home

ミステリの祭典

login
ぶち猫 コックリル警部の事件簿
コックリル警部シリーズ

作家 クリスチアナ・ブランド
出版日2007年10月
平均点4.33点
書評数3人

No.3 4点 E-BANKER
(2023/07/08 15:56登録)
生前未発表だった幻のシナリオ、本邦初訳の短編、極上のショートショートなど、コックリル警部を探偵役とする話をまとめたヴァラエティに富んだ作品集(とでも評すればいいのか・・・)
良くいえばそうだし、悪く言えば「寄せ集め」ということだろう。
論創社が2007年に発表したもの。

①「ぶち猫」=タイトルにもなっているコレが、分量的にも意味合いとしても本作品集のメインと呼べる作品。ただ、これは戯曲形式である。そのため、何となく頭にスッと入ってこないところがある。登場するのはアル中で神経薄弱となっている弁護士と妖艶な美しさを持つその妻。そして、その妻の浮気相手で医師の男。この三人が中心であとは取り巻きの家族たち。殺されるのは、一族の娘と結婚することになっていた若き医師。なのだが、本当に狙われていたのはアル中の弁護士だったはず・・・。そして、事件解決の「鍵」となったのが、ぶち猫柄のグラス・・・。コックリルの登場により急転直下する舞台。彼の明晰な推理により、徐々に登場人物たちの「真の姿」「本心」が明らかにされていく・・・。そんな感じだ。
ラストは割と唐突に終わりを迎えるのだが、全体的にはマズマズの出来(かな?)

あとは本当に評すまでもないような作品が並んでいる印象なのだが、
②「コックリル警部」=冒頭の一編。コックリル警部の人となりを紹介してくれる。(親切?)
③「アレバイ」=酔っぱらったチャールズワース警部の放った言葉。要は「アリバイ」のことである。他愛ないといえば他愛ない戯言である。
他4編、全7編。

冒頭に書いたとおり、タイトル作品以外は「寄せ集め」である。
従って、ブランドが大好き!というファン以外はスルーしても全然構わない。
①もどうかな? 戯曲形式ということもあるけど、あまり楽しめなかった。
やっぱり、個人的にブランドとはあまり相性が良くない印象だ。

No.2 5点 nukkam
(2016/07/16 01:37登録)
(ネタバレなしです) コックリル警部の事件簿とも言うべき本書はブランドの死後の2002年に発表されており、コックリル警部の人物像を紹介したエッセイやショート・ショートまで幅広く収容されています。三幕構成の戯曲「ぶち猫」がなかなかの力作です(上演されたのかなあ)。第二幕で登場人物の動きに「ここは観客に見えなくていい」とか細かく指定しているのが緻密なブランドらしいですね。コックリルが精彩を欠いているのが物足りませんが第三幕のどんでん返しの連続は圧巻です。ショート・ショートの「アレバイ」も切れ味鮮やかです。残念ながら論創社版は英国オリジナル版から4作品が除外されています。その4作品とは「招かれざる客たちのビュッフェ」(1983年)(創元推理文庫版)に収められたコックリル警部シリーズ4短編で、重複しないよう配慮したのでしょうけど名作中の名作「婚前飛翔」だけでも残すべきではなかったでしょうか。これでは論創社版はマニア読者向けではあってもビギナー読者向けとは言えなくなってしまったように思います。

No.1 4点 kanamori
(2010/08/06 20:49登録)
ミステリ短編集。
戯曲のシナリオ、ショート・ショート、エッセイなど、バラエテイに富むと言えば聞こえいいが、拾遺集の感は否めない作品集でした。

3レコード表示中です 書評