海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
奇岩館の殺人
高野結史 出版月: 2024年02月 平均: 5.67点 書評数: 3件

書評を見る | 採点するジャンル投票


宝島社
2024年02月

No.3 7点 人並由真 2024/08/15 09:36
(ネタバレなし)
 面白かった。素直なフーダニットのパズラーじゃ全然ないんだけど、誰が……の興味を織り込みながら、舞台劇のような、いささかイカれてやや悪趣味なサスペンスミステリを展開していく。

 いちばん近い作風で言うなら、1950年代のポケミスの中にありそうな、ひねった趣向で勝負の技巧派系。トマス・スターリングとかパット・マガーとかあっちの傾向か。

 作者はセンス的に、ミステリが「わかってる」人だと思う。
 次作に期待。既刊作もそのうち、読んでみよう。

No.2 7点 文生 2024/07/01 20:24
犯人役が被害者役として雇われたバイトを殺害して、富裕層のゲストに探偵役を楽しんでもらうリアルミステリーゲーム。
そのカラクリに気が付いた主人公がなんとか殺されるのを回避しようとし、また、運営側もアクシデント続出のイベントを完遂すべく場当たり的な対応に追われるという悪戦苦闘ぶりが楽しい。一方で、本格ミステリとしては最後にちょっとしたどんでん返しはあるものの、そこまで凝った仕掛けがあるわけではありません。しかし、ブラックユーモアを散りばめたクローズドサークルミステリーのパロディとしては十分に面白い作品でした。

No.1 3点 makomako 2024/06/27 20:25
本格推理小説はトリックが話の重要な役割となることは間違いないのですが、トリックだけを突き詰めた形にすると無機質で殺人をお遊びとしてしか認めないところへいってしまう。
私は本格ものが好きですが、こういった突き詰めた形のお話はどうしても拒否反応が出てしまいます。
人をものとしてしか扱わず、それを楽しんでいる姿勢が嫌なのです。
本格ものの傑作はトリックにバラバラ殺人など残酷なお話もありますが、殺人事件そのものを登場人物が楽しんでみているというものではない。
この小説は古典的な本格ものを根底にしてひねった形を示してはいるのですが。こういった傾向のお話は好きになれませんでした。


キーワードから探す
高野結史
2024年02月
奇岩館の殺人
平均:5.67 / 書評数:3