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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2467件

プロフィール| 書評

No.127 7点 悪党たちのジャムセッション
ドナルド・E・ウェストレイク
(2010/04/09 21:09登録)
不運な泥棒ドートマンダーと仲間たちの騒動記、スラップスティック・コメデイの第4弾。
いつもながら小悪党の仲間たちが面白い。疫病神アンデイ・ケンプ、しゃべくり運転手スタン・マーチなど、会話にしろ動作にしろ、やることなすことツボにはまります。本作は特にギャグが冴え、ドートマンダーの可哀そうなくらいの不運との相乗効果で爆笑もの。
シリーズ最高傑作じゃないかと思います。


No.126 6点 刑事くずれ/ヒッピー殺し
タッカー・コウ
(2010/04/09 20:48登録)
自分の不祥事で同僚を死なせた元刑事、ミッチ・トビンを主人公とするシリーズ第2弾。
ハードボイルド風の再生物語の様相ですが、実はこのシリーズ5冊いずれも本格ミステリの趣があります。とくに本作は密室殺人を扱っており、それもちょっと独特な心理トリックで読ませます。
著者の別名義でも見かけないユニークな作風で、地味ながら埋もれさせるには惜しいシリーズだと思います。


No.125 7点 カジノ島壊滅作戦
リチャード・スターク
(2010/04/09 20:32登録)
犯罪プランナー・悪党パーカーシリーズ第8弾。
組織の依頼で離島にあるカジノを襲撃することになるが、別の集団が介入することで作戦は思わぬ方向へ・・・。
今回はいつもの、仲間集め-計画-準備ー実行の流れでなく、いきなり襲撃に向かう場面から始まる。襲撃後の島からの脱出はまるで冒険小説の味わいで、マンネリ回避の意識が働いているように思いました。
俳優強盗グロフィールドも襲撃メンバーに入っていて、当シリーズからスピンオフした彼を主役とする第1作は、この物語とつながっているのが面白い。


No.124 7点 幻の終わり
キース・ピータースン
(2010/04/09 18:51登録)
ニューヨークの事件記者ジョン・ウェルズが主人公のハードボイルド第2弾。
雪の夜に出会って意気投合した海外通信員の死と残した言葉の謎を追ってマンハッタンを駆け巡ります。
この小説の魅力は主人公の熱い思いと情感あふれる文章です。それと、やはり部下の女性記者ランシング(笑)。登場場面が少なめながら、なぜか存在感大で、アメリカ人女性ぽくないところが非常に惹かれます。
このシリーズ、4作品で終了したのは残念です。


No.123 6点 裏切りの氷河
デズモンド・バグリイ
(2010/04/09 18:17登録)
元英国情報部員が巻き込まれる非情な英ソ諜報戦。
冷戦を背景にした定番のスパイ冒険小説で、どちらかというとギャビン・ライアルが書きそうな物語です。アイスランドという舞台を活かしたアクションの数々は読みごたえがありました。終盤のどんでん返しも、お約束とはいえ、バグリイの小説としては意外な結末を設定しています。
それにしても、早川ノベルスの訳文はどれも読みずらい。


No.122 6点 クリヴィツキー症候群
逢坂剛
(2010/04/09 00:07登録)
現代調査研究所・岡坂神策シリーズの連作ミステリ短編集。
いずれも、スペイン内戦が背景にある謀略がらみのサスペンスで、現代史ですが一種の歴史ミステリとしても読めます。
表題作と「謀略のマジック」が印象に残りました。


No.121 6点 六蠱の軀
三津田信三
(2010/04/08 23:51登録)
完璧な女性を創るために女性の五体を狙う猟奇的な連続殺人犯。
シリーズ第3作は、作中でも触れられているように「占星術」を思わせるアゾート殺人もので、ホラー風味は益々うすくなって、フーダニット志向が強い本格ミステリです。
最後の関係者を集めた謎ときシーンでは、三連続でダミー犯人を指摘するなどニヤリとさせますが、真犯人特定のロジックは甘め。そもそも死相が見えるという探偵の特質があまり生きていないように思いました。


No.120 8点 スカイジャック
トニー・ケンリック
(2010/04/08 21:38登録)
満員の乗客をのせたジャンボジェット機の消失を扱ったユーモアミステリ。著者のスプラスティック・コメデイの原点と言える作品ですが、ミステリとしても飛行機消失トリックのアイデアがすばらしい。
懸賞金目当てに乗り出す若手弁護士と秘書で元妻コンビの漫才風やり取りやドタバタ劇は一級品の面白さで、まさに抱腹絶倒ものでした。


No.119 8点 アデスタを吹く冷たい風
トマス・フラナガン
(2010/04/08 18:56登録)
早川書房の復刊希望投票で創刊45周年、50周年度と連続して第1位に輝いたミステリ短編集です。
某軍事国家の憲兵・テナント少佐ものの連作4編と単発もの3作が収録されていますが、いずれも格調高い文体と意外性を追求したミステリ趣向に溢れた傑作作品集だと思いました。
テナント少佐ものでは、武器密輸の意外な抜け道が意表を突く表題作や、少佐の人物造形が最後の逆転に結びつく「獅子のたてがみ」が読ませます。
単発ものでは、歴史ミステリ「玉を懐いて罪あり」が抜群の出来。15世紀イタリアの密室状況の城内からの秘宝の消失を扱っていますが、警護の聾唖者への尋問など圧倒的な迫力を感じました。密室ものアンソロジーでは「北イタリア物語」のタイトルで収録されていて、そのタイトルの方が好みです。


No.118 5点 飛車角歩殺人事件
本岡類
(2010/04/08 18:20登録)
傍若無人のプロ棋士・神永七段が探偵役を務めるシリーズ第1弾で、著者の長編本格ミステリの第1作。
もともと、オール読物推理小説新人賞を将棋ミステリで受賞しているくらいですから、この世界に詳しいのでしょうが、主人公の造形を含めて棋界の人間関係などまずまず楽しめました。肝心のミステリの部分は、既読感のあるタイトル戦に絡む連続殺人を描いていて、物理的殺人トリックとアリバイ工作もいまいちです。まだ手探りのミステリ創作といったところでしょうか。


No.117 6点 銀座連続殺人手帖
梶龍雄
(2010/04/07 18:59登録)
「シラケ姫」こと女子大生・奈都子を主人公にした本格ミステリ、シリーズ第3弾。
前2作「幻の蝶」「淡雪の木曽路」とも文章や変な若者言葉を度外視すれば、意外な殺人動機を核にした端正な本格ものでしたが、今作もミッシングリンクもので動機の謎を中心に据えています。奈都子が画廊で拾得した手帖にメモられた人物の連続殺人が描かれていますが、シリーズものならではの意外な犯人が秀逸でした。


No.116 5点 殺人は女の仕事
小泉喜美子
(2010/04/07 18:39登録)
引退した元娼婦、場末のクラブで歌うジャズシンガー、純文学系出版社のベテラン女性編集者など、ほとんどが中年以降の女性を主人公にした一風変わった作品集。
副題に傑作ミステリー集とありますが、ミステリとは言えないものもあり、内容的にも薄味な印象です。
女性作家がここまで女性の醜い部分を書いたという点での驚きはありましたが、とても傑作集とは言えません。


No.115 5点 アトリエ殺人事件
高原弘吉
(2010/04/07 18:16登録)
ジュヴナイルミステリ短編集。
4作収録されていますが、表題作がジュニア向けミステリの標準を超えた本格もので、被害者のある行動を利用したアリバイトリックは意表を突きます。
「双眼鏡は知っていた」は、少年が自宅2階から双眼鏡で目撃した殺人現場が消えてしまう。清張の「点と線」がモチーフなのが面白い。他の2編はシリーズ探偵もので本格とは言い難いです。


No.114 7点 飛鳥高名作選 犯罪の場
飛鳥高
(2010/04/07 17:54登録)
デビュー作の「犯罪の場」やバカミス系トリックの「二粒の真珠」などは密室もののアンソロジーで既読でしたが、短編全集ともいえる本書で著者の全貌が覗うことができました。
機械トリックが持ち味であることは間違いないのですが、むしろ社会派とは一線を画する意外な動機を扱ったものや、サスペンス風の作品に良作が多くあり、認識を新たにしました。
収録作では、とんでもないトリックと精緻な推理がさえた「犠牲者」が印象に残りました。
当作に限らず、河出文庫の<本格ミステリコレクション>はすばらしいセレクションだと思います。


No.113 6点 闇の金魚
陳舜臣
(2010/04/06 18:59登録)
清朝末期の中国を舞台にした一人の諜報活動家をめぐるミステリ。
フーダニットやハウダニットを基軸にした本格ミステリを期待すると失望するかもしれませんが、歴史小説家としての側面が出た、陳舜臣にしか書きえない小説だと思います。
主人公の周りでいったい何が起こっているのか、真相が明らかになったとき、闇の中で改良される金魚の意味が浮き上がります。
異色作だと思いますが、読後余韻の残る作品です。


No.112 2点 美食倶楽部殺人事件
嵯峨島昭
(2010/04/06 18:25登録)
「白い華燭」などの恋愛ミステリに登場した酒島警視と人妻・鮎子のコンビが主人公役の連作ミステリ。
美食倶楽部会長の死の手掛かりを追って京都、伊勢志摩、北海道さらにはアフリカまで旅行を繰り広げます。ところが、作者の興味はミステリではなく美食のウンチクにあり、物語の9割はその感想に費やされています。事件の真相も拍子抜けです。
姉妹編の「グルメ殺人事件」(旧題「デリシャス殺人事件」)ではバカミス系の殺人トリック連発で、それなりに楽しめましたが、こちらは全くダメでした。


No.111 5点 ミステリー作家の休日
小泉喜美子
(2010/04/05 23:39登録)
エッセイ集のようなタイトルですが、れっきとした短編集。
なかでは、女流ミステリ作家にかかってきた間違い電話の内容から意外な事実を推理する表題作「ミステリー作家の休日」がケメルマンの短編を彷彿させ、編中のベストかな。
あと「本格的にミステリー」「パリの扇」が印象に残りましたが、拾遺集の感は否めません。


No.110 6点 黒潮の偽証
高橋泰邦
(2010/04/05 23:16登録)
海難審判の弁護士・大滝海事補佐人シリーズ第2作。
今回は小笠原諸島近くでの難破貨物船からの一等航海士の密室消失事件を手がけています。
海洋冒険小説の味わいのある前半から、密航女性の登場、乗組員からの事情聴取とスピーディな展開で、前作と違って読みやすくなっており、より本格ものを意識したものとなっています。初版の単行本では犯人の名前を伏字にして読者懸賞にしたというエピソードもわかる出来です。
ただ解決編が駆け足のきらいがあり、犯人特定のロジックは少々甘いんじゃないかと思いました。


No.109 5点 十二夜殺人事件
マイケル・ギルバート
(2010/04/05 18:12登録)
猟奇的な連続殺人犯を追う捜査陣の行動描写で幕を開けた物語が、序盤すぐに寄宿制の学校を舞台とした学園ミステリに変わり、これはどういった物語なんだと戸惑いながら読み進めました。
「捕虜収容所の死」同様ジャンルミックスというかジャンルにこだわらないプロットが著者の持ち味のようです。中盤に新任教師の正体が割れて、なるほどそうつながるのかと納得しましたが、通常の捜査小説を読みなれている身には、少々肩透かしの印象はぬぐえません。
シェイクスピアの演劇は出てきますが、このタイトルは内容にそぐわない感じを受けました。


No.108 6点 Another
綾辻行人
(2010/04/03 00:05登録)
(以下ネタバレ)
「十角館の殺人」のネタバレもしています。

離島を学校に変えただけで、基本的に「十角館の殺人」で使ったミステリの趣向と同じですよね、これは。
ある人物を表記するのに、姓、名、ニックネーム、職制などを使い、その表記の使い分けを章毎に行って叙述トリックに利用する。
しかし、その人物を読者の容疑者候補から外す手段としては、個人的には姑息に思えてしまいます。
ホラーの部分については楽しめましたが。

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