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ミステリの祭典

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よんさんの登録情報
平均点:6.58点 書評数:90件

プロフィール| 書評

No.10 9点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2021/09/17 15:27登録)
オカルトや超常現象とミステリの融合。不可解な謎を読者に公正なヒントを提示し、明快な謎解きへと導いていく。
人の抱える闇と不安定さと不条理さとが織り込まれた本格ミステリの傑作。


No.9 6点 七つの海を照らす星
七河迦南
(2021/09/17 15:19登録)
日常の謎に類されるが、子供がつらい状況から必死に脱出しようとする話が多いので、爽やかであっても軽い読後感ではない。
ひとつひとつの短編の謎がやや小粒で、新味が感じられない物足りなさはあるが、やがて浮かび上がる一本筋の通った小説話法は大きく評価したい。


No.8 6点 生霊の如き重るもの
三津田信三
(2021/07/16 17:25登録)
怪奇短編集としてバラエティに富んでいるし、非合理の交ぜ方も効いている
視点人物の記憶やアイデンティティという作品世界全体を揺るがすよりも、刀城言耶という固定的・客観的な視点から歪みを見出す方がホラーとして効果的なのも興味深かった。


No.7 8点 アルバトロスは羽ばたかない
七河迦南
(2021/07/16 17:15登録)
舞台は児童養護施設。デビュー作の縮小再生産と思ったら大間違い。日々の生活への密着度がすごい。
ヒロインが被害者をなぜ深く信頼できたのか違和感があったが、説得力ある解答に唸った。トリックと感動のツボが一体化しているのが素晴らしい。


No.6 6点 靴ひも
ドメニコ・スタルノーネ
(2021/05/24 13:35登録)
空き巣に荒らされた自宅で、夫は40年前の手紙を発見する。昔、家庭を捨てて出奔した際の、妻からの手紙。乗り越えたはずの結婚の危機が再浮上し、夫は妻に隠した別のものを探し始める。
大いなる欺瞞、一回性の生、理想の幸福。平凡な夫婦生活の裏側を暴く。ミステリ度は薄い家族小説。


No.5 8点 贖罪
イアン・マキューアン
(2021/05/24 13:25登録)
きっかけは、手紙を勝手に盗み見してしまったこと。幼稚な正義感から姉の想い人の将来を奪ってしまった主人公が、少女から大人へと成長し、「文脈」つまり世界の機微を学んでゆく過程で自らの犯した罪の輪郭を思い知る。人と言葉の営みのすべてが詰まった傑作。


No.4 9点 寒い国から帰ってきたスパイ
ジョン・ル・カレ
(2021/04/26 12:48登録)
スパイ小説の名作。これでスパイものの世界が変わった。ドラマは東西緊張を舞台にした二重スパイ形式をとっているが、硬玉よりも冷たくならざるを得ない。「男の仕事」が共感をそそる。緻密なスリルが味わえる。


No.3 8点 ドグラ・マグラ
夢野久作
(2021/04/26 12:38登録)
たった一瞬のうちにどれほど厖大なイメージの嵐が通り過ぎるのか。この謎にも異様な興奮をもって訪れる奇抜な構成で解いてみせた。「脳は自分の脳を考えられるのか」といった主題。


No.2 8点 シャイニング
スティーヴン・キング
(2021/04/05 13:19登録)
S・キューブリックの映画化で有名になったが、実は原作の方が凄い。まさしく「恐怖の心理学」をテクストにしたような作品。同一作品の「キャリー」に続い読めばなお一層楽しめるでしょう。


No.1 5点 半七捕物帳
岡本綺堂
(2021/03/12 12:28登録)
評価が高かったので読んでみた。このような古い作品を評価するのは難しいと改めて思いました。刊行当時に読めば、驚いたのだと思いますが当時の人の気持ちになって読むということが出来ませんでした。トリックは子供騙しぐらいにしか思えなかったのが残念です。今後はこのシリーズを読むことはないでしょう。

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