パメルさんの登録情報 | |
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平均点:6.13点 | 書評数:623件 |
No.123 | 8点 | 吸血の家 二階堂黎人 |
(2017/01/04 13:59登録) 謎の人物が殺人事件の予言を言い残し忽然と姿を消すという魅力的なかたちで物語は始まる 怪しげな伝説に過去の因縁そしておどろおどろしい雰囲気に胡散臭い登場人物とワクワクさせてくれる要素がたくさん詰まっている 密室殺人が三度発生するが特に24年前の雪上での足跡なき殺人トリックの真相は衝撃度が高く十分現実的なところも好印象 |
No.122 | 4点 | 黒い福音 松本清張 |
(2016/12/28 12:59登録) 序盤から200ページ付近までこれといった事件は発生しない あるのは救援物資の横流しと麻薬の密輸の噂がチラホラであとは男女の色恋沙汰と退屈 また気に入らない点も多い 盗聴に気付くのが遅すぎるし最後の電話も内容が直接話法になっているのは倒叙法としておかしいし捜査当局の推測にした方が良かったはず また密輸品における運び屋の選択にも疑問が残るし麻薬と明かす必要は全くなかったと思う 最後も偶然が幸運一方に働いた点も不満 |
No.121 | 7点 | マレー鉄道の謎 有栖川有栖 |
(2016/12/20 13:23登録) 作者自身がクリスティーとカーとクイーンを意識して書いたと言っていることから本格ミステリとしての自信作とうかがえる 目張りされた密室にアリバイ崩しそしてダイイングメッセージも盛り込まれている 旅情感もたっぷりで南国リゾート地に訪れた気分になれて寒い時期に読むにはピッタリ 複雑な人間関係の連続殺人事件で細かく張られた伏線がはまっていく様は心地良い メイントリックの謎が解ると自動的に犯人に結び付くという構図も中々面白い 不満な点は二人で状況を確認しながらの推理が同じ話の繰り返しで堂々巡りしている点 もう少しコンパクトにまとめられたでしょう |
No.120 | 5点 | 放浪探偵と七つの殺人 歌野晶午 |
(2016/12/14 01:09登録) 七編からなる短編集で問題編と解決編に分かれており読者への挑戦形式で推理する楽しさが味わえる 倒叙・叙述に犯人当てとバラエティに富んだ作品が楽しめる また正統派パズラーでフェアに徹している点は好感が持てる ただ探偵役の飄々としているというか斜に構えているという感じがどうも好きになれないし佳作と駄作の差が激しい印象 |
No.119 | 6点 | 追憶の夜想曲 中山七里 |
(2016/12/07 15:18登録) 報酬も宣伝効果もない弁護は着手する価値が無いと断言している弁護士の主人公 法外な弁護費用と規格外の法廷闘争で弁護士会からは異端視されている点はカッコ良ささえ感じる 鋼のような強靭なメンタルを持つ主人公は架空の人物と知りながら憧れを抱いてしまうほど魅力的に映る このような男が絶対に不利な事件であり報酬もあまり期待出来ない弁護を引き受ける理由とは何か?検事との対決そして真実の行方はと読みどころ満載 ただ真相のある部分は個人的にはいただけない |
No.118 | 6点 | 動脈列島 清水一行 |
(2016/11/30 01:08登録) 新幹線の騒音・振動公害を許せない主人公は公害を根本的に解決するためにいくつかの 要求をし受け入れられないならば✖月✖日に新幹線を転覆させるという予告があるタイムリミットサスペンス Xデーに目的の犯行をやり遂げるのかもしくは阻止させるのか警察組織との知恵比べは読み応え十分 また非常線を突破するトリックも中々良いアイデアだと思う 楽しめる部分も多いのだが犯人が運が良すぎるというか警察が無能すぎるというかそういう箇所がいくつかあり今一つのめり込めなかった |
No.117 | 7点 | 人喰い 笹沢左保 |
(2016/11/23 01:01登録) 本格推理小説の技巧と哀愁のロマンに満ちたストーリーが融合している トリックは先入観と錯覚を巧みに使われていて読者を欺くための仕掛けが惜しげもなく使われている 姉の名誉のために真相を追及していく妹がある矛盾点に気が付く この妹がいい味出していて魅力的 数々の小道具・細かいところに仕込まれた伏線そして犯人の意外性と作者の妙技が堪能できる作品 |
No.116 | 6点 | 告訴せず 松本清張 |
(2016/11/17 01:00登録) 不正な政治資金を持ち逃げした主人公はさらに資金を増やそうと日本古来の占いを信じ素人は手を出さない方が良いとされている小豆相場で賭けに出る 一方奪われた側も主人公に少しずつ恐怖を与え心理的に痛めつけ窮地に追い込んでいく様子が巧みに描かれて引き込まれる ただある人物の裏切りを感じさせるような描き方は駄目だったと思う そのため予想通りの展開に予想通りの結末と先が見えてしまった 落ち着くところに落ち着いた感じが残念 |
No.115 | 7点 | 大いなる幻影 戸川昌子 |
(2016/11/13 01:15登録) 老朽化した女性専用のアパートが舞台 登場人物の老女たちはそれぞれが孤独で秘密を抱えながらも他人の秘密に興味を 持ちながら生活をしている それぞれの人生の断面を残酷にえぐり陰鬱な雰囲気に満ちている物語は二転三し惹きつけられる 冒頭で提示された謎が最後に収束する展開はお見事 タイトルも秀逸 |
No.114 | 5点 | ビッグゲーム 岡嶋二人 |
(2016/11/08 23:05登録) 野球ミステリ 野球の専門用語が飛び交うためある程度野球の知識が無いと何を言っているのかわからないかも知れません 情報が他チームに漏れているのではないかそして内部にスパイがいるのではと疑心暗鬼になっていき不可解な事件が発生する 謎が謎を呼ぶようなスリリングな展開が楽しめる ただ動機が弱いし罪を犯さなくても違う方法で解決できたのではと感じたため減点 |
No.113 | 7点 | ゼロの焦点 松本清張 |
(2016/11/02 01:07登録) 推理小説としての読みどころは夫の失踪の謎と連続殺人事件の解明だが物語の焦点は 占領下の日本のある悲劇に絞られていく 北陸各地の風景描写の表現力の高さに驚くと共に純文学を思わせるような美しさまで覚える ミステリとしては弱いが文学として質の高さを感じる作品 タイトルは秀逸だと思う |
No.112 | 6点 | 明治断頭台 山田風太郎 |
(2016/10/28 12:36登録) 明治初期の警察組織がまだ確立されていない治安の悪い東京が舞台 六編からなる連作短編が長編化する形式で書かれている 明治時代ならではの物を使った物理トリックには一部にコントのように感じてしまったトリックやご都合主義的なトリックがありあまり好みではない ただ歴史上の人物が数多く描かれており作者ならではのユーモアもあって楽しい 最終章ではそれまでの短編に残された伏線を一気に回収し意外な結末に驚かされた |
No.111 | 6点 | 龍の議定書 多島斗志之 |
(2016/10/24 13:22登録) 国際謀略サスペンス 中国の鄧小平と台湾の蒋経国を握手させるというスケールの大きな設定 中国と台湾の接点として孫文を使い孫文ブームを巻き起こし実現させようと 計画を練っていく ところが次々と怪事件が発生し思いがけない陰謀が隠されていることが判明する 物語は二転三転しどんでん返しも用意されている ただ孫文の人物像や辛亥革命を成功に導いたことなどが延々と語られ 物語がなかなか進まない点が減点材料 |
No.110 | 7点 | 金雀枝荘の殺人 今邑彩 |
(2016/10/20 01:05登録) 窓は全て内側から釘が打ち込まれておりドアも内側からカギがかかっている密室状態で 七人の死体が発見される リレー形式で殺し合いが行われたのではないかという不可解な現場状況と同時に グリム童話の見立てにもなっている 館の雰囲気は綾辻行人の「霧越邸殺人事件」に似ていていい感じ サスペンスにホラー色を混ぜた感じで物語は進んでいく 人物描写・揺れ動く心が丁寧に描かれている 真相は悲劇的だが後味は悪くない |
No.109 | 5点 | 天狗の面 土屋隆夫 |
(2016/10/16 01:00登録) 村の合併をめぐる村議選の対立に新興宗教が絡み殺人事件が発生する 誰もが毒を入れる機会が無かったと不可能犯罪を匂わせている この毒殺トリックは信者を巻き込んだ心理トリックが使われており予測出来てしまった 心理トリックは成功する気がするが肝心の物理トリックに無理がある 映画のポスターをそれに結び付けて説明している点も不満 余談ですが誤断トリックとしてクイーン・坂口安吾・バークリーの有名作品のネタバレ しているので注意が必要 |
No.108 | 7点 | 天国は遠すぎる 土屋隆夫 |
(2016/10/13 01:09登録) 鉄壁と思われたアリバイを刑事の師弟コンビが何度も挫折を繰り返しながら 執念を燃やし真相に立ち向かっていく この間のコンビの会話も中々味があって良い そしてある言葉をきっかけにヒントを得て物語は急展開する 盲点を突くようなトリックが使われており実現も十分可能な点も好印象 |
No.107 | 6点 | 暗い傾斜 笹沢左保 |
(2016/10/10 22:40登録) 男女の人間関係が愛憎と欲望で複雑に入り乱れている 独特の情緒があり雰囲気は楽しめる ある事件の容疑者になることにより実際に犯した事件のアリバイを成立させるという トリックはなかなか面白いと思った反面心理的な誘導を必要とするため実現可能かと いうと少々疑問が残る |
No.106 | 6点 | 殺しの双曲線 西村京太郎 |
(2016/10/07 12:47登録) 東京での連続強盗事件と東北の雪に閉ざされた山荘での殺人事件が交互に語られていく 双生児のトリックを使うと明言している点とこの事件がどのように繋がっているのかと 興味をそそられる テンポが良くリーダビリティが高い点は評価できる ただ緊迫感が足りないし動機も今一つ |
No.105 | 7点 | 幻の女 ウィリアム・アイリッシュ |
(2016/10/02 12:08登録) 死刑宣告された主人公がアリバイを証明するために一夜限りの食事を一緒に した「幻の女」を探し出し刑の執行までに無実を証明出来るかという タイムリミットサスペンス 全体的に緊迫感に包まれている点やスリリングな展開そして当時のニューヨークの雰囲気が目に浮かぶように描かれていて好印象 ただ見ているはずの多数の人物が誰も見ていないと証言する真相が強引さを感じる |
No.104 | 6点 | ウォッチメイカー ジェフリー・ディーヴァー |
(2016/09/26 01:17登録) 犯行現場に置時計を残すウォッチメイカーと名乗る連続殺人者 また会計士自殺偽装事件 この二つの事件がどこかで繋がっていると思いながら読み進めていく どんでん返しが連続する終盤は前半部分に後半に繋がる多くの伏線が あったことが分かるにしても無理がある展開 どんでん返しが多すぎて焦点がぼやけてしまった感がある エンターテイメントとしては楽しめます |