点 ジュリエットの悲鳴- 有栖川有栖 2017/06/17 17:29
 有栖川有栖氏がだいぶん前に書いた短編小説をまとめて一冊としたものです。シリーズものではないのでアリスや名探偵は出てきません。
 まあいろんな小説を書いていたんだというのが、読んだすぐ後の印象です。とんでもないSFの話もあります。
 作者はトリックを先に思いついてそれに合うようなシチュエーションを後から考えだしたような感じ。従ってトリックの出来不出来が作品に大きく影響しているようです。
 私は有栖氏の学生アリスシリーズや最近の長編のファンでありますが、短編に関しては出来不出来がかなり大きいように思います。
 

No.554 6点 メグル- 乾ルカ 2017/06/17 17:21
 本格推理ではなく幻想小説のようなジャンルに入る内容と思います。
何となく幽霊っぽい大学のアルバイト紹介係の女性に紹介されたアルバイトのお話。
SFチックな内容のものやら怪奇小説用のものなど内容は多少このなりますが、まあ読みにくくはないですね。
 好みからいうとまあぼちぼちといったところでした。

No.553 4点 虹の歯ブラシ 上木らいち発散- 早坂吝 2017/06/11 16:47
 べつにエッチな作品が嫌いではないのですが、私にとってライチは全然現実感がないので、セクシーでも何でもない。下ネタも嫌いではないのだが、こればっかりではねえ。
 皆さん結構評価が高いようですが、私は大して面白くもなかった。勿論いやな感じではないのですが。

No.552 5点 かくして殺人へ- カーター・ディクスン 2017/05/27 18:23
 映画撮影所での事件なので映画関係者が登場するのは当然なのですが、私は職の区別があまりわかっていないので、読んでいて人物がごちゃごちゃになりがちでした。登場人物が決して多くないのに。
 お話としてはちょっとそこが浅く、トリックもいまいちといった感があり、こんな評価となりました。

No.551 7点 テミスの剣- 中山七里 2017/05/20 08:04
 こんなお話が現実に警察であったとすると、冤罪などいくらでもできてしまいそうです。確かに悪賢いやつはなんとでも言い逃れして結局無罪となりかねないのでしょうが、思い込み捜査はやはり問題なのでしょう。
 作者の小説にはいろいろなキャラクターが出てきてそれぞれに興味深い。ことに本作品の主人公は正義感にあふれていて、しかもそれを自分が不利となってさえ実行していくのですが、それが皆に嫌われる元となってしまって、なんだかいたたまれません。
 こんなお話では最後がつらくなりそうなのですが、最後にはほっとする景色が描かれ、読後感はとてもよくなりました。

No.550 7点 ささやく真実- ヘレン・マクロイ 2017/05/14 09:08
マクロイの作品は初めて読みましたが、面白かった。
 飲むと真実を話してしまうという、とんでもない薬が登場するので、これはちょっとと思っていたのですが、お話はなかなか興味深い展開となり、最後はきちんと犯人が指摘されます。
 すっきりとした推理小説で、読後感も悪くはない。はじめは殺された女性のあまりの性格悪さにちょっとげんなりはしていたのですが。


以下少しネタバレです
 翻訳の関係かもしれませんが、ただ単に文章を読んでいると美しい容貌の人はそれなりに分かるのですが、パッとしない人の容貌が浮かんでこない。一応文として書いてはあるのですが。これが結構後で効いてくるので、途中であれそういえばといった感じがしたのが多少の減点です。

No.549 5点 囲碁殺人事件- 竹本健治 2017/05/14 08:59
 この小説は囲碁がわからないとよめないということはないですが、わかっている人のほうがだいぶん楽しめそうです。
 かくいう私にしても以後はルールを大体知っているのみで、中国と日本でルールが違っていたり、最近ルールが改正されたりなんてことは全く知りませんでした。
 したがって私のこの小説に対する理解がもう一つであることは否めませんが、でもやっぱりあまり面白くなかった。
 おまけのチェス殺人事件に至っては推理小説の形を成していない、というか単に問題定義しただけで、答えはどうにでもなるといった代物のように思えました。
 ゲーム三部作だそうですが、続きはあまり読む気がしない。
 この作者とはあまり相性が良くないのかもしれません。

No.548 6点 神の時空 京の天命- 高田崇史 2017/04/30 18:37
神の時空シリーズもこれで終了。お話としては1週間足らずの時間ですが、これが8巻という大著となって、ようやく終了となったといった感じです。
このお話はおしまいはきっとこうなるということがほぼ約束されたようなものですので、意外な感じは全くありません。
まあ気分よく終わったといったところでしょう。
本格推理としたら、ずい分無理があるのでファンタジーととらえるべきなのでしょう。
すごい事件が短期間で日本のあちこちに起きているのに、何故か一般人はあまり気付いていない。こんな事件ならテレビなどマスコミは大騒ぎで一日中特番だ、といったことは言いっこなしで読めばそこそこ面白いです。
ただ火地という爺の幽霊の話はこんかいはことにくどくてめんどくさい。これが長々と書かれているのを好ましいと思うかばかばかしいと思うかで、この話が楽しめるかが決まりそうです。
私は薀蓄が好きなのでまずまずでしたが。

No.547 6点 松谷警部と三鷹の石- 平石貴樹 2017/04/29 10:36
平石氏の小説始めて読みました。
まったり警部はほとんど活躍せず、新人女性警官の推理がほとんど。まあこれはこれで悪くはないです。
段落の終わりに歌が読んであるのはなかなか新鮮でした。最初はあれっとおもっとのですが。
さすがに東大の文学の教授まで勤められた大先生のお話なので話の破たんはなく、犯人も意外でしたが、すごいところはなく、平坦な感じがするお話でした。

No.546 7点 カササギの計略- 才羽楽 2017/04/29 10:29
どこかで読んだような設定で始まるのです。アパートに帰ったら見知らぬ美女が待っていた。全然心当たりがないのに部屋に入れてしまい、ついには住み着いてしまう。
なんという都合に良いお話か。
こんなことがあるとよいですなあ。でも絶対このままでは済まないのは目に見えている。どういう結末となるかかなり興味深く、しかもとても読みやすい。
ほとんど恋愛小説風となった後で突然お話の展開が起きる。推理小説なのだから当たり前といえば当たり前です。
なかなか楽しめたのですが、何となく物足りないような気もしました。

No.545 6点 伊藤博文邸の怪事件- 岡田秀文 2017/04/12 22:04
 黒龍荘の惨劇がなかなか良かったので、その前の作品である本書を読んでみました。
これも立派な本格推理小説で、いろいろな伏線やミスリードがあり、見事に引っかかってしまいました。小説の出来としてはこちらのほうがやや小粒ですが、最近こういった作品にお目にかかることが少ないので、十分楽しませていただきました。
 こういったがちがちの本格物はたくさん書くことが難しく、量産をせがまれるとどうしてもクオリティーが落ちてしまうようですが、作者は続編を執筆中とのことですので、期待しています。

No.544 4点 QED ~flumen~ 月夜見- 高田崇史 2017/04/02 17:29
終わったと思っていたOEDシリーズ。あの終わり方では当然納得がいかないところがあるので、答えが出るのではとの甘い期待を抱いて読んだが、残念ながら不完全燃焼でした。
 今回はことにタタルの推理と事件の関係性に無理があるようで、さらにタタルの話も凡長でやたら長く感じました。作者のあとがきでは空前絶後といってよいほどの叱咤激励があったとのことですが、それはこのシリーズの読者がナナちゃんの話はどうなったかが知りたいからに違いないからでしょう。
 今回ですっきりさせてほしかった。
 どうやら次も出そうな感じなのですが、なんか終わってしまった話の出し惜しみしているようで。こんな調子ではどうかなあ。
 
 

No.543 7点 星読島に星は流れた- 久住四季 2017/04/02 09:59
 なかなか面白かった。
 登場人物が少なく、孤島といったまさに本格推理小説の代表のような設定で大丈夫かなとも思ったのですが、まず納得のいくものでした。
 読みやすく、登場人物もひどく異常なこともなくすっきりしていますが、逆にあくが少なく若干平凡といった感は免れませんでした。
 でもよかったですよ。
 次作に期待できそう。読んでみようかな。

No.542 7点 黒龍荘の惨劇- 岡田秀文 2017/03/26 08:59
バリバリの本格推理です。本格物が好きな方はぜひ。
舞台は明治時代で、大きなお屋敷といわくありげな登場人物。そして歌になぞらえた連続殺人事件。
 なんともおどろおどろしい。なんかどこかの名作で読んだようだなあとも思いつつ読み進めていくと、最後は見事にやられた。
 久しぶりの大トリックで大どんでん返しでした。
 探偵の月輪は、なかなかの名前ですが、インパクトはいまいちかな。もう少しスマートにかけていたらもっと良い点数となったのですが。

No.541 6点 曲った蝶番- ジョン・ディクスン・カー 2017/03/24 22:14
はじめのうちは実に面白い。主人公の友人で誰もが疑ったこともない地元の名士が偽物で、本物はこの俺だといった人物が出てきての争いとなる。そりゃ無理でしょうと思っていたら、案外名乗り出た人物が本物かもしれない。どうなることやら。
 この辺りのお話はカーのストーリーテラーの本領発揮といったところです。
 かなりお話が進んでようやく殺人がおきるのだが、殺人の方法が全く分からない。だとすると自殺なのか?読むほうは完全に作者に翻弄されてしまう。
 さすがカーと思わせる展開なのですが、フェル博士の長々とした解説がかなり凡長でちょっと嫌気がさしてきたところで、犯人ととんでもない殺人方法が提示される。
 せっかくのお話がだいなしだなあ。長々と読んできてこんなのではむちゃくちゃではないかと腹立たしく思っていたら、さすがにこのまま終わるのではなく、真相はまたもとんでもないものでした。まあ納得なのですが、無理っぽいことは否めませんでした。

No.540 6点 ビブリア古書堂の事件手帖7- 三上延 2017/03/06 18:34
 このシリーズは6冊までは順調に発表されていたのに、この第7作が出るのにやたら手間取って作者が病気かスランプになったか心配したほどでした。
 あまり待ったのでお話の詳細も大分忘れてしまっていたのですが、作者は読者が忘れているだろうことを想定してか、ちゃんと思い出せるように色々と説明を入れてくれています。
 古書ことに今回はシェイクスピアという外国の古典であるため、それなりの薀蓄が楽しめたのですが、根底となるお話としては当たり前の展開で、まあこんなものかといったところでした。
 読みやすいが、内容も薄いといった感じは否めませんでした。
 まあこのシリーズそのものがそういった感じではあるのですが。
 とにかくようやく完結の運びとなりました。めでたしめでたし。
作者は番外編みたいのものを書こうとしているようですが、もう読まないかも。

No.539 7点 狩人の悪夢- 有栖川有栖 2017/03/05 10:43
 このところぐっと懐が深くなってきた有栖川有栖氏の火村シリーズの長編ということでさっそく読んでみました。
 なかなか長い。殺人事件の話となるまでに相当ページがさいてあります。それでも飽きさせずに読ませるのはさすがに最近の有栖川有栖。充実していますねえ。
 登場人物は少ない。犯人たる人物は極めて絞られています。かなり最後まで行かない犯人は分からない。後付けで真相を暴露するといったかたちなら、誰が犯人でもこの小説は成り立ちそうなのです。
 まあ怪しげな人は初めから怪しそうなのですが、推理小説の常として怪しそうな人は犯人でないことが多いからなあなどと、余分なことを心配しながら読むこととなりました。
 どんでん返しはあるのか?期待しながら読んでいました。
 結果は書きません。読みごたえは十分で読んで損はありませんよ。

キーワードから探す
makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.17点   採点数: 898件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(38)
有栖川有栖(32)
樋口有介(30)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
東川篤哉(26)
北森鴻(24)
米澤穂信(18)
今邑彩(17)