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ミステリの祭典

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渇きと偽り
アーロン・フォークシリーズ

作家 ジェイン・ハーパー
出版日2017年04月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 YMY
(2024/08/25 22:47登録)
連邦捜査官のアーロン・フォークは20年ぶりに故郷の田舎町に戻った。親友だったルークが、妻と幼い息子を道連れに無理心中をしたと聞いたからだ。
最悪の干ばつに襲われている故郷では、希望が見えない人々の苛立ちや敵意が渦巻いている。オーストラリアの田舎町の閉塞的な雰囲気をくっきりと浮かび上がらせる文章に魅了されるし、ハードボイルド的な主人公にも味わいがある。

No.2 6点 八二一
(2020/05/19 19:22登録)
多様なズームによる事物の描写が固有の風土と密接に結びつき、そこに人々の心理が浮かびあがり、過去に起きた事件が多面性を帯びていく過程にくらくらとさせられた。

No.1 6点 nukkam
(2017/04/16 21:53登録)
(ネタバレなしです) イギリス生まれのオーストラリアの女性作家ジェイン・ハーパー(1980年生まれ)の2016年発表のデビュー作が本書ですが、デビュー作ながらとても緻密で完成度の高いプロットに驚きました。20年前に起きた少女の怪死事件で友人ルークのアリバイ証言によって(実は嘘の証言なのですが)警察の容疑が晴れたにもかかわらず町の人々から犯人扱いされて父親と共に故郷を追われたアーロン・フォークが主人公で、ルークが家族を殺して自殺した(らしい)ことがきっかけで再び故郷に戻ります。フォークの捜査は現代の事件と過去の事件が何度も交差しますが無用に読者を混乱させることはありません。依然としてフォークに白い目を向ける人々の存在やオーストラリアならでの干魃によって荒廃した社会の雰囲気が息詰まるようなサスペンスを盛り上げます。本格派推理小説としては犯人指摘がそれほど論理的な謎解き説明でなく、特に20年前の事件については証拠不十分だと思いますが現代の事件でのジル・マゴーンの某作品を連想させるような巧妙なミスリーディングは実に印象的でした。

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