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ミステリの祭典

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賛美せよ、と成功は言った
碓氷優佳シリーズ

作家 石持浅海
出版日2017年10月
平均点5.40点
書評数5人

No.5 5点 E-BANKER
(2023/11/03 19:17登録)
「扉は閉ざされたまま」「君の望む死に方」「彼女が追ってくる」短編集「わたしたちが少女と呼ばれていた頃」に続く、碓氷優佳シリーズの続編。それにしても変わったタイトルだな・・・
2017年の発表。

~武田小春は十五年ぶりに再会したかつての親友、碓氷優佳とともに、予備校時代の仲良しグループが催した祝賀会に参加した。仲間のひとり、湯村勝治がロボット開発事業で名誉ある賞を受賞したことを祝うためだった。出席者は恩師の真鍋宏典を筆頭に、主賓の湯村、湯村の妻の桜子をはじめ教え子が九名。総勢十名で宴は和やかに進行する。そんななか、出席者のひとり、神山裕樹が突如ワインボトルで真鍋を殴り殺してしまう。旧友の蛮行に皆が動揺するなか、優佳は神山の行動に“ある人物”の意志を感じ取る。小春が見守るなか、優佳とその人物の息詰まる心理戦が始まった・・・~

本作、紹介文のとおりで、優佳と旧友である〇〇のふたりが息詰まる心理戦を繰り広げる。それをこれまた旧友の小春があれこれと考え、想像しながらまるで解説者のように振る舞う、という図式になっている。
なので、倒叙形式とも違う、ちょっと変わったスタイルで進んでいく。
これを面白いと感じるかは人それぞれだろうけど、個人的にはあまりピンとこなかったかな。
ある種の「操り殺人」というテーマになるのかもしれないけれど、あまりにもプロバビリティすぎるし、ふたりの心理戦についても長編を引っ張るほどの面白味はなかったように思う。

まぁこのシリーズは優佳を軸とした心理戦が肝なので、パターンをいろいろと模索するのは正解なのだろうし、作者の工夫の跡は伺える。
しかし、三人とも実に人が悪い! 女性だからこそなのか、男性にはなかなか理解できない心理だな。まるで将棋のプロのように何手も先の手を読む、互いにマウントを取り合う・・・おぉコワイ!
まるで「駒」のように扱われ、操られる男性陣・・・ご愁傷様です。
続編も読むだろうな・・・

No.4 5点 八二一
(2022/10/25 20:10登録)
優佳たちが集まった祝賀会で撲殺事件が起きた。事件は皆の目の前で発生し、撲殺犯も明確に特定されている。
つまりは、ミステリとしてフーダニット興味もハウダニット興味もない状況なのだが、そこから緊迫した推理劇を紡ぎだす手腕は大したもの。

No.3 5点 パメル
(2021/09/02 08:46登録)
武田小春は、十五年ぶりに再会したかつての親友・碓氷優佳とともに、予備校時代の仲良しグループが催した祝賀会に参加した。仲間の一人・湯村勝治が、ロボット開発事業で名誉ある賞を受賞した事を祝うためだった。
出席者は恩師の真鍋宏典を筆頭に、主賓の湯村、湯村の妻の桜子を始め教え子が九名、総勢十名で宴は和やかに進行する。そんな中、出席者の一人・神山裕樹が突如ワインボトルで真鍋を殴り殺してしまう。旧友の蛮行に皆が動揺する中、優佳は神山の行動にある人物の意志を感じ取る。小春が見守る中、優佳とその人物との息詰まる心理戦が始まった。
優佳は、直接手を下した犯人ではなく、違う立場にある人物を犯人として勝負を受けて立つ。会話の中で、主導権の行き来が明確に行われ、どのように主導権を奪ったのかがロジカルに明かされ、探偵と犯人の攻防に興奮できるし、腹の探り合い、駆け引きの心理戦の面白さを堪能できる。
手掛かりを集めてロジカルに真相に辿り着くという本格ミステリとは毛色が違うので、好き嫌いは分かれるでしょう。「人には本音があって建前がある」といった人の心の揺れ動きをミステリに結びつけたミステリとして成功していると言っていいでしょう。

No.2 6点 人並由真
(2017/11/18 21:38登録)
(ネタバレなし)
 総ページ数は、新書(二段組み)で約190ページと薄め。
物語の流れも事件の概要もシンプルな造りだが、山場の反転はそれなりに決まっている(最後の真相に至る伏線も張ってあるが、うまいこと読者の目をそらしてある。まあ途中で気が付く人は気が付くかもしれない)。
 このまとまりの良さを「このネタでよく長編に仕立てた」と感心するか、あるいは「しょせんは短編ネタじゃないの?」と見るかで評価は分かれそう。個人的にはなかなか面白く読めた。
 いわゆる「××××」テーマのミステリだが、そっちばかりに気を取られているとスキを突かれる感じで、そういう作風はキライじゃない。佳作~秀作。

No.1 6点 fareastnorthern
(2017/10/18 13:55登録)
性格の悪さで有名な?碓氷優佳シリーズ最新刊。
仲間の成功を祝うはずの同窓会が一転殺人現場に。
なぜ事件が起こってしまったのかを、冷徹に理詰めで明らかにしていく。
相変わらずひねくれた設定。意図的に場所も固定して会話劇スタイルにし、碓氷優佳と犯人(とは呼べないかも)の対決をスリリングに魅せている。
語り手の上杉小春はその対決を見守る審判のような役割か。
優佳もイヤな女だけど、小春も相当性格悪い

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