皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
あびびびさん |
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平均点: 6.33点 | 書評数: 669件 |
No.289 | 8点 | 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 | 2012/09/01 11:10 |
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「都市伝説パズル」が良かった。他のはトリックが複雑でどうでもええわ…という感じの作品だと思った。
都市伝説パズルはテレビのミステリ劇場などでよく見かける安易な設定だが、ある意味どんでん返しがあり、なるほどな…と唸ってしました。ロジックの切れ味と、読後感のの良さが秀逸だった。 |
No.288 | 7点 | 乱れからくり- 泡坂妻夫 | 2012/08/23 09:22 |
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からくりによる殺人の為、からくりの蘊蓄を披露せねばならず、その部分が長すぎ、退屈な面もあったが、さすが奇術師作家。これが書けるのはこの作家しかいない…という個性を感じた。
大正、昭和初期のころの作品かと思えば意外と新しく昭和50年代で、そのあたり錯覚してしまったが、泡坂作品の原点であることはまちがいなさそうだ。 |
No.287 | 7点 | 霧に溶ける- 笹沢左保 | 2012/08/06 12:01 |
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動機がミスコンテストは分かるにしても、犯人がすべて納得しての犯行とはとても信じられない。でも当時はそれでOKだったのだろう?
密室トリックは楽しめた。作者が本格ものを強く意識して書いたのはまちがいない。そこに敬意を表したい。 |
No.286 | 8点 | 虎の眼- ウィルバー・スミス | 2012/07/29 19:57 |
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完璧に冒険小説だと思うが、最後にちょっとしたどんでん返し風の謎もある(ほとんど予想はつくが)。
しかし、これほどおもしろい小説も久しぶり。けっこう分厚い本だが、一度手にするとなかなか離せない。小学の時に読んだロビンソンクルーソーを思い出した。 虎の目とはマルタの鷹のようなもので、単なる題名にすぎないが、この本の題名に相応しいと思った。 |
No.285 | 9点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2012/07/29 00:01 |
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「そして誰もいなくなった」、「アクロイド殺し」、そしてこの「オリエント急行殺人事件」。なんだかんだ言う必要はないと思う。クリスティの真骨頂であり、この超人的アイデアは素直に認め、評価したい。
自分は、「やられた!」と、思わず笑ってしまった。 |
No.284 | 7点 | 満潮に乗って- アガサ・クリスティー | 2012/07/25 01:34 |
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書評を書いた方が、「これを読む人はクリステイーの中毒患者」みたいな記述があったが、まさにその通り。他の小説がつまらなかった時は、その口直しにクリステイーが欠かせない。
ある一族があり、その中に飛び切りの大金持ちがいて、皆の面倒を見てくれる。しかし旅先である若い女性と結婚し、空襲で不慮の死に遭遇。 ちょうど遺書を書き変えていた最中であり、遺産はすべてその若い女性が相続することになった。しかもそれを指揮しているのが自称・兄である…。今まで安楽に暮していた一族が望むのは当然若き未亡人の死であることは言うまでもない…。 こんな分かり切った設定でもクリステイーは見せ場を作るのだから凄い。 |
No.283 | 6点 | チムニーズ館の秘密- アガサ・クリスティー | 2012/07/11 17:18 |
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チムニーズ館は歴史を作り、刻んだイギリス社交界の名門。そこで某国の王子が射殺される…。しかし物語りに悲壮感はなく、ドタバタ的にどんどん先に進む。
最後は、主人公というべき男の正体に驚いてしまうが、クリスティは「時間も掛からず、楽しんで書いた」というから軽い乗りで読むべき冒険ミステリ。 |
No.282 | 6点 | ゼロの罠- ポーラ・ゴズリング | 2012/07/07 13:36 |
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たまたま軍用機に乗っていた民間人9名が誘拐される。薬で眠らされ、目が覚めたときはフィンランドの最北地にある大きな別荘の中にいた。そこには食物、生活必需品が完備されていたが、真冬の北極寄りということで、建物の外に出ること、すなわち死を意味していた。
なんとも大胆な設定の「密室」で、胸をわくわくさせながら読んだが、それほどスリリングな話にはならず、結末も物足りなかった。 |
No.281 | 6点 | 運命の息子- ジェフリー・アーチャー | 2012/06/23 09:53 |
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大ベストセラーの「ケインとアベル」ほど壮大ではなかったが、ストーリー進行は似ている。ただ、こちらは殺人容疑による法廷シーンがあり、ミステリ色が濃かった。
ある夫婦に双子の兄弟が誕生した。同時に、資産家の息子も生まれたが、早産で未熟児。最初の夜を越せなかった。その資産家の女性は何度も流産しており、これが最後のチャンスだった。 早朝にそれを発見したベテラン看護婦は、思わず双子の片方と死産した赤ん坊を入れ替えてしまった…。ここまではよくある話だが、これからがこの作者の力量、息をつかせない進行は独特で、特に主人公を助ける妻と、親友の設定が実にうまい。 |
No.280 | 10点 | ケインとアベル- ジェフリー・アーチャー | 2012/06/18 13:59 |
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久しぶりにスケールの大きな物語を読んだ。発刊後はテレビ化され、これも大評判を呼んだそうだが、何しろ題材が抱負であり、名のある脚本家なら問題はなかったはず。
特に最後に、老いぼれたケインとアベルがすれちがうシーンは格別の見せ所だったのではないか?ただひとつの謎であるアベルに投資したのは誰か?は容易に分かり、ミステリとして見るなら物足りないだろうが、ここに登場して採点するならとてもマイナス点にできない。 |
No.279 | 7点 | 謎のクィン氏- アガサ・クリスティー | 2012/06/07 15:23 |
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サタースウェイト氏はイギリス上流社会のレギュラーと言うべき存在だが、特に大金持ちというわけではなく、階級?的にも目立たない男。しかし、人間関係のひずみには超人的?な嗅覚を持つ。
そして、その場には必ずクイン氏が登場し、サタースウェイト氏の推理、疑問に一石を投じる。ほんの一言助言するだけだが、そのヒントでサタースウェイト氏は鮮やかに事件を解決する短編集だ。 ミステリ的な要素の少ない作品もあるが、どれも重みががあり、アガサ・クリスティという作家の底力を感じさせる。 |
No.278 | 6点 | ロシア皇帝の密約- ジェフリー・アーチャー | 2012/05/30 17:57 |
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この作家は二冊目だが、今回も映像のようなスピード感で息つく暇を与えない。
ロシア皇帝崩壊の後に残された自由国との密約がイコンの中に隠されているという。それがあればロシアはアメリカの一州を買い上げることが出来、そこにロシアの基地を作って…。 そのイコンをイギリスの若き元大尉が父親の遺言に則って譲り受けるが、当然ロシアのKGBに追われる羽目になる。そのKGBの刺客が怪物っぽく、まるで007の映画を見ているようだった。 |
No.277 | 5点 | フロスト日和- R・D・ウィングフィールド | 2012/05/27 13:15 |
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まずは少女失踪、浮浪者、警察官が殺される事件。その根源とされる森の連続婦女暴行魔と、ノンストップで事件が続く。それを例によってのらり、くらりと片付けていくフロスト警部。
(ネタばれ注)、しかし、時折見せる「ひらめき」が事件解決の決め手になり、存在感を際立たせるのだが、最後に残った森の連続暴行が、物語の終わりに登場した男の犯罪だったなんて、ミステリの分野から余りに逸脱していないか? |
No.276 | 5点 | ブルー・ヘブン- C・J・ボックス | 2012/04/23 20:18 |
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史上初の新人賞4冠を受賞した作家と言うことで期待した。ミステリと言うより完璧なサスペンス。「読み出したら止まらない」の常套句どおり、リアルなスピード感は満喫したが、ほとんど謎はなかった。
ただ、一読に値する作家だと思う。 |
No.275 | 7点 | 緑は危険- クリスチアナ・ブランド | 2012/04/14 18:20 |
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最初は読むのをやめようかと思うほど重々しい流れだったが、中盤から輪郭がはっきりしてきて、ゾクゾクする展開になった。
トリックについてはほとんどあれしかないと思っていたが、全体的に良くできたミステリーの見本のような小説だった。後半はクリスティを読んでいるような気がした。 |
No.274 | 7点 | スリーピング・マーダー- アガサ・クリスティー | 2012/04/06 16:00 |
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新婚の夫は仕事で海外に。その妻が家さがしに出掛けるが、なかなか夫婦の条件に叶う家がない。あきらめかけたその時、一目見ただけで気に入った家は、幼少のころ自殺?した父と一緒に住んだ家だった…。
謎が謎を呼ぶ設定はクリスティならではのものと思う。途中で犯人が分かってしまったが、18年前の殺人事件なので証拠がなく、ミス・マープルも最後は危険な手段を選ぶ。 |
No.273 | 5点 | 最後の旋律- エド・マクベイン | 2012/04/04 18:20 |
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87分署最後の物語。おなじみの刑事達が連続射殺魔を追う。警察側と、射殺犯人側とで交互に進展していくので、謎ときの面白さはないが、犯人を追いながら垣間見せる刑事たちの実生活と、犯人の動機解明がおもしろい。
それでもテレビ向きというか、脚本のような感じで全体的に味付けが薄い。 |
No.272 | 7点 | 野獣死すべし- ニコラス・ブレイク | 2012/04/02 16:41 |
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題名のイメージより繊細で、精緻を極めた物語だった。大事な息子をひき逃げされ、警察を頼らずに自分で復讐しようと行動した矢先に目撃者に出会う僥倖。
前半は日記による復讐劇の披露、そして後半は一転、一触即発のミステリになるわけだが、半世紀以上前の作品とは思えないスピード感があった。 |
No.271 | 6点 | 三つの棺- ジョン・ディクスン・カー | 2012/03/24 01:09 |
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密室における薀蓄はすごい。そして、フェル博士による解決も鮮やかだった。しかし、あまりに偶然的幸運が多くないか?
実際、難解な事件、迷宮入りの事件はほとんどが偶然的要素による産物だと考えられるが、今回は読者が事件を解決するには少し無理があるのではないかと思う。 世界一の本格派なのに、この作者とはどうも相性が悪く、次の作品を読むにはまた時間が必要かも知れない。 |
No.270 | 6点 | ロードサイド・クロス- ジェフリー・ディーヴァー | 2012/03/18 15:27 |
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終盤はどんでん返しの連発!そんな作家なので構えて読んでいたが、案外そうでもなかった。
今回は「青い虚空」、「ソウル・コレクター」に次ぐパソコン関係の事件を、人間の表情や動作で心理状態を読み取る「キネシクス」専門の捜査官・キャサリン・ダンスが追う。 もうひとつ、自分の母親(看護婦)が患者を安楽死させたのかどうかという事件も絡んで内容を膨らませているが、全体的に小粒の感じがした。 |