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ミステリの祭典

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本格推理⑤犯罪の奇術師たち
鮎川哲也編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1994年11月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 ミステリ初心者
(2021/07/10 01:48登録)
ネタバレをしています。

 ちょっとずつ読んでいったので、最初の方は大分忘れてしまってます。軽く再読して思い出しつつ書評します。

・犬哭島の悲劇
 犬がいる島ということで、嫌な予感がしました(笑)。

・アリバイのゆくえ
 非常に細かい論理で犯人に迫る推理が良かったです。

・クロノスの罠
 犯人の犯行が成功するかどうかわかりませんが、なかなか面白いトリックです。ヒゲに関しての話も面白くて、すこしだけ叙述トリックのようなものを入れているのもいいですね。

・鬼神たちの夜
 半分ぐらいは予想しましたが、半分ぐらいは外しました(笑)。ページ数に対して、かなり濃厚な話でした。

・夜間飛行
 いまいち印象に残らなかったです。

・黒い白鳥
 トリック+動機面の予想も楽しい作品でした。

・鬼が躍る夜
 まず、不思議な事象があり、それに対して合理的な解決を予想する系。短編向きだと思います。

・天に昇る足跡
 ちょくちょく見る、足跡の問題ですが、単純ながら全く分かりせんでした。面白かったです。

・鳶と鷹
 推理するには少しだけ知識のいるような気がします。しかし、ネタばらしされた直後は、なるほどと感じます。私はこのタイプの時計を見たことがなかったので、ちょっとだけイメージがしづらかったです。

・シャチの住む密室
 これはいまいち(笑)。

・疾走する殺意
 非常に面白い殺され方をしていて興味がわきました。しかし、トリックはというと、まあこれしかないだろうというものでした。どんでん返しが面白く、一人芝居の台本のような小説が活かされている気がします。

・極魔術師ドクター・フランケン
 私はさっぱりわからなかったのですが、犯人の手際が良すぎてアサシンズ・クリード(笑)。読者からは2重の罠を仕掛けられているように見えて、凝っています。

・妻は何でも知っている
 安楽椅子探偵。ABCDの記号がつかわれていて、読みやすい(笑)。共犯者がいるとはいえ、偶然の余地があまりない密室で楽しめました。

 総じて、これまでと同じように、本格色の強い短編集で、満足しました。クロノスの罠と天に昇る足跡が心に残りました。

No.2 4点 斎藤警部
(2017/02/16 18:53登録)
編者は鮎川哲也。 山口三樹「クロノスの罠」は熱いね、好きですよ。Tetchyさん仰る通り「時計館」を彷彿とさせる、かなりディープな領域にまで侵入したアリバイトリック。偽装のバレるきっかけがまたタマりませぬ(セクハラっぽいけど)。単体で8点やっちゃいます。他のはどれもだいたいゆるい。

No.1 7点 Tetchy
(2010/04/04 00:38登録)
奇抜なトリックよりもやはり読ませる短編に興味が自然と行った。特に最初の「犬哭島の惨劇」、終盤の「シャチの住む密室」あたりは素人のあまりにもいやらしい筆の滑り具合をまざまざと見せつけられ、吐き気に似た嫌悪感を憶えた。

さて今回、最も印象に残ったのは「クロノスの罠」、「黒い白鳥」、「鳶と鷹」の3作品。
「クロノスの罠」は本格推理に相応しい大トリックで綾辻の『時計館の殺人』の本歌取りともいえる作品で見事に消化していた。
また実作家の手による「黒い白鳥」、そして公募による「鳶と鷹」は本格のトリック、驚愕の真相はもとより、その登場人物に血が通っていること、また特に「鳶と鷹」は小説を読ませる事を素人とは思えないほど熟知している構成の確かさを感じた。まさか素人の短編で落ちぶれた刑事の復活劇が読めるとは思わなかった。
まずは及第点のアンソロジーであった。

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