fareastnorthernさんの登録情報 | |
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平均点:7.14点 | 書評数:7件 |
No.7 | 9点 | それまでの明日 原尞 |
(2018/03/06 01:58登録) ずいぶん待たされた久しぶりの新作。新宿の片隅に事務所を構える孤高の私立探偵沢崎シリーズ。 以下ネタバレ感想。 前作では出てこなかった錦織警部との相変わらずのやり取りは最早微笑ましいレベル。とはいえ時間の流れを感じさせずにはいられない人や街の変化も。あの相良が、親孝行キャラになったり。 謎解き度合いは抑えめながら、まさか沢崎に叙述トリックを仕掛けられるとは。。。 あと噂で語られる同業者の描写が御手洗潔風の天才型探偵なのが気になる。いつか絡んでくるのかな。 最後は東日本大震災が発生するところで、物語の幕は閉じる。これは次回作を書かざるを得ないでしょう。 「それまでの明日」から「それからの今日」が描かれるのを、また待ちましょう。 |
No.6 | 7点 | 幽女の如き怨むもの 三津田信三 |
(2018/02/27 12:48登録) 皆さんのレビューを踏まえた上でネタバレ感想 第一部の日記が、小説として面白すぎる、残された理由が不自然、などが挙げられてました。 最後の真相から遡って考えると、この日記自体信頼出来ないテクストになります。全ては創作の可能性すらありますし、日記が廓に残っているのを二代目が覚えていない訳がない、もしくは二代目になった時に持ち込んだ可能性もあるんじゃないでしょうか? そうすると、初代時代の自殺未遂も完全な狂言かもしれない。通小町を自殺に追い込んだのも初代。手紙は読み書き出来る初代が書いた偽物。動機は廓No.1になり金を稼ぐため。 その後、狂言自殺をし、それが見破られそうになったため、意識朦朧の月影を誘い出して突き落とす。。 なんて解釈はいかがでしょうか? |
No.5 | 6点 | 影を裁く日 高柳芳夫 |
(2018/02/14 00:06登録) サミット会場で発生した外務省役員の殺人事件。 お役所の縄張り争いや、キャリア官僚の権威誇示、事勿れ主義の横行。30年以上前の作品だが、今もそんなに変わっていないだろう。 物語は事件そのものの謎というよりは、人の生き様の謎を追っていく。 やがて真犯人は2人に絞られるが、、、 最後がモヤモヤとしてスッキリしないのは作者の狙いだろう。 人間が悪いのか、権力が人を狂わせるのか。 |
No.4 | 6点 | ガチ! 伯方雪日 |
(2017/11/25 10:06登録) チャンピオンに無謀な真剣勝負を挑むも敗れた万年前座レスラーの突然死と、援交女子高生連続殺人。 遺された一人娘と最後の弟子が出逢い、二つの事件に隠された真相に近づいていく。 プロレス界について、かなりぶっちゃけて描きつつも、その上で愛していることが伝わってくる。 謎解きよりも、どう決着をつけるのかという興味が物語を引っ張る。 主人公の格闘少女は意外に乙女なメンタル。青春ですね。 |
No.3 | 6点 | 賛美せよ、と成功は言った 石持浅海 |
(2017/10/18 13:55登録) 性格の悪さで有名な?碓氷優佳シリーズ最新刊。 仲間の成功を祝うはずの同窓会が一転殺人現場に。 なぜ事件が起こってしまったのかを、冷徹に理詰めで明らかにしていく。 相変わらずひねくれた設定。意図的に場所も固定して会話劇スタイルにし、碓氷優佳と犯人(とは呼べないかも)の対決をスリリングに魅せている。 語り手の上杉小春はその対決を見守る審判のような役割か。 優佳もイヤな女だけど、小春も相当性格悪い |
No.2 | 7点 | 黒き舞楽 泡坂妻夫 |
(2017/01/28 18:22登録) 泡坂妻夫でなければ描けない純和風な世界観の中での、 恋愛官能ミステリーとサイコホラーの合わせ技。 都筑道夫の雪崩連太郎シリーズにも似たモチーフの作品があり、そちらもオススメです。 |
No.1 | 9点 | 雪崩連太郎幻視行 都筑道夫 |
(2017/01/28 18:09登録) 和風怪奇ホラーと本格ミステリーのハイブリッド。 人間の情念の恐ろしさ。 三津田信三が好きな人にオススメ。 ちょっと主人公モテすぎ。 |