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ミステリの祭典

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弾十六さんの登録情報
平均点:6.13点 書評数:459件

プロフィール| 書評

No.39 5点 死時計
ジョン・ディクスン・カー
(2018/11/03 08:11登録)
JCD/CDファン評価★★★☆☆
フェル博士第5作。1935年出版 創元文庫(1982)で読了。
三十五年ほど前に一度読んでいるのですが例によって全く内容を忘れていました。「私」の回想で始まりますが、この「私」は誰?本篇の語り手はメルスン博士(魔女の隠れ家にちょっとだけ登場) いつものJDC/CD流で絵が浮かばない描写、込み入りすぎて何がなんだかわからなくなる筋、犯人が目撃されるが偶然顔を見られないので誰だか特定されない、というお気に入りのネタなどで頭が痛くなった頃に、フェル博士(ヘッヘッヘHeh-heh-hehと笑います)が何かを企み、幕が降ります。小細工が満載で意外と楽しめる探偵小説でした。ところで冒頭に示された「亡くなった一重要人物」は誰なんでしょうか…
さて恒例の歌の時間です。(フェル博士シリーズには歌と酒がつきもの)
p213 ハドリーが歌の一節を口ずさむ。流行歌には疎いメルスンも、その歌は聞き覚えがあった。一風変わった歌詞だった。「最後の狩り込みの鐘が鳴る」(Words stood out: “-din’ for the last round up...”) : Billy Hill作 The Last Round Up(I’m headin’ for the last round up...) 試訳「最後の牛追いに出かけよう…」調べてみるとこの歌の初録音は1933年7月George Olsenで、同年11月のGene Autryなど同じ年に全部で9枚のレコードが発表されるほど流行ったようです。 でも死時計事件の時(1932年9月)には聴けるはずがない…
p217 連隊の晩餐会か何かだったのさ。『勇猛果敢な勇者たち』なんて歌ってね。(Regimental dinner or something. ‘Boys of the bulldog breed,’ and all that.) : “Sons of the Sea (Men of the Ocean)” 1914 Navy song? “But you can't beat the boys of the bulldog breed, bobbin' up and down like this.”という歌詞がある。


No.38 7点 服用禁止
アントニイ・バークリー
(2018/11/03 07:57登録)
1938年出版 翻訳2014年。
元は雑誌John O'London Weeklyに連載したもの。わざとらしい名/迷探偵などの登場は無く、一人称で隣人の死にまつわる騒ぎが日常の延長のように物語られます。静かな雰囲気ですが起伏に富んでおり、結末もバークリーらしい傑作だと思いました。


No.37 6点 検事出廷す
E・S・ガードナー
(2018/11/03 03:48登録)
ダグラス セルビイ第4話 1940年6月出版 Country Gentleman誌連載(1940-4〜6)
「燭をかかぐ」の18カ月後の事件。物語の舞台はマジソン郡の日陰、"川の南側"の町、ラス アリダス。マジスン シティに特急列車はとまらない。シルヴィアは6Bの鉛筆を使う。アイネズ再び、セルビイにつきまとい、シルヴィアをイライラさせます。検屍官パーキンスは今回の事件でセルビイ側に。法廷シーンは大陪審と陪審裁判。大陪審の陪審長は敵方でセルビイは苦戦、陪審裁判ではアイネズ弁護士と戦います。ちょっと入り組んだ筋立てですが、解決は割とスッキリしています。誠実に正義を追求するセルビイなので、メイスン流の派手なトリックプレイを期待してはいけません…
銃は38口径の銃(詳細不明)と保安官の大きな牧場用の拳銃が登場。レックスは銃の名手のようです。


No.36 5点 倍額保険
A・A・フェア
(2018/11/03 03:43登録)
クール&ラム第5話 1941年12月出版
魚釣りに興じるバーサ。エルシーは昇給し日常生活を披露、エルシーファン必見。今まで必ずかわいこチャンに惚れられるラム君でしたが、今回はちょっと違います。田中コミさんの翻訳はこのシリーズの雰囲気にぴったり、一人称は「おれ」です。(訳者あとがきも小実昌さんらしい文章です) ストーリーは見事な構成ですが登場人物が弱い。


No.35 6点 義眼殺人事件
E・S・ガードナー
(2018/11/03 03:35登録)
ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第6話。1935年4月出版。創元文庫で読了。
義眼講座から始まる物語。ホルコム刑事とのドタバタ劇は初期シリーズの名物。バーガー初登場。後年の「メイスンが憎い」狂人ではなく、無実の訴追を恐れるまともな地方検事です。メイスンの策略は無茶。(やってはいけないことを平然とやってしまいます) でも、この位のが面白い。
同時に3丁の銃が現れる豪華な事件です。一つは38口径コルト ポリスポジティブ(翻訳では「警察用の38口径のコルト」「コルト警察拳銃」)、二つ目は38口径S&W リボルバー、三つ目はショルダーホルスターに入った型式不明の拳銃。今までピストルと言えばコルトだったこのシリーズですが、やっとS&Wが出てきました… 幕切れにもオマケの45口径リボルバーが登場。ホルコムが男をあげて幕。
(以下2021-9-5追記)
実はcounterfeit eyeには「義眼」という意味はない。全文検索したが、この小説の本文でも「義眼」は glass eye または artificial eye。本文に11箇所出てくる counterfeit (eye) は全て「偽の(義眼)」を指している。調べるとcounterfeitには「偽造」の意味が強く、悪いニュアンス付きのようだ。なので新版を出すときは『偽造の眼球』を推します!


No.34 7点 奇妙な花嫁
E・S・ガードナー
(2018/11/01 22:54登録)
ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第5話 1935年11月出版 Liberty連載(1934-7-7〜9-15) 創元文庫で読了。
curiousは知りたがりの意味が強いのでは?意地悪メイスンが冷たい対応を後悔して依頼人を探すことになる冒頭の流れが良い。かなりの危ない橋を渡りきる手腕(やり過ぎです…)が見ものです。そしてメイスンが泣く!(多分シリーズ唯一)
銃は32口径コルト自動拳銃、シリアル3894621が登場。WWIIのM1911A1を除きコルト社の拳銃で7桁シリアルは実在しないようです。389462の誤りと仮定するとM1903 Pocket Hammerless, 1921年製が該当。
最初の裁判は検察が間抜けすぎなので★一つ減点です。なおメイスンがカリフォルニア州の判例を使っており、ここで物語の舞台が加州であると初めて明示されました。


No.33 7点 最上階の殺人
アントニイ・バークリー
(2018/11/01 22:37登録)
1931年出版
秘書とのやりとりに可笑しみが溢れており婦人服店のくだりがとても楽しいです。数々の小ネタ、そして大ネタがみごとに決まって傑作だと思いました。


No.32 7点 盲目の理髪師
ジョン・ディクスン・カー
(2018/11/01 22:28登録)
JDC/CDファン評価★★★★★
フェル博士第4作 1934年出版 創元文庫(1962年)旧訳で読みました。
四十年ほど前に読んだのですが全然覚えていなくて、新訳は手元に無く、井上一夫先生の旧訳で再読。会話が快調で、井上先生なかなかやるな、全然古びていない! 客船が舞台の大騒ぎドタバタ物語です。フェル博士の提示するヒントが漠然とし過ぎていて謎解き要素にドキドキ感が薄いのですが、頭のネジが外れた登場人物たちが歌いまくり暴れまくる無茶苦茶な展開。JDCは酔っ払いが好きですね。探偵小説としてはモーガンに「剣の八」の冴えが見られず、周りのボケ軍団相手にツッコミ役を演じるだけ。夢まぼろしのような事件なので解決もフウンなるほどね!と言った感じです。
沢山出てくる歌を原文から調べてみました。
p52『学生王子』The Student Prince: ミュージカル1924
p112&p129 大海原の波に生き… A Life on the Ocean Wave: 詩 Epes Sargent 1838, 曲Henry Russell
p241 『ポール船長はヤンキーの奴隷、あんな野郎はぶっ倒せ』とかいう歌 Captain Ball was a Yankee slaver, blow, blow, blow the man down!: 「ボール」「奴隷商人」ですね… Benetの詩John Brown’s Body 1928から?
p250『ロザリオ』を歌う sing ‘The Rosary’: 不明
p255 『サンタクローズの橇鈴』Santa’s Sleigh-Bells: 不明、Jingle bellsのこと?
p258『ギルバートとサリバン』やなぎよ、やなぎよ、ちっちゃなやなぎよ Willow, tit-willow: Guilbert & Sullivan作 The Mikadoから
p260『ピルセンの王子』The Prince of Pilsen: ミュージカル1903・映画1926
p267 『賣人のむれ、街を去り』When chapman-billies leave the street: Robert Burns作の詩Tam O’ Shanterより
p302 協調の手をわかつなく 真理の旗を固守すべし! May the service united ne’er sever, But hold to its colours so true.: “Columbia, the Gem of the Ocean”より
p307 『さあ、桑の藪を回ってゆこう』round-the-mulberry-bush: Here We Go Round the Mulberry Bush、English nursery rhyme and singing game.
p344 『ラ マデロン』La Madelon: 第一次大戦時のフランスの流行歌
p344 『オール マン リバー』Old Man River: ミュージカルThe Show Boatより
p346 『ラ マルセーエズ』La Marseillaise: フランス国歌
荒木飛呂彦先生の作画でミュージカルアニメにしたらピッタリだと思います…


No.31 8点 大当りをあてろ
A・A・フェア
(2018/11/01 21:58登録)
クール&ラム第4話 1941年6月出版 ハヤカワ文庫で読了。
病み上がりのバーサはダイエットに励み、ラム君はボクシング熱に浮かされ探偵を辞め野外生活、星空を眺めて眠ります。作者が大好きなボクシングと砂漠生活が生き生きと描かれて幸福感が溢れます。スロットマシン講座もあり。妙に心に残る作品で、シリーズ中で一番好きです。


No.30 4点 検事円を描く
E・S・ガードナー
(2018/11/01 21:54登録)
ダグラス セルビイ第3話。1939年11月出版
やっと敵役の悪徳弁護士A.B.カー登場。55歳くらいのとても悪賢い男。保安官レックスは相棒だが警察署長ラーキンは敵側という関係。保安官の捜査権限が良くわかりません… 敵方新聞のボスも初登場、なかなかの策士です。前任検事ローパーも初めて顔見せ。五里霧中なのに誠実に正しくあろうとするセルビイ、その高潔さに周りは呆れ顔。
お待ちかねの法廷シーンが登場しますが、カー弁護士の狡猾さは紹介程度。今回のプロットは複雑さが少なく、解決も出来があまり良いとは言えない感じです。
銃は38口径リヴォルヴァ「コルト・ポリース・ポジティヴ」が登場。中桐先生は訳者あとがきでも「クラリオン新聞は朝刊紙で、ブレード新聞は夕刊紙」という鋭い分析を披露しています。他にも38口径のスミス・アンド・ウェッスンのリヴォルヴァ、保安官の45口径が登場。弾丸はピーターズ会社とウインチェスター会社のものが出てきます。


No.29 5点 だれがコマドリを殺したのか?
イーデン・フィルポッツ
(2018/11/01 01:08登録)
1924年出版 創元文庫の新訳(2015年)で読みました。
JDC/CDのアンチ小説を立て続けに読んだので、冒頭からいかにも小説らしい展開の本作に、これこれ、こんなのが読みたかった… と思ったら、50ページを超えるあたりからあっとゆう間の急展開で、シノプシスめいた文章がずらずら並び、地の文で主人公たちの心理を説明しちゃう素人っぽい表現… 後半も拙い書き方で大ネタがすっかり割れてしまいました。プロットは非常に素晴らしいのにとても残念。もっと構成と文章を工夫すれば大傑作になったと思います。
だ〜れが殺したコックロビン。あ、それ!とコックロビン音頭を歌いたい気分です。

<ネタバレになるかもしれない蛇足>2018-11-3追記


これ、「ミソサザイ」が回想する形式の一人称小説にしたらかなりイケるんじゃないか、と思いつきました。もちろん「変死」事件後に書いている、というテイで…


No.28 5点 赤後家の殺人
カーター・ディクスン
(2018/10/31 23:07登録)
JDC/CDファン評価★★★☆☆
H.M.第3作 1935年出版 創元文庫(1960)で読みました。
弓弦城を再読してないのですが、冒頭から判断すると続編的な感じ。まー誰が誰でも全然関係ないので気にする必要はありません。
発端にはゾクゾクさせられますが新アラビア夜話(スティーブンソン)を先に読んでたほうが良いかも。(本編とは関係なし。雰囲気作りですね)
いつもの通り人物描写が下手なのでごたつく序盤、なかなかスリリングな中盤を経て、全員集合、謎解きが始まるよ!という流れ。(最後は大勢で押しあいへし合いという変な場面)
小ネタはまあまあ、でも大ネタが残念。警察の見落としを期待してはいけません。それにあのトリック(p387)はないでしょう。
フランス革命ネタは作者の趣味全開ですがいささか退屈。興味深かったのはロイヤル スカーレット事件(p312)これ書かれざる事件なのかなぁ。
全体的にバラバラなネタのごった煮な感じです。インスピレーションと飽きっぽさが同居するJDC/CDらしい作品ですね。
以下トリヴィア、原文は参照出来てません。
p124 タラッタラッ、大きな悪狼が…(H.M.の鼻歌): 「三匹の子豚」(ディズニー1933)のWho's Afraid of the Big Bad Wolfかな?{★R3/10/16追記}原文“Ta-ta, big bad wolf; who's afraid of—” 「バイバイ、悪狼」だったのね。
p172 ラ マルセイエーズ: 歌詞は結構血なまぐさいです。
p306 海の妖女たちはどんな歌を歌ったか…: Sir Thomas Browne, "Urn-Burial"(壷葬論)ですね。モルグ街のエピグラフで有名。
p344 ルール ブリタニア(支配せよ、大英帝国)Rule, Britannia: イギリス国歌、スチュアート党が愛好、と宇野先生が注釈しています。詞James Thomson、曲Thomas Arne(1740)
名言が一つ: イリュージョンは真理よりよっぽど貴重ではるかに美しい(p366) JDC/CDのモットーですね…{★R3/10/16追記}原文the illusion is much more valuable and fine a kind of thing than the ass who wants to upset it


No.27 6点 ヴァイオリン職人の探求と推理
ポール・アダム
(2018/10/31 21:54登録)
<掟破りですが読む前に書いています!>
私は古楽が好きで、ということは古楽器も好きなのでストラディヴァリは整形美女だと思っています。(当時の楽器を後世の好みに合わせて「鳴る」様に手を加えているということ)それに法外な値段!この本ではどんな世界が展開してるのか、今からとても楽しみです… アマーティやガルネリも出てるのかな?読了後、ちゃんと評を書きます!(なので、どうかご勘弁を)


No.26 8点 吠える犬
E・S・ガードナー
(2018/10/31 21:26登録)
ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第4話 1934年6月出版 Liberty(1934-01-13〜1934-03-17)連載。創元文庫で読みました。
実はシリーズ第3話で、雑誌連載の都合上「幸運の脚」の後の出版となりましたが、冒頭を読めば「怒りっぽい娘」の次の話であるのは明白) 異常と疑われる依頼とメイスンの過剰な対応で冒頭からすぐに引き込まれます。ドレイク探偵局が活躍しすぎないのが良く、メイスンの大胆な行動(完全にやり過ぎです…)が痛快。意外と本格的な推理もあります。タフガイ刑事ホルコムは今作が初登場。フランク エバリー君がメイスンの陪審論を拝聴します。
作者もお気に入りの作品らしく、第10話や第18話など後年のシリーズ中で「吠え犬」は度々言及されています。
なお次の話に繋ぐラストの予告編は10作目まで(本国初版では)ちゃんと続いているのですが、ペーパーバック化に際して別のと入れ替えたり、再版時に削除されたりで、翻訳では結構バラバラになっちゃっています。


No.25 5点 黄金の煉瓦
A・A・フェア
(2018/10/31 20:59登録)
クール&ラム 第3話 1940年9月出版
柔道の先生はトカムラ ハシタ(ESGの日本人はいつもちょっと変な名前です)
銃を持った相手にも勝てるって… 東洋の神秘というやつ? ラム君はミスキャストとしか思えないボディガード役。頭の回転と口八丁で難局を逃れるラム君の活躍が楽しめる作品です。今まで愛想が無かったエルシー ブランドも今作では結構喋ります。


No.24 8点 ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎
アントニイ・バークリー
(2018/10/31 20:47登録)
1927年出版 翻訳2003年
迷走探偵シェリンガムらしさの出た探偵小説の傑作。楽しげな雰囲気で、小ネタの出し方も良く、大ネタに至る流れが最高です。軽い気持ちで読み始め、軽い気持ちで読み終われる、そんな娯楽小説の見本だと思いました。先行作品(レイトンコート、ウィッチフォード)を読んでいなくても充分楽しめます。


No.23 6点 検事燭をかかぐ
E・S・ガードナー
(2018/10/31 20:41登録)
ダグラス セルビイ第2話。1938年11月出版 Country Gentleman誌連載(1938-9〜1939-1)
検事になる前の弁護士時代のセルビイは富豪の娘アイネズとテニスや乗馬を楽しむ仲、新聞記者シルヴィアはアイネズをライヴァルと見なしているようです。証拠もないのに突っ走るセルビイ。二転三転する筋書きは作者お得意のもの。無謀な若き地方検事の突撃は吉と出るのか?ラストの対話が結構意外でした。なお、法廷シーンは今回も出てきません。
小さな町の物語なのでレギュラーキャラがこれからも増えていくのかな?と今作を読んだ時には期待してたんですけどね…


No.22 7点 帽子収集狂事件
ジョン・ディクスン・カー
(2018/10/31 20:28登録)
JDC/CDファン評価★★★★★
フェル博士第2作 1933年出版 今回は創元文庫の新訳(2011年)で読みました。
四十年ほど前、創元文庫の旧版(1960年)で読んだのですが、冒頭から全然覚えていなくて、ほぼ初読状態。語り手の存在意義が良くわからないのですが(まーいつもそうです)展開が素晴らしく、ハドリーとフェル博士の漫才も珍しく笑える良い探偵小説でした。納得できる合理性はJDC作品の中でもピカ1だと思います。
でも登場人物に良いネタがたくさん転がってるのに全然生かしてない…(シーラちゃんだけ何故か生き生きと描かれてる…) 物語の全貌が明らかになり、読者が色々想像して補うと立派な「悲劇」です。
「帽子が有るのは何故?」という謎は、絶対EQのローマ帽(1929年)を意識してるはずです。ロンドン塔が舞台ですが、名所を紹介する観光ミステリにはなっていません。新訳は、セリフを上手に処理していて正解ですね。
(今回は歌のコーナー無し。「フェル博士には酒と歌が付き物」という真理に気づく前の読書だったので…)


No.21 7点 ウィッチフォード毒殺事件
アントニイ・バークリー
(2018/10/30 22:04登録)
1926年出版
実際の有名事件(1889年フローレンス メイブリック事件)をかなり忠実になぞっていて当時の読者はピンときた、ということを読了後、解説で知り、そういうことなら訳者前書きというような形で知らしめた方が効果的かなぁ、と思いました。(ベンスン殺人事件が同年の出版)
探偵トリオの掛け合いはちょっとうるさいくらいで、若気(作者33歳)の至りですね。小ネタの出し方が上手、大ネタは意見が分かれるところかな。(私はアリです) ところで若い娘への折檻が衝撃的だったんですが…
この小説でも「最上階の殺人」でも、どうやら原文に日付の誤りがあり、翻訳では訂正されてるとのこと。英国紳士は細かいことを気にしない、ということなのか…


No.20 6点 ラム君、奮闘す
A・A・フェア
(2018/10/30 21:50登録)
クール&ラム 第2話。1940年1月出版
小さな町で過去のスキャンダルを嗅ぎまわる探偵稼業。どんどん引き込まれる作劇術が素晴らしい。テンポが良く展開が早くて楽しめる作品です。
30分白黒TVドラマCool and Lam(1958年)はこの作品が原作。元気に喋る作者ガードナーが冒頭に登場します。お馴染みの作者写真と全然イメージが違うので一見の価値あり。(某Tubeで鑑賞可能、ただし英語です)このドラマはラム君の魅力が全く無く失敗作ですね。

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