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ミステリの祭典

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北浦透さんの登録情報
平均点:8.07点 書評数:67件

プロフィール| 書評

No.47 8点 無間人形 新宿鮫IV
大沢在昌
(2007/06/09 21:13登録)
プロの作家による作品。展開のスピーディーさ、重厚さを感じさせない文章の刈り込み方。例えば香川昇・進兄弟の人物造形を見てみる。圧倒的な力を持つ兄と、ホステスの女性にいつのまにか惚れて、「アイスキャンディー」におぼれる弟。そして鮫島というヒーローの存在だ。物語に引き込まれていくのは当然なのかもしれない。


No.46 8点 屍蘭 新宿鮫III
大沢在昌
(2007/06/09 21:10登録)
前作『毒猿』ももちろん大作だけど、個人的には本作のふみ枝も相当に手ごわい。大沢さんの作品全体にいえることで、油断のならない文体、キャラクター造形。特にこの作品はジワリと出ている。


No.45 10点 奇想、天を動かす
島田荘司
(2005/08/25 18:05登録)
島田荘司の白眉。
ミステリーファンとしてこの作品に出会えて良かったと思う。初めて読んだのはずいぶん前なのに、いまだその内容は覚えている。


No.44 10点 北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
(2005/08/25 18:01登録)
島田荘司の代表作だと思う。吉敷の闘いと本格推理の見事な融合。ラストまで続く緊張感と感動。ミステリーが素晴らしい文学であることを実証した作品。


No.43 8点 龍臥亭事件
島田荘司
(2005/08/17 17:55登録)
迫力の一編。
本格と社会派の融合は島田荘司の豪腕だからこそできるが、この作品では石岡の再生を描いたという点が評価できる。手紙の御手洗が、いい味を出していると個人的に思う
。ミステリーとしてはもう少し作りこめたかもしれない。


No.42 6点 御手洗潔対シャーロック・ホームズ
柄刀一
(2005/05/03 12:09登録)
まあ、予想の範囲内な感じ。実は初めて読む作者で、思いっきりタイトル買い。昔から天才探偵同士の対決は大好きなので。試み自体は◎。
中身も、個人的にはちょっと肌に合わなかったが、本格ミステリとして楽しめる内容ではないか。「巨人幻想」は、スマートさに欠けるものの、物語の盛り上げ方はうまかった。


No.41 7点 魔神の遊戯
島田荘司
(2005/05/01 14:05登録)
「島田荘司」の作品の中だけで採点すれば5点ぐらい。
しかし、現代のミステリー界の中で考えればこれくらいの点数が妥当。少なくとも、まともな文章と人物造形、きちんと解決はついているのだから。読み物としての水準は保っている。
色々不満はあるけれど。というより、島田さん、わざと気づくように書いたかな?


No.40 10点 すべてがFになる
森博嗣
(2005/04/30 23:42登録)
森博嗣を語る上では絶対外せない傑作。
一番最初に読んだ作品だが、一気に引きこんでくれた。
『十角館の殺人』のように、現代の古典として読まれてほしいと思う。


No.39 10点 生ける屍の死
山口雅也
(2005/04/10 13:26登録)
記念碑的傑作であり、ミステリーを追求しきった作品。
死者が蘇るなかでの連続殺人で与えられる圧倒的な論理的解決。そして、深く心打つ「死」の考察。
日本人が外国人を書くと、どうも不自然さを感じるが、この作品に限っては全くそんな心配はいらなかい。久しく読んでいないが、いま再読の欲求に駆られている。


No.38 7点 人形は眠れない
我孫子武丸
(2005/03/13 00:54登録)
こういう物語自体が少ないのだからこれだけの価値はある。
けれど、もうちょっと何とかならないかな・・・。
面白くなかったわけではないが、推理小説の作りとしても、ラブストーリーの作りとしても熱量に乏しかった。
設定はとても面白のだけど。


No.37 9点 冷たい密室と博士たち
森博嗣
(2005/03/10 17:58登録)
高得点をつけたい。
それは、ある意味、この作品が森博嗣の唯一の正統派本格だからだ。つまり、格式美にこだわったミステリという意味で価値がある。
シャープな文体、論理。派手なトリックはないが、犯人に挑む犀川の姿から見られるように、推理小説というよりは探偵小説に近い味わいがある。それでいて、高品質。こういう「普通の」作品を書かせると、やはり作家の実力の違いがはっきりする。


No.36 9点 十角館の殺人
綾辻行人
(2005/03/10 17:52登録)
初めて読んだとき、「エラリィ」「ポー」などと呼び合っているのを見て、少しひいてしまったが、中身は「大人のための」推理小説となっている。
サスペンス部分も巧みに描かれているし、ミステリーとしての迫力も備わっており、名作と呼ぶべき作品だろう。個人的にあの幕切れは非常に好きだ。


No.35 10点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2005/03/10 00:30登録)
トリック、中盤のサスペンス、ミステリーとしての整合性。どれを取っても完璧である。悪徳商法事件という近代的なテーマに、密室殺人という古典的なテーマ、バラエティーにもとんでいる。
最も評価されるべきは、トリック解明後の「物語」だが、こんなにもトリックが、鮮烈に物語を引き立たせたミステリーがあっただろうか。タイトル、最後の一行、少なくとも作者はこの作品において、完全に構築してみせたのである。
実際のところ、歌野昌午をあまり好きではない。この後の『ジェシカが駆け抜けた七年間について』も、申し訳ないが凡作であった。だが、この作品は、間違いなくミステリー史に残るべき傑作だ。ミステリーを愛する者としては、この作品の価値を正しく見極めなければならないだろう。


No.34 6点 アサシン
新堂冬樹
(2005/03/06 18:33登録)
個人的に「読みたかった」作品をそのまま与えられた感じ。強く、切ない暗殺者の姿は、胸に強い余韻を残す。
活劇シーンには迫力があり○。
しかし、ストーリーが単調。「王道」を貫くのは大賛成だが、もっと緻密な組みたてが欲しかった。リオがいつのまにか涼を「愛する」までいっているのが、不自然だった。
でも、またこういう作品は書いて欲しい。


No.33 7点 忘れ雪
新堂冬樹
(2005/03/06 18:28登録)
『忘れ雪』
他の新堂作品を読んだことがないが、この作品は個人的に好みな作品だった。
恋愛小説は、少し作りすぎたぐらいの世界のほうがいいのかもしれない。
だが、生ぬるさとは一線を画しているので、ご安心を。人間の温かさ、残酷さ、絶望、希望。それらが一つになり、作中の世界に誘う。
後半のミステリー部分も一気読みだった。


No.32 7点 栄光一途
雫井脩介
(2005/02/25 19:56登録)
世界初(?)柔道ミステリー。
柔道シーンは迫力満点。読み物としても大変面白い。個人的には、深紅のキャラクターが魅力的だ。
ただ、「ミステリー向き」の作家ではないなと思った。ところで、後に傑作『火の粉』を読んで、なるほど、この人の持ち味はサスペンスだなと納得した。


No.31 9点 火の粉
雫井脩介
(2005/02/25 19:48登録)
全編に緊迫感みなぎるサスペンス。
サスペンスには、ミステリーのように意外性も、トリックも必要ない。ただ、読者にページをめくらせる力を持っていればいい。
本書は、まさに上質なサスペンスの手本のような作品である。


No.30 7点 鬼流殺生祭
貫井徳郎
(2005/02/19 23:43登録)
ちょっと評価は甘いかも・・・。でも朱芳や九条を始め、人物は描かれているし、「探偵小説」の雰囲気も出ていたので。いわゆる「お家の事件」は、文字通りの古典的で、扱いづらいと思うのだが、読ませるだけの迫力は兼ねそろえてあった。
しかし・・・ミステリーとして、不満が残るのが本音。形式美にこだわってくると思ったが、そこまではいかなかったか。論理のインパクトもちと弱い。だが、水準は保っている作品といえるだろう。


No.29 7点 トキオ
東野圭吾
(2005/02/18 00:49登録)
いい話しだ。ラストは、素直に感動してしまった。
話し自体は、ジェシーや竹美など、この作者には珍しい人物が出てきて、中々いい。主人公のダメっぷりも、見ていて清々しかった。貫井徳郎の『迷宮遡行』もそうだったが、ダメ男を書くのも一つの才能だろう。
こういう素直な作品があってもいいと思う。


No.28 6点 レイクサイド
東野圭吾
(2005/02/18 00:44登録)
読後の満足感も特になかったので、そのまま忘れていく作品だが、考えてみれば内容はとてもいい。東野圭吾が本気で書いていれば、すごい傑作になったのでは・・・と少々残念に思う。
映画は意外に面白くなりそうかな・・・?

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