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ミステリの祭典

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恐ろしく奇妙な夜

作家 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
出版日2023年01月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 7点 レッドキング
(2025/04/11 22:30登録)
あの素晴しき怪作「赤い右手」作者の中短編集。原作文体に魅力あるのか、夏来健次って訳者の文体力が巧みなのかは・・多分両方なんだろ・・分らん

「人形は死を告げる」 魔人人形の不気味な示唆とジゴロ殺人構図の一転から二重三重ツイストおまけに四転 7点
「つなわたりの密室」 密室で殺された資産家男と隣室女。猫神父ノッポ弁護士はじめキャラフリークぶり良く 8点
          ( 「赤い右手」同様、「本格伏線あんふぇあ」イチャモンもっともだが、まあイイじゃん(^-^; )
「殺人者」 ん、倒叙サスペンス?ミスリード煙幕?・・この作家の十八番なんやね・・で、ツイストエンド。4点
「殺しの時間」 作家志望男の、上階「爆弾娘」ネタ投稿原稿が、ヒッチコック「裏窓」風サスペンス呼び寄せて。6点
「わたしはふたつの死に憑かれ」 叙述者が未成年時代に出会った、男と異国人妻とベビーシッター娘の悲劇。
               数年後、長じてラジオ脚本家となった彼に再現する、事件の驚愕真相。8点。
               (こういう「直球文体」のも書くのね)
「恐ろしく奇妙な夜」 タイトル作だが、ミステリではなく、まんま「ウルトラQ」怪獣小説。(採点対象外)

※本の作者紹介に「アメリカの大衆小説家」とあるが、かくも「日常」「常識」「穏健」・・すなわち「大衆」・・から外れた文体世界が「大衆の文学」のわけがなく、これは「非常」「異常」「異端」・・すなわち「純粋なる文学」・・の世界、「純文学」としか呼び様が在るまいて ^m^

No.3 7点 蟷螂の斧
(2025/02/15 13:15登録)
①人形は死を告げる(1945) 6点 戦地から戻った夫。だが妻は不在。土産の魔神人形に話しかけると、妻の行先を示唆してくれた…結婚記念の場所(人形は主役ではないが、不安な気持ちにさせる)
②つなわたりの密室(1946) 7点 「密室殺人コレクション」(二階堂黎人・森英俊編)にて書評済(怪奇色豊か。ミステリー的には一部アンフェア?)
③殺人者(1946) 7点 道路に横たわっている女性をトラクターで轢いてしまった。それは妻であった。そこへ保安官が通りかかり…犯人は浮気相手?(夫の挙動が怪しい) 
④殺しの時間(1947) 6点 雑誌にミステリーを投稿するも何回も落選。しかし、今回の作品を高価で買い取るという…上階に住む女性がモデル(編集長の正体?)
⑤わたしはふたつの死に憑かれ(1949) 8点 夫とベビーシッターがボートで溺死。未亡人がその実話を小説化した…ベビーシッターは夫の愛人だった。未亡人が怪しい(HOWに気を取られた)
⑥恐ろしく奇妙な夜(1958) 4点 遺伝子の変化により巨大な蜘蛛が発生…うーん、どうなんだろうというレベル

No.2 8点 猫サーカス
(2025/01/25 17:45登録)
収録作はジャンル多種多様、不可能犯罪を扱った本格ミステリから、SF、ホラーに含まれる作品まで扱い、広い範囲のエンターテインメント作家であったことが窺えるが、単に器用という域にとどまっていないと感じさせるのは、極めて癖が強い文体が原因だろう。熱に浮かされたような異様な雰囲気を漂わせているが、それが作品の狙いを覆う目くらましになっていたりもする。また本書を通して、しばしば小説家や脚本家など創作に関わる職業の人物が主人公で、しかも創作過程そのものがプロットと絡み合っている場合も見られる。最も出来が良いのは「わたしはふたつの死に憑かれ」だろう。作中作に描かれた過去の変死事件に「ぼく」が再び向かい合うという展開だが、他の書き方なら印象が薄い作品になっていた可能性もあるところ、この構成と文体を選んだことによって鮮烈なサプライズエンディングの演出に成功している。

No.1 7点 ボナンザ
(2023/07/25 18:57登録)
赤い右手の作者ということで期待して読んだ。果たしてそのとおり、どの話もそう持って行くのか・・・と王道からひねった感じで面白い。

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