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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2430件

プロフィール| 書評

No.790 7点 初秋
ロバート・B・パーカー
(2010/07/19 14:48登録)
私立探偵・スペンサーシリーズの代表作といわれる作品。
ひょんなことから預かった自閉症気味の無気力少年を、私立探偵がハードボイルドの心でもって自立させる物語。
シリーズとしては全くの異色作で、ハードボイルドを超越しているというより、逸脱しているようにも見える。しかし、最後はなかなかの感動ものでした。


No.789 8点 Xの悲劇
エラリイ・クイーン
(2010/07/19 14:18登録)
ドルリー・レーン四部作では「Yの悲劇」と人気を分けあう傑作ですが、この2作はテイストがだいぶ異なるので、プロットはそれぞれ別のクイーンが考えたように思えます。
作品の舞台は、「Y」の古典的閉鎖空間と「X」の現代的広域空間で対照的ですし、真犯人の意外性は、「Y」は人物の属性そのものの意外性ですが、本書は物語の状況設定の中で意外性を出そうとしていると思います。
証拠・伏線に関しては、「Y」では明白に提示しその解釈を推理する方式に対して、本書もその傾向が多少あるものの、証拠と明示せずに伏線としておき、解決編でロジカルに提示されているように感じました。
好みでいえば「Y」ですが、パズラーとしては本書のほうが出来がいいのではないでしょうか。


No.788 9点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2010/07/18 21:54登録)
本格ミステリの短編集として、その中で使われたアイデアが後のミステリ作家に与えた影響はホームズ譚を凌ぐでしょう。
なにせ、「Xの悲劇」や「ABC殺人事件」もある意味では、本書収録作の追随作品でしかないのですから。
作者は、他の作品でも”逆説=意外性”という命題を徹底して追求していますが、ブラウン神父シリーズが一番ストレートで理解しやすいと思います。
この第1作品集では、「見えない男」や「折れた剣」という有名作品や、「イズレイル・ガウの誉れ」が好みです。


No.787 8点 さむけ
ロス・マクドナルド
(2010/07/18 21:34登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門の24位というのは意外と評価が低いですね。
私立探偵のアーチャーが尋問マシーンの如く行動するのは、たしかにハードボイルド小説の形態なんですが、本格ミステリもびっくりの真相が用意されていた。最後の一行はタイトルに呼応して読者を震撼させるものがあります。
事件が現在・過去の3件ある上、いつも通り人物関係が錯綜しているので、途中の交通整理が大変でしたが。


No.786 7点 わらの女
カトリーヌ・アルレー
(2010/07/18 20:52登録)
億万長者の遺産めあてに結婚する女性・ヒルダガルデが主人公ですが、いわゆる悪女ものではないですね。
主要登場人物は3人しかおらず、タイトルから大凡のプロットが読めるのが難点ですが、花嫁募集広告に応募する際の手紙文などから覗える30代女性の造形は、いかにもフランス人女性作家が書いたサスペンスという印象でした。


No.785 8点 グリーン家殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2010/07/18 18:17登録)
「東西ミステリーベスト100」海外編の22位に入った本書は、館ミステリの代表格として、戦後の日本ミステリ界に与えた影響は甚大でしょう。
「そして(犯人以外)誰もいなくなった」と揶揄されるように、フーダニットとしては大きな欠点もありますが、次々と殺人事件が発生し家人が少なくなるにつれ、屋敷を蔽う陰惨な雰囲気とスリルが増殖していく所は、いまでも読み応え充分だと思います。


No.784 6点 高い砦
デズモンド・バグリイ
(2010/07/18 18:01登録)
正統派の冒険小説。
山中に墜落した飛行機の生き残りの乗客と、ある武闘集団の戦いを描いているだけですが、いわば素人集団VSプロ集団という構図が面白い。乗客側の専門分野を駆使した反撃、とくに古代の投石機を再現した武器などが印象に残っています。


No.783 6点 マルタの鷹
ダシール・ハメット
(2010/07/18 17:48登録)
私立探偵を主人公としたハードボイルドという点と、「マルタの鷹」の争奪戦というプロットがちょっとミスマッチだという印象。
文体は新しいのに、物語が旧いタイプの小説と言う感じです。
主人公にもあまり魅力を感じなかった。


No.782 7点 興奮
ディック・フランシス
(2010/07/18 17:26登録)
「東西ミステリーベスト100」海外編の19位は、英国スリラーで競馬シリーズの代表作。
ミステリ趣向として、ある小道具を使った不正レースのトリックは推理クイズ本などで有名になってしまいましたが、テーマはいつもどおりで、男の不屈の精神。
今回の主人公は純粋な巻き込まれ型でないのが不満点ですが、一旦屈服した男の再生の物語はやはり読ませます。


No.781 8点 赤毛のレドメイン家
イーデン・フィルポッツ
(2010/07/18 17:10登録)
この作品も読了時の感動と現在の客観的評価の狭間で揺れる微妙な立ち位置の古典本格ミステリ。
レドメイン家兄弟を被害者とする連続殺人のプロットは、真相が透けて見えるのですが、登場人物の造形(特に真犯人)や中心となる舞台の一つ、イタリアのコモ湖畔の情景描写など、非常に文芸臭が漂い印象に残っています。


No.780 7点 死の接吻
アイラ・レヴィン
(2010/07/18 16:54登録)
「アメリカの悲劇」をテーマをしたこういったサスペンスは当時としてもそれほど斬新さを感じなかったと思いますが、三部構成でそれぞれ視点を変えて、物語の様相を一変させるスタイルが目新しかった。
もはや、新本格以降の読者が読んで、感心するようなプロットではないと思いますが。


No.779 8点 黄色い部屋の謎
ガストン・ルルー
(2010/07/18 16:40登録)
現在読むとどうか、という思いもありますが、書かれた時代を考慮すると、この密室事件の謎とトリックは非常によく出来ていると思います。人間消失のトリックと意外な犯人は中学生が読んでもミエミエでしたが。
物語は終決していないのですが、続編の「黒衣婦人の香り」をどれだけの人が読んでいるだろうか。


No.778 8点 さらば愛しき女よ
レイモンド・チャンドラー
(2010/07/18 16:29登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門の13位は、再び私立探偵フィリップ・マーロウの登場。
前科者・大鹿マロイのある女性への愚直の愛というテーマは覚えていますが、印象に残る場面とかセリフはあまり覚えていない。
ただ、哀切すぎるラストシーンは印象的だった。


No.777 7点 ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス
(2010/07/17 21:29登録)
「フォーサイス、見てきたような嘘を書き」という川柳まで出るほど、ドキュメンタリー風サスペンスで一世風靡した作者ですが、後年発表された近未来風IFポリティカル小説は社会性を持たせた分、風化も早かったようです。
本書は、現代史を題材にしたサスペンスのためか、今読んでも古さはそう感じません。しかし、ベスト12位というのは現在ではありえないでしょうね。


No.776 6点 女王陛下のユリシーズ号
アリステア・マクリーン
(2010/07/17 21:13登録)
この作品が「東西ミステリーベスト100」の第11位に入ったのは意外です。
マクリーンの作品は、冒険小説ながら最後にドンデン返しを持ってくるものが多いのですが、本書は真っ当な海洋冒険小説で、たしかに海の男たちの戦いは感涙ものではあるものの、船内状況描写がいまいち頭に入ってこず、物語に惹きこまれなかった記憶があります。
それより、このサイトにマクリーンが10作品登録されていながら、これが最初のコメントとはさびしい。


No.775 8点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2010/07/17 20:56登録)
海外ミステリベスト10からこの作品集を外すことは難しいでしょう。
たしかに、ミステリとして客観的にみると不満な点がいくらかあるでしょうが、その後のミステリ界に与えた影響は計り知れないものがあると思います。


No.774 8点 僧正殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2010/07/17 20:43登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門の9位がヴァン・ダインのこっちの作品というのはちょっと意外です。日本では「グリーン家」の方が人気があると思っていたので。
たしかに、最終盤の、フィロ・ヴァンスを挟んで二人の教授の心理的闘争シーンは緊迫感がありましたが。
本格というよりサスペンス小説として今でも一級品だと思います。


No.773 7点 深夜プラス1
ギャビン・ライアル
(2010/07/17 20:32登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門の第6位は、続けて冒険小説。
タイムリミット型の車による欧州横断冒険もので、単純なプロットながら、主役級の男たちの造形がよかった。車や銃に関心があればもっと楽しめたと思いますが。


No.772 8点 鷲は舞い降りた
ジャック・ヒギンズ
(2010/07/17 20:14登録)
「東西ミステリーベスト100」海外部門の第5位は、戦争冒険小説の傑作で、ヒトラー精鋭部隊によるチャーチル誘拐作戦。
敵役で描かれることの多かったドイツ軍人が主人公というのが異色。
冒険小説協会の組織票だけでなく、80年代は冒険小説の時代と言われたから、この順位は納得いきますが、冒険小説人気が下火の現在だと50位以内も難しいのでは。後に出た続編の評判は散々だったですしね。


No.771 10点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2010/07/17 19:10登録)
クリステイの異色作にして最高傑作。
余分なものをそぎ落とし、サスペンスとサプライズに徹した作風は、女史の作品の中では異色ながら、本書以上に印象に残ったミステリは今のところ読んでいない。

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