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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
檜垣澤家の炎上
永嶋恵美 出版月: 2024年07月 平均: 9.00点 書評数: 1件

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新潮社
2024年07月

No.1 9点 HORNET 2025/01/12 22:00
 大正時代、横濱で知らぬ者なき富豪一族、桧垣澤家。当主の妾の娘、高木かな子は母を亡くしこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様、スヱ、互いに美を競い合う三姉妹と、桧垣澤は女が主権を握る家だった。ある夜、婿養子が不審な死を遂げ、いよいよ桧垣澤家は女系一族に。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館で、かな子は策をめぐらせながら自身の立身を目論む―

 
 序盤に婿養子・辰市の不審な死が描かれるものの、700ページを超える物語の中盤大部分は、かな子が桧垣澤家で自身の立ち位置を守るために知略をめぐらせるさまが描かれるストーリーで、ミステリ色は薄い。が、表裏を使い分けるしたたかな女性たちの物語はそれ単体でも十分面白く、のめり込んで読めた。

 そして終盤、序盤の事件の真相だけでなく、桧垣澤家に隠されたさまざまな秘密がドミノ倒しのように明らかにされていく。その段では、そこまで描かれていたストーリー中の諸所に仕込まれていた伏線が見事に回収されていき、ミステリとしての魅力が一気に表出される。唸らされた。

 緻密に編み込まれ、人間ドラマとミステリが見事に融合した重厚な一作。見事だった。


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永嶋恵美
2024年07月
檜垣澤家の炎上
平均:9.00 / 書評数:1
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