皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] カマフォード村の哀惜 フェルス一家 |
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エリス・ピーターズ | 出版月: 2010年05月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
長崎出版 2010年05月 |
No.1 | 4点 | nukkam | 2016/06/25 18:16 |
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(ネタバレなしです) 英国の女性作家エリス・ピーターズ(1913-1995)は修道士カドフェルシリーズの歴史本格派推理小説で世界的に有名ですがこのシリーズが発表されたのは1977年からと意外に遅いです。作家活動自体は1930年代にまでさかのぼることができますが最初はミステリーでない歴史小説の分野で活躍し、本格的にミステリーを書くようになったのは1950年代になってからです(但し1930年代にも別名義で若書きのミステリーを書いてはいたようです)。本書は1951年発表のフェルス一家シリーズ第1作ですがまだ文章が硬く、人物の描き分けが上手くなくて後年の作品群に見られる人間ドラマとは雲泥の差です。謎解きも中盤まで盛り上がりに乏しく終盤になってようやく巻き返してはいますが本書ならではという個性が感じられません。作者もこれでは駄目だと感じたのかシリーズ次作の「死と陽気な女」(1962年)を発表するのに10年以上かけています。本書はまだ習作レベルというべきでしょうか。 |