home

ミステリの祭典

login
斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1304件

プロフィール| 書評

No.564 7点 砂の城
鮎川哲也
(2016/06/22 11:45登録)
とっくの昔に読んだと永年勘違いしてたのを初読、家にあった古い角川文庫。未発表の長篇を発掘された様でちょっと得した気分。
タバコ屋のおやじに通話料を払ったり、合鍵一つ作るのに一手間だった(従ってアリバイ成立にじゅうぶん関わり得た)時代か。。浜松町辺りの本屋の名前が粋だねえ。7.49で惜しくもの7点。

鉄道と雑誌、二つのアリバイトリックの衝撃は弱くスマートとも言えませんが、それぞれの捜査過程、それぞれ更に地方刑事篇と鬼貫篇(但し一部の地方刑事と同行)に分かれるその過程がそれぞれに滋味深く面白く(めちゃそれぞれ言うてます)、やはりどこを切っても玩読出来る、ありがたい一冊でした。そうそう、二つの事件の接点が見えた瞬間から急速に繋がり始める、真相解明の有機的拡がりがね、地味ながら腹にずっしり来る要所連峰でしたね。
言い間違えてネズミイラズw なにしろインテリタイプ、てどないなタイプやw パンをたべているふたり連れ。。
複数のアレを使ったアリバイトリック、黒いやつや朱のやつもそうだけど、クローズアップマジックを連想させる脳内手品が本当に鮎川さんは得意なんですなあ。
 
贋作ローンダリングの遡及追跡はポイント過多で眩惑の魅力満載!まるでハードボイルド流儀を思わす込み入り様ですが、一方でその最中に忍び込むクスクス笑いを誘う鮎川さんの珍妙な名前趣味、いつもながらキュイっとやられてしまいました。
「だけど、あのふたりはそのどちらでもなかったです。」 おぉう、そこのアナタ見てたねぇ。
鬼貫の登場も最高、それ以前の刑事達も最高。鬼貫登場から瞬殺で捜索の空気が引き締まり、一ページ、一ページが冷静にしてスリルに満ちた偽装アリバイ崩しの水際立った領域を敢然と航行。このせいぜい数十頁の、表情は厳しくも語り口はアットホーム、どこか寂しげで濃密な最終コースは、それ迄の主に地方刑事達による、激しい展開にもどこかしら緩さと優しさを見せた捜査物語の存在感あったればこその際立ち。
最終章、警察側第二の主役と見える島根の槇刑事(EXILEオリジナルメンバーMAKIDAIの親類筋かも知れん)の口から全真相の纏めが語られるという細やかな構成の妙も良い。彼は鬼貫と違って酒がイケる口の所帯持ち。。


No.563 7点 フェアウェルの殺人 ハメット短編全集1
ダシール・ハメット
(2016/06/21 12:06登録)
アウトローの風を謙虚に吹かせて宮仕え。しじゅう叩く減らず口の切れはともかく、ここぞの正鵠パンチは流石に激烈。スピードがものを言い過ぎの素早い解決。頭良すぎだよ、探偵。でも話の賢さが常に先行ってるから不自然に見えないんだな。 「いつも映画ばかり観て云々。。」長い台詞ながら一瞬のカミソリシュート炸裂(この感覚は不思議)! かの著名作のプロトタイプ風「新任保安官」。私にはこっちが「血の収穫」よりずっといい。あの男女のつがいも最高だ。 交換手。。。嗚呼。 むしろ『読者への挑戦』を挟んで欲しい素敵なハードボイルド推理(当て推量)クイズ「夜の銃声」。皮肉過ぎて残酷だがどうにも笑える簡潔な落語オチも最高だ。 ちょっと長めの政治ファンタジー小噺「王様稼業」も明るいゴルゴ13風で悪くない。反転のつもりだよな、認めるよ。 言い忘れたが全作どれもいいよ!

フェアウェルの殺人/黒づくめの女/うろつくシャム人/新任保安官/放火罪および…/夜の銃声/王様稼業 .. 全篇コンティネンタル・オプもん
(創元推理文庫)

ところで、おっさん様も言及されました、訳者あとがきの
> できれば一編ずつ別個にお読みいただいたほうが味が変ってよろしいかと思う
は本当にハァ?と返さずにいられない余分の言い訳ですね。ハードボイルドにそぐわないこと甚だしい(笑)。


No.562 8点 新宿鮫
大沢在昌
(2016/06/16 13:25登録)
HYYY(早く読みたいゆっくり読みたい)の典型。KUNU(これが売れずに何が売れる)の代表。YYDD(よくぞ世に出した、でかした)!結末の締まりだけミステリ視線じゃ(要は小説として)急にちょっと緩くなるゆえ、ただそれだけで大幅減点!それでも8点(8.46くらい)難なくキープ。本当に良く仕上がったA級娯楽小説。短いラストシークエンスも最高に泣ける。アタイはモリアーティよりルパンよりホームズがいいけど、悪いけどサメよりキヅが好きだな。 ”鮫島は無言でその様子を見守った。。” 桃井も最高だが俺はやっぱ木津だな。藪も本当に魅力的な奴だ。もちろんサメも充分いいんだぜ。「彼」って誰やねん。。ライヴハウスで喧騒と感傷を撒き散らす音楽の描写には期待以上のリアリティ。これが嬉しい。(歌詞は別)


No.561 5点 東北新幹線(スーパー・エクスプレス)殺人事件
西村京太郎
(2016/06/10 16:00登録)
記憶違いでなければ。。おいらがはズめて手にした京太郎は本作。京さん原作のドラマはチョィチョィ観てましたけどね。 ライヴ感覚溢れる、、実際の東北新幹線の中で読みました。そスたらまンヅ(そうしたら何と)長い長い蔵王トンネル通過中、ほんとに蔵王トンネルの場面を通過しちゃったよ、っていう。ま実際長いんだから確率的にそんな珍しい事じゃァないんだどもなス、ありャなかなかの萌え体験でしたよ。 

で、当時の読んでの感想は
「今まで読んでたような推理小説と較べるとずいぶん薄味だが。。。。どういうわけだか面白い。」
「冒頭のつかみが凄いなあ。。 だんだん尻すぼみになるんだけど、、ま詰まらないまで落ちないからいいや。」
「やたらと、句点(、)は、多い、が、スイスイ読みやすい!」
「流石に書き慣れてる!」
「意外とシャラくさくない!」
「青臭さのかけらも無い!」
「こりゃ売れるのも納得!」
「そっかー、鉄道だからってアリバイものとは限らないんだなー」
「サスペンス小説が得意な人なんだな、きっと。」
と言ったあたり(ずいぶん多い)。 その後しばらくして、何処かしらか摑んだ情報を頼りに初期(黄金期?)の諸作にちょっとずつ手を付けて行くわけです。。

既に滅茶苦茶ハイペースな量産期に入っている時代の作品ですが、それでも一定の密度はきっちりキープしています。やはりこの人の作品は最低でも5点。まず4点には落ちないね。


No.560 5点 真相
横山秀夫
(2016/06/09 12:19登録)
暗くて重い割に底の浅い作品が並ぶ。読ませてはくれる、それも高速で。 通しの標題としてはともかく、この表題作単体に何故「真相」 と名付けるのか? もっと深みも重みも備えた会心の一作が生まれた時のために取っておくべきではなかったか? BoAちゃんの中ヒットシングル「永遠」は有機的32ビートに水際立ったメロディが寄り添う美しいミディアム・バラードだが、いかんせんその象徴性高い「永遠」なるタイトルには歌詞からして合ってないんじゃないかって感覚がどうしても残り、その題名により相応しいスローバラードか何かが出来上がった時のために「永遠」の名は取っておけばよいものを。。とリリース当時強く惜しんだものです。横山さんの「真相」にも同じことを感じます。それにしてもBoAちゃん顔が老けたなあ、このまえTVで見てびっくりしたよ。
過去の犯罪、過去の交友関係と現在の選挙戦がいらつきたっぷりに絡み合う「18番ホール」はまるで都会的キレを失った佐野洋のよう。洋チャンに無い社会派の洞察は味だけど、踏み込みが浅いんだよなあ。他に医学アルバイトの話も、地獄空手部の話も、どれもこれも失業を通奏低音に置いた重苦しいストーリーでありながら、どうしてこう、浅い。。 まあ決して詰まらないモンじゃないけどさ、本気ではのめり込めなかった。

だけど、最後の「他人の家」、これはいいねえ。これぞ社会派反転劇ですよ。うっすら連城ミキティ思い出しちゃったよ。心理要素の強い嵐の逆襲暴力シーンも言葉少なに鮮烈、納得。もう眼も鼻もないって。。 ネタバレ風なことを言うと、限られた時間を活かして、しっかり新しい命が宿せますように。。。。


No.559 7点 十字屋敷のピエロ
東野圭吾
(2016/06/08 14:45登録)
わくわくさせる如何にもの新本格設定は肩透かしか。。と思えば最後にギャンと言わされました。ギャフンとまではならないがギャンくらいは行ったw しかしその企図は堂々たるもので、氏の後年の諸作を考えればこの設定なら更にもう二段深い所まで侵攻出来たのではとも思えてしまうが、本作は本作で充分立派。6.5でギリギリの7点。


No.558 8点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2016/06/07 22:44登録)
流石の力作。 切れ味より突貫力。 『読書への挑戦』の置き場所が最高。こりゃ萌えるわ。。
多重解決のふりをした様な重層的ロジックの響き合いは眩(まばゆ)いばかり。



【以下ネタバレ!】

まさか登場人物表が犯人隠匿最大のミスリードだったとは!全く疑ってもみなかった!「犯人ではありえない側の人達」だと決め付けていたよ!(なんとか山荘か!) この犯人設定、普通だったら”●ンフェア”の五文字で糾弾されておかしくない所、これだけ重厚な謎解きスクラップ&ビルドの果てにやっと。。という達成感でいい意味で押し切ってしまうんだね。如何にも怪しい人物が本当にまさかの犯人、かと思うと覆される、というパターンを繰り返すからこそ効力を発揮する謀略の目くらまし。それにしても真犯人が警察の人間でなくて本当に良かったと○ン○・○○ィ-世代の私はつくづく思ってしまうのです。

【!ネタバレここまで】



ジョアンはともかく筆跡専門家のユナちゃんが気になるのは、少女時代のユナちゃんを連想させる所為かしら。
それと、愉しい気分のまま快い寂しさを纏うラストシーンがね、すごく好きなんですよ。


No.557 4点 ブラジル蝶の謎
有栖川有栖
(2016/06/05 14:10登録)
表題作は事件現場の色彩鮮やかなヴィジュアル・イメージに魅了されるが、解決はなんだかなあ、尻すぼみ。。
蝶つながりで“バタフライ・エフェクト”にモチーフを得た「蝶々がはばたく」は明瞭な企画がはまってそれなりに印象残したかな。。 他は。。まぁいいです。 (←良い、の意味ではない)
でも4点キープ。


No.556 4点 ロシア紅茶の謎
有栖川有栖
(2016/06/04 16:03登録)
つまんないのがたのしい、ってとこ。心が弱ってる時に癒されるぬるま湯作品集としてなかなか。この人ならではのcozyな感覚は時に恋しくなる類のものです。それにしても緩い。。別にどきどきワクワクを求めちゃいないが。。何が暗号やねん。。でも「屋根裏」には大いに笑うたで! 表題作はいい意味でちょっぴりシリアスでちょっとだけ熱いけど。。やっぱトリックというか事件の見せ方がなぁ、どこかしら緩いや。だけどこのトリックいつか実行してみよっと。(冗談ですよ)
最後の「読挑作」で劇的な逆転サヨナラダブルホームスチールをちょっとだけ期待しましたがダメでしたね。本作には他作に見受けられた仄甘い雰囲気さえ感じられず、ただ固くて乾いて面白くないだけ。トリックの根幹に少し感心はした。もっとスリリングに魅せてくれればなあ!
ハッタリや見得切りとクロスしない時の、しかもほんわかムードでもない時の有栖川有栖は自分には本当にダメ。EQと同じだ。


No.555 6点 奇しくも同じ日に……
佐野洋
(2016/06/01 23:58登録)
いやー、表題作の後味悪いこと、佐野洋なのに、佐野洋で野球の話(プロでなく高校野球)なのに!
あっさりとはしているが割と内容有りめ(なんだその言葉)の短篇集。 これもまぁファン以外に薦めてもいい、のかな。。 

奇しくも同じ日に・・・・・・/屋根の上の犬/切り抜きの意味/風流な使者/白い雲/なぜ、いまごろ/絡んだ糸/灰色の軌跡/消えた女
(講談社文庫)


No.554 7点 匂う肌
佐野洋
(2016/06/01 22:13登録)
ピンク・チーフ/虚飾の仮面/匂いの状況/賭け/匂う肌/反対給付/死者からの葉書/内部の敵/手記代筆者
(講談社文庫)

割と「いい内容」の短篇選集。ひとまずファン以外にも軽く薦められるレベルか。
最後尾の「手記代筆者」なる題名が清張っぽくて唆る。


No.553 6点 ゴメスの名はゴメス
結城昌治
(2016/05/31 19:30登録)
詰めは甘いが面白い、読みやすい。往時の南北ベトナム情勢、サイゴン周辺の不穏ながら何処か緩い空気を皮膚感覚で記録に留めた(と想像される)のは立派。しかし小説としては粗や隙も目立ち、結城先生には誠に恐縮だが滲み出るB級感が否めず、そのへん何ともアンバランス。思い出した頃に唐突なユーモアが快調に炸裂してはすぐ止まる。急に友情や感傷が現れたり、惹かれた女はすぐ忘れたり、どうにもストーリーのテクスチュアが凸凹し過ぎて落ち着かない。ハードボイルド風の比喩や言い回しにも取って付けたような脆さが。。時の試練にいささか参っちゃってるかな、ナウな感覚で読めばこりゃ最早一種のパスティーシュではないかと苦笑する格好付けシーンも多々。。でも、繰り返すけど読みやすいし面白えのよ、このスペエ小説は。


No.552 5点 消された時間
ビル・S・バリンジャー
(2016/05/30 12:11登録)
最後の瞬間、昔のコント風に ♪チャン・チャン! と本当にジングルが鳴っちゃいそうなレベルの「チャンチャン終わり」には唖然もいい所ですw たしかに「事件捜査の章」の合いの手が有るからこそ「自分捜しの章」のスリルも際立つわけですが。。
読んでる間はサスペンスと不可解性の鬩ぎ合いも強く、決して詰まらない本では無いのですがね、だからこそ4点にはどうしても落とせないのであるがァ~
しばらく前のこと、実家に行ったら、ここしばらくミステリに興味無かった我が老父が(私が実家に置いて来た)この本読んでましてね、老い先そう長くなかろう父が、よりによって。。! と軽いショックを受けたものですw どうせなら「歯と爪」(これも置いて来た)にしなよ~ って。せっかくの読書習慣復活に水を差したくないので、言いませんでしたけど。


No.551 7点 歯と爪
ビル・S・バリンジャー
(2016/05/30 11:51登録)
マニアだったら「返金用」「保存用」「読書用」と三冊買うモンよ、と先輩に釘を刺されたものです。嘘です。

主人公は何を目的に何を為したのか、に想いを巡らせばその趣きはなかなか独特の深みがあります。嵌められた敵役にむしろ同情を感じてしまうのは。。これも奥の深い味わいってやつなのか?しかし某人物の焦燥だとか懐疑だとか終局になってやっと描写され始めるのは、物語の特殊な構成上仕方無いかも知れないが、裁判の章の、ひいては小説全体のサスペンス感を多少なりとも減速させてやしないかな?これでもっとキリキリするような不安定感を持続して味わえる文章だったら、【ここから一瞬ちょっとネタバレ】ラストが反転の無い収束(叙述による誤認トリックは袋とじ内の早い段階で明らかにされ、更にもう一段の捻りは無い)ってのも全く文句は無いんだけど。
でもやっぱり、主人公敵役それぞれの全く違うラストシーンがどちらも印象的ですね。主人公はこれから一体どうするつもりか。(敵役は、どこかでピン!と来ることは無いのか。。?) 

オールド・ソウルファンにはどうしてもO.V.ライトの名ミディアム・バラード”A NICKEL AND A NAIL”を連想させずにいない“THE TOOTH AND THE NAIL”なる原題は、証拠物件の”歯と爪”以外に慣用句としての”歯や爪さえ使って=なりふり構わず必死で(闘う)”という意味を掛けておりなかなかグッと来る。日本語で喩えれば”猫の手も殺人事件”(ゆるっ!w)みたいなとこでしょうか?殺人現場には切断された猫の手が落ちており、折からのホニャララでてんてこまいの××県警は。。みたいな?? って何言ってんだか。

そうですね、「赤毛の男の妻」ほどではなくも、一読の価値は多いに認められるのではないかと思いますよ。
エルヴィスのデビューに当たる1950年代中盤で”エレキギターのハウリング音”ってのが一般白人にどう響いたのかも興味津々でした。


No.550 6点 殺人者は21番地に住む
S=A・ステーマン
(2016/05/27 17:46登録)
企画の輪郭がくっきりした、クリスティを思わせる古典ですね。詰めは甘いですね。大胆な犯人設定ですね。ヒネリがありますね。ちょっと弱いトコありますね。面白かったですね。  


No.549 7点 八つ墓村
横溝正史
(2016/05/27 13:24登録)
嘆かわしや、探偵金田一耕助の「非実力派宣言」! 巷に流行るSuchmosの ♪頭だけいいやつ もう Good night .. って格好いいフレーズが浮かんで来る。

【以下、ネタバレ含む】

結末は、まさかの二重底。八つ墓(Y)の悲劇か。。最後に浮かび上がる本格推理らしい枠組みは鮮烈だ。。。そうそう動機も哀しき二重構造なんだったね。。そういや冒頭も本格の味だったな。長い中間部はスリラー物の様相、、なのは雰囲気だけで事件発生の流れは本格流儀では?パルプの匂いこそ芬々ですが。。アクション、恋にお涙頂戴、通俗のようで通俗でない(?)微妙な線を突いてる所、見せ場となる洞窟の危ない冒険と言い「孤島の鬼」後半を思い出しますねえ。真犯人も最後は異形の姿で悶死。。。

しかし連続殺人の対象と順番に意外性あり過ぎ(良い意味)!膨れあがる謎の堆積が終盤近くなってさっぱり収まりの気配を見せないじゃないか、おまけに金田一がこの通りダメだ!!。。 ところが、あれだけ死人を出しながらまだまだ大勢のプレゼンス高き登場人物が集結する、涙の出そうな大団円が待っていたとはね。。。忘れ得ぬチョイ役、諏訪弁護士も泣けたな。。そして、お父さん。。。。

それにしても「奴はカムラ」と一発誤変換されるのは時代の移ろいを感じます。嘉村(香村?)って誰や??


No.548 5点 ポワロの事件簿1
アガサ・クリスティー
(2016/05/25 11:44登録)
西洋の星の事件/マースドン荘園の悲劇/安いマンションの事件/ハンター荘の謎/百万ドル公債の盗難/エジプト王の墳墓の事件/グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件/誘拐された総理大臣/ダヴンハイム氏の失踪/イタリア貴族の事件/遺言書の謎
(創元推理文庫)

目次を見ると何だか安心して楽しめそうな表題たちが。。コチャコチャと色とりどりに並んで楽しそう。
じっさい読んでみると何気な凡庸さをちょいちょい感じるが、まぁじゅうぶん楽しめます。


No.547 5点 ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ
R・オースティン・フリーマン
(2016/05/24 19:31登録)
倒叙と科学捜査、二つもの目新しい看板を引っさげて颯爽と登場したホームズのライヴァル。

計画殺人事件/歌う白骨/おちぶれた紳士のロマンス/前科者/青いスパンコール/モアブ語の暗号/アルミニウムの短剣/砂丘の秘密書
(創元推理文庫)

地味で時折の退屈を混じえながらも、興味を繋げる物語の本領は脈々。
とは言え読後振り返れば、ちょっとばかりカサついた後味が舌に残ったかなあ。

本書のベースとなったオリジナル第一短篇集の表題作である「歌う白骨」は小学生のとき、ミステリアスでちょっと怖い題名に惹かれてジュブナイル翻訳で読んだが、その時はいまひとつ内容を理解しきれなかった記憶がある。


No.546 5点 殺人者と恐喝者
カーター・ディクスン
(2016/05/23 11:35登録)
オルガンのパイプを分からないように並べ替える悪戯って。。ギターの変則チューニングじゃないんだから(笑)。「それはグレープフルーツですか?」「グレープフルーツです。」ギャハハハハハハ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆しかもその会話を弾劾する理由ってのがまた!!いやー参った、HMのドタバタを中心とした攻撃的ユーモアの切れと豪腕がいつにもまして強力!それでも5点しか付けられないのは真相にどうにも感心しないのとメインとなる殺人(凶器すり替え)トリックのあまりの浅さにずっこけるせい(目立たない殺人未遂トリックの方は主役級でないだけにまずまず)。文庫解説の麻耶氏が書いておられる様に、真犯人から疑いの目を逸らす手法は私も理論上は鮮やかと思うが、(不謹慎な言い方をすれば)小説上「0次会」的な第0の殺人を巡るミスディレクションも理論上は大した大規模トリックだと思うが、更に言えば満載ユーモアの一つの中にトリックの核心が潜んでいたのには実際感心もしたけれど、結果どうにもガツンとは来ないわけですよ。いかにも心理の罠が入り込む隙がありそうな不可能状況はかの『緑のカプセル』をも彷彿とさせる際どい魅力に満ちているのだがねえ、そのトリックがこれじゃあねえ。犯人云々真相云々の方でトリックの小ささをぶっ飛ばしてくれればむしろ逆トリックのノリで問題無かったのかも知れないけどさ、先に書いた理論上の感心は「ほほゥ」で止まっちゃう程度だから。でも面白可笑しさは本当に特筆もの。 


No.545 4点 悪の温室
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2016/05/18 12:22登録)
ドラマは結構好きだった! まぁドラマ向きだね。 本ならではの味は、さほど見当たらないかな。
狂言誘拐から殺害へと移行する犯行の二重底は(よくある手とは言え)趣き深し。しかも誘拐の時点で探偵役コロンボが既に登場、というのが妙味だね。
ハイテク科学捜査を信奉する一方で’心証王’コロンボを慕ってやまない若手ウィルソン刑事のちょっとトボケた味もヴェリー~・ナイス。脇役の中で特に忘れ難い男。

1304中の書評を表示しています 741 - 760