皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 社会派 ] グロテスク |
|||
---|---|---|---|
桐野夏生 | 出版月: 2003年06月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 5件 |
![]() 文藝春秋 2003年06月 |
![]() 文藝春秋 2006年09月 |
![]() 文藝春秋 2006年09月 |
No.5 | 5点 | ぷちレコード | 2025/09/06 21:24 |
---|---|---|---|
一流企業のエリートOLでありながら、夜は街角で体を売る和恵。和恵と同級生であった区役所勤めの主人公。その妹で美貌を持つ娼婦ユリコ。階級社会を縮小したような一流女子高校での鬱屈した日々とその後の人生が、それぞれの独白や手記という形で綴られていく。
空気の読めない言動で学校でも職場でも居場所を失っていく和恵と、美しさで男たちを翻弄してきたユリコ。全く違う個性の二人が、最後は同じ場所で下層の娼婦として殺される。何より恐ろしいのは事件よりも、美しすぎる妹への嫉妬心と、同級生への悪意を肥大させ怪物化していく主人公の心の闇である。 |
No.4 | 6点 | レッドキング | 2024/01/24 22:05 |
---|---|---|---|
昼は大企業管理職にして夜は街娼、二重生活を送ったアラフォーOL殺害事件。世に言う「東電OL殺人事件」実話をモデルに、同門のハーフ姉妹や同級生、密入国中国人等のフィクションを重ねた多重解決「ハーフ」ミステリ。第一人称叙述と第二人称描写の落差・・特に、中国人被告の上申書の迫力と、被害者日記の胸打つ絶望感を、どんでん返しさせる他者描写・・がコミカルなまでにグロテスク。 |
No.3 | 5点 | 文生 | 2023/11/23 20:18 |
---|---|---|---|
未解決の東電OL事件を下敷きにしていますが、綿密な取材や作者の推理によって事件の真相に迫っていくような作品ではありません。事件は結果にすぎず、作者が心血を注いで描写しているのはそこに至るまでの主人公を始めとした女性たちの心のありようです。しかし、これがタイトルの通りグロテスクそのもので読みながらこちらの精神が削られていきました。大変な力作とは思うものの、ミステリ興味とはほど遠く、エンタメの要素も皆無なのが読み手としてはつらいところです。 |
No.2 | 5点 | HORNET | 2021/12/25 22:24 |
---|---|---|---|
飛びぬけた美貌を持った妹への嫉妬に囚われ、学歴とキャリアで自分を保とうとする女。美貌だけが自身の存在意義のその妹。それらの俗的な世界を高みから見る才女。才女に憧れ、必死の努力で追いつこうとする女。
それぞれの数奇で悲惨な運命を、手記という形でグロテスクに描く。 良くも悪くも、典型的な筆者の作品。興味深く読み進められるが、結末らしい結末はない。それこそが一番筆者らしいのだが。 |
No.1 | 4点 | 3880403 | 2011/04/30 03:02 |
---|---|---|---|
途中まで(学生時代くらいまで)は面白く読めたが、
そのうち気持ち悪い描写が多くなっていくのでキツい。 タイトル通りグロテスク。 |