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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.77点 書評数:445件

プロフィール| 書評

No.305 3点 死体と一緒にヴァケーション
ギリアン・ロバーツ
(2023/06/06 20:12登録)
美人教師アマンダ・ペッパーシリーズ第五弾だが、ミステリとしては標準以下の薄味であり、短編で十分の内容だ。
水増しされた分だけ、冗長になり三分の一もいかないうちに、底が割れて先を読む興味が減退する。せめてユーモアが冴えた会話が洒落ていれば救われるのだが、この点でも標準以下である。


No.304 6点 火星の人
アンディ・ウィアー
(2023/06/06 20:07登録)
事故でたった一人火星に取り残された植物学者が、知力・体力・精力の限りを尽くして生き残ろうとする奮闘を描いた作品。
ストーリーラインは単純だが、創意工夫の面白さ、科学技術の論理的思考の凄さ、ポジティブ思考の素晴らしさなど実に勇気づけられた宇宙SF。


No.303 6点 裏切りのノストラダムス
ジョン・ガードナー
(2023/05/10 19:26登録)
ノストラダムスの詩句を利用した第二次大戦中の諜報活動の謎を、戦後の現在から解明する物語だが、とりわけ主人の英国諜報局員ハービー・クルーガーが魅力的。
叙情詩的に重厚さがあり、主人公の偏愛するマーラーと彼の人間性との結びつけ方が巧み


No.302 5点 プリムローズ・レーンの男
ジェイムズ・レナ―
(2023/05/10 19:22登録)
熱烈に愛した妻を失ってから、一人息子を育てつつも執筆に戻れないノンフィクション作家を、不可解な殺人事件がひきつけた。調査するうち、事件と亡き妻との奇妙な繋がりが浮上。
捻りの旅に出来事は様相を変え、ミステリ・恋愛小説・ダークホラーが一つによりあわされる。


No.301 3点 見られている女
リザ・スコットライン
(2023/05/10 19:16登録)
作者は、法律事務所勤務の経歴を持つだけあって、弁護士の世界の内情や随所に挿入される法廷シーンにはリアリティが感じられる。
だが、事件に絡んでくる人物たちの描き方は、どうにも平板で魅力に乏しい。そのため、肝心のストーカーの正体とその動機が判明しても、とってつけたようで今ひとつピンとこない。サスペンスとしては、いささかインパクトに欠ける作品と言わざるを得ないだろう。


No.300 5点 バタフライ・エフェクト
カーリン・アルヴテーゲン
(2023/04/20 20:40登録)
あの時、別の選択をしていたら別の現実があり得たかもしれない。
家族との間で数々の思いを断念してきた中年女性の回想を軸に、いずれも人生の困難な分岐点を迎えた三人の語りが交錯する。スウェーデンのミステリ作家によるサスペンスフルな心理小説。


No.299 6点 暗号機エニグマへの挑戦
ロバート・ハリス
(2023/04/20 20:35登録)
第二次世界大戦中の史実を背景とした暗号解析小説。
最初から最後まで徹底した暗号にこだわった作品で、派手さこそないものの、緊迫した状況下における暗号解析のディテールが丁寧に描かれている。
また訳者の力によるところも大きいだろうが、作品全体が厳かで重々しいトーンに包まれており、それが戦時下のイギリスの暗く、くすんだ世相を見事に浮かび上がらせている。


No.298 5点 呼ぶ声
ジョン・ソール
(2023/04/20 20:30登録)
砂漠地帯の寂れた油田町の住民が、巨大資本による秘密プロジェクトによって知らぬ間に心身を蝕まれてゆく恐怖が、堅実な筆致で描かれている。
冒険小説のように展開するスリルとサスペンスに最後まで惹きつけられた。見事に勧善懲悪で終わる痛快な結末にしばし呆然。


No.297 5点 ありふれた祈り
ウィリアム・ケント・クルーガー
(2023/03/30 20:20登録)
家族の悲劇を回想知る青春ミステリ。牧師の父親、芸術家肌の母親、音楽の才能に恵まれた姉、吃音症の弟とともに幸福な日々を送っていたフランクが様々な死を通して叡智を身につけていく。
事件後から現在まで語るエピローグは、生と死が綾なす人生の妙を高らかに謳いあげていて極めて印象深い。


No.296 5点 デスレス 奴等は死なない
加納一朗
(2023/03/30 20:15登録)
失踪した新進女優の謎を追うルポライターに迫る、秘密組織の魔手。生ける死者さながら襲撃をり返す不気味な刺客たち。
東北の片田舎に建設された秘密研究所で進められる忌まわしい実験とは。見事なまでにステレオタイプなストーリーが、予想通りの大団円に向かってテンポよく語られてゆくのだが、夜霧が立ち込める北の廃市、荒れ果てた映画館にポツリと灯るあかりといったロケーションは実にいい雰囲気を出している。


No.295 4点 だれも信じてくれない
モリー・カッツ
(2023/03/30 20:07登録)
全体にロマンス小説らしい雰囲気が漂っていて読みやすいのだが、主人公の唐突な心変わりやストーカーの悪人ぶりなど、話の展開に安易さも感じさせる。
終盤も無理にミステリ仕立ての意外な結末に持ち込もうとした感じが残る。


No.294 5点 緑衣の女
アーナルデュル・インドリダソン
(2023/03/15 20:33登録)
犯罪捜査官エーレンデュルものの第二作。白骨死体の謎を追いながら、ある家族の凄まじい暴力の歴史と、捜査官の娘の問題が語られていく。
やるせなく悲しく辛い物語であるが、それでも最後に救いや温かさを覚えるのは、人間性に信頼を置く作者の懐の深さだ。


No.293 7点 天冥の標X 青葉よ、豊かなれPART3
小川一水
(2023/03/15 20:27登録)
壮大な舞台、遠大な歴史、緻密な設定、マクロとミクロを自在に行き来する視点。ロストテクノロジー、パンデミック、未来の性愛、異星知性、毎回テーマを変えながらも、その根底には一貫して「生きること」があったように思う。
西暦201X年、地球から始まった物語は、思いも寄らない遠くまで読者を連れてきてくれた。ここにはSFに描けるもの何もかもがある。


No.292 5点 証拠排除
ペリー・オーショーネシー
(2023/03/15 20:21登録)
どんな状況に追い込まれても依頼人を信じ、前向きな姿勢を崩そうとしない主人公ニナは共感を覚えるキャラクター。危うげな魅力を持ったミスティや、誇り高き精神分析医、ニナに協力する調査員など、サブキャラクターたちもいい味を出している。
クライマックスの法廷シーンもスリリングでテンポが良く飽きさせない。ラストに至って、やや強引な展開が目に付くものの爽やかな読後感がそれを救っている。


No.291 6点 死にゆく者への祈り
ジャック・ヒギンズ
(2023/02/20 19:18登録)
アイルランド独立闘争に加わる主人公が誤って子供たちを乗せたバスを爆破する。その罪の意識からテロ活動を離脱する。
北国の暗い空の下で展開する知識人の悲劇が巧みなサスペンスで描かれる。
行動小説に近いが、ミステリとしての味わいも深い。


No.290 5点 沙髙樓綺譚
浅田次郎
(2023/02/20 19:15登録)
高級マンションの最上階、女装の主人のサロンに集まった各界名士が、秘話を語る。刀剣鑑定を巡る「小鍛冶」はじめ、会衆がとっておきの怪談を披露する「百物語」形式で進む連作短編集。
撮影所時代の映画界やガーデニング、任侠道と舞台は多彩で楽しめる。


No.289 5点 マザーズ・デイ
パトリシア・マクドナルド
(2023/02/20 19:12登録)
前半は、TVのホームドラマのようであり、実母と養母の葛藤もあまり新味がない。だが、中盤になって連続して殺人事件が起こり、単純な家庭悲劇めいた状況が、にわかにミステリアスな雰囲気に変わっていくあたりから、やっと面白くなってくる。
いったんは心の離れたカレンとジェニーの親子関係が、家庭崩壊の寸前で再び絆を取り戻し、ともに逆境に立ち向かっていく様子は、女性の作者ならではのきめ細やかさと温かさで描かれている。意外な犯人だが、ラストまでいかず明らかにしてしまうのは惜しい気がする。


No.288 5点 ゴースト≠ノイズ(リダクション)
十市社
(2023/02/01 20:13登録)
平凡な高校生活の周辺で起こる残忍な事件。主人公を取り巻く異様な状況。それらを描く端正な文章から生じる、不協和音。
読者は確かな手応えとともに「読み間違えているかもしれない」という爽快な不安を耳元に感じ続けるでしょう。


No.287 4点 ベルリン強攻突破
ダン・フランク&ジャン・ヴォートラン
(2023/02/01 20:10登録)
前半はユーモラスな人物紹介に費やし、後半で冒険活劇を交えたサスペンスタッチに移行していくのだが、全体の気分は良質のコメディに近い。ミステリ的興味はかなり異質ではあるが、楽しみは味わえる。


No.286 5点 白骨の処女
森下雨村
(2023/02/01 20:04登録)
凶悪な犯行、怪しい人影、連続する恐怖。時間との勝負であるはずが、読者の微笑を誘う大人の余裕が全編に漂う。何より二人の探偵役が、所々で推理談議に花を咲かす姿が、まるでデートのようで楽しそう。

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