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ミステリの祭典

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ユービック

作家 フィリップ・K・ディック
出版日1978年10月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 モグラの対義語はモゲラ
(2021/11/22 02:27登録)
読んだのは文庫本版。
序盤のストーリーや設定に騙され、時間と超能力の絡んだ冒険ものなり本格チックなミステリものなのだろうかと思って読み進めていったが、途中から完全にどこまでが現実でどこまでが何者かによって創られたものなのか判然としない、現実感が揺らぐ難解なSFになっていた。とはいえ、ディックのSFはほとんど読んでいないが、割と「世界ってそうだったのか……」か「自分ってそうだったのか……」が話に絡むことが多いと私は思っているので、「安定のディックだなあ」としか思わなかったが。多分ファンであるほど驚かないのでは。
どこまでも不可思議な描写が後半続いていくが、誰を信じるべきかを主人公が考えたり、フーダニットの解決が序盤に登場した人物であったり、この事態を引き起こしてるのが誰なのか、動機は何なのかをそれなりに推理したりと、割と真っ当なサスペンスミステリをしており、ミステリ的な要素のみをこしとって考えても大変楽しく読めた。勿論SF的な設定やシャビーな近未来観も面白かったのだが、あくまでミステリとして考えるならこの点数。
SF小説としてはもっと高い点数を点けたい。贅沢に設定やガジェットをふんだんに盛り込んでいるからだ。そしてそれらが無駄でなく、ちゃんとサスペンスミステリとして面白くなるよう作用しているのだから凄い。

ところで「文庫本のあらすじを読んではいけない」という前評判を聞いていたので読まないように注意していたが、読了後読んでびっくりした。このネタバレは酷すぎるでしょ。

No.2 6点 ことは
(2020/02/22 17:42登録)
後半、読んでいてジョジョを思い出した。こんな敵、ジョジョにいたような? 荒木飛呂彦、ディック好きだったんだなぁ。
実に個性的で、あ、これ好きな人いるのわかる、と思うけど、私の好みと少しちがった。

No.1 8点 弾十六
(2018/11/24 17:39登録)
昔はレムが書いたら傑作になってたのに、と思ってました。今は、正反対の評価です。日常生活の中に、突然、裂け目が出来る感覚を、軽いタッチで見事に表現しています。生きることは、少しずつ死ぬことだ、と言う真理をガキだったわたしに強く印象づけました。レムなら哲学論で台無しにしてたでしょうね… 深読みしたくなるほど、表面上はストレートなSF傑作です。
※ なんかアマゾンを今見たら、翻訳が古いとなっててショック… 浅倉先生ももー古いんだ… 久々に再読してみようかな… (ディックが書いた映画版ユービックの脚本もかつて読みましたが、いまいちピンと来なくて、途中で落ちました)

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