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makomakoさん
平均点: 6.17点 書評数: 898件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.898 7点 マーブル館殺人事件- アンソニー・ホロヴィッツ 2025/10/26 16:49
カササギ殺人事件以来ホロヴィッツ氏の作品は出るたびに読んでいますが、今回も期待にたがわず面白かった。
名探偵ピュントのシリーズとしては3作目。探偵が不治の病とのことなので、このシリーズはもうおしまいと思っていがうれしいことに3作目が出版されたのですぐ買って読みました。
翻訳もこなれていて読みやすい。面白い。ピュントが活躍する作中作とスーザンが主人公の現実のお話が複雑に絡み合って興味が尽きない。
名前を覚えるのが苦手な私は常に二つのお話の登場人物のページを見比べながら読みました。
作中作のピュントのほうは引き継いだ作者が途中で死んでしまう。まだ全く犯人がわからないのに、これではどうしようもないのではと心配になるのですが、なんと思わぬ後継ぎが思わぬ方向から出現。最後はめでたく解決してすっきりします。
ただ主人公のスーザンが初めよりちょっと嫌な女性になってきている気がするのですが。

No.897 5点 ブラウン神父の知恵- G・K・チェスタトン 2025/10/14 17:09
はるか昔にこの作品を読んだことがありますので今回再読ということとなります。
当時は推理小説そのものにあまり興味が向いていなかったせいもあり、もう一つで会った印象でした。さらに当時の翻訳がとにかく英語の直訳のようで実に読み難かった。
今回リニューアルしたとのことで購入したのですが。
なななんとリニューアルとは外見のことであり、訳は昔とおなじ。
当然読み難さも同じ。
すっかり内容は忘れていたのでそれなりに読めたのですが。
最近の翻訳はかなり日本語がこなれていることが多く、リニューアルといったら当然翻訳も新しいものと期待したのですが。だまされた。
こなれた日本語での新薬が出ることを期待します。
インターネットで買うと時々こういった失敗をしてしまう。本はやっぱり本屋さんで買うべきなのでしょうね。

No.896 3点 俺ではない炎上- 浅倉秋成 2025/10/14 16:54
皆さんが高い評価をつけておられるのに、こんな評価で申し訳ありません。
私にはネットのことなどほとんど興味がない人が、ネットからのひどい暴力にさらされている状態を読んでいることがとても苦痛だったのです。

No.895 7点 コメンテーター- 奥田英朗 2025/10/05 19:18
いやはやめちゃくちゃな精神科医がいたもんだ。とんでもない人ではあるが、一応仕事はしている?ようだ。
とんでもない方法で患者の病的状態や悩みを解決してしまう。
実に痛快でした。

No.894 6点 夜の道標- 芦沢央 2025/09/25 19:30
この小説は私にとって読むのが楽しいといった感じが少ないものでした。
確かにとんでもなく良い人がなぜ殺されねばならないのか(松本清張の砂の器みたいです)解き明かしていく過程はそれなりに納得できるものなのですが。
犯人に悲しくやむを得ない事情があってということなら感情移入できるのですが、この小説のような理由ではちょっとなあ。
全体を覆う暗くて陰湿な感じも好みではありません。
印象としてはもっと低い評価なのですが、小説の出来が悪いのではないのでこのような評価としました。

No.893 8点 蟬かえる - 櫻田智也 2025/08/23 07:48
探偵役は同じ人ですが短編集というべき内容です。
探偵の魞沢君は控えめですがなかなか共感が持てるキャラクターです。
ことに表題作の「蟬かえる」が好きです。
民話とそれにあった雰囲気が気持ちよい。トリックも小粒だがなるほどとうなずけるものです。
泡坂氏の「亜愛一郎」シリーズの影響受けとそうですが、私は昔このシリーズを読んだ時にはさほどまで良いとは感じなかった。泡坂氏はむしろ長編が好きでこちらは発表されるとすぐに読んでいたのですが。
ずいぶん昔の話なので今の私と感覚が違っているかもしれないので、もう一度読み直してみましょう。
櫻田氏はとても素敵な雰囲気のあるお話が書けるようなので、注目して読んでいきます。

No.892 3点 ババヤガの夜- 王谷晶 2025/08/21 20:07
イギリスのダガー賞をとった作品ということで、私が見た書評は非常に高く期待して読みました。
残念ながら私にはこの作品は全く合わなかった。
一気読みでしたと言った感想が多く寄せられていますが、比較的短いこの作品を読み続けるのはちょっと苦痛でした。
まず不要と思われるほど暴力シーンが多い。昔のやくざ路線のようなやくざのお話ですが、これほど暴力的だと現実感がなく嫌な感じ。本当にこんな状態ならこんな集団へ入りたがる人がいないでしょう。

以下多少ネタバレ
頭は軽くとんでもない暴力的な女が鬼婆になる話なんて。
でも高く評価する方もいるようですから、暴力小説が好きな楽しいのかも。

No.891 6点 栞と噓の季節- 米澤穂信 2025/08/16 08:11
「本と鍵」の続編です。
今回は長編となっており、シリーズ化しそうな感じです。
青春物としての熱がほとんど感じられない、冷めた登場人物ばかり出てきます。
みんな頭がよさそうだが、個人主義で友人でも自分の家を明らかにしないため帰り道は自宅の方角と違ったところで別れるような嫌な奴も主人公です。
抜群の美人だがこれまた性格が悪く、都合が悪ければ嘘をついたり喋らなかったり。この人も重要な登場人物。
こんないやな面があるのですが、どこかに若くて正義感があるところが見えるためそれほど拒否反応は起きませんでした。
でも個人的には古典部シリーズのような感じのほうが好きだなあ。

No.890 5点 アミュレット・ホテル- 方丈貴恵 2025/08/09 11:07
一定の制限をかけた世界での推理小説です。
制限そのものを受け入れればその世界での本格推理が楽しめる。
受け入れられない人にとっては触れ合うところがないお話となってしまうのでしょう。
このサイトの方は本格推理のファンの方が多いので評価が高いのでしょう。
確かに作者は頭がよく、私のような鈍重な読者が考えるよりいつも先を言った展開を見せてくれます。
これがたまらない方はきっと面白く読まれるものと思いますが、あまり深く考えずすらすら読んでしまおうとする人にとっては、ごちゃごちゃ言っていて複雑すぎてよくわからなくなってしまったといった感想となりそうです。
私も一部推理についていけないところがありましたので、ちょっと評価が低くなりました。

No.889 6点 スクイッド荘の殺人- 東川篤哉 2025/08/02 07:22
このサイトで評価されているように。この手のお話としてはちょっと長すぎる気がしました。
いかにもどこかで見たような出だしだが、それにユーモアがたっぷりとふくまれているので結構面白い。
トリックもそれなりにあるしどんでん返し的な展開もあり、最後まですらすらと読めるのですが、これだけ長いお話となるとユーモアで押し切ることがかなり難しいのでしょう。
もともと氏の作品はユーモアの中に本格推理をきちんと?組み込んでいるところが魅力なのです。ただし本格としてはちょっとと思われるところをユーモアで振り切っているところもある。まあこれはこういった話だからと許してしまえるねえ、と面白く読んでしまうのですが。
これがこれほど長いお話だとちょっと無理が目立ってしまうのではないでしょうか。
ちょっと話を変化させればほかの人が犯人でも成り立ちそうです。
昔好きで読んでいたシリーズの作者が、書き始めはだれが犯人か決めておらず、途中でこの人が犯人ということとなるといったようなことを読んで急に嫌になってしまったことがありますが、この作品ではエピローグできちんとプロットを考えておられたような感じでしたので、納得していますが。


でもエピローグを読むとやっぱりきちんと考え抜いて書かれたお話なのでしょう。

No.888 6点 南朝迷路- 高橋克彦 2025/07/23 20:16
本棚をかたずけていたらこの本が出てきました。1995年発行の文庫本。
当時高橋氏の作品が好きで結構読んでいましたが、このシリーズはどちらかというとあまりピンとこないものでした。
何十年ぶりの再読。内容などはすっかり忘れてしまい始めて読んだのとほぼ同じ状態でした。
歴史推理は私の好みなのですが、初めて読んだ時の感想を覚えていないということはそれほど心に残らなかったということだったのでしょう。
今回も悪くはないがとても感心するというほどでもないといった印象でした。
このシリーズはすべて読んだと思いますが、このころから高橋氏の作品から少しずつ離れていきました。
私が変わったというより、氏の作風が変化したためのように思います。

No.887 6点 金環日蝕- 阿部暁子 2025/07/05 07:39
小説としてはきちんとした出来のお話と思います。
登場人物がそれほど多くないが、なんせ詐欺のお話が主体なので偽名がいろいろ使われて、のちのそれがこの人物だとわかるといった仕組みにもなっているため名前を覚えるのが苦手な小生にはちょっとわかりにくいところもありました。
それにしても詐欺が撲滅されないのは、だましておいてだまされた人がだめになっていくのを見るのが好きといった人が存在する、というくだりにはちょっとびっくり。
私も何人か詐欺師という人種?と話したことはありますが、いずれも初対面ではとても感じが良い。この人が人をだますとは信じられない雰囲気でした。だからこそ人をだませるのでしょうが。
この小説でもそういった人種が出てくるのですが、一面はとてもまじめで正義感が強そうなのが一転人をだます。
こういったお話は本質的に好きではないので本サイトの方々よりちょっと評価は低めです。

No.886 5点 シンデレラ城の殺人- 紺野天龍 2025/06/22 09:38
シンデレラ城といってもシンデレラのお城ではなく、シンデレラがお城のパーティへ出かけるというお話です。
初めはまさにシンデレラのお話風です(ちょっとシンデレラの性格が悪そうですが)。
その後とんでもない事件が起きてシンデレラは密室殺人の犯人とされます。
絶対言い逃れできそうにない状態を、得意の屁理屈で次々と突破していく。お姉さまもまあシンデレラの味方となってくれます。
お遊びで出来上がったお話といえばそれまでですが、一応最後までそれなりに読んでいけるのは作者の力なのでしょう。
ただこんなお話を次々に読みたい読者はあまりいないでしょうから、また新たなお話を期待しましょう。
なんだかとんでもないお話を考えてくれそうな方ですので。

No.885 7点 神薙虚無最後の事件- 紺野天龍 2025/06/16 06:05
読み始めると登場人物が皆へんてこりんな名前で、さあこれからエキセントリックな推理ゲームを始めますよといった作者の大見えが気になりました。
大丈夫かな?
作中作が提示されこのお話をみんなで推理することとなります。
ほう。時に見かけるスタイルだな。
時代がかった名探偵が 推理する側にも作中作にも出現、作中作ではとんでもない怪盗が主催するパーティーがとんでもない建物で開かれ、そこでの殺人事件が起きる。
これを推理するといった代物。
したがって本格ものが好きな人には魅力たっぷりだが、そうでない人にとってはばかばかしくてやってられない作品です。
本格ものが好きな私は初めはばかばかしかったが次第に興味が引かれ、結構面白く読みました。
このサイトは本格好みの方が多いと思いますので、自然評価は高くなるものだと思います。
作者はなかなかの力がありそうです。
ほかの作品も読んでみましょう。

No.884 5点 星くずの殺人- 桃野雑派 2025/06/08 12:40
宇宙空間の殺人事件は確かに密室ものとして究極の一つではあります。
もともとかなり無理がある設定なので、ある面都合よくお話が進められそうだなあと感じながら読みました。

以下多少ネタバレ。
重力がないと首つりは困難とのことですが、この設定だと首つりというより首絞めとなりそうなので、それなら首の跡が異なるといった無粋な指摘はやめるとしても、不思議な殺人が物理化学的知識によるものだとあまりトリックという感じはしませんでした。
また人の入れ替わりについてもきちんと説明されておらず、ちょっと戸惑ってしまいます。
まあ悪くはないが、さほど感心するものでもなかったというのが偽らざる印象です。

No.883 5点 バスカヴィル館の殺人- 高野結史 2025/06/04 19:58
今度は海外ミステリーの代表作をひねった殺人ゲーム。
前回はひどく拒否反応が出ましたが、ちょっとなれたのか今回はかなりましでした。
でもこんなお話を読んで楽しみたくはないなあ。

No.882 4点 パラダイス・ガーデンの喪失- 若竹七海 2025/05/28 16:50
意欲作です。
作者らしくコージーミステリーとしてしっかりと書かれていると思います。
なのに低い評価なのはお話が広げすぎていて、主人公がいるにはいるがそれ以外の準主人公のような登場人物がやたら多い。
作者の狙いはこの架空の町(今までもよく出てきたところではあります)の人達全体が主人公で一人ひとりにそれぞれの物語がありそれを総合してのお話としたかったものと思いますが、出てくる人物が多くもともと人の名前を覚えるのが苦手な上にそろそろ頭が悪くなってきた私にとって、お話がごちゃごちゃになって何が何だかわからないといったようになってしまいました。
私は外国の小説では登場人物が多く名前もなじみがない(下手すると男か女か不明となる)ためお話の筋がわかりにくくなってしまうことがあります。
このお話は外国ミステリーに詳しい作者の作品だけあって、まるで外国ミステリ-を読んでいるようになってしまったのです。
登場人物の名前を覚えるのが得意の方はきっと楽しめるのでしょう。

No.881 7点 砂男- 有栖川有栖 2025/05/18 20:51
砂男は中編で、それ以外は短編です。
作者が書いておられるようにかなり以前に作り上げたが、何らかの理由で発表を控えていたものを集めた短編集です。
したがってこの本全体のまとまりはありません。
最初の2編は名探偵が江神さんで、後ろのほうは火村です。
これを読んでいると作者の発表作品をリアルタイムに読んできたものとして懐かしいと気持ちとともに、作者がいかに真摯に作品を作っているかがよくわかります。
そろそろ学生アリスシリーズの長編を読みたいところでしたので、ちょっとだけ渇きが癒された感じです。
でももうそろそろ学生アリスシリーズの最終編を書いてほしいなあ。作者も書けなくなるかもしれないし、なんといっても私が読めなくなってしまわないうちにお願いしますよ。

No.880 8点 ファラオの密室- 白川尚史 2025/05/16 21:25
ミステリーも古代エジプトも大好きな私にとってはとても楽しめる内容でした。これを読んでいるとアクエンアテンの都(現在はアマルナと言われています)へ行ったことを思い出します。ほとんど何も残っていない砂漠と化していました。当時は治安が悪くて数百メートルおきに自動小銃を持った警備員が立っており、観光客はほんのわずか。それでも有名なネフェルティティの像が発見された跡はわずかに残っており感慨にふけったものです。
まさかここを舞台としたミステリー小説が読めるとは。
ファラオや高官の名前はもともと知っていたので私にとっては名前がわかりにくいといったことはありませんでした。
トリックはちょっととんでもですが、でもまあ面白く読めました。
私のエジプトの趣味が入っているのでちょっと点数は甘めです。

No.879 8点 一次元の挿し木- 松下龍之介 2025/05/03 08:51
私はこの作品、好きです。
こういった遺伝子操作のお話を読むと、学生時代にワトソンの書いた教科書を使った講義を思い出します。たった4つのたんぱくの組み合わせで生命が伝わっているのだ。これを解明して(今はかなり解明されました)操作することができれば、いままで全く治療できなかった多くの病気が治癒できる。君たちもこういった分野の研究をしてみないかと誘われたものでした。ワトソンが二重らせん構造を思い立ったのが24歳の時。若い発想が必要なのだと。
この作品はまさにこういった研究により派生した物語です。
もちろん現実からはかなり離れていますが、こういったこともありうると納得できる範囲です。
私は登場人物の描写がむしろ好みです。ことに七瀬紫陽が素敵でした。
お話としてははじめはとんでもない謎が出てきて、これをどうやって帰結させるのか皆目見当もつきませんでしたが、見事に帰結していると思います。
ただし、最後の神話のような解決は良いのですがこれだと主人公と離れた後の紫陽の状況からはちょっと無理なのではないでしょすか。

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ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
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平均点: 6.17点   採点数: 898件
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