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[ 時代・歴史ミステリ ] 修道士の頭巾 修道士カドフェル |
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エリス・ピーターズ | 出版月: 1991年05月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
社会思想社 1991年05月 |
光文社 2003年05月 |
No.2 | 6点 | 空 | 2023/05/30 22:42 |
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原題 "Monk's-Hood"、直訳すれば確かに修道士の頭巾なのですが、トリカブト(鳥兜)のこと。英語でも日本語でも、似たような発想の名前のついた植物なんですね。もちろん猛毒として知られていますが、塗り薬としては効果的なのだとカドフェル修道士は説明して治療に使っています。取り扱いには気をつけろと注意されてはいても、西暦1138年のことですから、現代のような厳重管理というわけにはいきません。
この作者を読むのは初めてなので、他作品と比べてどうなのかはわかりませんが、謎解き的興味はそれほど高くありません。文学的な味わい以外では、むしろカドフェルが容疑者にされた少年をかくまった後、少年が見つかり、馬に乗って逃げ出して、というサスペンス系的な顛末が楽しめました。 意外性は、殺人動機に関するものだけと言っていいでしょう。単純ですが、中世の地理的条件を利用していて、なるほどと思わせられました。 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2015/10/11 22:18 |
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(ネタバレなしです) 1980年の修道士カドフェルシリーズ第3作でCWA(英国推理作家協会)のシルバー・ダガー賞を獲得した作品ですが、シリーズの中で特に突出しているとは思えません(といっても受賞がシリーズの知名度を上げたことは疑いないでしょう)。カドフェルがある理由で遠隔地に赴き、それが事件解決につながるプロットは上手い展開だと評価するか好都合すぎると評価するか悩みます。謎解きとしては特に凝った仕掛けはなく、人間ドラマを楽しむのがよいかと思います。カドフェルが第三者の立場でないのが新鮮で、周囲の目を気にしながらの探偵ぶりが面白いです。修道院のヘリバート院長の進退問題と彼の地位をねらう一派の思惑もサイドストーリーとして楽しめます。 |