home

ミステリの祭典

login
Kingscorssさんの登録情報
平均点:6.42点 書評数:96件

プロフィール| 書評

No.16 7点 ウサギの乱
霞流一
(2020/08/20 00:03登録)
この本を読むきっかけは面白いバカミスを探していて検索したら、バカミスとしておすすめしてる人が多かったからである。

しかし、いざ読んでみたら全然バカミスではなく普通の本格ミステリーで、ある意味がっかりした。もちろんミステリーとして内容はきちんとしたものであり、少々コメディータッチだが読み応えも十分できちんとおすすめできる本である。

それにしても、これをバカミス扱いしている人達は何を持ってバカミスと分類しているのか聞いてみたい。トリックが多少現実味がないとか言うくだらない理由なら、世に出てる本格ミステリーの殆どがバカミスに分類されることだろう。

自分の求めているバカミスは黒い仏、六枚のとんかつ、○x8殺人事件、NO推理NO探偵みたいないかにもなやつです…


No.15 6点 NO推理、NO探偵?
柾木政宗
(2020/08/18 14:53登録)
内容を簡単にいうとメタ発言全開のミステリー要素のある深夜萌美少女ギャグアニメか少年週刊誌のギャグマンガをただ活字化した”だけ”の本。ただし、メフィスト賞受賞作だけあってただのバカ本ではないです。

個人的にバカミスは大好きです。エピローグを読んだときにこのパカミスは期待大だと思いましたが、その後は後半まで全然面白くない話が続き苦痛でした。後半の旅情編のまさかのオチぐらいからまた盛り返してきて、最後の安楽椅子探偵編はかなりうまくまとまったバカミスだったと思います。

ただ、バカミスが嫌いな人だと全てが少しも面白いと感じないのと、バカミス好きでも前半が全くおもしろくないのが残念なところ。メタ発言がとにかく嫌いな人にも嫌厭され、主役の二人のやり取りがとにかく姦しすぎて基本的に毛嫌いされるタイプの内容。ただそういうの全て計算して書いてあるですよね…

あまり人に勧めれる本ではないですが、最後のバカミス、メタ発言、寒いギャグ等すべてを凝縮&統括した豪腕的まとめ方は本当お見事だったと思います。最後の章までつまらないのを我慢できるかがカギ。


No.14 6点 人間に向いてない
黒澤いづみ
(2020/08/17 14:33登録)
メフィスト賞受賞作ですが、ミステリーとして読むと少しがっくり来ると思うので、普通にSF小説として読んで欲しい作品。

内容をさらっと書くと、ニートやら引きこもりを中心に一晩で突然姿かたちがグロテスクに豹変する奇病が蔓延しはじめる。異形になってしまうと見た目のグロさとコミュニケーションも取れない不便さで、屠殺や遺棄するものが続出。政府もそれらを容認するなか、何年も引きこもっていた息子が危惧してた異形化する。母はそれでも息子を愛せますか?

SF小説としてなかなかいい発想、着眼点、現代社会の問題と絡めて読んでてグッとくる。途中主婦の目線パートが冗長と感じる部分もあるが、興味を持って最後まで読まさせてもらいました。

ミステリー部分は少し叙述っぽい作りにしてありますが、基本的には謎とかそういうのは皆無なので、大どんでん返しとか謎の解明とかを期待していると肩透かしの面も。

テーマが重めで、読んでて辛くなる場面も有り敬遠されがちな作品ですが、なかなかの力作だと思います。

(追記) やはり着想はカフカの『変身』なのではと疑ってしまう…パクリではないと思うが、オリジナリティで言えばカフカの前例があるので残念。


No.13 7点 折れた竜骨
米澤穂信
(2020/08/17 00:40登録)
読みやすく、SFファンタジーとミステリーをかなり高いレベルで融合させた作品。

ファンタジー好きかどうかで評価が違うと思うのでアレですが、ファンタジーものが嫌いな人でも読む価値はあると思います!自分はファンタジーあまり好きじゃない人ですが楽しめました。

ミステリー部分は途中でトリックや結末がなんとなくわかってしまい、ほぼそのとおりのトリック&結末でしたが特に不満もなかったです。ファンタジーだから結局は何でもアリですし。


No.12 7点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2020/08/17 00:34登録)
よくできた短編集。さすが米澤穂信さん。

各話が最後に収束していく感じで気味の悪い雰囲気が盛り上がっていくんですが、最後のまとめ方が思ってたのと違ってかなり地味で、あんまり各話の繋がりを感じなかったです… 残念。

いや、本当に最後どうなるのかワクワクしながら読んでたので、あの結末はかなりがっかりしました… あの結末好きな人すいません…

各話も面白いし、本当最後のまとめ方がなぁ… アレでいいという人もいるとは思いますが…


No.11 6点 氷菓
米澤穂信
(2020/08/17 00:25登録)
短編なのでサラッと読める学園ミステリー。一応最後に話がまとまる感じで構成とかは流石にうまいと思います。米澤穂信さんだし。ただ、ミステリー部分が地味なので退屈に感じる人は結構いそう…

内容はいかにもモテそうなニヒルな主人公が学園の謎を”いやいや”に解いていき(大抵はヒロインにせがまれて)、ヒロインたちに好意を寄せられていく、いかにもな学園青春話。

ラノベが好きな人ならもう少し評価が高いかも。自分はラノベ風なのは苦手なので辛めの採点。


No.10 5点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2020/08/15 19:17登録)
マツリカシリーズ3作目が面白いと聞いて1,2から続けて読みました。

正直1,2作目はとにかくマツリカと柴犬の気持ち悪いソフトSMプレイが多く、全く好みでないですが、3作目は長編でソフト本格テイスト学園ミステリーの体をなしており割とすんなり読めました。

読後感がよくなったのはやはり気持ち悪いソフトSMプレイが減ったのと、作者の性癖の太もも関連が少なくなったせいだと思います。ミステリーの謎も学園ミステリーとしてそれなりにうまくできておりその辺では特に文句もないです。

ただ、これは個人的なことですが、今回はレイプ未遂までしてしまうのに何故かモテモテのマゾ豚キョド男の変態主人公(1,2作目よりは頑張ってましたが)に好感が全く持てないし、最後呼んでもいないのにいきなり主人公を助けるために関係者全員集合(お前ら主人公の後ずーと尾行しとったんか?)の少年ジャンプばりの友情パワー、絶体絶命のピンチにご都合主義のタイミング(教室の外で聞き耳立てて出番待ってたの?)で現れる〇〇さん(でもこれはちょっと予想してなかった)等、ラノベ特有(もしくは少年漫画)のありえない展開が許容できないのでこの点数です。

その辺が好きな方、許容できる人ならもう少し上の点数かと。実際高得点つけられてる方が殆どで自分の包容力のなさを実感です。。。本当、ラノベ苦手なんです。

評価とは関係ないですが、著者がプリーツの構造を熟知している男の作家は変態と告白してるのは納得しました。


No.9 3点 マツリカ・マハリタ
相沢沙呼
(2020/08/12 23:42登録)
シリーズ3作目が面白いときいて1作目から続けて読んでます。

前作以上のSM要素とソフト官能小説ばりの気持ち悪いエロ描写。短編4つのうち、最後の4つ目に行くまで、こういうラノベの童貞エロ妄想が好きな人以外は、もう苦痛でしかありません。

もう少し下…そう、そこ。そこに…入るわ…きついからゆっくりするのよ…もう少し奥よ… ほら… ふふ、入ったわ。 あ、そこ… もう少し優しくして…

とか、男の方も、もう出ちゃう!出ちゃうーーーー!みたいなセックスを連想させる文面がとにかく気持ち悪い。

ただ、最後の終わり方はうまくまとめているかと思います。

それにしてもこの主人公の柴犬がキショすぎてまったく感情移入できません。好きあらばマツリカのスカートの中を覗こうとするし、作者の性癖でしょうが、太ももばかり描写が出てきてとにかくしつこいです。

自分みたいなこういうラノベの童貞エロ要素が嫌いな人には点数が辛く、許容できる人、もしくは大好きな人ならもっと点数が高くなると思います。


No.8 8点 オリエント急行の殺人
アガサ・クリスティー
(2020/08/12 13:54登録)
大分前に映画で見てトリックやプロットは知っていましたが、初めて原作を拝読。

素晴らしいの一言。映像で端折られたりしたところもじっくり説明されていてとても楽しく読ませてもらいました。ミステリーの古典的教科書の一つなので何年経っても色褪せないです。唯一?映像で見るより劣っている点は登場人物が多いので文字表記だけでは各人をなかなか覚えられないのが… いや、別に把握してなくても全然楽しめますけどね。

クリスティーの有名な著作四天王のオリエント急行の殺人、ABC殺人事件、アクロイド殺し、そして誰もいなくなった、これらをネタ知らずに読める人は幸せすぎます…

自分は全部トリック知ってから原作読んだんですよね…あと50年ほど早く生まれていれば…まぁネタ知ってても面白かったですが。


No.7 4点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2020/08/12 13:39登録)
完全な童貞ライトノベルでミステリー要素はほぼ皆無。空飛ぶ馬、氷菓みたいな日常の謎を第三者が安楽椅子探偵で謎を解く構成。氷菓をもっとラノベっぽくした感じ。

キャラクターがSとMのやりとりであまり好きではなかった。マツリカはいわゆるツンデレのSM嬢、男は典型的なエロに夢見るシャイなキョド男のM豚って感じ。特に男のほうがいかにもラノベの主人公という感じで嫌悪感。

短編4つで最初の3つがなんとなく最後の姉の話に繋がっていきますが、ミステリー慣れしてればかなり初めの方からこの展開は予想可能。

こういうキャラクターのノリが好きな人だと6点ぐらいにはなるかも。自分はダメでした… このマツリカシリーズの3作目と同作者のMediumを勧められたので1作目から読んでる最中です。


No.6 6点 モルグ街の殺人・黄金虫 -ポー短編集Ⅱ ミステリ編-
エドガー・アラン・ポー
(2020/08/09 19:00登録)
ミステリーの古典なので面白い面白くないは抜きにしてミステリー好きなら読むべき本。

内容はもちろん現在の凝りに凝った構成、トリック等には敵うものではないが、歴史上初といわれるこのミステリーから現在のミステリーまでの発展を感じられて感慨深い。この時点で現在まで脈々と続く”探偵モノ”のストーリー構成が完成されているのが驚愕の一言。

他には短編6本のうち、いくつか不思議な読後感のものがあるが、巻末の解説を読むとそれらを経て初の探偵ものである”モルグ街の殺人”が生まれたとわかり、これまた製造の工程を見るようで感慨深い。黄金虫も同様に初?の暗号モノとして燦然と後世にまで残る傑作短編として必読である。

ただ、トリックとかとは別に、言い回しが嫌にもったいぶったり、内情の知悉を知らぬものにドヤ顔で自慢するが如くしゃべりまくるのが時々イラッとくる。あとは昔の小説なのでしょうがないが、前述の言い回しや言葉選びで読みにくい部分が多い。


No.5 2点 向日葵の咲かない夏
道尾秀介
(2020/08/08 02:07登録)
かなり評価が分かれる作品と知って読んでみましたが、自分は全くダメな方でした。
読後に解説サイトも合わせて見て理解を深めようとしましたが、更にダメでした…

最初からファンタジー要素で個人的にイマイチでしがが、オチも含めて全く納得行かず、アンフェアの塊のような構成で、ツッコミどころ満載の内容。文体は読みやすい方だとおもいましたが、何故か不快で受け付けず。

読んだ後に壁に投げつけたくなったのは初めてです。ただ、個人的にはダメダメでしたが、これぐらい好き嫌い分かれる内容の方が、当たり障りなく記憶に残らないよりは作品としてはいいのかなぁとは思いました。

道尾秀介さんの作品がこれが初めてだったので、以後一度も他の作品を読んでません。ファーストインプレッションは大事だなぁと実感。


No.4 8点 厭魅の如き憑くもの
三津田信三
(2020/08/08 01:59登録)
とても楽しく拝読しました。トリックも前例があるかもですが、今どき前例のないものは書けないと思うので、あからさまなやつ以外ならOKかと…

マイナス面はとにかく漢字の読みが難しいのと、登場人物と地形、家元とかが多くてこんがらがりやすいので、それらを覚えるまでが結構苦痛でした…

未読のシリーズ3作目がかなりの傑作らしいので今から楽しみです。


No.3 9点 占星術殺人事件
島田荘司
(2020/08/08 01:49登録)
傑作中の傑作。未だに色んな人にトリックをパクられる元祖であり、古典。いや、現実的にはかなり実行に無理があるが、トリックをパクって使いたくなる人の気持ちもわかるぐらいよくできたトリックなんです。

ただ、多数の人が指摘するように最初の方(手記の部分)の文体が読みにくいので、最近の小説を読み慣れてる人の中にはそこで挫折する人がわりといそう…

くれぐれも金田一少年の事件簿で同じトリック見た!って言わないように。あっちがパクリです。


No.2 7点 凶笑面
北森鴻
(2020/08/08 01:43登録)
このシリーズはかなり好き嫌いが分かれるかと思います。まず、ある程度各話のネタになっている民謡や歴史のワードを知っていないとちんぷんかんぷんで、こういう民族学に興味が無いと、全く面白みが理解されず低評価になってしまうことです。個人的には歴史ものは好きな方なのでかなり楽しめました。

その上で少し気になったことは…
短編なのでテンポもよくすんなり読める半面、各話が少し物足りないと思う時があり、話によっては、そのテーマで人間関係をもっと複雑怪奇にして、絶妙なトリックとかで読者を翻弄し驚愕のラストにすれば、さぞ傑作になったろうにと思うこともしばしば。まぁそれやっちゃうと金田一や刀城言耶シリーズみたいにホラー風味になっちゃうか…

また、短編で連載されてたせいだとおもうのですが、各話に毎回毎回、蓮丈那智の美貌や冷淡な態度についての記載が重複のごとく繰り返されるのですこし食傷気味に…

何にせよ自分は楽しめました。民俗学等に興味がない人には全く見向きもされないシリーズなので本当にもったいない…


No.1 6点 十角館の殺人
綾辻行人
(2020/08/08 01:27登録)
とても良くできているお手本ミステリーだと思います。
ただ、どう擁護してもアガサ・クリスティーのアレのパクリにしかおもえず、パクってるのにこんなに高評価されてるのが不思議でなりません。

リスペクトや踏襲という言葉でいくら取り繕ってもここまで設定、ネタ、他のすべてが同じでは流石に… 終わり方までほぼ同じなのが少し引きました。

似てるとかそういうの抜きだと本当によくできていて、日本ミステリー界の歴史に燦然と輝く古典だと思います。ただ、やっぱりパクリでここまでもてはやされるのは…綾辻先生が悪いわけでもなく周りが持ち上げすぎなのが問題かと。

もしこちらがオリジナルだったら9点つけたいぐらいのよくできた話だった思います。でも何度も言うようですいませんが、クリスティのアレに激似すぎなのが…

96中の書評を表示しています 81 - 96