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迷宮
清水義範 出版月: 1999年06月 平均: 5.17点 書評数: 6件

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集英社
1999年06月

集英社
2002年05月

No.6 5点 E-BANKER 2013/09/15 21:27
1999年発表。作者はミステリー作家という感じではないが、多数の著作を持つ、知る人ぞ知る人物。
本作は前から気になってた作品だったのだが・・・今回縁あって手に取ることに。

~24歳のOLがアパートで殺された。猟奇的犯行に世間は震え上がる。この殺人をめぐる犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書・・・。ひとりの記憶喪失の男が「治療」としてこれらさまざまな文書を読まされていく。果たして彼は記憶を取り戻せるのだろうか。そして事件の真相は? 視点の違う“言葉の迷路”によって、謎は深まり闇が濃くなり・・・名人級の技巧を駆使して大命題に挑むスリリングな異色ミステリー~

正直よく分からなかった・・・
そんな感覚が残った。
紹介文のとおり、冒頭からひとりの記憶喪失の男性が、「治療師」と呼ばれる男からつぎつぎと文書を読まされる展開が続いていく。
中盤~終盤と進むほど、徐々に犯罪の全体像は分かってくる。男や治療師の正体も当初よりちらつかされてはいるのだが、これは「ミスリード」だろう、という思いで読み進めていくことに。
で、当然ラストには事件全体の構図が判明するのだが、これが何ともモヤモヤしている。

結局作者は何がしたかったのか?
これがはっきりしないのがモヤモヤの主因かな。
普通に考えれば、叙述系のトリックが仕掛けられていて、ラストにはひっくり返される・・・というのをついつい予想していたのだが、それほどそんな感じでもなかったしなぁ・・・
まさにタイトルどおり、作品全体が徐々に「迷宮」に入り込んでいくような感覚、それこそが作者の書きたかったテーマなのかもしれない。

文庫版解説では二度読みを勧めているが、ちょっとキツイかなと思った。
期待が大きかっただけに尚更ギャップを感じた次第。
(眠い時間帯に読んだのがいけなかったのかも。ついつい読みながらウトウトしてしまったような気が・・・)

No.5 6点 akkta2007 2012/02/10 23:17
ぐいぐいと引き込まれることには違いないが・・・・
何となく好きになれない作品であった。
最後の結末も「これで終わり?」的な感じで、個人的には・・・・であった。

No.4 5点 メルカトル 2011/12/10 21:42
一つの猟奇殺人を、上から横から斜めから、あらゆる角度から検証し突き回して炙り出す手法は、さすが清水氏と感心させられる。
しかし、残念ながら全体がベールに覆われたような感触で、どうにもスッキリしない。
解説にある通り、再読するとまた違った面が姿を現すのかもしれないが、そこまでの気力はない。
決して嫌いな作風ではないが、最後までモヤモヤした感じが拭い去れなかったのは、己の読解力の無さゆえなのだろうか。
著者の意図が十分に汲み取れなかった自分の不甲斐なさが残念な限りである。

No.3 4点 makomako 2011/10/09 09:10
あんまり好きではない。こういった異常な性格の主人公はどうもいけない。小説の出来としては悪くないとは思うけど。

No.2 5点 haruka 2011/07/13 02:32
記憶喪失の「私」、謎の「治療師」、徐々に明らかになっていく事件の全貌。冒頭から様々な謎が提示され、物語に惹きこまれる。猟奇殺人を題材にしているため、本格ミステリーと思って読み進めると肩透かしを食らう。本書でも著者の十八番であるパスティーシュが効果的に生かされており、「表現すること」とは何かを考えさせられた。

No.1 6点 シーマスター 2011/07/11 23:06
(毎度ながら)帯にひかれて衝動買い。 (牛にひかれて善光寺参り、ではない)


ストーリーの大半が、記憶喪失になった「私」が「治療」と称して、ある猟奇殺人に関する記録や記事を次々と読まされることから成っている。
果たして私はこの事件の犯人なのか?

一つの殺人事件が様々な角度からとは言え、繰り返し語られるので少々飽きてくるが最後にこの小説の「意図」が明らかになる。しかし最後の最後は・・・・・?

本作は現在公判中の英国人女性殺害事件と若干重なる雰囲気があり、そのぶん少し印象的な作品だった。刑務所で読むのに最適かもしれない。


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清水義範
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