八二一さんの登録情報 | |
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平均点:5.76点 | 書評数:397件 |
No.77 | 7点 | 黄昏に眠る秋 ヨハン・テオリン |
(2020/03/08 19:42登録) 現代ミステリとは思えない緩やかな展開ながら、意外性も十分。美しい風景と緻密な人物描写が堪能できる。これほど叙情的で、かつ素晴らしいミステリに仕上げ、家族について深く考えさせるとは見事。 |
No.76 | 6点 | スリー・パインズ村の無慈悲な春 ルイーズ・ペニー |
(2020/03/08 19:39登録) 主役級から脇役にいたるまで、特に女性キャラクターの造形は秀逸。結ばれた感情がカタルシスへと導かれる。偉大なものにふれた、という感動に浸された。 |
No.75 | 7点 | 犬の力 ドン・ウィンズロウ |
(2020/02/25 19:39登録) 壮絶なヴァイオレンス描写を詩的に語った空前絶後の犯罪文学。互いに噛みつき合う如き、血と暴力と進行に彩られた三つ巴の愛憎劇。圧倒的な筆力にねじ伏せられる快感を味わった |
No.74 | 5点 | 凍てついた墓碑銘 ナンシー・ピカード |
(2020/02/25 19:35登録) 故郷への愛と、人間を見抜く確かな目と、それを存分に表現できる筆力が結集した作品。人間ドラマに読み応えあり。 |
No.73 | 5点 | 狼のゲーム ブレント・ゲルフィ |
(2020/02/25 19:32登録) ロシア軍部とマフィアの間を行き来する血腥い男が主人公の暴力小説。一人称で感情表現を抑えた文章が魅力的。女のボディガードが素敵。 |
No.72 | 6点 | 夜明けのパトロール ドン・ウィンズロウ |
(2020/02/13 20:12登録) 悲惨な事件や登場人物たちの友情に入り込む亀裂に痛む読者の心が、あいだに海やサーフィンの描写がはさまれることで、浄化されていく。人生に必ず訪れる転機を描いた感動作品。 |
No.71 | 5点 | 探偵術マニュアル ジェデダイア・ベリー |
(2020/02/13 20:08登録) めくるめくイマジネーションの妙。愛すべきキャラクター、怪奇で幻想的な世界観。「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のころの村上春樹が書いたようなミステリ。 |
No.70 | 6点 | 死をもちて赦されん ピーター・トレメイン |
(2020/02/13 20:05登録) 古代ケルト、カトリックの派閥、高位の修道女と修道士のやりとり。すべてが興味深い。憶断と偏見を排し、知性と理性に従い、真相にいたる手続きをゆるがせにしないフィデルマのありようは、名探偵の鏡。 |
No.69 | 7点 | エステルハージ博士の事件簿 アヴラム・デイヴィッドスン |
(2020/02/03 22:02登録) 強靭なユーモア精神に裏打ちされた、幻想味濃い探偵小説集。奇想天外とは、まさに本書のこと。とぼけた味わい、精巧なホラを堪能できる。 |
No.68 | 8点 | ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利 ロバート・バー |
(2020/02/03 21:57登録) 自信過剰な名(迷)探偵が、犯人に、してやられるところが、むしろ愉快。とぼけていながら洞察の利いた秀作が中盤に並ぶ。風刺と軽身で、歴史に残るユーモアあふれる作品。 |
No.67 | 5点 | いたって明解な殺人 グラント・ジャーキンス |
(2020/02/03 21:51登録) B級臭漂うどんでん返しサスペンス。一見単純に見えてひねりをきかせたストーリー。悪人や病的な登場人物ばかりでいて読ませる。 |
No.66 | 3点 | 六つの手掛り 乾くるみ |
(2020/01/23 20:14登録) 短篇集としての荒さがみられる。トリックだけにしては少々魅力が無い。ラスト一行のためにある一作。 |
No.65 | 6点 | 龍神の雨 道尾秀介 |
(2020/01/23 20:12登録) 真相が露になる時というのは、大抵のミステリでは犯人の企みの瓦解であるけれど、この作品では真相は被害者たちを崩壊させてしまう。そこが新しいし哀しい。 |
No.64 | 5点 | 乱反射 貫井徳郎 |
(2020/01/23 20:09登録) 誰でも、いつでも殺人者になりうるというリアルなイヤさ満載。私たちが生きることの世界そのものの実相を描いた作品。 |
No.63 | 5点 | 命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇’75 古野まほろ |
(2020/01/10 19:41登録) 過激派の内ゲバをミステリにした勇気に敬意を表します。物的、状況証拠から犯行の動機のみを追う珍しい構成。文体に癖あり。 |
No.62 | 6点 | 生霊の如き重るもの 三津田信三 |
(2020/01/10 19:39登録) ホラー要素は若干薄目なものの本格要素が充実で解決シーンの読み応えは抜群。冒頭の三篇が、足跡の謎という挑戦的なところも評価できる。 |
No.61 | 7点 | 引擎/ENGINE 矢作俊彦 |
(2020/01/10 19:36登録) ファム・ファタルに魅入られた刑事の転落を描く作者の筆は、あまりにもヴィヴィッド。荒っぽく過激なハードボイルドだが洗練された語り口で読ませる。 |
No.60 | 4点 | 警官の証言 ルーパート・ペニー |
(2020/01/01 09:14登録) 読者への挑戦状付きの密室殺人。二人の異なる視点によって登場人物それぞれの個性と人間関係が鮮やかに浮き彫りになっていく過程が読みどころ。トリックは今ひとつ。 |
No.59 | 6点 | WORLD WAR Z マックス・ブルックス |
(2020/01/01 09:11登録) ゾンビを荒唐無稽な怪物ではなく災害として扱いその顛末をドキュメンタリー・タッチでリアルに描いた娯楽小説。冒険小説・ホラーSF・ラノベ、あらゆる読み手を殺す作品。 |
No.58 | 8点 | ブラッド・メリディアン コーマック・マッカーシー |
(2020/01/01 09:08登録) 映画「アラビアのロレンス」をも連想させる、アメリカ版、血みどろの砂漠の叙情詩、崇高なる暴力小説。途轍もなくブルータルな世界を畏るべき静寂で覆う語りが素晴らしい。 |