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ミステリの祭典

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ゼロの罠

作家 ポーラ・ゴズリング
出版日1981年06月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2017/04/10 12:17登録)
スキナーと言えば体育教師レナード・スキナー。‘ティミー&スキナー’なんてハンドル名も良いかな、なんて思いましたよ。

中東富裕国発、スマートな手筈でハイジャックされた小型飛行機はどうやら、乗客が眠らされてるあいだ北極圏のどこかに着陸したらしい。手厚くもてなされ、時折アラビア語の新聞を手にした写真を撮らされる人質9人。。。
抑えようのないお気楽さが支配する、それでもやはりサスペンス+スパイスリラーの娯楽良作。ちょっと雑なユーモアの会話文が時折明るい苦笑を誘います。騙したり、ヒントをやったり、分析したり、、極の数はいったい幾つだ??

基本は人質側と捜査側のカットバックだが、時折不可解な接点も見せる。伏線なんだか違うんだかネタばらしだか、楽しい不安がぽってりした固まりで断続的に登場。そしてプロットは何気に迷路。とてもカラフル。ユーモアと残酷さが逐一お互いを引き立て合う、目が離せない筋運び。そして対照の妙はそこだけじゃない
嗚呼、その(また逢えた)謎の登場人物よ。。。 嗚呼、今さらのその状況時差。。かと思えばあっさりと。。
ちょっとしたユーモア冒険譚の趣きも適時展開。 その泣けそうな優しさは、まさか。。。 スパイの習慣なのか。。

セイジ、チャールズ、アンドレ、ズビン、、 まさか『太陽を盗んだ男』にインスパイアされてないか!?(どちらも1979か。。)と胸が騒いだ伏線もどきは放ったらかしか。。俄然興味津々の洞窟内へ放り込まれたかと思ったら。。。でもいいんだ。 それにしても、ベーゼンドルファーの辿った運命。。

「最後の一撃」めいたラストのおかげで物語は随分引き締まりました。このどんでん返し(?)がミステリ側の領域にもう一歩踏み込んでいたら、ミステリとしてのみならず物語自体がより味わい深い地平に着地していたかとは思うが、、 いえ、これで充分です。

No.1 6点 あびびび
(2012/07/07 13:36登録)
たまたま軍用機に乗っていた民間人9名が誘拐される。薬で眠らされ、目が覚めたときはフィンランドの最北地にある大きな別荘の中にいた。そこには食物、生活必需品が完備されていたが、真冬の北極寄りということで、建物の外に出ること、すなわち死を意味していた。

なんとも大胆な設定の「密室」で、胸をわくわくさせながら読んだが、それほどスリリングな話にはならず、結末も物足りなかった。

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