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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:397件

プロフィール| 書評

No.337 6点 救国ゲーム
結城真一郎
(2023/10/19 20:39登録)
崖っぷちの日本の「救国」という他人事では済まされない難しいテーマに、鉄壁の謎と緻密な謎解きの火花散る勝負で迫った超絶本格ミステリ。特にドローンボックスに格納された被害者の頭部をめぐる推理が読ませる。


No.336 9点 網内人
陳浩基
(2023/10/19 20:37登録)
ネット専門の名探偵アニエの魅力、最新技術を駆使した調査のディテール、高度情報化社会の闇、そして巧妙な仕掛け。
現代香港を舞台にした最上級ミステリ。


No.335 9点 蒼海館の殺人
阿津川辰海
(2023/10/19 20:34登録)
前作同様、今回も名探偵の在り方を問うと同時に、災害に襲われた閉鎖環境でのカウントダウンサスペンスと殺人事件の謎解きを両立させた。
推理の緻密さ、終盤のサプライズの連続、そして名探偵性の熟考、いずれも抜群に素晴らしい。


No.334 5点 デジタルリセット
秋津朗
(2023/10/01 20:38登録)
眉目秀麗、人望厚い好漢が意にそぐわない周囲を皆殺ししては人生を乗り換えるサイコサスペンス。
それ自体は定型だが、その乗り換え方が思わぬ広がりを見せ、底なしの闇に続いていくイメージが秀逸。


No.333 5点 白菊
藤岡真
(2023/10/01 20:34登録)
画商の相良は、「白菊」というキュービズムを予感させる絵に関わったため、不可思議な事件に巻き込まれていく。
歴史ネタや骨董品業界の裏話、超能力、記憶喪失など、多様な素材を盛り込んだミステリ。


No.332 5点 犯意
乃南アサ
(2023/10/01 20:31登録)
十二編からなるサスペンス短編集。登場する犯罪場面が実際に起きたら、どんな罪に問われ、どれぐらいの刑が科せられるのか。
一編ごとに園田寿・甲南大法科大学院教授の解説がつく。裁判員の目線が実感できる。


No.331 5点 暁の密使
北森鴻
(2023/10/01 20:28登録)
明治半ばに仏典を求めて大陸奥地のチベットを目指しながら、志半ばで倒れた能海寛。欧米列強の覇権争いの地で、多彩な人物を配し能海の足跡に絡む歴史の秘密を紐解いたスリリングな冒険小説。


No.330 6点 グラン・ギニョール城
芦辺拓
(2023/10/01 20:25登録)
「グラン・ギニョール城の謎を解いて」と、奇妙な言葉を残して列車内で男が怪死。弁護士の森江春策が謎に挑む。
過去、現在、虚実が交錯するメタミステリと見せて、結末は意外な一点に収束する。


No.329 5点 ねじの回転
恩田陸
(2023/09/12 20:29登録)
過去の事件も、未来の惨劇もすべて包み込むように、何度となく巻き戻されては繰り返される時間の流れにも似た、浮遊感と酩酊感に満ちた異色時間SF。


No.328 5点 とくさ
福島サトル
(2023/09/12 20:24登録)
死者が言葉の力で蘇ろうとする表題作をはじめ、ストーリーよりも古めかしい文体とアンバランスな会話、視聴覚に訴える表現などによって言葉の持つ呪力を最大限に引き出し、現実世界を幻想の断片群で塗りこめるようとする作品集。


No.327 5点 暗殺者の献身
マーク・グリーニー
(2023/09/12 20:20登録)
暗殺者のグレイマン・シリーズの第十作。対立・対抗する組織が入り乱れて、次から次へと活劇が繰り広げられる。窮地に立たされてのアクションの連続が新鮮で、サスペンスも高まる。
世界の政治情勢を見極め、どのような謀略が世界で起こりうるのかを生々しく具体的に提示してリアリティを確保している。


No.326 5点 とげ
山本甲士
(2023/09/12 20:16登録)
主人公が勤める南海市役所市民相談室には、苦情や相談がいっぱい。上司は汚職で逮捕され、部下は反抗的、妻まで交通事故を起こしストレスはついに頂点に。
状況を突破する結末が痛快なドタバタ小説。


No.325 5点 天使
佐藤亜紀
(2023/09/12 20:12登録)
感覚を研ぎ澄ませていくことで、自分の体や周囲を制御する特殊能力を持つ主人公ジョルジュ。オーストリア諜報機関の顧問官に育てられたジョルジュは、第一次大戦前夜の欧州で、国家機密に関わる密命を帯びる。
自意識とその壮大な闘い、渦巻く陰謀が描かれている。


No.324 5点 芝生の復讐
リチャード・ブローティガン
(2023/08/22 20:21登録)
密造酒を造る祖母、岩の中の彩り豊かな世界を娘に語る父。カリフォルニアの太陽と静かな雨の記憶の中で紡がれ、奇妙だが鮮烈な感動を呼ぶ、幻想的な物語。


No.323 5点 水晶内制度
笙野頼子
(2023/08/22 20:18登録)
男性社会を強烈に批判するとともに、その矛先は女性たちにも向けられる。大塚英志との論争を背景にしているが、例えそれを知らなくてもフェミニズムSFとして充分に堪能できる。
アグレッシブで情念に満ちた濃密な幻想小説である。


No.322 4点 背の眼
道尾秀介
(2023/08/22 20:14登録)
オカルト現象をあるロジックによって解明していくという、本格ミステリ的な要素があるけど、論理の幅が狭すぎて不完全。
仮説検証の回数が足りないし、ワンアイデアで書いた小説という気がする。


No.321 5点 眠れる人の島
エドモンド・ハミルトン
(2023/08/22 20:11登録)
孤島に漂着した男の見る夢がそのまま現実となる表題作、姿を見た者を殺す力を持つ一族との戦いを描く「邪眼の家」など全5編。
幻想趣味と怪奇の味わいに満ちたSF短編集。


No.320 7点 第三の時効
横山秀夫
(2023/08/22 20:08登録)
主婦、証券マン、調理師と三つの連続殺人事件が起こった。F県警は巧妙に仕組まれた事件に取り組むが。
刑事らの個性や苦悩、警察内部の覇権争いなど、リアルなプロットで描いた6編の連作短編集。


No.319 7点 博士の愛した数式
小川洋子
(2023/08/22 20:05登録)
80分しか記憶が維持できない男やもめの数学博士と、家政婦が繰り広げる奇妙だが、悲しい恋の行方を描く。
数式が恋の伝言となり、数学と文学がまろやかに重なる美しい物語。


No.318 7点 将軍の娘
ネルソン・デミル
(2023/08/04 20:34登録)
探偵役のペアが元恋人という設定で、これが話に彩りを添え、ユーモアの薬味が効果的に使われている。
しかも従来の作品にはなかった謎解き仕立て。フーダニットの謎だけでなく、ホワイダニット、ハウダニットの謎も用意されていて読み応えがある。

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