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ミステリの祭典

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白いビキニ
私立探偵リック・ホルマン

作家 カーター・ブラウン
出版日1963年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 弾十六
(2018/12/06 06:04登録)
原書ペーパーバック(1963年刊行 Signet S2275)の表紙絵はマッギニス。ギター片手にビーチチェアに横たわるブロンド。白ビキニの上部は白ファー?に隠れて見えません…ああブラ外してて右手で軽く握ってる紐だけ見える図なんですね。(WEB検索でwhite bikini carter brown mcginnis)
冒頭2ページだけで美人が四人も出てくるハリウッド探偵リック ホルマンの豪華な活躍物語。女好きなのか女嫌いなのかよくわからないキャラです。白岩義賢のあとがき(「リック・ホルマン無頼な男」)によるとハリウッド美女に慣れていてガッついていないタイプらしい。
さてストーリーはよくわかったようなよくわからない話。まー硬いこと言わないで、なんとなく筋が通っていれば良い感じです。コミさんの軽妙な翻訳で、薄っぺらい軽ハードボイルドの世界を充分楽しめました。
カーター ブラウンはハウスネームじゃなくて一人の作家だった、という事実(小鷹さんの調査結果)には結構驚きました。しかもほとんど米国に足を踏み入れていない?(確認せずに書いています。本がどこかに埋もれてしまった…)
以下トリビアですが、作者は雑誌などで知識を仕入れてたのかなあ。なお原文未入手です。
p7 首吊りジョニイ: Hanging Johnny (Long Drag Shanty) 詳しい解説は本書p47にありますが、船乗りの歌で作業歌のようです。
p21 10ドル: 情報を得るためにモルグの係員に握らせた額。ちょっと多めの感じ? 他にも25000ドルとか3000ドルとか出てきますが、こういう少額がどの程度なのかが気になります。(結局は作者想像上の米国の話なんですが…) 現在価値は食パン基準(1963/2018)で89.82ドル(10167円)
p37 フォークソングの歌手: 「ギターをならして、脱腸になった猫が、てめえの腸で、じわじわ首をしめられて死ぬときみたいな、うすきみのわるい声をだすやつさ」ジョーン バエズのデビューが1960年、PPM結成が1961年。
p41 エスプレッソ: コミさんの注釈で「ビート族のたまり場」となっていて、へーと思い調べてみると、コーヒーハウスは1950年代のビートニック時代から結構フォークシンガーに発表の場を提供していたようです。最近知って驚いたのですが、本場イタリアでは必ず砂糖2杯くらいを入れて甘々で飲むらしい… 日本人は必ずブラックなので呆れられてるようです。(イタリアで修行したシェフによる。私はもちろんブラック派です。糖尿病なので…)
p42 バーバラ アレン: 古謡。このすぐあとに出てくる古いイングランドの歌「ママ、ママ、ぼくのベッドの用意をして」が見つかりませんでした。この文句自体はBarbara Allenにも出てきます。(Oh, Mama, oh Mama, go make my bed)
p61 着てるものなんか 脱いじまえ: これは作者創作の歌かなあ。
p70 1ドル半: 小さな町の安食堂で食べたステーキサンドウィッチ代(コーヒー付き) 先ほどの換算で1525円。結構高め。なお原書PBの値段は35セント。(現在は4ドルくらいか) 1964年刊行のポケミスは160円。(こちらは現在1000円くらい?)
p91 エリオット ネス:「アンタッチャブルの」と訳されています。TVシリーズ1957-1963。
銃はコルト45(間違いなくSAA)、詳細不明の38口径が出てくる程度。銃器には興味のない人のようですね。

初出は米国ではなくシドニー1963年3月?にThe Ballad of Loving Jennyのタイトルで出版されてるようです。(米国Signet版は1963年7月以降?)

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