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ミステリの祭典

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わたしの本当の子どもたち

作家 ジョー・ウォルトン
出版日2017年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 八二一
(2020/05/19 19:18登録)
ひとつの決断から女性の人生が分岐する物語。歴史が徐々に異なっていくさまはゾクゾク物。

No.1 7点 糸色女少
(2018/01/07 11:55登録)
SF嫌いの人にもぜひ薦めたい、パラレルワールドを描いた小説。
舞台は英国。1926年生まれのパトリシアは第二次世界大戦後、大学を卒業し、女子高で教えるようになるが、突然、彼から電話で、結婚するか、別れるか、決めろと言われる。ここからパトリシアは二人の自分を生きることになる。
ひとりは悲惨な結婚生活を送りながらも、子どもたちがそれぞれの道を歩む姿を見つめるうち、社会的な問題に関心を持つようになる。もうひとりは結婚をあきらめて学校で教えながら、イタリアの旅行ガイドブックを出版。植物学者の女性と愛し合うようになって、やがて知人男性の協力を得て子供もできる。
みじめな結婚生活を余儀なくされるパトリシアの住む世界が平和なのに対し、良き伴侶に恵まれて暮らすもう一方の世界では、何度もテロや小規模な核戦争が起こるという皮肉な設定が、作品をより深いものにしている。
最初の章も最後の章も、老齢で意識が混濁し、二つの人生をまだらに思い出して「今日も混乱」しているパトリシアを描いているのも見事。
ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」やカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」にも通じる作品。

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