レッドキングさんの登録情報 | |
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平均点:5.28点 | 書評数:928件 |
No.908 | 7点 | 少女には向かない完全犯罪 方丈貴恵 |
(2025/01/31 17:52登録) 小六少女と幽霊青年の探偵コンビってな、とんでも設定にして、少女の両親殺しと幽霊自身の殺害事件を解明して行く、地道ロジックのミステリ・・かと思いきや、多重ドンデン返し「チョコレート殺人事件」(文字通りなんだなぁ、これが)の展開、そして、くどいまでのドンデンどんでんエンド。 最初から「うゆうさん」「からす」「まほろ市」出て来て、ん?麻耶雄嵩ネタ?おもったら「母が新本格ミステリ大好き人間」て、やっぱり(^O^)そうか。作者、早坂吝同様、麻耶の京大後輩だったなぁ・・おもったら、単なるくすぐりネタどころか、主人公青年、「夏と冬の奏鳴曲」から「木製の王子」に至る「如月烏有物語」のオマージュの如きヤツであった(なんと、嬉しや 1点オマケ)。 |
No.907 | 5点 | ゆがんだ光輪 クリスチアナ・ブランド |
(2025/01/26 10:11登録) 前回、パトリシア・ハイスミスの「プロテスタント vs カトリック」テーマに濃厚に覆われた作品の事を書いたんで、これも。元々、ジョン・ディクスン・カーに、このテーマに拘った「歴史」ミステリがあるが、カーの場合は両勢力の政治的対立・・主に英国の・・における、カトリック贔屓の表現だった。「生者たちのゲーム」では、倫理的テーマが深層を成してたが、この作品は、もっぱら、社会的構造テーマの物語。カトリック・・「美」と「儀式」と「共同体」の宗教・・に対する、プロテスタント・・「倫理」と「実存」と「権威」の信仰・・の側からの(クリスチアナ・ブランド、一応、プロテスタントの人だよなあ)クェッション(= 謎 =Why)。そりゃ、ミステリにならざるを得んよなぁ、ヒトゴトだけど。 |
No.906 | 5点 | 生者たちのゲーム パトリシア・ハイスミス |
(2025/01/24 22:55登録) メキシコが舞台の女性惨殺事件で、登場人物は、主役以外ほぼ全員・・探偵警官含め・・メキシコ人。キルケゴール的プロテスタント信仰への絶対的拒否(= 一致)に生きる虚無的な画家と、ラテン系カトリック&ロシア正教の「原罪共産主義」(ドミートリー・カラマーゾフの「誰もが誰もに対して罪びと」のあれね)に溺れる自虐的にして攻撃的な職人。殺された女を愛人として「共有」した(された)二人の魂の、嫌悪と共振の軋轢。イタリアむろんスペイン超えて、どラテン匂うメキシコ風光譚としても、充分に愉しめる。(もちろん、whoダニットミステリでもあるのだが・・そこは、まあ・・・点数オマケ付き。) |
No.905 | 7点 | トランク・ミュージック マイクル・コナリー |
(2025/01/20 23:49登録) ヒエロニムス・ボッシュシリーズ第五弾。マフィアのマネーロンダリングをウラ稼業にする映画製作者の射殺事件。警察機構と諸官憲、マフィアにFBI、潜入捜査官に汚職警官・・複雑に絡み合う組織内外の、Whatダニット(「何が起きた?」言うより「コトの構図は何?」)ツイスト活劇。おもしれぇ! ※警察の不法行為を取り締まる警察、だがその「警察を取り締まる警察」は、どこが取り締まるのか・・って、米国のみならず隣国の権力対権力の騒動見るにつけ、まだマシなのかな、我が国の治安機能情況(いや、どう考えても、警察・検察の行き過ぎに対する抑制機能は欠落していると思われるのだが・・) |
No.904 | 5点 | 濃霧は危険 クリスチアナ・ブランド |
(2025/01/19 22:58登録) 「宝島」「トム・ソーヤ」の香り漂う少年向け冒険ロマン(ジュブナイルって言うのか)。少年二人とネコ一匹のサスペンス道中に、暗号ネタと人物トリック付きのプチミステリでもある上、初恋ロマン萌芽へのキャラどんでん返しエンドが、なかなかに、よく(^O^)。点数、オマケ付けちゃう。 |
No.903 | 4点 | 二人の妻をもつ男 パトリック・クェンティン |
(2025/01/14 22:45登録) 前回ヘレン・マクロイ「悪意の夜」の事を書いたんで、同じ55年刊行つながりでこれを。挫折した作家が主役の、前妻の愛人の射殺事件。容疑者は六人・・前妻・現妻・義父・義妹・親友・親友の妻。犯人倒叙ではないが、倒叙サスペンス風味のWho・Whyミステリ。容疑者全員イカにもなウサン臭ささで・・ま、そりゃそうだ (^^;)・・「幻の女」風"悪魔は傍らに居た"パターンか・・思ってたら・・一番胡散臭いのが犯人であった。 |
No.902 | 6点 | 悪意の夜 ヘレン・マクロイ |
(2025/01/11 23:29登録) 一気読み急かされるほど軽快な・・マクロイらしからぬ・・面白さでオマケ加点。三部構成をとり、サイコミステリの「序」、サイコサスペンスな「破」、ほんで、カタストロフの「急」・・とは行かず、第三部はドイル風味因縁奇譚。夢遊病ネタを逆手にとって、意識の上での倫理規制は、夢想状態での悪事執行も拒否する(ほんとか?)て解釈がユニーク。 ※この作家、40年代作品群では、ちょくちょく対ナチ陰謀に拘ってたが、55年のこの小説には、対赤(東側)ネタが顔出しちゃってる(^O^) |
No.901 | 6点 | 殺人展示室 P・D・ジェイムズ |
(2025/01/10 19:32登録) 私立の小博物館で起きた二重殺人。容疑者は、オーナーの三兄妹に館長、職員及びボランティア達。博物館存廃を廻る思惑対立の中、兄妹の一人が焼殺され、さらに関係者とは言えない外部の娘の扼殺死体が見つかる。容疑者のみならず警官や脇役に至るまで、一人一人に頁を費やし濃密描写を施して進む、息づまる様なWho・Whyミステリ。その、行きついた真相は・・おぞましくも説得力ある多重Whyだった。 ※「年を取るとそう簡単に過去を振り切れない・・昔犯した罪が重みを増して戻って来る」 「罪の意識にとらわれるのは破壊的な惑溺だ・・最悪の失敗は真っ赤な炎となって戻って来る」 |
No.900 | 8点 | 密室偏愛時代の殺人 閉ざされた村と八つのトリック 鴨崎暖炉 |
(2024/12/31 23:50登録) 機械密室に特化したミステリ第三弾。ここまで来ると、「密室教」の「密室狂」による「密室信仰」のための「密室讃歌」 ! そのセンスとレベルにおいて、近似の存在であろう、早坂吝に比して、何故に高評価せざるを得ないのか・・それは、ひとえに、その、密室への偏(変)愛ゆえに・・・ |
No.899 | 3点 | アリス・ザ・ワンダーキラー 早坂吝 |
(2024/12/31 23:47登録) 「不思議の国のアリス」に擬えた、バーチャルゲームのミステリ5短編を、額縁メタ設定に嵌め込んで、綺麗に長編に纏めてある。いまいちチンケなトリックともかく、この作家のロジックや伏線の驚くべき精緻さを認めるのは、まったく、吝かではない。(ただ、もし、最初に読んだのがこれだったら、この作者の小説は二度と・・・) |
No.898 | 5点 | 疑惑の霧 クリスチアナ・ブランド |
(2024/12/23 23:15登録) 七人の容疑者、十八番の多重ダミーWho解明の法廷展開、「最後の一行」から「最初の五行」へのループエンド・・・ ※野上彰って明治生まれ翻訳者の文体がイタダけない。 |
No.897 | 4点 | ガーディアン・エンジェル サラ・パレツキー |
(2024/12/20 18:56登録) ヴィクシリーズ第七弾。今回、話の取っ掛りは2件・・隣室老人の零落旧友の行方不明と、近隣お騒がせイヌ婆さんの飼い犬トラブル・・の「ザコ」件。金にもならない案件を追ううち、2件がヒロイン自身の前夫に絡む事件に繋がって・・が、明らかになって行く犯罪自体も、そう大した物ではなく・・付随の殺人がなければ・・せいぜい、「白昼の死角」証券詐欺やクロフツ産業犯罪の類なのだが、ヒロインの解決方法、まーた、派手なバイオレンスやっちゃって(*_*;。 |
No.896 | 5点 | 夜と少女 ギヨーム・ミュッソ |
(2024/12/18 23:03登録) 25年前に行方を晦ました哲学教師と女学生。哲学教師を殺害した二人の元学生に迫る、25年後の犯行の暴露。女学生の身には何が起きたのか、をつりに進行するサスペンス。英米ハードボイルド物より、ずっと「複雑」な宿命・自由を持った人生描写にして、パトリシア・ハイスミスより、もっと「ストレート」な情緒・人格の登場人物達。突然に脚光を浴びせかける様な「ラスボス」唐突出現に、「オドロいた」感伏線ないのが残念だが、Who・Whatミステリとしてもナカナカ。 |
No.895 | 4点 | 殺人犯 対 殺人鬼 早坂吝 |
(2024/12/14 23:08登録) 嵐の孤島の児童施設での連続殺人。殺人者は二人。「合理的」な目的で動く殺人犯と、「非合理的」情動に突き動かされる殺人鬼。殺人者の倒叙による「もう一人Who?」ミステリが、女流イヤミス芳香を漂わせる殺人鬼の生立ち録を挟んで進行し、事件解明の諸ロジック披露から、叙述トリックツイストに、エンド。エンドに至る前までは、実に面白かった。 (〇り〇りネタは、処女作○○○○○○○〇ネタ並みに○○○○) |
No.894 | 5点 | ドローン探偵と世界の終わりの館 早坂吝 |
(2024/12/12 23:26登録) ドローン移動する身長130cm探偵と、北欧神話・・オーディン、フレイア、ヘル、ヨルムンガンド等・・に擬えた諸設定。学生サークルが訪れた館ヴァルハラで起きる密室付き連続殺人。作者が最後に楽屋オチ話風に自慢している以上に、この叙述トリック設定(タイトルそれ自体が誤導誘引)、何気に「空前」のシロモノなんでは? 京大先輩の麻耶雄嵩にも言えるが、もっともっと「鈍き刃」(彼らキレ過ぎ)で、ゆったりと伏線を拵えてくれていたら、トリック解明で感銘が得られたんではなかろうか。 |
No.893 | 4点 | RPGスクール 早坂吝 |
(2024/12/11 12:35登録) 超能力SFと学園ものゲームと足跡密室付きロジックミステリの巧みな融合。※「矛盾」「矛矛」「盾盾」・・てなネーミングセンスにクスり。 |
No.892 | 7点 | ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 スティーグ・ラーソン |
(2024/12/09 07:47登録) 「ミレニアム」第三部。一部とニ部の間には断層があったが、この三部は、まんまニ部からの継続展開。元々は、姑息な保身の陰謀話に見えた風呂敷が、亡命スパイと秘密公安組織とヒロイン逸話を包み込み、スウェーデン官憲の中枢内暗闘にまで広がって・・・ ミステリ要素は、既に第ニ部で、ほぼ解明し尽くされて、あとはひたすら、「善玉vs悪玉」虚々実々の攻防戦。が、この「善玉・悪玉」役者たちが豪華にして絢爛・・ヤリ手女弁護士に悪役精神科医、公安マッチョ女に野望検察官、殺し屋・ハッカーから首相に至るまでガン首そろえて、面白いの面白くないのって・・ホント、面白い(^O^)。ヒロイン、今回は重体入院と裁判被告で、バトル場面はないなあと諦めていたら、最後の最後に出ました、vs異常体質男(あれヒロインの実の○○なんだよな)驚嘆バイオレンス (^-^)// 一部二部よりもミステリ要素は少ないが、一番・・ホント・・面白く、7点にオマケ大盤振舞いしちゃおう。 ※作者、この第三部まで執筆したところで、出版を目にすることなく急逝とか。第四部以降も作家を変えて出てはいるが、取り敢えず、ここで完結ではないのかな。 |
No.891 | 6点 | ミレニアム2 火と戯れる女 スティーグ・ラーソン |
(2024/12/04 22:16登録) 「ミレニアム」第二部。第一部ではサブ主役だった「竜の刺青の女」がメインを張るバイオレンスサスペンス。精神異常のレッテルを貼られながらも、まぎれも無く異能の天才である女。老若見境なく「いい女」に手を出しながらも、好色男の攻撃的猟食性はない「リベラル」な精神の男。それぞれに関わりある二件の射殺事件の、Whatミステリ巻き込んだサスペンスが、ハードに軽快に疾走して行く。終盤の手に汗握るバイオレンス感、半端なく面白い。(こんな面白くて、ミステリとしてよいの?) |
No.890 | 6点 | ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 スティーグ・ラーソン |
(2024/11/28 06:30登録) 主人公は二人の男女。財界の闇を暴く執念の四十路ジャーナリスト男と、ダークエルフの如き異形かつ異才の探偵娘。社会派風ハードボイルド進行が、1/4位から「島密室」本格と化し、いろんなミステリ要素を詰め込んで、実に軽快・・ディーヴァー・ライムアメリア物の如く・・にツイスト&スピードして行く。面白かった。 ※原題含め小説の重低音部を奏でるミソジニィ(女性嫌悪)。E・トッド分類では、スウェーデンもドイツ・日本・ユダヤ・朝鮮等と同様に、「権威主義的・差別的」構造の社会なのだが、それ以前に、そうした分類以前に、全人類普遍にして不変のmisogynyが、この性的には極めて開放的平等的なスウェーデンにおいてもまた深刻そうで。 |
No.889 | 7点 | パリのアパルトマン ギヨーム・ミュッソ |
(2024/11/24 06:33登録) これもまた、先日このサイトで紹介されて興味を持って。芸術(=焼却)に死んだ天才画家の残した家に、偶然に同居するはめになった二人・・破滅衝動を持つアル中寸前の劇作家と、不妊治療にもがく元刑事の女・・の男女。画家の遺作を求める二人の「捜査」が、画家の妻子を巻き込んだ悍ましい事件の真相に繋がって・・・。 トマス・クック以外に、文学とミステリ共に満足させてくれる作家に出会えるとは。フレンチミステリ、とかく、ミステリ以前に、オシャレにニヒルな「ブンガク」してても、ミステリ度合がいまいち・・ポール・アルテみたいな例外ともかく・・のシロモノだが、これ、トレビアン。 |