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ミステリの祭典

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楽園の烏
八咫烏シリーズ

作家 阿部智里
出版日2020年09月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2022/03/16 12:08登録)
 これは驚き。
 八咫烏シリーズは、雅やかな朝廷絵巻として幕を開け、キャラクター達の絡み合う “情” を軸に軍事やら信仰やらのネタも取り込み拡大して来た。しかしそれは所詮 “持てる者” の傲慢に過ぎなかった、と断罪するかの如き視点の転換!
 私の記憶が確かなら、作者はインタヴューで “読者がどんな展開を期待しているかは判るが、それを書いては駄目なのだと思う” と言う旨の発言をしていた。成程、こういうことか。この人は想像以上に肝が据わっていると思う。

No.1 6点 まだ中学生(仮)
(2021/02/05 20:11登録)
たばこ店店主の安原は、山を相続することになったせいで、断崖と奇岩に囲まれ、瓦屋根がどこまでも広がる異界に放り込まれる。そこには脚を3本持つ巨大な八咫烏が住んでいた。
彼らは人の形を取ることもできる。安原は、その一族の長である雪斎という男から、山を譲ってほしいと言われるのだが、不信感を抱き、即答を控えて、しばらく居座ることにする。そして人間界に留学していた頼斗という青年に付き従われ、その世界を散策するうち、奇妙な事件に巻き込まれていく。
約20年前、八咫烏の一族と猿の一族の間に起こった激しい戦いがその原因らしいのだが...。とぼけた感じの安原と、生真面目な頼斗のコンビも魅力的だが、後半のどんでん返しの連続が凄い。

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