虎よ、虎よ! 旧邦題『わが赴くは星の群』 |
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作家 | アルフレッド・ベスター |
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出版日 | 1958年01月 |
平均点 | 7.75点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 8点 | 虫暮部 | |
(2020/07/21 11:49登録) もっとガチャガチャしたイメージがあったが、読み返してみると意外にシンプルな物語。第一部の末尾の逃走劇、ケンプシイから情報を引き出す為の無茶な手術、スコプツィ植民地に於ける間接的なコミュニケーション法、等が特に鮮やかな“絵”として胸に残っている。 ところで私、いわゆるハードボイルドはあまり好まないけれど、SFに混ぜるとサラッと読めるな。 |
No.3 | 8点 | 弾十六 | |
(2018/11/24 19:09登録) まさか登録されてるとは思いませんでした。ここは懐が深いですね… 1956年英国で初版。ついで米SF雑誌Galaxyに連載。ここら辺の事情は何だったのか? SFの祭典なら文句なしの10点です。 悪党パーカー的なのが好きな人にも良いのでは? |
No.2 | 8点 | クリスティ再読 | |
(2018/09/27 22:02登録) 少し気分転換。SFでは超有名な名作である。評者SFはどっちか言うと苦手感が強いんだが、本作は別。結構何回も読み返している本である。 誰? あのフォーマイル? ああそうね。道化だわ。成金紳士。俗悪。低劣。猥褻。 と主人公を評するこの言葉がすべてを語ってるかもしれない。実際、今回読んだ感想としては、「大いなる眠り」に似てるよね...と感じたりもした。圧縮され疾走感に溢れた、熱いコラージュ、という肌触りのことだ。終盤にご都合主義的にキャラが皆恋愛に走るのが奇観なのだが、主人公だってそうなる前は、なかなかハードボイルド、なのである。「ミステリの祭典」的には、チャンドラーが好きなら、楽しんで読めるのでは。 本作のスジとかSFの道具立てについては、今更評者なんかが細かく言わなくても「ネタの宝庫として、メディアを問わず後世への影響力絶大」で充分。それよりも本作の強烈でアツい「俗悪・低劣・猥褻」が導く崇高さが、「ああ、ワルい本読んだ!」というスペシャルな充実感で満たしてくれる。言うならば「精神にカツが入る」ような本なのである。 評点は10点でもいいんだけど、「ミステリの祭典」と銘打つ以上、流石にSFなので遠慮して8点とします。まあ本作なんて何点でもいいさ。パンクにどうやって点をつけると言うんだね。 |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2010/04/18 18:19登録) テレポーテーションが発達した25世紀が舞台のSF復讐劇。 「モンテ・クリスト伯」を下敷きにしているが、力感と疾走感にあふれたノアール小説の印象があります。 哲学的な命題を提示して終えるエンディングがSFの名作と言われる所以でしょうが、謎と伏線の妙味もあり、「分解された男」ともどもミステリ読みにも魅力ある小説だと思いました。 |