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[ 本格/新本格 ] シンデレラ城の殺人 |
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紺野天龍 | 出版月: 2021年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
小学館 2021年07月 |
小学館 2024年10月 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2023/04/17 22:44 |
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童話×ミステリ!容疑者は、シンデレラ!?
幼い頃に父親を亡くし、継母や義理の姉たちとともに暮らすシンデレラ。 ある日、シンデレラは怪しい魔法使いに「ガラスの靴」を渡され、言葉巧みに王城で開かれる舞踏会へと誘われる。 お城に到着するやいなや、美しいシンデレラはさっそく王子様の目にとまる。「ガラスの靴では踊りにくかろう」と王子様から靴を借り、シンデレラは王子様とダンスを踊る。 ダンスが終わり、ガラスの靴を返してもらうため王子様の私室へと赴くシンデレラ。 Amazon内容紹介より。 あのシンデレラの一人称で語られる本格ミステリ。地の文も会話文も丁寧語な為、慣れるまでに時間がかかります。会話文かと思いきやシンデレラの心の声だったという現象が、漫然と読んでいたせいか何度も起こりました。 王子殺害事件が城内で起こり、シンデレラにしか成し得なかったと考えられ、即座に法廷劇に移行していきます。裁判には弁護人が存在せず身の潔白を証明するには、シンデレラ自らが推理し犯人を指摘するしかない状況に追い込まれます。 一見単純そうに考えられた事件が、裁判が進むにつれどんどん複雑になっていきます。其処は魔法すら可能な童話の世界なので、それじゃ何でもアリじゃんとか思い始め鼻白んでいましたが、そこはそれアンフェアにならない工夫が凝らされてやや安堵しました。 真相に至る過程はなかなか考えられており、地味ながら合理的解決に持ち込もうとしますが、その都度謎が立ちはだかります。そして、追い詰められたシンデレラは遂に事件の核心を突いて真犯人に迫ります。 手を変え品を変え様々なギミックを駆使して、読者を飽きさせないよう努力している姿勢は伝わってきますが、残念ながらカタルシスを得られるとまではいきませんでした、個人的に、ですよ。読む人が読めばもっと高得点だったかも知れませんね。 |