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[ 本格/新本格 ]
抹殺ゴスゴッズ
飛鳥部勝則 出版月: 2025年08月 平均: 8.33点 書評数: 3件

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早川書房
2025年08月

No.3 8点 メルカトル 2025/11/04 22:24
ゴッドが好きな高校生の詩郎が出逢った、自分が空想で創ったはずの神の正体とは……? 地元の名士が殺害され、脅迫していたという謎の怪人・蠱毒王とは何者か……? 二つの迷宮的な事件が複雑怪奇に絡み合い、恐ろしいカタストロフィが待ち受ける本格超大作!
Amazon内容紹介より。

短編を挟みながら遂に大長編を引っ提げ復活したかと思われたのですが、昨年『フィフス』という同人誌で既にこっそり復活を遂げていた飛鳥部勝則。いずれにしても有志と共に祝いたいですね。
本作は令和と平成の二部構成で交互に配置されています。勿論登場人物もそれぞれ違います。令和パートは冒険譚を挟みながらの青春小説の様相で、名画をモチーフにした辺りはらしさが出ています。平成パートは乱歩さながらの雰囲気満点で陰鬱な空気が漂っています。

流石に長かったとの印象は否めませんが、最終盤の畳み掛けるような展開は圧巻で、感動しました。又不思議な高揚感に包まれました。永きに亘って待った甲斐があったというものです。ただそれまでがやや地味で所謂鈍器本なので、今年のベスト10に入って欲しいと思っていますが、難しいかな~。

No.2 7点 レッドキング 2025/10/19 20:21
なんと久しゅう*飛鳥部勝則、新作ミステリ。ゴス・ゴッズ=ゴシックなゴッド達=奇怪な神々。十五年ぶり長編ミステリは、「大乱歩」オマージュと、十八番アートねた物の接合「大作」で、飛鳥部風の変態悪趣味**満載(それも、またよし)。本格具合は・・うーん、合格点はクリアかなぁ・・点数、復活ご祝儀相場。

* 近年、突然に短編出て来て、 嗚呼、無事に生きてたんだ(なんたる無礼 な "(-""-)" )と詠嘆。
** 二十歳そこそこで小説書いた麻耶雄嵩レベルの、「翼ある闇」超俗的とり澄ましと、「夏と冬の奏鳴曲」の眼を背けたくなる程の生臭い情感を、還暦過ぎに至るまで、払拭できない(であろう)感性。坂口安吾が書いてたな ” 青春二度と帰らず、は美しいが、青春未だ去らず、は情けない ”って。あと、誰だっけ? ” 十八歳でドストエフスキーに夢中にならない奴は見込み無いが、四十過ぎても夢中になってる奴はどうしようもない” とか。ま、いいや、これからも「本格」書き続けてチョ、門前典之とあんた(どーも麻耶はダメっぽく)にはキタイしてるヨ(ー_ー)!! 

No.1 10点 虫暮部 2025/10/04 13:05
 “あの頃僕は神を愛していた。”

 何て素晴らしいイントロ。或る種の小説は、文体によって成立している。或る種の小説は、物語性よりも世界観の構築によって成立している。
 その中でもこれは驚嘆すべき存在だ。だから、その “世界” の濃度に圧倒されて、相対的にミステリ的な謎解きが卑小に感じられても構わないのである。そもそも作中の仕掛けの多くは普通に読めばバカミスだろう。ところが、その全てをアリにする世界が、言葉の力によって私の眼前に立ち現れたのだから、抵抗しようが無いじゃないか。
 いい加減長かったけど、まだ終わるなと願いながら読んだ。ズブズブ分け入った彼岸から、最後に一歩こちら側へ戻って来る終章も完璧。あ、でも正直に懺悔すると、桜とカナヨの区別がイマイチ付かなかったな。


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飛鳥部勝則
2025年08月
抹殺ゴスゴッズ
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