バードさんの登録情報 | |
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平均点:6.17点 | 書評数:333件 |
No.153 | 6点 | クライマーズ・ハイ 横山秀夫 |
(2019/08/08 23:01登録) 全体的には結構楽しめた。ただし、序盤、中盤、終盤全部を楽しんでたかというとそうでもない。正直中盤あたりは読んでてかなりだれた。(というのも特ダネか!?残念、記事にはなりませんの繰り返し。) そもそもマスコミは情報を加工して程度の差はあれど偏向報道してるんだから、新聞だって所詮、とてもノンフィクションに近い作り物。その作り物に正義だの真実なんだのを読者に押し付けるのは記者のエゴでしょ。悠木がいかにそれらしいことを吠えても、記者の内部争いを白い目で読んでいた自分がいて、いまいち登場人物に感情移入できなかったのである。だから途中まではイマイチと感じていた。 しかし、望月彩子の投書をめぐっての最後の60ページくらいはお見事。大事な言葉を切らずにそのまま採用した悠木を他の記者たちが庇うのは当然でしょう。最後の最後でようやく登場人物と価値観を共有できて楽しめた。 横山さんの作品は64に続き2冊目だけど、僅差で64の方が好きかな。(10点満点の点数上では同じ点だけどね。) |
No.152 | 5点 | ペルシャ猫の謎 有栖川有栖 |
(2019/08/05 11:01登録) 辛辣だが、ほめられた出来でない。(私のようなシリーズファンなら許容できるけど。) 普段の火村シリーズなら真相を推理して読むのだが、本短編の中にはそうするに値するものが無い。となると衝撃的なしかけに期待するも、せいぜい「わらう月」がそこそこくらいで後はイマイチ。本書はシリーズファン以外は読むべきでないし、シリーズファンでも必読書ではないと思う。 (個別書評) 「切り裂きジャックを待ちながら」(4点) 本短編集で一番これまでの火村シリーズっぽい話。普段は気にしないけど動機がよく分からんかった。事件は見た目のインパクトだけで、ミステリとして優れたポイントは無い。 「わらう月」(6点) 写真のトリックの発想は面白く、本短編集の中では一番の作品と思う。しかし、犯人は発想はいいが、あんな子供騙しの写真で警察をだませると思ったのだろうか? 「暗号を撒く男」(3点) 火村先生も言うように解いたからなんだよ、というレベルの謎。イマイチです。 「赤い帽子」(5点) まさかの火村 and 有栖が全く出てこない話。これはこれでいいかも。地味ながら、小さい根拠から犯人に迫るこのやり方は有栖川さんの良さが出ていると思う。 「ペルシャ猫の謎」(5点) 個人的には許せるけど、これは賛否両論というか否の人が多そうだなあと。ミステリとしては大きく問題有りなので、かなり読み手を選ぶ話かと。 「悲劇的」、「猫と雨と助教授と」(採点不可) ミステリでないので評価の対象外とする。火村先生のバックグランドの一端が垣間見られるという点は悪くない。 |
No.151 | 4点 | イニシエーションラブ 乾くるみ |
(2019/08/03 11:46登録) 叙述ものだって知ったうえで読んだからか、あんま驚けなかったわね。(AとBで一人称の男の性格が違いすぎて、別人だろうなーと思わざるを得ないという印象。)丁寧に書いていて好感はあるものの、それ以上の感想はない。 ただし一つ騙されていたのは、マユも別人だと思って読んでました。B面の最後の方で本名が出てくるまではね・・・。 話としてはただのラブロマンスで、新規性を感じられなかったのも、評価が伸び悩んだ一因。 |
No.150 | 10点 | ナイルに死す アガサ・クリスティー |
(2019/07/31 21:00登録) 傑作でした。久しぶりに満点です。(パチパチパチ) クリスティの有名作を3つ挙げろ、と言われたら「アクロイド」、「そして誰もいなくなった」、「オリエント急行」かと思うが、私個人の好みでは本作品はこれらを上回った。 本作の良さは、"バランス"と思う。本筋を覆い隠すために、無関係な小噺も多くなりがちなミステリでは、謎を深くしようとし、読み物としてチグハグになることが多々ある。しかし、本書はミステリの命である謎の出来と小説としての話の展開、この両方がハイレベル。つまり謎を魅力的にしつつ、ストーリーを読ませる最適なバランスなのである。 メインの仕掛けは、見破れなかった。(おしい所まではいったが、サイモンがジャッキーを庇ってるパターンかと思ったぜ。)枝葉の謎(レイスが追う男やティムの役割など)は完璧に分かったんだがね。共犯ものは基本的に嫌いだが、本作品はその苦手を跳ね返す良さでした。 最後にストーリーについて。無駄なキャラにさくページはほぼなく、読みやすい上に、各キャラの立ち具合、エジプトの雰囲気などを非常に楽しめた。 |
No.149 | 5点 | 探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2 東川篤哉 |
(2019/07/26 21:10登録) (再読シリーズ4) こういう軽めのタッチで書かれているミステリの楽しみ方は色々あって良いと思う。王道に謎やトリックを重視してもいいし、キャラクターの良さに主眼をおいても良い。 私はというと、キャラクターやコメディの良さを楽しみつつ、やはり、トリックやロジックの上手さも気にしたい欲張り者です(笑)。ざっと振り返ると本作は粒ぞろいの謎が多く、その点評価は高い。しかし七編の中に足跡ネタが3件、凶器消失ネタが2点と被りが多かったのも事実。同一書籍内に収録するならその辺の被りは減らして欲しかった。その分1点減点した。 以下各話書評(タイトルの霧ヶ峰涼は省略) ・渡り廊下の怪人(6点) 被害者が都合よく事件の前後を忘れるという点以外はご都合要素がなく、現実的と思う。短編集の出だしとしてはまあまあ。 ・瓢箪池の怪事件(5点) 遠目とはいえ、わたあめを棍棒と見間違えるかな?先輩との漫才がメインで事件は微妙感が・・・。凶器はカッターだが、学園祭の中でのストレス発散にしては流石に殺傷力高すぎないか。 ・挑戦(6点) 双子と密室の謎を組み合わせているが、謎の面白さはそこそこかな。どちらも単体ではこてこてすぎるからねえ。笑い声の伏線は面白かった。 ・十二月のUFO(4点) 本作の中で最も事件がつまらなかった。ただしシスター・アンジェリカの台詞は一々笑える。 ・映画部の密室(5点) なんとなく、薄型テレビを窓の格子の間から二人がかりで運搬したのかと予想したが、全然違った(笑)。 ・二度目の挑戦(7点) これは面白いトリックと思った。証拠の一輪車が見つかったらアウトだから、実際の犯罪への応用は難しい。つまり、こういう推理ゲームならではのgood ideaでしょう。 ・お礼参りの謎(7点) 突き抜けたバカミス感が良かったです(笑)。鯉を使った理由も説得力はあったし、それに気づく過程も先生の科目の特性が使われていて丁寧。何より読後感が良い。 |
No.148 | 6点 | 悪意 東野圭吾 |
(2019/07/24 11:14登録) 前評判を気にしすぎるべきでないとは分かっていながら、少し期待値を上げすぎた。 事件の始まりから手記形式で、この手記は信用できないんだなと悟る。作中作や手記を使う方法は信用できない語り手の応用なのだなと今回改めて気がついた。 今回信用してはいけないのは事件の筋書きではなく、登場人物の人物像というのがこの作品特有の面白い仕掛けである。この効果については良くできていたと思うから野々口は上手く書いていると思う。ただ東野さんはその辺にもう一手間かけるべきだったと思う。というのも信用できない手記以外に日高の生前の描写がほとんどなく、それらの読者への提示の仕方が後だし的なので、最終章で実は日高は正義漢で~、と言われても説得力にかける。事前に手記での人物像に違和感を持たせる伏線を忍ばせておけば個人的にはもっと良くなったのでは?と思う。 問題の動機についてはそれほど衝撃的でもなかったかな(申し訳ないけど)。同じ作者なら「殺人の門」の方が殺害の動機うんぬんという点においては上と思います。 |
No.147 | 5点 | 四つの署名 アーサー・コナン・ドイル |
(2019/07/22 18:39登録) 短編集よりは楽しめた。 結局ホームズものって、謎とかトリックではなく、かっこいいホームズが鮮やかに事件解決する様子を楽しむものなのかなあと、本書を読んで思ったり。 特に意外性が無いので、つまらんとまでは言わないが、それほど評価する部分もない。 前に読んだ短編集(シャーロック・ホームズの冒険)と平均点にだいぶ差がある理由がちとわからん。私は似たような出来と思うけどなあ。 |
No.146 | 5点 | 封印再度 森博嗣 |
(2019/07/18 12:46登録) 微妙だったのであんまり語ることない。だから箇条書きで書評終わり! 良いと思った部分 ・壺と箱のトリック(一番面白かった。) ・タイトル(個人的には結構良いなあと思う。) うーんと思った部分 ・犀川の言うように事件は至極単純だった。ゆえにこの内容で長すぎない?と感じた。普段長さは気にしないのだが、本作品は流石に無駄な描写が多い気がする。 ・なんか私自身が本書の本質を見抜けてないような気がする。気のせいかしら。(これは自業自得) ・閂問題を圧力問題にすり替えていたけどあれヒント足りてる?私は解説されるまで、そんな可能性は歯牙にもかけていなかったね。 |
No.145 | 6点 | 黒猫 エドガー・アラン・ポー短篇集 エドガー・アラン・ポー |
(2019/07/12 13:23登録) (再読シリーズ3) 再読とは言っても内容は完全に忘れてしまったので、今回ほぼ初見。 本短篇集は幻想小説とホラーが中心(デュパンが登場する「盗まれた手紙」は唯一ミステリか?)で自分が好んで読むタイプではないが、ぐっと引き付けられる話が多く、現代視点でも面白かった。19、20世紀にこんなものが出回っていれば、江戸川さんがリスペクトするのも納得。 あと、本書は解説も読みごたえがある。 個別書評 ・リジーア(7点) 理想の女性であるリジーアがあえて記号的な表現で、そこに不気味さがある。まともでない主人公の一人称視点で語ることで恐ろしげな雰囲気が見事作られる。 ・アッシャー館の崩壊(6点) 主人公はまともなホラー話。リジーアみたいな構成の方がどちらかというと好き。最後館が崩壊するシーンはわかりやすい伏線があるのかな?(読解力のせいか唐突な崩壊に思えた。) ・ウィリアム・ウィルソン(4点) これはこの短篇集の中では評価低め。自分の気質に真っ向から反抗するもう一人の自分を殺すってのは、物語としてなんか安易かなという気がする。(もちろん現代からの視点です。当時は斬新だったのかな?) ・群集の人(8点) きちんと作者の狙いを酌めてるかはわからんが、常に集団に入りたがる人は、自分が無く観察するに値しないということを独自のストーリーで書いている。推理要素でないが一番上手いと感じた。 ・メエルシュトレエムの底へ(6点) 序盤大自然の描写に引き込まれたが、中盤以降は語りべの脱出劇になってしまい個人的にトーンダウンした作品。冒険ものとして読むべきだったかな。 ・赤死病の仮面(7点) 正直舞台設定の説明が終わった段階で、僧院内で赤死病がはやる落ちは読めた。ただ赤死病患者が紛れ込みのではなく、赤死病そのものが紛れ込むというストーリーは予想外だった。 ・黒猫(5点) 表題作なのに微妙という(笑)。これは主人公が糞野郎すぎて、不気味さとかよりも不快さがでてしまい、うーんという感じ。 ・盗まれた手紙(6点) 読者が推理に参加しようが無い点は不満だが、別段わかりにくくもないし、まあまあ。この短篇集の中での面白さは真ん中くらい。 |
No.144 | 2点 | パズル 山田悠介 |
(2019/07/06 11:14登録) 機会があったので今回読んだが、今の(年をとった)私の感性にはちとあわない内容っすね。 以前読んだリアル鬼ごっこでも思ったが、山田さんは突飛なアイデア・設定を考える力はあるが、物語、キャラクターをつむぐ力はいまひとつなのかと思う。 この作品で言うと、主人公たちがパズル探しをしだしてからはそれを淡々とこなすだけで物語りの起伏が無い。また、エリート設定の学生のはずなのに、全く頭が良さそうに見えないキャラ達。 このように問題点が多いと思う。読書になれていない人相手であれば、サスペンス的なはらはら感でごまかせるのかもしれないが・・・。 |
No.143 | 9点 | 硝子のハンマー 貴志祐介 |
(2019/07/06 10:28登録) 甘いかもしれないが非常に楽しめたので9点で。 別解をひたすらつぶしていくやり方は、私が探偵ならそうする、というやり方なので個人的に好み。それに真相が別解と比べて一番インパクトがあり、尻すぼみ感がないのもgood!真相の物理トリックは高校物理の範囲で理解できるもので、シンプルながら面白かった。 あえて多くは語りません。 |
No.142 | 7点 | 月の影 影の海 小野不由美 |
(2019/07/03 11:06登録) シリーズ第一作目なので陽子と読者の認識が同じレベルなのが、物語に緊張感を走らせる。これだけテクニカルタームが多いのに読みにくさがほぼ無くその辺は上手く書いていると褒めざるをえない。 壮大な世界観を感じさせ、今後もこのシリーズを追いたいと思わせてくれた。中盤までの容赦の無さは読んでて辛いが、それでぐっと十二国の世界に引き込まれるのも確か。 まだまだ十二国世界の一部しか見られていないので、とりあえずこの評価。だが、この後も盛り上がるのだろうという期待感がある。 延王と会ってからは、中盤までとはうって変わって平和な話になるので、最後の陽子と景麒の再会のところでもう一波乱あってもよかったのでは、という気はした。 |
No.141 | 7点 | 十二国記 小野不由美 |
(2019/07/01 14:43登録) 十二国記シリーズの書評をここにまとめます。 (シリーズ読み進める毎に編集で追加します。) 「月の影 影の海」(7点) シリーズ第一作目なので陽子と読者の認識が同じレベルなのが、物語に緊張感を走らせる。これだけテクニカルタームが多いのに読みにくさがほぼ無くその辺は上手く書いていると褒めざるをえない。 壮大な世界観を感じさせ、今後もこのシリーズを追いたいと思わせてくれた。中盤までの容赦の無さは読んでて辛いが、それでぐっと十二国の世界に引き込まれるのも確か。 まだまだ十二国世界の一部しか見られていないので、とりあえずこの評価。だが、この後も盛り上がるのだろうという期待感がある。 |
No.140 | 6点 | オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎 |
(2019/06/27 20:10登録) 及第点の作品。すごく好きというわけでもないが、特別イマイチという感じでもない。本作はデビュー作なので少し甘めに点数付けています。 かかしが喋る設定だの、風変わりな島の設定だのこの辺の舞台設定はまさに伊坂さんの良い所が前面に出ていると思う。(この辺のリアリティ無い設定を受け付けない人もいそうな気もするけど。) 私が一番惜しいと思ったのはストーリーである。ちょくちょく挟まる本土パートはとって付けた感があるし、島の話も人殺しが起きているわりには起伏が無く、無駄に長いと感じた。 ただしこれは話自体に問題があるというより、作者が若くてまだ表現力が足りなかっただけかと。経験をつんだ伊坂さんが書き直したら、同じ話でももっと引き締められるだろう。 |
No.139 | 7点 | ブラウン神父の童心 G・K・チェスタトン |
(2019/06/26 16:53登録) 全体を通して丁寧に読めば読むほど味のわかる文章ね。疲れてるときに流し読みすると良さが分かりにくいとおもうので、これから読む人はゆったりじっくり読んで欲しいかな。 個別の書評 「青い十字架」:初ブラウン神父だが、この話だけ見ると流石に神父の狙い通り事が運びすぎなようなという気もする。 「秘密の庭」:首を切ってやりたい事は分かったけどインパクト重視で必然性が無く、この本の中では評価が低いほう。 「奇妙な足音」:見えない男のトリックに類似しているものの、フランボウの仕掛けは大胆で面白い。足音だけでそれを見破る神父も流石。 「飛ぶ星」:良くも悪くも印象が薄い。 「見えない男」:心理的な密室という現代でも重宝されるおもしろいトリックだったと思う。ただし、この事件に関しては、見張ってろと言われたら普通郵便係りも気にすると思うので、現代視点だと少し無理があるかもしれない。 「イズレイル・ガウの誉れ」:この本の中で唯一やたら読みにくさを感じ、いまいち良さが分からないまま読み終わってしまった。残念。 「狂った形」:遺書の偽装方法は現代でも書き方次第では使える小ねたと思うので、この当時としては画期的だったのだろう。登場人物が露骨なミスリード要因な感じは読んでる途中でなんとなくわかる。 「サラディン公の罪」:最後まで読まないと謎というか、話の中核が見えてこないのが少しストレスだったが、及第点は満たすかな? 「神の鉄槌」:神父の誘導があるので、真相には途中でたどり着けた。比較的シンプルな話。 「アポロの目」:オチまで読みきれなかった。短編にしては結構複雑な事件と思うが、無理なく畳めており高評価。策を弄したのに、司祭がはじめから疑われているのがなんとなく笑える。 「折れた剣」:葉を隠すなら森の中、なら死体を隠すなら・・・?はい答えは自明ですね。途中でネタは分かったが、話が面白すぎた。本短編集で一番好きです。 「三つの凶器」:これも複数の人物に嫌疑がかかる構成で、短編にしては複雑目。一見不可解な舞台が最後にすっきりするのが良い。 *皆さんの書評の中で翻訳が読みにくいという意見が多いのを受けてですが、私が今回読んだ2017年発売の創元文庫の新版についてはそれほど読みづらさを感じませんでした。他の訳で読んでいないので、厳密な比較は無しですが、翻訳で苦戦したという方、創元文庫の新版はおすすめです。 |
No.138 | 5点 | 陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎 |
(2019/06/12 10:51登録) 正直微妙だったなぁ・・・。小説より映画で見た方が楽しめる作品かも。 のめり込めなかった理由として、とりあえず3つ思いついたので書いておく。(理由1が最も重要かと思う。) 1 一部以外キャラが薄い 濃い : 響野、久遠、祥子、田中、警官マニア 薄い : その他 ですね。 成瀬と雪子が薄っぺらいなあと。この二人は舞台装置でしかなかったという印象(特に成瀬)。特殊能力はキャラの魅力じゃなくてあくまで設定なのよね。 2 ストーリーが悪い意味でライブ感あり 作中で偶然に関する話題があったけど、フィクションの世界はもう少し合理的に動いてほしいなあと(現実と違うのだから)。四人組にとって都合のいいように転がりすぎな気がする。 3 ちょいちょい癇にさわる言い回しがある これは大分言いがかりだし、こういのが好きな人も多いと思うけど、なんかセンスの押し売りを一部の文から感じた。(特に広辞苑の引用みたいなの。あれいる?) |
No.137 | 5点 | Another エピソードS 綾辻行人 |
(2019/06/08 10:20登録) ちょいと厳しめの採点をさせていただく。 Anotherの外伝としては楽しく読めた。しかし、知らないシリーズの別キャラで同じ話を読まされたら肩透かしかなと思う。 ホラーよりとはいえ、思い込みの二重人格おちをメインのしかけに持ってこられるとやっぱり厳しい。 あとラストの住所のくだりの意味が分からなかったのだけど、どういう意味なんでしょう・・・? |
No.136 | 7点 | 813 モーリス・ルブラン |
(2019/06/08 10:02登録) 訳のせいか、わかりやすい話のわりに読みにくかったっすね。 ただ件の叙述トリックは完全に意識外からのパンチでびっくりした。話の面白さ(5.5点)とビックリ(1.5点)で7点。 続編も読んでみないとなんとも言えない箇所もあるので、暫定的な書評ということで。 2020/4/22(『続813』を読んだので追記) 後半を含めても印象はあまり変わらず。ただし、ビックリ点に関しては本書のネタの方が『続813』よりも好み。 『813』(7点)、『続813』(6点)で、全体通しては6点かな。 |
No.135 | 7点 | 死体を買う男 歌野晶午 |
(2019/05/07 11:15登録) 昔予備知識なしで50ページほど読み、これは頭を乱歩作品脳にした上で読んだ方がいいなと悟り、いったん読むのを止めた。最近乱歩の傑作選を読んだので、ちょうどいいと再挑戦した。 二転三転する構成に興奮し、8点をつけたい気分だったが、少し冷静になるといくつか気になる点(個人的には作品を評価する上で重要な点と思う)も見つかったので、一点引いた7点とすることに決めた。 ・良かった点 1 塚本父の自殺に見せかけた理由が上手い。 2 塚本兄弟の入れ替わりの伏線がきちんとしていて違和感がない。 3 最後に当事者が告白するため、結論の曖昧さがない。(入れ替わりネタは真実をぼかすケースも多々あるので) ・気になった点 1 作中作が乱歩節な理由が単に作者(西崎君)の好みだけだった点。 2 上手く書いてるけど実は双子の入れ替わりネタという、超古典的ネタに終始しており、そこにオリジナリティが少なかった点。 |
No.134 | 8点 | 江戸川乱歩傑作選(新潮文庫) 江戸川乱歩 |
(2019/05/04 14:36登録) まさにタイトル通り乱歩さんの傑作選だね。乱歩作品読みたいって人にはとりあえずこれ読ませて、あうあわないを考えてもらえばいいんじゃないかな。 全体を通して思ったのは、乱歩さんの書く犯人(?)ってある特定のものに打ち込みすぎた人か、とにかく退屈でしょうがない奴の2パターンが多いね。知り合いがこんな人物ばかり書いてたら少し心配になるかも(笑) 個別書評(部分的に再読) ・二銭銅貨(再読) 7点 暗号は解ける気しないけど、話の転がし方に乱歩さんらしさがつまっとるね。この手のおちもデビュー作からのお家芸なのよね。 ・二廃人 7点 夢遊病も好きな題材なんでしょうね。別の短編集に「夢遊病者の死」ってのもあったしね。しかけはシンプルでも十分読ませる話になってる。 ・D坂の殺人事件(再読) 6点 前読んだときはやや否定的な印象をもったけど、今回はプラスの印象。多分明智の探偵のやり方(物証をやや軽視する)に慣れてきたからかな。 ・心理試験 8点 このような犯人しか知りえない情報の自白で探偵が追い詰めるやり方の作品の中には、言い逃れ可能だろ!と思う作品も結構ある。しかし、本作はその前のテストのおかげで不自然さがなく、犯人特定がきれいにきまっていると思う。 ・赤い部屋(再読) 8点 前に読んだときも思ったけど、T氏が語る殺し方一つ一つでおもしろいミステリが書けそうなのに、さらっと一小話に使ってしまうのに贅沢さを感じる。おちの賛否はあると思うけど、引き込まれるいい書きっぷりでしょう。 ・屋根裏の散歩者(再読) 6点 タイトルは有名だけど、この作品集の中では実は地味な方かも。犯人がわりと普通の人っぽいからかな。あと、完全に個人的意見だけども、探偵が証拠をでっち上げて自白させるやり方は好みでないね。 ・人間椅子 8点 単純に面白かった。無茶苦茶な設定ながらぞくりとさせる上手さがある。作品の感想じゃないけど、タイトル見て人間を材料に椅子作る狂人の話かと思ってました。 ・鏡地獄 8点 これも単純に面白いっすね。正直おちは全く想像できなかった。鏡の球内ってどうなるんだろう・・・。 ・芋虫(再読) 8点 これは印象強すぎて内容忘れないんだろうな。前と同じ感想だけど、自分の身に置き換えると・・・。想像するだけで恐ろしい。 |