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ミステリの祭典

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まだ中学生(仮)さんの登録情報
平均点:6.58点 書評数:128件

プロフィール| 書評

No.68 7点 ラスト・フレンズ わたしたちの最後の13日間
ヤスミン・ラーマン
(2021/12/28 23:02登録)
16歳の少女3人がマッチングサイトで出会った。彼女たちの共通の目的は「自殺」の遂行だった。
精神的な不安を抱えるミーリーン、交通事故で父親を失い、自分も下半身不随になったカラ、家族との関係に問題を抱えているオリヴィア。境遇も性格もバラバラの3人は、出会った初日から上手くいかないが...。
主人公たちの境遇は残酷で、一見、読者から遠い存在のように思える。しかし、確かに「隣にいる誰か」のようであり、時には「自分のこと」のようでもある。
重たいテーマながらも、スピーディーで予測できない展開は一気にに読めてしまう。読後には新しいベスト・フレンドが出来たような親しみが湧いてくる。


No.67 6点 見つけ隊と燃える小屋のなぞ
イーニッド・ブライトン
(2021/12/07 22:43登録)
ある夜、小屋で放火事件が発生。犯人捜しに、子供5人と犬1匹が乗り出す。本書は、そんな小さな探偵団の活躍を描く。一つずつ手掛かりをつかむごとに犯人に近づく易しい構成で、子供が初めて出合うミステリ本として最適。
ブライトンは20世紀を代表する英国の児童書作家。そんな彼女の大人気シリーズの1作目。5人と1匹の「見つけ隊」が、自転車で隣町まで聞き込みしたり、夜中に容疑者の家に忍び込んだり。
意地悪な巡査の目をかいくぐり、たどり着いたのは意外な結末。複雑なトリックはないものの、読み応えのあるストーリー。30点の挿絵が、冒険譚を生き生きと伝える。


No.66 7点 ゴースト・ボーイズ ぼくが十二歳で死んだわけ
ジュエル・パーカー・ローズ
(2021/11/05 23:06登録)
ジェロームはシカゴに住む黒人少年。おもちゃの銃で遊んでいたところを白人警官に撃たれて、命を落とす。ゴーストになった彼の視点を通じ、根深い偏見の実態を描く。
自分を撃った警察官の娘セアラとだけ会話できることに戸惑い、怒りをぶつけてしまうジェローム。セアラも父の犯した罪を恥じ、苦悩する。セアラと対話を重ねるうち、ジェロームは自分がゴーストとして世界にとどまった意味を悟っていく。悲しく辛い話でありながら、差別のない社会への希望も見える展開に心が揺さぶられる。


No.65 7点 十年屋5 ひまな時もございます
廣嶋玲子
(2021/10/26 23:30登録)
絶対に手放したくない大切なものを、時の魔法で10年間預かるという、魔法使いの店が舞台の連作短編集。
いつも客足の絶えない十年屋だが、今回は「預けない」ことを選択する客が続く事態となってしまう。しかも持ち込まれたのは、幽霊にとりつかれている花瓶や、かすかにささやくドクロ、少しくたびれた黒猫のぬいぐるみなど、いかにも深い訳がありそうな物ばかりなのに、預けなかったのは一体なぜなのか。それぞれの事情が、しみじみと胸を打つ。
大人も子供も思い通りにいかないのが人生で、大なり小なり、何かしらの痛みを抱えている。人の心を思いやれるだけの想像力は、いつも磨いていたいものだ。


No.64 7点 ホテル・ウィンチェスターと444人の亡霊
木犀あこ
(2021/10/18 22:54登録)
舞台は、タイトル通り亡霊が棲みついた巨大な老舗ホテル。
時には霊の仕業でトラブルが発生したりもするのだが、そんな場合にお客様をなだめ事態を解決するのは、勤続十年目のコンシュルジュ友納。
何もない空間から客室に降り注ぐ血、誰もいない廊下から聞こえる騒音といった現象そのものは心霊現象であろうとも、何故それが起こったのかという原因は必ずある。友納がそれを解きほぐしてゆく過程の本格ミステリ的な面白さに亡霊たちの憎めない個性も加味されて、怖さより楽しさを感じさせる連作に仕上がっている。


No.63 6点 見知らぬ友
マルセロ・ビルマヘール
(2021/10/04 22:33登録)
不器用な少年「ぼく」をめぐる、10編の物語が収められたアルゼンチンの短編集。
表題作は、ピンチになると決まって主人公ルシオの前に現れる「友」の話。彼のおかげで算数のテストは満点、好きな女のことは両思いになった、大人になった後もうまく事が運ぶはずだったが...。どの物語も思いがけない結末を迎える。
原書の副題「10個のでっちあげた思い出」が示す通り、いずれもフィクションだが、作者自身が経験したエピソードが少なからず盛り込まれている。
静かで味わい深い文章と、オーガ・フミヒロのカラフルで幻想的な挿絵が共鳴し、豊かな世界を紡ぎ出している。


No.62 5点 BIOME 深緑の魔女
伊東京一
(2021/09/16 22:22登録)
主人公は、地域の生態系を読み解き、自然の自体の力を利用して自然災害から人間を守る用心棒を生業とする少女。
日々拡大する巨大な熱帯雨林に覆われた大陸を舞台に、少女が災害に闘いを挑む。「ハードボイルド版ナウシカ」とはエンタメ大賞選考委員の朝松健の評。生態系のミッシング・ピースを探すサイエンスミステリとしての部分が何よりも面白い。


No.61 5点 ランブルフィッシュ〈1〉新学期乱入編
三雲岳斗
(2021/08/02 23:09登録)
軍事用に開発された全長10メートルの人型兵器による格闘技が公営ギャンブル化された近未来。ロボットの基礎設計から、組み立て、整備、操縦などを学ぶ公立の専門学校を舞台にしたロボコン青春ドラマ。
ロボット格闘技の裏で軍事開発競争が進行しているという、きな臭い設定も見え隠れするが爽やかなSF青春ドラマに仕立てられている。


No.60 7点 Dクラッカーズ―接触‐touch
あざの耕平
(2021/07/24 23:21登録)
「実践捜査研究会」を結成した女子高生の二人組、帰国子女の梓と探偵志望の千絵は、同級生の飛び降り自殺の謎を追ううちに、セルネットと呼ばれる麻薬販売組織に行き当たる。
セルネットの扱うカプセルの常用者である「悪魔持ち」による、派手なモンスター召喚バトルが繰り広げられる。カプセルとはどういう成分の麻薬で、誰が製造したのか、セルネットは何のためにカプセルを中高生に撒いているのかといった謎の行き着く先も面白い。
麻薬という危うい題材を扱っているが、セルネットを組織した三人の青年が妙に清々しく魅力的で読後感は非常にいい。


No.59 7点 ブレイブ・ストーリー
宮部みゆき
(2021/07/24 23:10登録)
この物語は家族が離散するという体験をした二人の主人公が、異世界に行って「その結末を変えよう」、「自分の願いを叶えよう」と戦う物語。
彼らの前には悲しい現実が異世界の中で現れる。そして「この世界の全てと自分の現実、どちらを優先する?」と選択を迫られる悲劇の冒険譚。二人の選択は対照的で、結末も対照的。明日を生きるためには、何もかも受け入れて前に進む「強さ」が必要だと教えてくれる。


No.58 7点 魔笛の調べ1 ドラゴンの来襲
S・A・パトリック
(2021/07/09 23:11登録)
ドラゴンが飛び交い、魔法使いが力を振るう。ファンタジーを連想するが、主人公の少年パッチの武器は「音楽の力」。音楽の効果をさらに増幅したような力がある世界で、類希な笛の才能を持つ少年として登場する。
冒険の仲間となるのはドラゴンとグリフィンのハーフ「ドラゴリフ」のバルヴァ―と、魔法でネズミにされた少女レン。ちぐはぐな自分を「性に合っている」と笑うバルヴァー、紅一点ながら勇敢なレンとキャラクターも魅力的で、多様にひらかかれていく今の機運とも重なる。
「ハーメルンの笛吹き」をモチーフにした伏線が綿密に張り巡らされ、ミステリ作家の著者がそれをどう回収していくか、続編も楽しみだ。


No.57 8点 最初の舞踏会 ホラー短編集3
アンソロジー(国内編集者)
(2021/06/25 22:43登録)
フランス文学の著名な作家ペロー、モーパッサン、ゾラ、ルブランらも、ホラーを書いていました。本書はクラシックホラー傑作集・フランス編。300年以上前の古典から50年ほど前の名作まで15編が収録されています。
「見るな」の部屋を開けてしまった妻が見たものは。亡くした娘への愛情が生み出してしまった罪とは。社交界にデビューしたうぶな娘の正体は。凍える彼女に心優しい恋人が差し出した奇妙な「人間あんか」とは。「壁抜け」という特殊な能力を持った男が陥った落とし穴とは。
優雅で残酷。子供向けですが、さまざまな人間の姿を映し出し、フランスものらしい大人気分も味わえる短編集。


No.56 6点 妖怪コンビニで、バイトはじめました。
令丈ヒロ子
(2021/06/25 22:35登録)
生きる希望を失った時、不慮の事故で亡くなった時、そのコンビニが見えるかもしれません。主人公のイズミは霊感のある男子中学生。ふと出掛けたその時、新しいコンビニを見つけた。それが妖怪コンビニでした。
ひょんなことからコンビニでバイトを始めたイズミ。そこで出会ったのは、死にたいコアと突然命を奪われたタカジュン。イズミは彼らの現状を理解し、真剣に向き合っていく。彼らと接することで見えてきた自分のこと、そして彼らの運命。
学校生活や会員制交流サイトの世界で起こる出来事に子供たちの生き方までも考えさせられる一冊。


No.55 7点 消えない叫び
R・L・スタイン
(2021/06/08 23:23登録)
幽霊、ゾンビ、呪い、魔女、怪物。米国のホラー&ミステリ20作家が絶叫から始まり、あるいは絶叫に終わる物語競作シリーズ「Scream!絶叫コレクション」の最終巻。
「震える叫び」「不気味な叫び」に続く第三弾で、六作家が六連続の恐怖を繰り広げる。「サメがいた夏」ではラテンアメリカを起源とする風習が出てきて多民族国家の様相が分かり、「レンガに埋もれたガイコツ」で見つかったお金は禁酒法時代、大金を稼いだギャングのもの。「リス問題」は米英ではリスの肉を食べる習慣があり、味はあっさりして美味しそう。
日本の怖い話と外国の怖い話と、どちらが怖いだろうか。外国のいろいろな伝統や風習、考え方などを知ることが出来る面白さもある。


No.54 7点 失踪HOLIDAY
乙一
(2021/05/31 23:06登録)
表題作は性格の曲がった幼い少女が演出する狂言誘拐の顛末記。併録の「しあわせは子猫のかたち」は、人間嫌いの大学生と若い女性の幽霊の交流を描いた癒し系のゴーストストーリー。設定はありきたりだが、毎日「大岡越前」の再放送を楽しみにする世話好きの幽霊と、周囲を拒絶して生きるプチ人間失格な大学生の同居生活が微笑ましくて、ほろりとさせられる。
ノスタルジックな空間と死者による癒しがもたらす哀しみを伴う甘やかな感触は、児童文学作家のルーシー・M・ボストンに似ている。


No.53 7点 イッカボッグ
J・K・ローリング
(2021/05/21 23:23登録)
人は噓をつくと、ばれないようにまた別の嘘をつく。嘘が積み重なり真実が見えなくなる。幸せな国が一つの嘘をきっかけに駄目になってしまうことも。
コルヌコピア王国には怪物イッカボッグが住んでいるという伝説があった。子供を怖がらせ行儀良くさせるためと皆思っていたが、王様の側近たちが本当にいると民衆に信じ込ませようとした。信じない者は牢屋に入れられてしまうため王様の人気は陰り、豊かだった国は荒廃。王様さえも真実が見えなくなっていく。やがて不運に見舞われた子供たちが国を救うための不思議な冒険へと駆り出されていく。「ハリー・ポッター」シリーズの作者がコロナ禍支援のために発表した物語。真実、希望、友情の大切さを伝える。


No.52 7点 探検!いっちょかみスクール 魔法使いになるには編
宗田理
(2021/04/05 23:38登録)
「ぼくらの七日間戦争」の作家の新シリーズ。
「いっちょかみ」とは「関西の言葉で、何にでも興味を持ち首を突っ込みたがる人のこと」。個性が重視される現代社会に適応するための塾で、講師はあらゆるジャンルのプロが揃っているという。生徒は興味があるジャンルに「いっちょかみ」してみることで将来進むべき道を見つけることが出来るというわけ。主人公ユトリが選んだのは「魔法教室」。職業候補に魔法使いを選んでしまったのだ。ユトリの才能は花開くのか。
何やら怪しげな塾で「プロ」とはいえエリートとはほど遠い大人たちと子供たちのピュアな心が巻き起こす小さな奇跡の物語。読者の心に長年寄り添い続ける作者らしいシリーズの誕生。


No.51 6点 雪山のエンジェル
ローレン・セントジョン
(2021/03/17 22:53登録)
ケニアの少女マケナは山岳ガイドの父と山に登ることが大好きだったが突然、両親が感染症で帰らぬ人に。スラム街をさまよっていた時、スノウというアルビノの少女と出会い、助け合いながら生き抜こうとする。スラム街が強制的に破壊された日、スノウとも離れ離れに。救出してくれたのは孤児院を経営する女性ヘレン。彼女の故郷スコットランドで休暇を過ごすことになったが、気持ちのすれ違いから家出をしてしまう。マケナに危険が迫るたびに幻のように銀色のキツネが現れ、安全な場所に導いて...。
ジンバブエで生まれ育った作者がアフリカの全ての子供たちや生き物たちへの愛をこめて描く感動の物語。美しいイラストが散りばめられ幻想的な趣を添える。


No.50 7点 ハンガー・ゲーム0 少女は鳥のように歌い、ヘビとともに戦う
スーザン・コリンズ
(2021/02/05 20:20登録)
舞台は第1作から64年前の、独裁国家パネムの首都。主人公は18歳のコリオレーナス。優秀な生徒の集うアカデミーで学んでいるが、家は貧しく大学の入学金をなんとかしなくてはならない。
そんな時、賞金が出るハンガー・ゲームの10周年記念大会が開催される。10年前戦争に敗れた12の地区から、男女の子供1人ずつを生贄として差し出させ、殺し合いをさせるという大イベント。今回はこれを盛り上げるため、それぞれの生贄に、アカデミーの生徒が教育係として組むことになる。
ところがコリオレーナスの相手は、最も脆弱な地区の女の子で、得意なのは歌くらい。彼はガッカリしながらも、劣悪な条件の中で活路を探るうちに、しっかりとした手応えを感じるようになっていく。生々しくスリリングなゲームの展開と、その後の2人を追いながら、自意識が強く計算高いコリオレーナスの心の揺れを巧みに描いている。


No.49 6点 楽園の烏
阿部智里
(2021/02/05 20:11登録)
たばこ店店主の安原は、山を相続することになったせいで、断崖と奇岩に囲まれ、瓦屋根がどこまでも広がる異界に放り込まれる。そこには脚を3本持つ巨大な八咫烏が住んでいた。
彼らは人の形を取ることもできる。安原は、その一族の長である雪斎という男から、山を譲ってほしいと言われるのだが、不信感を抱き、即答を控えて、しばらく居座ることにする。そして人間界に留学していた頼斗という青年に付き従われ、その世界を散策するうち、奇妙な事件に巻き込まれていく。
約20年前、八咫烏の一族と猿の一族の間に起こった激しい戦いがその原因らしいのだが...。とぼけた感じの安原と、生真面目な頼斗のコンビも魅力的だが、後半のどんでん返しの連続が凄い。

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