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人生相談。
真梨幸子 出版月: 2014年04月 平均: 5.25点 書評数: 4件

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講談社
2014年04月

講談社
2017年07月

No.4 7点 ミステリーオタク 2020/02/17 22:43
連作短編集の体をとっているが実質長編。

理屈ぬきで読みやすくて面白い。

ただ全9話のうち7話目ぐらいまでのリーダビリティは絶大だが、終盤はそれまでに出てきた人物や後出し人物やエピソードが時系列のボードにおいてモグラ叩きのように出てくる。作者としては多くの事象の混乱の糸をほぐしている「解答編」のつもりなのだろうが、こちらとしては記憶を掘り起こす作業を強いられるため結構エネルギーを要することになる。
読後も「ん?、これで全部解決したんだっけ?」とイマイチすっきり感に欠ける。
でも相変わらず多かれ少なかれどこかバカっぽい登場人物たちの言動は笑えるところが多いし、俗物心をくすぐりながら進むストーリーはマリちゃんならでは。

No.3 4点 HORNET 2019/09/25 21:51
 出だしは面白く興味を惹かれ、そして1話目もミステリらしくて(ネタは早々に見当がついたが)期待したが……
 いかんせん登場人物が複雑で(ちょっとしか出ておらず名前も覚えていなかった人物があとの話で急に出てくる)、記憶力&注意力のない小生はいちいち前出を確かめて読まなければならなかった。
 発想や設定自体は面白かったが、ネタありきの強引な展開も諸所にあり、いろんな意味で笑いながら読んだ。
 同作者の連作短編集「ご用命とあらば、ゆりかごから墓場まで」の完成度から比べるとかなり落ちるなぁと思った。

No.2 6点 E-BANKER 2019/09/23 22:25
作者と言えば“イヤミス”というイメージ。
本作は連作形式のイヤミス?と思ってたけど、どうも全然違っていたようで・・・
2014年の発表。

①「居候している女性が出て行ってくれません」=物語の序章なのだが、早くも不穏な空気が・・・
②「職場のお客が苦手で仕方がありません」=ところは変わって、小田急沿線の急行も止まらない駅前のキャバクラ。で、最後はなぜかネギが原因で死人が!
③「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」=都会では結構ありそうな相談。なのだが、やはりまともではない人々が登場。
④「セクハラに時効はありますか」=すげぇタイムリーなお話。でもこの男(若い方の)・・・すげえバカ。
⑤「大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか」=物語の実は重大な鍵が潜んでいる一編。読んでると「あれー?時系列が?」
⑥「西城秀樹が好きでたまりません」=これこそ「時系列は??」で?がいくつも浮かんでくる。要は時系列が捻れてる。
⑦「口座からお金を勝手に引き出されました」=夫婦間とはいえ、いくら自分が稼いだお金をへそくられたものはいえ、最終的には夫が負けるはめに・・・
⑧「占いは当たりますか?」=当たります。このお話の中では。
⑨「助けてください」=ついにクライマックス。やっと物語の仕掛け・カラクリが判明するのかと思いきや・・・頭の中は混迷!

以上9編。
いやぁーこれは怪作。
“イヤミス”なんかではなく、雰囲気的には心の捻れた登場人物たちが繰り広げる、そう折原一テイストの作品。
時間軸もわざと捻らせているし、登場人物も複数のお話にランダムに出てくるなど、なかなか複雑な仕掛けが成されている。
(かといって叙述トリックというわけでもないんだけど・・・)

ラストには一応全体像を示してはくれるんだけど、それを読んでもまだ消化不良という感覚が残る。
それは作者の狙いなのか?
まぁそういう意味では「イヤ」な感じはある。
こういう仕掛け自体は好きなので、欲を言えばもう少し盛り上げ方の工夫があればという感じ。
まずまず面白い読書にはなった・・・かな。

No.1 4点 メルカトル 2017/09/01 22:18
目次を見てみると「居候している女性が出て行ってくれません」「大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか」とか、中には「西城秀樹が好きでたまりません」などふざけたタイトルが並んでいます。これらは要するにある新聞に投稿された人生相談の内容を表したものです。9タイトルありますが、作者の目論見としてはこれらを短編扱いとし、最終的には一気にひとまとめに収束させるというもののようです。
狙いは分からないでもないですが、とにかく登場人物が多すぎるし、その上人間関係が複雑に絡み合っているため、一読しただけでは全てに理解が及びません。読者は必ずやカオスの渦に放り込まれることでしょう。だからといって二度読みするほど面白くもなく、なんともツマラナイ小説に仕上がってしまっています。確かに私の読解力は人並み以下ですので、一概にこれを非難するわけにはいきませんが、もう少しわかりやすく人間関係を整理してもらうことはできなかったものかと思います。
殺人も起きたのか起きてないのか判然とせず、大筋は飲み込めたものの、はっきり言って何がどうなっているのか最後までよく分かりませんでした。Amazonでは意外と高評価を与えている方もおられ、この小説をよく細部まで理解できるものだと感心せざるを得ないという感想しか思い浮かびません。
まあしかし、これだけの複雑な事件やらなんやらを考え付くのも一つの才能なのは間違いないでしょう。個人的には低評価ですが、読む人が読めばちゃんとした評価が得られるのかもしれませんね。


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真梨幸子
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