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[ サスペンス ]
羊たちの沈黙
レクター博士
トマス・ハリス 出版月: 1989年09月 平均: 6.11点 書評数: 9件

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新潮社
1989年09月

新潮社
2012年01月

No.9 5点 虫暮部 2024/03/01 13:52
 面白くないわけではないが、素材のポテンシャルで引っ張れる以上に長く引き伸ばし過ぎ。捜査陣が勢力争いでゴタゴタするあたり皮肉が利いていて良いとは思うが、過積載の一因にもなっている。また、終盤にこれといった大きなサプライズがあるわけでなく、サスペンスが最も高まるべき人質救出の場面が消化試合になってしまった。

No.8 5点 メルカトル 2021/06/17 22:54
FBIアカデミイの訓練生スターリングは、9人の患者を殺害して収監されている精神科医レクター博士から〈バッファロゥ・ビル事件〉に関する示唆を与えられた。バッファロゥ・ビルとは、これまでに5人の若い女性を殺して皮膚を剥ぎ取った犯人のあだ名である。「こんどは頭皮を剥ぐだろう」レクター博士はそう予言した…。不気味な連続殺人事件を追う出色のハード・サスペンス。
『BOOK』データベースより。

アカデミー賞主要5部門を受賞した映画『羊たちの沈黙』は名作でした。アンソニー・ホプキンスやジョディ・フォスターの演技も去る事ながら脚色の手腕は大したものだったのだと、原作を読んで思いました。これを先に読んでいたら映画を観なかったかも知れません。それ程映画が秀逸であり、最早原作を軽く超えてしまった珍しい例ではないかと思います。
私は旧訳で読みましたが、まず原著の文章が上手くない、そして翻訳も不味いと感じました。細かい所は抜きにして、取り敢えずミスタはミスター、ミセズはミセス、ハニバルはハンニバル、ハナはハンナ、テイプはテープ、キャザリンはキャサリン、ガは蛾に直すべきと感じます。他にも色々ありますが。確かに英語の発音ではそうかも知れませんが、そこは日本語訳として日本人に馴染んだ単語に変換すべきでしたね。

映画が映画だけに期待していましたが、残念な結果に終わりました。これじゃごく普通のサスペンスに終始してしまって、見所はレクター博士の語る言葉のみでは淋しい限り。クラリスの芯の強さは印象に残りますが、彼女とレクター以外個性的なキャラも見当たらないし、映画の様な刺激的なシーンもありません。蛾の繭が口中に入れられていた理由もパッとしませんでした。もう一度レンタルで借りて観たほうが良かったかも。

No.7 5点 レッドキング 2019/02/12 18:29
二人のモンスター「ドクターレクター」と「バッファロービル」が実によい。テーマは「皮」。「皮」を利用した「密室」消失トリックが、もっときっちり作り込まれていて、「皮」を主題にした連続殺人犯特定のロジックがキチンと展開されていたら、本格物としても傑作になっていたろう。惜しい。

No.6 5点 いいちこ 2016/11/30 16:30
収監中の連続殺人犯を探偵とし、主人公を助手とした変則的な安楽椅子探偵形式であり、その着想は評価。
また、サイコ・サスペンスの金字塔と謳われるだけあって、サスペンスにも一定の評価はするものの、真犯人や犯行動機を小出しにするプロットの影響で、衝撃的なサプライズは演出できていない

No.5 6点 蟷螂の斧 2016/06/18 06:38
(東西ベスト第9位)ジョディ・フォスター監督が映画宣伝(マネーモンスター)の為来日。女優業としては、本作「羊たちの沈黙」が彼女の代表的な作品となるのでしょう。映画の印象が強く残っており、中々手に取りづらいものがありました。ベスト10作品でありながら、本サイトで書評数が少ないのは同様の理由からなのかもしれません。いま一つ高評価をつけづらかったのは、物語の配分かな?。エピソードが分散されてしまった印象です。レクター対クラリス、および犯人対被害者の緊迫した場面をもっと多く中心に、と期待したためです。

No.4 7点 2014/01/15 15:49
超有名な傑作サイコ・サスペンス映画の原作です。
今では新訳版(上下2分冊)が出ていますが、読んだのは旧訳版。

本作は連続猟奇殺人鬼であるバッファロゥ・ビルを、FBIの女性訓練生であるクラリス・スターリングらが追う捜査物語ですが、それにくわえて、強烈な個性の持ち主である収監中の殺人鬼、精神科医レクター博士が関わってきて、映画同様、異色警察ミステリーとして出色の出来ばえとなっています。
捜査のために天才殺人鬼が捜査官にアドバイスするという発想は、本当に凄い!

メインの事件のほうでは、バッファロゥ・ビルがなぜ、ある特徴的な女性を連続して狙ったか、という謎があります。この真相には仰天します。強烈なレクターの映像のためか忘れてしまいましたが、映画版でも同じだったのでしょうか。

主要な登場人物の心境描写がていねいに描いてあることは、小説ならではの特徴です。サイコ物だからその効果は抜群です。このわかりやすすぎる描写が売れた理由なのでしょう。ただ、言葉ではなく表情や効果、雰囲気で心境を表現する映画のほうがサスペンスとしてはわずかに勝っていたかな、という印象です。もちろん総合的には互角です。

No.3 6点 江守森江 2011/02/20 06:14
最初に映画版を観たのは10年以上前だったハズで、その時はレクター博士のキャラとプロファイリングが少し面白く感じた程度だった(サイコな部分は早送り)
最近、映画版を再視聴する機会があり、ついでに原作もおさらいした(おさらい読書に加えて会話主体の文章なので時間は要さなかった)
ハッキリしたのはサイコ・サスペンス系にプロファイリングを絡めた作風は映画もドラマ(クリミナル・マインドとか)も小説もさほど好きではない事で、更に始末に悪いのは(←スルー出来ない性格なので)観たり読んだりしてしまう事だろう。
制作されなければ観たり読んだりしないで済むのだから、本作が世界的に映画共々大ヒットした事が全ての元凶だろう。
その意味で、私的に大いなる時間の無駄を生み出した偉大なる作品とでも評しておく。
※ボヤキ
まだ家庭で映画やドラマ視聴なら早送りが出来るだけマシかもしれない。

No.2 8点 kanamori 2010/07/25 21:32
映画&原作本とも大ヒットした本書は、やはり”サイコ・サスペンス小説の傑作”で、その呼称は揺らがないと思います。
物語の本筋は、FBIの女性訓練生スターリングが、女性の皮をはぐ連続殺人鬼<バファロー・ビル>を追うというストーリーなんですが、脇役であるはずの精神科医”人喰いハンニバル”ことレクター博士の存在感があまりにも突出していて、その特異なキャラクターが物語全編を支配しています。
収監中のレクター博士がスターリングにアドバイスするシーンでは、彼が一種の安楽椅子探偵かと思えてきました(笑)。

No.1 8点 itokin 2009/04/16 20:39
とにかく不気味な怖さで最期まで引っぱってくスリラー性の強い作品。特異な殺人鬼、レクター博士、どくろの蛾と巧に構成された謎解き、描写も作者の才能の高さがうかがい知れる、しかし、私としてはこうゆうのは少し苦手です。


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