皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 難問の多い料理店 |
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結城真一郎 | 出版月: 2024年06月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 4件 |
![]() 集英社 2024年06月 |
No.4 | 6点 | HORNET | 2025/04/15 22:22 |
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"ビーバーイーツ"の配達員が注文を受けて向かったレストランには、超イケメンのオーナーシェフが。シェフは、商品の配達だけでなく「お願いがあるんだけど…」と怪しげな依頼を提案してくる。どうやらこのレストランは、メニューの注文を符丁にして調査依頼を請け負う影の探偵社らしい。―「空き室に届き続ける置き配」「謎の言葉を残して火災現場に飛び込んだ女」「指のない轢死体」…不可思議状況を鮮やかに解決する、"シェフ探偵"の連作短編集。
各短編で提示される謎がどれも魅力的で、一話一話のリーダビリティが高い。人死にの事件もありながら、そのリドルストーリーは日常の謎風。ただ断片的な情報から真相を看破する展開はかなり飛躍があり、読者は当て推量はできるものの推理は無理かな。 奇抜なメニューを注文することで暗号的に探偵と依頼者がつながるという設定だが、それは物語の色付けになっているだけで謎解きに影響はない。そう考えると、このような物語設定に必ずしもする必要はなかったような… |
No.3 | 6点 | まさむね | 2024/12/07 20:11 |
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レストランのオーナーシェフが探偵役を務める連作短編集。
1話目を読んだ時点では、あれれ?といった印象もあったのですが、徐々に盛り返してくれた感じ。相棒?となるフードデリバリー配達員が各話ごとに異なっているのも、背景に変化が出て良かったと思います。 一方で、自分がフードデリバリーを利用しないからなのか、多少入り込みにくかった面も。総合的にこの採点で。 |
No.2 | 7点 | 人並由真 | 2024/08/25 16:08 |
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(ネタバレなし)
全6編の連作短編。 探偵役は同じで、毎回のワトスン役の方が交代する趣向というのがちょっと面白く 適度に話のバリエーションを感じさせた。 (名前未詳の探偵役というのは、隅の老人や三番館シリーズなど同様、この手の一種の安楽椅子探偵もののトラディッショナルという印象だが。) 各話は日常の謎と犯罪事件とのグレイゾーンのようなものが多く、その辺は「ブラックウィドワーズ・クラブ」などを想起させるが、個人的にはなかなかオモシロイ(読み手の興味を刺激する)謎のネタがあって楽しい(切断されていた指の件や、置き配の件など)。 最終的には、あくまで真相の仮設であり思考実験的な決着に至る解決も多いが、その上で作者らしいロジカルさが随所に伺え、心地よかった。 連作短編集としては最後のエピソードで一区切りを迎えたので、続きはないかもしれないけれど、もう一二冊くらい、同じパターンでの続刊があってもいいかとも思う。 |
No.1 | 7点 | メルカトル | 2024/08/12 22:22 |
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ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の僕は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。
彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は1万円」と、噓みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。 そうして多額の報酬を貰っているうちに、僕はあることに気づく。 どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしいと。 Amazon内容紹介より。 第一話がやや低空飛行で第二話で上昇し、又下降するの繰り返しで評価が難しいです。つまり奇数話はまずまずで、偶数話はかなり面白いという感じ。 それにしても探偵役、というか裏稼業で探偵をしているシェフが謎過ぎて内面が窺い知れません。外見のディテールははっきしりているのですが、何を考えているのか分からない不気味さがあり、得体の知れなさが浮き彫りになっています。名前さえ与えられていない探偵というのはどうなんでしょうねえ。 採点はやや甘めで、どうしようか迷った末最終話が結構盛り上がったので、この点数にしました。何となく期待していなかったのですが、その期待は上回ったと思います。 真相自体は何でもない様に思えても、それを解明する過程が面白いので、その意味では高評価です。最終話>第四話>第二話>>>>その他。意表を突かれる様な結末もあったりして楽しめます。 |