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ミステリの祭典

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ミステリーオタクさんの登録情報
平均点:6.97点 書評数:155件

プロフィール| 書評

No.95 7点 噂の女
奥田英朗
(2020/10/03 22:12登録)
地方(恐らく岐阜県)の小さな町を舞台にした、とんでもない女の男喰い遍歴を描いた連作短編集。


《中古車販売店の女》
読みやすいが何も面白くない。バカみたい。

《麻雀荘の女》
本書の流れが少し見えてきて、少し面白くなってきた。

《料理教室の女》
前2話とは趣向が変わり、また少し面白くなる。

《マンションの女》
来たね~

《パチンコの女》
これもなかなかだが奥田さん、ヤクの件はもう一息。

《柳ヶ瀬の女》
世の中、金、金、金ってか。

《和服の女》
ホントに今でも地方には、こんなカビの生えそうな、役所と土建屋の癒着が蔓延っているのだろうか。

《檀家の女》
(コレだけホンの少しネタバレ)
この辺までくると「飽きてきた感」も拭えないが、本作のラストは「考え抜いた末にパーを出したら他の3人は揃ってチョキを出した」の方が面白くなくない?


《内偵の女》
何ともダルいし、やる気なくなるわな。

《スカイツリーの女》
まとめになっているようないないような。


どの話も結末をクリアにせずヴェイグにクローズするところは奥田さんらしいと言えば、らしい。
何はともあれ、ひたすら読みやすく入れ込めた。


No.94 7点 物語のおわり
湊かなえ
(2020/09/14 22:34登録)
ミステリとは言い難いが、六者六様の「人生の選択」の物語6話と、本書の準主役級の戸惑いと回想、そして最後に主役級の回想と葛藤・・・の計8話からなる連作短編集。

それぞれのライフストーリーが北海道の大自然を背景に叙情的に描かれ、そして非常に読みやすいのでミステリ以外の小説は滅多に読まない自分でも没頭することができた。

本編が終わった後で主役級にアレが届くはずだが、その時にこの物語はミステリになる。


No.93 7点 この闇と光
服部まゆみ
(2020/09/13 10:36登録)
何を言ってもネタバレになりそうな反転モノ。
自分も蟷螂の斧さんと同じく「闇の中にあって、世界はなんと美しく輝いていたことだろう」という一文が非常に印象的でした。


No.92 6点 日曜の夜は出たくない
倉知淳
(2020/08/30 17:36登録)
日曜の夕方・・・ペーソスに浸れるよなぁ
ましてやそれが8/31だったら・・・懐かしい子供の頃の胸の痛み・・

そんなことはともかく本書の第一作「空中散歩者の最期」は、指摘されている方もいるとおり明らかにトリックが理論的に間違っている。
「星降り」「過ぎ行く」といった素晴らしいエンターテインメントを書いている倉知さん、本作ももう少し物理を勉強しなおしてから書いてほしかった。
いや、でも全体的には読みごたえのある佳作集だと思う。


No.91 8点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2020/08/29 17:51登録)
5つの「旧家の屋敷や資産家の館」を舞台にした、お嬢様、家族、関わった者、そして何より《使用人》たちの5つの尋常ならざる物語。


『身内に不幸がありまして』
・・・コレは途中で見えちゃうよね。つーか作者自らネタバレしてるようなもんだ。(勿論故意にだろうが)

『北の館の罪人』
『山荘秘聞』
・・・ともに趣深い館モノだが、動機を受け入れられるかどうか。

『玉野五十鈴の誉れ』
・・・個人的にはコレがベストかな。
タイトルは本文中でも少し触れられているようにチェスタトンの作品へのオマージュでもあるだろうが、何といってもグイグイ引っ張られるストーリーフローと、その果ての最後の一行だね。

『儚い羊たちの晩餐』
・・・メインのネタの凄惨さにも関わらず一番薄味に感じた。まあアレは殆ど描写されてないわけだからしょうがないが、それならあのネタを日記の最後の一行で分かるような組み立てにしたら、かなりゾッとできたのではないだろうか。


全編作者らしい高いリーダビリティを纏い、ハイクオリティなテイストを醸し出す5粒のブラックダイヤモンドのような短編集。
連城作品を彷彿させる昭和初期の上流層の耽美的な情景描写、それに当たっての作者の教養ひけらかしまくりにも賛辞を送りたい。


No.90 5点 向日葵の咲かない夏
道尾秀介
(2020/08/09 16:17登録)
読み物としてはそこそこ面白いが、何人かの方が指摘されているとおり明らかな矛盾点があるのは頂けない。


※ 今年は「何もない夏」になりそうだ。


No.89 5点 夏のレプリカ
森博嗣
(2020/08/09 14:11登録)
内容の割りには長い気もするが悪くはない。


No.88 6点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2020/08/09 13:59登録)
んなんで○○はゼッテーできねえって。
でも前半延々と続く認識観念論は流石に圧巻。


No.87 6点 どんどん橋、落ちた
綾辻行人
(2020/08/02 18:52登録)
最終話だけわかった。
全部笑える。


No.86 6点 孤島パズル
有栖川有栖
(2020/08/02 18:09登録)
ロジックが青春の甘酸っぱさをも容赦なく打ち砕く。


No.85 8点 疑惑
折原一
(2020/08/01 22:14登録)
折原短編集の中では結構いい線いってる方だと思うんだけどな・・・


『偶然』 
いかにも折原短編らしいスパイシーなショートミステリ。

『放火魔』 
うーん、いつもの折原とはチョッとテイストが異なった意外性。
読後感は・・・言えない。

『危険な乗客』 
設定が面白いし、よくできていると思うが、途中ちょっとダラついた感も否めず。
少しフレドリック・ブラウン風かな?(知ったかぶりはやめた方がいいよね)

『交換殺人計画』 
これもグイグイ読ませてくれるし、ネタもまあまあ。
少しヒッチコック風?(だからさ・・・)

『津村泰造の優雅な生活』 
ツカミはイマイチだが途中からグングン面白くなり、「読めた」と思ったり、変転があったりするが、最後は・・・

〈ボーナストラック〉『黙の家』 
何で?と思ったがボートラを冠するだけのことはある内容。
折原らしいと言えばらしいし、らしくないと言ってもらしい。
滅多にないことだが再読したくなった。


本書自体文庫で250ページという薄さだし書評者数も少ないけど、自分的には掘り出し物と言ってもいい短編集だった。


No.84 8点 AX
伊坂幸太郎
(2020/07/22 17:43登録)
殺し屋シリーズの連作短編集。
本サイトを始め、多くの書評サイトで高評価なので手に取ってみた。が・・・


『AX』 ミステリとして何が面白いのか全くわからない。

『BEE』ミステリとして何が面白いのか全くわからない。

『Crayon』 終盤になって・・気持ちのいい話ではないが・・初めて面白いと感じた。主人公にも初めて少しだけ共感できた。

『EXIT』 何という出口。

『FINE』 「彼」は真実を知っても、知ることができなくても苦悩することになりはしないか?・・・など少しモヤモヤも残るが、シビアの向こうにハートウォームを焙り出す作者らしいマトメ。


うーん、久々に伊坂作品を読んだが改めてその「計算精度の高さ」と「厚み」を実感。

伊坂さんからすれば、自分のようなセッカチな読者は、想定している対象読者の範疇外なのだろうが、このサイトでsophiaさんの書評を見ていなかったら恐らく1話か2話で本書を放り出していたことだろう。


No.83 6点 ロートレック荘事件
筒井康隆
(2020/07/19 17:39登録)
後から見取り図に笑った。


No.82 5点 オレたちバブル入行組
池井戸潤
(2020/07/19 01:56登録)
全く共感できない


No.81 8点 満願
米澤穂信
(2020/07/14 18:04登録)
史上初のミステリーランキング三冠に輝いた故野村克也氏のような中短編集。


『夜警』 美談の真相がジワジワと・・・

『死人宿』 変わった趣向の「犯人探し」。途中でチョッとホームズの「三人の学生」を思い出したが、だんだんグダグダ感が鼻についてくる。そして終盤、「何それ...」と思ったが、しかし・・・

『柘榴』 うーん、そう行ったか・・・
何か今邑彩の短編集にでも出てきそうな話だ。いや、湊かなえかな。

『万灯』 本書の中で唯一100ページ超の中編だが、とても面白い読み物になっている。ただ最後は・・・助かる目はあると思うが。(出だしが「私は今、裁かれている」だからネタバレじゃないよ)

『関守』 これも中編に近いヴォリュームの作品でチョッとダラついてる感も否めなかったが、やはり面白かった。
本書の中で唯一「ある程度」ヨメた。

『満願』 イマイチすっきりしないが、これもよくできているし趣深い。


凡作なし。
実力派作家の真価が遺憾なく発揮されている好作品集。


No.80 6点 魍魎の匣
京極夏彦
(2020/07/04 06:49登録)
休肝日の睡眠導入薬として利用させてもらった。
変な夢をたくさん見ることができた。


No.79 7点 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 
折原一
(2020/07/01 21:50登録)
登場人物も場面も少なくて、(シビアな作品でない時の)折原らしい漫画チックな文体でとても読みやすいし、彼の作品に時々出てくるキャラ・・・腰が曲がって小汚くてシワクチャだけど実は頭はしっかりしているババア・・・もよかったが、それでもネタの割りにはチョッと長すぎる感は拭えなかった。

それに20年近く前の作品ではあるが、当時でもこのメイントリックはさほど斬新なものではなかったのではないだろうか。

でも、まあ読んでる間は楽しかった。


No.78 7点 お引っ越し
真梨幸子
(2020/06/17 17:45登録)
作者の得意分野の一つ、「怖い系」の短編集。


[扉] 並みの(よりちょっと捻りの効いた)ホラーサス。

[棚] なかなかトリッキーなホラータッチミステリー。

[机] こういうのはあまり好きじゃない・・・が、さすがマリ先生、テクニシャン、凡作は書かない。

[箱] 凡作。
   陰湿なババアどもがいいねえ。

[壁] 怖いね。

[紐] 最終話らしいと言えば、らしいが、もう一押し欲しかったかな。


全編通してとにかく読みやすい。スナック菓子をポリポリつまんでる感じ(たっぷりマリ味つき!)で読め、気がついたら読了している。
ホラーダメじゃない人には一読オススメ。


No.77 8点 幸福荘の秘密―新・天井裏の散歩者
折原一
(2020/06/13 18:00登録)
『天井裏の散歩者』の続編連作短編集。
「幸福荘」も少し現代的になり、携帯電話も普及する時代になる。


[密室の奇術師] 倉阪の三崎や四神みたいなアホバカトリックでも使ってくるのかと思ったが、一応合理的な・・

[後ろを見るな] フレドリックブラウンの短編とは殆ど関係なかった。

[最後の一人] 合間のリドル・・・

[作者の死] ・・・そして炸裂。

[ファンメール] まあまあ。

[実作者] またしても、やはりそうきたか。

[パラレルワールド] ???だが、またまたそうくる・・・よなあ。

[幸福荘の秘密] ???の答え。依井貴裕トリック。(おっとっと)


何はともあれ楽しかった。
「バカ笑いできる多重叙述ミステリ」を書けるのは一っちゃんぐらいじゃないか?


No.76 7点 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記
折原一
(2020/06/05 21:13登録)
作者の初期の作品は殆ど読んだが、なぜか本短編集は抜けていたので今更ながらヒッサビサに折原作品を手に取る。

読み始めて、改めて折原さんの読みやすさを思い出し「合間合間に気楽に読み流すのに丁度いい」と嬉しくなったが、2話目を読んだところで「なんだ、紋切り型の水戸黄門パターンか」とゲンナリ、しかもこの話では「被害者の電話器」が無視されるという落ち度ぶり。(こういう話にロジカルなクレームをつけるのも野暮だとは思うが)
しかし3話目は少し毛色が変わったので気を取り直すが、4話目はまたまた・・・と思ったら5話目以降は・・・まあ読んでみてのお楽しみ。
最終話の「正体」は分かりやすかったけどね。
作者特有のバカっぽいキャラクターたちも息抜きにピッタシ。


何はともあれ流石折原さん、凡作家が書いて自己マンに陥るようなノリだけの連作短編集なんか書くわけないよな。

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