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ミステリの祭典

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mediocrityさんの登録情報
平均点:6.23点 書評数:286件

プロフィール| 書評

No.106 3点 猫は知っていた
仁木悦子
(2019/07/06 06:08登録)
謎をばら撒くだけばら撒いてワクワクさせてくれたのは良かったが、果たして全てに納得がいく解答がなされたかというとかなり疑問。正直腑に落ちない部分が多い。
まず、他の方も書いておられますが、車の置き場所に関しては完全に反則でしょう。読んでいてびっくりしましたよ。電話のトリックに関しても疑問。音の高さとスピードをいじっただけでそんなに上手くいくのだろうか。防空壕の2回目の殺人のトリックもちょっと強引かな。猫があんなに都合よく動いてくれるだろうか。なんというか本作は、人間は全体的に妙な動きばかりしていて、猫は作者の予定通りに動くというのが、通常と逆なような気がして違和感が残ります。殺人の動機もなんだかなあ。
最大の欠点はこのタイトルなのに、出てくる猫に全く魅力がないことですかね。


No.105 9点 八つ墓村
横溝正史
(2019/07/03 01:34登録)
いやあ、面白かった。推理小説ベースにホラー、アドベンチャーもふんだんに詰め込んだ福袋みたいな作品だった。いずれ映像も見てみたい。気分的には10点付けたいけど、推理小説要素がかなり少ないので1点だけマイナスさせていただきます。


No.104 7点 人喰い
笹沢左保
(2019/07/02 04:01登録)
この方の文章好きだなあ。上手いのに嫌味がまったくないというか、流れるように読める。内容もすごさは感じないんだけど、細かい所が結構凝ってると感じました。ちょっと変わった章立ても、読み終わってその意味に納得。日本推理作家協会賞受賞も納得です。一番好きじゃないのはタイトルですかね。


No.103 6点 北帰行殺人事件
西村京太郎
(2019/06/30 04:03登録)
前に読んだ『下り特急「富士」(ラブ・トレイン)殺人事件』の前日談。非常に読み応えのある長編サスペンス。映像にしたら映えそう。普通の2時間ドラマじゃもったいないから、改変時期の長時間スペシャルバージョン用だな。(実際2度放送されていて2回目はそうだったらしい。)
アリバイ崩しは最後の方に出てくるがおまけ程度。なんかそこだけ取って付けたような感じで、むしろなかった方が良かったような気がする。この方は細かい鉄道ネタより、サスペンスで魅せている本の方が読みがいがあっていい。


No.102 4点 アポロンの嘲笑
中山七里
(2019/06/29 00:07登録)
過去に読んだ同氏の著作2冊よりは表現的な不快感は少ない。小説としてはそれなりに楽しめた。
それにしても、よくここまで原発批判、東電批判をあからさまに書く勇気があったものだ。内容自体はどこかで聞いたことのあるような事ばかりで目新しさはないが、書いていて怖くなかったのだろうか。原発関連の話を調べていたら色々ときな臭い噂は聞いているだろうに、怖いもの知らずだな人だなと感じた。

さてストーリーだが、色々と設定に現実味が薄くて、荒唐無稽すぎると一笑に付す人もいるだろう。相変わらず細かい所は突っ込み所が非常に多い。特に、主人公がマンガのヒーローなのかと思えるくらいの超人なのが笑える。ほとんど何も食べていないのに警察官をいったい何人倒したんだろう。火事場の馬鹿力なのだと言われればそうなのだろうが。

以上のような事を無視するとしても、ミステリ要素はほとんどないし、ストーリーに驚きがほとんどないのはいかんともしがたい。社会派推理小説というよりは、コミック風の反原発小説に思えた。


No.101 10点 犬神家の一族
横溝正史
(2019/06/27 05:05登録)
<少しネタバレあり>
出版が1970年になっているから比較的晩年の作品なのかと思ったら、連載自体は1950~51年なんですね。連載小説でここまで話の辻褄を合わせられたのは、ただただ驚きです。
入れ替わりトリックとか、主犯が誰かとかは、確かに今読むとわかりやすいけれど、時代を考えるとミステリとしての完成度も非常に高いのではないでしょうか。
前に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』という作品の書評で、最終章で無理やり親戚関係作って興覚めだみたいなことを書きましたが、犬神家はなんだか全員親戚みたいになっても全く違和感を感じませんでした。
そのあたりも含めて、とにかくプロット作りが恐ろしく上手いと思いました。


No.100 5点 京都茶道家元殺人事件
山村美紗
(2019/06/26 22:45登録)
トリック自体は悪くないが、文章があまりにも平凡すぎてつまらなく感じてしまった。
「そこすごく大事なのにそんなにあっさり書いちゃうの?」とか「この部分は中盤じゃなくて後半のこの位置に置けば良かったのに」みたいな表現上の不満がかなりあった。


No.99 6点 白い兎が逃げる
有栖川有栖
(2019/06/25 23:47登録)
短編3作+中編の表題作。全て火村シリーズ。
①『不在の証明』
これが一番良かった。警察をまくために路地裏に隠れていたひったくり犯の証言と、被害者の関係者の意外な証言によって殺人の真相が解明する。
②『地下室の処刑』
これも面白かった。他の作品でも出てきたテロ組織がらみの事件。展開も面白いし殺人の真相も面白い。
③『比類のない神々しいような瞬間』
最近テレビドラマ(山村美紗サスペンスか『刑事ゼロ』か『科捜研の女』。どれかは忘れたけど「京都物」だった)でこのダイイングメッセージのネタが使われてました。こういう一部の人にだけ分かる系のものはあまり好きじゃないです。最後の決定的証拠もあんまり。
④『白い兎が逃げる』
これだけ他より明らかにページ数が多いし期待していたんだけど、それほどいいと思わなかった。『マジックミラー』はすごかったけど、鉄道トリック物はよほど凝ってないと面白くないですね。

平均を取って6点にしましたが、前半2作8点、後半2作4点という感じで、かなり評価に差があります。後半2作は正直2時間ドラマの平均レベルくらいかなと。


No.98 2点 珈琲店タレーランの事件簿
岡崎琢磨
(2019/06/23 23:13登録)
前回書評した『ビブリア古書堂の事件手帖』に引き続き、こちらも読んでみました。

きつい言い方ですが、プロの文章とは思えませんでした。ぎこちなさ過ぎて内容がなかなか頭に入ってこない。我慢して読み進めましたが、ストーリーも楽しめるレベルにはありませんでした。


No.97 7点 ビブリア古書堂の事件手帖
三上延
(2019/06/23 14:06登録)
先日読んだ東川さんの『純喫茶「一服堂」の四季』の元ネタ?が、この本と『喫茶店タレーランの事件簿』だということで、とりあえず両方一作目を購入。出版順通り、こちらを先に読んでみました。

これは売れたのもよくわかります。
ライトノベルということで実際軽く読めるのですが、なんというか非常に丁寧に書かれていると感じました。本にまつわるミステリーと人間にまつわるミステリーが、密接に絡みつつ進行していくのが良かったです。
登場人物も魅力的だし、べたな表現ですが心温まるストーリーです。続編もいずれ読もうと思います。


No.96 4点 ら抜き言葉殺人事件
島田荘司
(2019/06/21 01:08登録)
タイトルを見た時は「何これ?」て感じだったのですが、読み終わった後の感想も「何これ?」
今までで一番書評を書きにくい・・・
書きたいことがないのでとりあえず採点だけ。


No.95 5点 純喫茶「一服堂」の四季
東川篤哉
(2019/06/19 22:17登録)
安楽椅子探偵が活躍する短編4話。なんと東川氏お得意の野球ネタが皆無である。この人は短編で売れっ子になったとのことだが、長編の方がかなり出来が良いと思う。5点にしたけど4.5点四捨五入の5点。

第一話
 文字で書くのは簡単だけど、実際にあの場所であんなにうまくやるのは難しいトリックではないかと感じた。村崎が寝たからよかったものの相当な物音が出そうだし。
第二話
 トリックらしいトリックは1つだけだけど、この作者らしくて満足。
第三話
 話を面白くするために死亡推定時刻に言及しなかったのはかなり問題かと思う。トリックもミエミエだし。
第四話
 本全体の仕掛け、というかオチは面白い。しかしながらこのトリックは勘弁してください。考えた人はいるだろうけど、普通は書かないよなあ。


No.94 8点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2019/06/16 04:47登録)
短編12作品。以下日本語タイトルはWikipediaを参照した。『まだらの紐』だけ英語の授業で読んだことがあるので再読。
スマホでちょくちょく読んでいたけど結構なボリュームですね。『緋色の研究』の倍くらいあったような気がする。

歴史的価値ゆえに高得点が付いているのかと思いましたが、読んでみると面白いものが多かったです。マイベストは『青い紅玉』。鳥を追いかけている所がなんともコミカルで。『緑柱石の宝冠』が次点でしょうか。息子が無言を貫いた理由がなんともいい。次いで『ボヘミアの醜聞』『赤毛同盟』『唇のねじれた男』あたりが好き。有名な『まだらの紐』は話は面白いですけど、一番無理があるような。
12作もあれば当然、全作品面白いというわけにはいかず『ボスコム渓谷の惨劇』『オレンジの種五つ』『ぶな屋敷』あたりはあんまり。

あえて歴史的価値を考慮せずにこの点数で。


No.93 7点 46番目の密室
有栖川有栖
(2019/06/16 03:08登録)
現状平均5.31点ということであまり期待せずに読み始めたんですが、何作か読んだ火村シリーズの中では上位に感じました。
特に足跡の謎解明が良かったです。タイトルの割に、本作の密室の謎はちょっと肩透かしだったかもしれません。個人的には動機が一番マイナスポイントですかねえ。


No.92 3点 タイムスリップ戦国時代
鯨統一郎
(2019/06/14 01:08登録)
前半は良かったんだが、どんどん滅茶苦茶になってくる。それでも読めなくはないが関ヶ原はもう読む気をなくす出来。6点→0点ということで平均して3点で。
重要な出来事は一通りさらっていくので、歴史の勉強にはなります。


No.91 4点 寝台急行「天の川」殺人事件
西村京太郎
(2019/06/13 03:45登録)
1時間15分で読了。東京駅で買って新幹線に乗ったら名古屋に着く前に読み終わってしまうお手軽本。
先日読んだ『寝台急行「銀河」殺人事件』はそれなりに楽しかったが本作はあまり面白くなかった。ミステリらしさは車両ネタ1つだけ。ただし文章と構成はこちらの方が落ち着いている。
途中、十津川がやたらと容疑者にはったりを掛けるが、やり方が強引すぎて笑ってしまった。


No.90 5点 タイムスリップ水戸黄門
鯨統一郎
(2019/06/12 23:26登録)
水戸黄門パロディーのタイムスリップもの、てタイトル見ればわかるか・・・
大体予想通りに物語が進行してハッピーエンドで終わるのは原作と同じ。
水戸黄門のそこそこ面白い回くらいには面白い。


No.89 7点 暗い宿
有栖川有栖
(2019/06/12 01:35登録)
「宿」をテーマにした短編集。テーマは同じだが4作とも全く似通っていないのがいい。宿の形態も1作目から、営業を終えて売却寸前の元旅館、リゾートホテル、温泉旅館、東京の高級ホテルとバラバラ。『201号室の災厄』は有栖川氏は冒頭ちょっと出てくるだけで火村視点の異色作。個人的には『異形の客』が一番「宿シリーズ」というネーミングがピッタリで好き。


No.88 1点 さよならドビュッシー
中山七里
(2019/06/06 06:11登録)
書評88作品目ですが、現状ワーストです。
・とにかく気分の悪い描写、言葉遣いが断続的に出現する。『作家刑事毒島』の書評でも同じことを書いたが、よくこんな不快感を与える文章を書けるものだと感心してしまう。
・医学関連にしても、音楽関連にしても、自分の知識内でも事実と異なると思われる箇所が数か所あった。となると専門家が見れば間違いだらけなんじゃないのだろうか(この点は推測です)。
・メインの仕掛けが分かりやすすぎる。ノーヒントでも勘のいい人は気付くだろうに、自分が見つけただけでも3つあからさまなヒント(というかほぼ答え)があった。しかも、うち2つは序盤。さすがに読者を馬鹿にしすぎじゃないかと感じた。失礼ながら、気付かなった人はよっぽど鈍感か、ちゃんと読んでいないかのどちらかです。
・スポ魂的ストーリーも、あまりにベタすぎて全く面白くなかった。


No.87 5点 蒲生邸事件
宮部みゆき
(2019/06/06 02:16登録)
なんとも点数が付けにくい作品だ。
どうでもいい描写が多すぎて、前半はひたすら退屈。正直我慢して読み進めた。2章までは半分削れるんじゃないかとすら思う。3章に入ってもまだかったるいが、4章あたりから流れがよくなってきて、最後はきれいにまとまる。読後感は非常に爽快。
登場人物も全体的に魅力的。主人公が嫌いだと書いてる方が多いが自分は主人公も好きだ。
なお、SFミステリなのだろうが、謎解き要素はおまけ程度。かといってSFとして面白いかと言われると、タイムリープものでは面白くない部類に入るかも。青春小説として読めば面白いのかなあ?
なんだかよくわからないので5点(まぁ楽しめた)ということで。

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