皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] 夫の骨 |
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矢樹純 | 出版月: 2019年04月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 4件 |
祥伝社 2019年04月 |
No.4 | 7点 | ミステリーオタク | 2024/07/30 22:12 |
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うゎ、またしてもやってしまった・・・・自室の、気の向くままにネットで買い溜めしてきた文庫本の山の中に本書が2冊・・・
まぁ、しょうがない。気を取り直して気になっていたこの短編集に取っ掛かる。 《夫の骨》 この作者らしい曲者ぶりがよく出ている。 《朽ちない花》 途中かなり面白い話になりそうな流れを感じたが、終わってみれば個人的にはそこまでは盛り上がらなかったかな。 《柔らかな背》 昨今時々見られる○○○を使ったミステリだが、その類いとしては、まぁ普通かな。 《ひずんだ鏡》 前作に続いてソッチ系が絡むが、主人公の心理葛藤や予想外の展開は深刻な話のようでもあり喜劇のようでもある。 《絵馬の赦し》 これは・・・・・う~ん・・・・ 母親とは何か。 《虚ろの檻》 前作までウェットな家族の問題ばかりの作品がここで一変して突然ワイルドな話に。(以前に読んだこの作者の短編集「妻は忘れない」でも似たような変異パターンがあった) 漫画原作家でもある作者の一面とも言えるのかも。 《鼠の家》 再び湿った家族物に戻るが、作者らしい捻りが効いているなかなかのサスペンス。 《ダムの底》 この作者にしては珍しい(?)男目線で語られるファミリーストーリー。更に珍しく折原張りの「騙し」が使われている。 《かけがいのないあなた》 最終作は・・・・そう纏めてきたか・・・ この人の文章はとてもよみやすいが、他の方も指摘しているように時々突然時系列がジグザグして混乱させられることがある。それでも気にせず読み進めていけば見えてくるようになっているので慣れればさほどの支障にはならない。というか故意の所作である気がしなくもない。 それはともかく個人的には、あまり明るくない作品に混じっての意外なグッドエンドの○編の読後感がとてもよかった。 |
No.3 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2023/09/04 08:33 |
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①夫の骨 8点 夫は義母の後を追うように亡くなった。遺品を片付けていると、赤子の骨が出てきた。義母が産んだに違いないが・・・まさか夫の?(夫が高校生のとき、義母(後妻)は30代だしなあ)
②朽ちない花 5点 私は癌検診の後に別室に呼ばた。お金がかかる。私は姉に彼氏を取られていた。意地悪な姉からお金を・・・倒産(相手の男もどうなのかなあ) ③柔らかな背 7点 孫から電話。オレオレ詐欺か?。預金通帳を見ると残高がない。同居の娘が引き出したに違いない・・・介護士(殺人の意味がよく分からん。認知症?) ④ひずんだ鏡 6点 妹が妊娠、結婚するという。私は彼氏から振られたばかり。ポシェットのお金が半分減っていた。いったい誰が・・・顔認証(叙述のつもり?) ⑤絵馬の赦し 7点 娘は中学受験を控えていた。そんな時「あること」で二度と関わらないと約束していた夫の又従妹から電話。妊娠したという・・・合格祈願(娘が愛おしい) ⑥虚ろの檻 4点 別荘の管理人の私。隣に大きな檻が設置され、狂犬病らしい犬が入れられた・・・殺意(奇をてらい過ぎ) ⑦鼠の家 7点 血のつながっていない妹が家出して10年。その間、母は彼女の痕跡を消そうとしていた・・・殺人?(屋根や床下にある歯まで、念の入れすぎ(笑)) ⑧ダムの底 6点 引きこもりの娘が突然ダムに行きたいという。盗品の証拠品を捨てるらしい・・・父にも捨てたものがあった(トリックは新鮮味に欠ける) ⑨かけがえのないあなた 8点 FXに失敗した夫。妻は保険金を手に入れるため、夫を殺さなければならない。昔の愛人(今はヤクザ)に手伝ってもらい自殺に見せかける・・・子供のDNA(プロットがいい) |
No.2 | 6点 | メルカトル | 2019/10/16 22:47 |
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昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。
『BOOK』データベースより。 サスペンスとして登録されていますが、もう本格ミステリで良いんじゃないでしょうか。何しろ『イニシエーションラブ』が本格扱いされている訳ですから、本作は超本格ってことになりませんかね。 どれもこれも○○を前提として書かれているので、その意味では確かになるほどと思いますが、どうも構成や文章に問題がありそうな気がしますね。時系列がバラバラでいきなり場面が切り替わり、一瞬?となる個所が幾つもありました。登場人物が限られている中で、しかも短編なのにこれはどうかと思います。そして本職ではないにしても、プロの作家としてこの表現はどうなのとか、語彙のチョイスがちょっと違うのではとか、単に私には文体が合わなかっただけなのかも知れませんが。折角のアイディアの良さが半減しているのでは、と思います。 まあそうは言っても、多分老若男女広く受け入れられる作品なのは間違いないでしょう。私のイチオシは表題作。ミスリードはミエミエですが、意外すぎる結末に驚きを隠せません。これは想定外でしたね。他の作品も粒揃いですが、確かに一気読みすると混乱するかもしれません。 |
No.1 | 8点 | 虫暮部 | 2019/07/09 10:44 |
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短編集としての欠点は、作風が一貫し過ぎていること。“家族”が主題。事件を探偵が解くのではなく、情報を制限し“読者に対して”謎を演出する形式。手堅く普遍的な文体や人物設定(“嫌な感じ”の匙加減が絶妙)……ゆえに非一気読み推奨、一話ずつばらして賞味するが吉。
収録作品はどれもレヴェルが高くて正直びっくりした。一編選ぶなら「柔らかな背」(人殺しの場面が愉快)。 因みにかなり毛色は違うが漫画原作者としての仕事もなかなか面白い。 |